• このエントリーをはてなブックマークに追加

  • 俺の棒銀と女王の穴熊〈6〉 Vol.21

    2016-05-30 21:00
    br_c_1403_1.gifbr_c_1752_1.gif

     出水と別れ、地元の駅へと戻る。しかし足は自宅ではなく、彩文学園を通り過ぎて、彼の家へと向かった。太陽のせいではなく、ますます体が火照る。
     ミニ合宿のために碧山家を訪れたことが何回もあるから、その隣の家がどんな風なのかは知っている。しかし、好きな人が住んでいる家なんだと認識するのは、これが初めてだった。
     対局のときよりも緊張しながら、いよいよ目の前まで来た。
     何の連絡もなく姿を見せたら、どんなに驚いてくれるだろう。彼の部屋にお邪魔することはできるのだろうか? 勝利の報告だけなら、玄関先で伝えればいい。でも、せっかくここまで来たのだから……。
     紗津姫の思考は、玄関のドアが開く音で中断した。中から出てきたのは、歩くだけで綺麗な音がするような美少女だった。
    「依恋ちゃん?」
    「あれ、紗津姫さんじゃない」
     のんびりと春張家の敷地を出る依恋。もう数え切れないほど繰り返してきた、ごく当たり前の動作だと見せつけるように。
    「対局見てたわよ。まさにプロ顔負けの将棋だったんじゃない?」
    「ありがとう。おかげさまで勝てました」
    「で、どうしてこんなとこに?」
     依恋の目は、何だか悪戯っぽかった。ライバルの思惑など、とうに察しているという感じだ。
    「来是くんに、勝利の報告をしたいと思って」
    「そんなの、メールなり電話なりですればいいのに?」
    「ええ、無性にそうしたくなって」
    「……積極的になってきたわね、紗津姫さん」
     自信ありげな依恋の瞳を、紗津姫はまっすぐに見返す。
     自分でもそう思う。彼は私の内面から変えてしまった――。
    「私だって……もう受けの一手じゃいけないと思いますから」
    「あは、そう来なくちゃ張り合いがないわ」
    「それで、依恋ちゃんはどうして?」
    「来是とお話でもしようって思っただけよ。でもあいつ、お昼食べたらさっさと出かけちゃったみたいでさ。最近は千駄ヶ谷じゃない将棋道場にも行ってるって言ってたし、どこかアマ強豪の集まるところで武者修行でもしてるんでしょ」
    「そうだったんですか……。じゃあ家の中で何を?」
    「ふふん、来是のお母さんがさ、掃除してたら子供の頃のあたしたちの写真が出てきたって言うから、見せてもらってたの」
     彼女もまた子供に戻ったように、天真爛漫に笑う。
     ふたりの幼き日――自分の存在しえない領域があることに、紗津姫の胸がかすかにさざ波立つ。
    「あの頃の来是ってば、やっぱ冴えない感じなのよね。よく言えばおとなしいんだけど、男らしさに欠けるっていうか。あたしがリードしてやらなきゃみたいなオーラが満載なの」
    「今は……全然違いますよね」
    「そうね。それに関しちゃ、完全に紗津姫さんのおかげ。……ま、高校に入る前の来是だって、あたしは好きだったんだから。自分を変えたいって、あいつはずっと思ってた。その意思があるだけで、男の子って素敵じゃない? そう思うと、ますます昔の写真もいいなって。ずいぶん長々と見てたわ」
     とうにわかっていたことだ。それでも。
     どう頑張っても自分では得られない、十年の重み。……ああ、本当に重い。
    「ん、どうしたの? ははーん、あたしがうらやましいとか? やっぱり幼馴染って最強よね」
     いつだってこの子はストレート。そう痛感させられる。その美貌も、メリハリの利いたスタイルも、まぶしいくらいに高いプライドも、自分の武器を惜しげもなく見せつけてくる。グッとこない男子など、きっとどこにもいない。
     じゃあ、私には何ができるだろう? 彼の将棋を鍛えること以外に……。
    「ええ、正直に言って、依恋ちゃんがうらやましいです。私にはないものを、たくさん持っている」
    「そんなの、あたしだって同じ。紗津姫さんは一目で来是のハートを奪ったのよ。あたしの十年間を、ひとっ飛びで越えちゃったんだから。どれだけショックを受けたかわかる? ……運命の赤い糸なんてものが本当にあるのかも。それはあたしじゃなくて、紗津姫さんと来是を結んでいるのかも。そう思ったことさえあったんだから」
     運命。さっき出水が言っていたことを紗津姫は思い出した。
     私と彼の間には、運命的な何かがあるのだろうか。
     あってほしい。
     ああそういえば――運命は勇者に微笑むっていう言葉もあったっけ。
     だったら私は、いつだって勇者でいなければ。自分を信じて踏み込まなければ。
    「なんていうか、今さら言い合うようなことでもないけどね。人間みんな違うんだから、いくら他人をうらやましいと思ってもしょうがないわ。あたしはもう、そんなステージにはいない。それだけは、はっきり言っておくわ」
    「なら私も、そのステージに立つことにします」
    「うん。これからも切磋琢磨していきましょ」
     すぐ隣の自宅に消えていく依恋を見送って、紗津姫も家路を急いだ。
     もっともっと、自分を変えていこう。変えていく。輝かしい未来のために。
  • 俺の棒銀と女王の穴熊〈6〉 Vol.20

    2016-05-23 21:00
    br_c_1403_1.gifbr_c_1752_1.gif

     不思議なことに、来是との対局と同じ展開を辿っていた。相矢倉の定跡は比較的長いとはいえ、つい昨日の将棋と何十手も完全に一致するというのは記憶にない。
     あのときは後手を持っていた自分が、最初に勝負手を繰り出した。そこから攻めが続き、来是が妙手を逃したこともあり勝利を収めることができた。
     今、その局面まで来た。
     川口は端正な顔を少し歪めて、思案にふけっている。記者が戻ってきたので、もう軽々しいおしゃべりはしない。何も知らない記者は、緊迫した空気が途切れず流れていたと信じていることだろう。これより繰り広げられる山場を十全に活写してみせようと、じっと視線を注いでいる。
     出水もまた、ペンを握ったまま盤を見つめている。この子ならどう出るだろうと紗津姫は考える。最善手は他にあるかもしれないが、積極的にペースを握ろうとするなら、やはり同じ手段に出るかもしれない。
     そして川口が手に取ったのは――。
    「あっ!」
     思わず声に出た。まったく同じ、大駒を叩き切る強手。
     紗津姫が読みにない手を指され困惑したと思ったのか、川口は自信ありげに口端を吊り上げている。彼女の棋風にもピッタリの、おそらく自慢の一手だろう。――最後に勝ったならば。
     ドク、ドク。回転を速める心臓の音を聞く。
     そこからは変化の余地がない一本道。どこまでも彼と築き上げた一局を辿る。まるで今日という未来を見通していたかのような。
     こんな――こんなことが将棋にはあるんだ。
    「え」
     紗津姫が落ち着いた所作で指したその一手に、今度は川口が声を出した。たちまちのうちに困惑の目に変わる。
     嵐のような激しい攻めを、真っ向から切り裂くカウンター。攻守逆転の狼煙。
     息を飲む音。出水が頬を紅潮させ、ペンを持つ手を震わせていた。記者も我が目を疑うような顔だ。ふたりとも紗津姫が劣勢だと考えていたのだろう。
     流れは完全に変わった。川口が頭を抱え、脇息にもたれ、はばかりなく呻いている。いかに強かろうとアマチュアには負けられない。プロならば誰しも抱くプレッシャーに、彼女は徐々に苛まれていた。
     だがここで屈するようなら、最初からプロとしてこの場にいない。爪も牙もいったん引っ込めて、全力で体を縮めた受けに入る。攻め将棋が身上の彼女としては不本意だろう。それでも再び希望が見えるまで、耐えに耐える。
     紗津姫とてプレッシャーに襲われているのは変わらない。一手でも間違えれば再逆転される。二転三転するのが将棋の面白さ、そして怖さ。すべてが最善手でなければ乗り切れない。
     指先にしびれが走る。体の末端にまで作用する極度の緊張。紗津姫は息苦しさを覚えながら――彼の顔を思い浮かべる。
     あの子に応援されるなら、私はどこまでも頑張れる!
     最後の力を出し切って、紗津姫は刃を振りかざした。その切っ先は、寸分狂わず相手の胸元に届いた。
    「負けました……」
     丸一日戦ったかのような疲労の滲む声で、川口は投了を告げた。
     紗津姫もまた疲弊の極致にあった。許されるならすぐに正座を崩して、横になってしまいたかった。
     しかし疲れとは逆の、爽やかなものが全身に舞い込む感覚があった。これまでの経験からいって、激闘であればあるほど勝利の実感は遅れてやってくるのに、遠い場所で喜んでいるだろう来是のことを思うと――決して顔に出してはいけないが、嬉しくてしょうがなかった。
     足音が響き、襖が開いた。終局を知ったテレビスタッフたちだ。
    「神薙さん、勝利おめでとうございます」
    「どうも……」
    「……あのー、カメラ回していいでしょうかね?」
     将棋のことはよく知らないというディレクターも、真剣勝負の余韻を敏感に感じ取ったのだろう、少し遠慮がちだった。
    「大丈夫ですよ。このまま感想戦やりましょう」
     川口の主導で、感想戦は打って変わって和やかに進行する。プロのアマに対する気遣いに、紗津姫は心から感謝した。
    「あそこ、あまり悩まないで指したように見えましたけど、もしかして経験が?」
    「ええ、実はつい昨日に」
    「そんなまさか!」
    「私も驚いたんです。こういうこともあるんですね」
    「んん……何にしても力負けですね。本当に神薙さん、お強いです」
     感想戦は十分程度で終わり、そのままインタビューへと移行する。意識的にアイドルモードへと切り替え、なるべくいい笑顔であるようにと努めた。
    「プロの方との対局は、いつも刺激的で、今回もよい経験になりました。本戦も頑張りたいと思います」
    「こうなったら優勝してほしいですね。それだけの力が、神薙さんにはあります」
     敗者の川口もどこか朗らかにコメントをして、女子将棋フレッシュカップ予選最終局は幕を閉じた。
     時刻はちょうど正午を回る頃合い。将棋会館を出ると、まるで夏のような強烈な日差しが真上から降り注ぐ。しかし心地よい熱さだった。そして傍らの出水は、自分以上に喜んでいた。
    「本当におめでとう! きっと勝つって信じていたわ」
    「ありがとう。それにしても川口先生、盤上ではすごく迫力のある人でした。でも終局後は、いろいろ気を遣っていただいて……」
    「さっき、あの人とトイレで鉢合わせしちゃったんだけどね、見るからに意気消沈してたわ。やっぱりアマに負けるのは、情けないってなっちゃうから。でもそういう批判も覚悟して生きているのが、プロだから」
    「ふふ、私はやっぱり一生アマチュアでやっていきます」
     好きな人を伴侶にして、家で一緒にのんびりと楽しむ。それが一番性に合っていると、いつも疑っていない。
     その未来予想図は、最近もっと具体的になってきている……。
    「ところでさ、昨日と同じ将棋だったそうだけど」
    「来是くんと練習対局をしたんです。本当にすごい偶然だったけれど、今日勝てたのは半分はあの子のおかげで」
    「ふん……運命だとでもいうの? 私はまだ、あいつのことは認めてないからね」
    「摩子ちゃん、私の幸せは願ってくれないんですか?」
     我ながら思い切った発言だと思った。出水は視線を逸らし、唇を尖らせる。
    「紗津姫ちゃんに幸せになってほしいって、いつも思ってるわよ! でも……」
    「来是くんは、まだまだ上達しますよ。私が卒業するまでにはきっと、摩子ちゃんも認めるくらいに」
    「あ、あいつのことはどう思ってるのよ。もうひとりの」
    「依恋ちゃんですか? ……迷ったのも、過去の話です。私は正々堂々、依恋ちゃんと競い合うって決めたんです。彼女もそう願ってますから」
     女子高生のミスコンに出ると聞いたときは、彼女らしいなと感心した。自分ではまったく真似できない領域で、高みを目指そうとしている。
     だから私も、私のやり方で魅力を磨いていく――紗津姫の心に、もう一点の曇りもない。
    「さ、どこか入りましょう。お腹ぺこぺこです」
  • 俺の棒銀と女王の穴熊〈6〉 Vol.19

    2016-05-16 21:00
    br_c_1403_1.gifbr_c_1752_1.gif

         ☆

     テレビカメラが入るらしいよ。プロデューサーである伊達名人からそう聞かされていたので、それが将棋会館の前で待ち構えているのを見ても、ごく自然にやり過ごすことができた。
     将棋アイドルとなってから、いろいろな経験をしてきた。カメラによく映るようになったのが、その最たるものだ。あとで映像を見ると、驚くほど綺麗に映っていて感激してしまう。同時に、人に見られるお仕事なんだという気持ちがいっそう強くなる。
     ただ今日のところは、無難に学校の制服を着用してきた。今後のために、もっと見栄えのするスーツを用意するのも手かと考えたが、やはり学生のうちは学生らしくするのが一番だ。それに昨夜、来是からこうも言われた。
    「先輩の制服姿は、もう今しか見られないんですから!」
     あの子が喜ぶなら、なおさらそうしようと思った。喜ぶ顔を見られないのは、少し残念だけれど。
     開始の三十分前、余裕を持って対局室のある四階へ向かう。関係者以外は立ち入り禁止のこの区域に足を踏み入れるのは、いつも緊張する。靴を脱いで、いよいよ対局室へ……。
    「おはよう、紗津姫ちゃん」
    「あ、摩子ちゃん?」
     盤の横のテーブルで、白のワイシャツ姿で正座しているのは、出水摩子女流3級だった。手元の記録用紙に対局者両名と、彼女の名前が記されている。
    「今日の記録係なの。間近で見たかったから、やらせてって自分から名乗り出たんだ」
    「そうだったんですか。無様な将棋は見せられないですね」
    「今まで無様な将棋を見せたことなんてないでしょ? 紗津姫ちゃん自身と同じように、いつだって華のある将棋だわ」
    「まあ、今日はプロに教えていただく立場ですから」
     下座に着席して、じっと待つ。ややあって、モバイル中継の担当記者が入ってきた。次いでカメラマン、ディレクターらしき人も。
    「神薙さん、今日はどうぞよろしく」
     名刺を渡される。普段の対局ではまずありえない光景だろう。さっそく記者がこの様子を書き留めていた。
    「こちらこそ、よろしくお願いします」
    「いやー、私は全然将棋わからないんですけどね! あなたのことを猛プッシュする部下がいて、通った企画なんですよ」
    「その人、大正解ね。紗津姫ちゃんが映った瞬間、きっと視聴率が倍増するわ」
    「さすがにそれは大げさですよ」
    「ううん、紗津姫ちゃんを見るためなら、たとえ有料放送でもお金を払うって人はいるはずだもの!」
    「なんでカメラ?」
     緩みそうになった場の空気を引き締めたのは、川口莉々女流初段の声だった。
    「川口先生、おはようございます」
    「……そっか、神薙さんの特集か」
     赤いハンドバッグを傍らに置いて、上座に座る。紗津姫と一度だけ視線を合わせたが、それっきり盤に目を落として動かなくなった。
    「あらま、こちらのお相手も、美人さんじゃないですかー。テレビ映えしそうだ」
     のんきなディレクターの言葉に、川口は眉ひとつ動かさない。
     怖い。率直にそう思った。
     昨年のクリスマスフェスタや春先の電将戦では、とても親しく話しかけてもらった。見る者を幸せにするような快活な表情は、さすが女流棋士の顔と呼ばれるものだった。
     それがどうだろう。戦意の光を宿す眼、あふれ出す力を押しとどめるように引き締められた唇。それでも全身から発散されるオーラ。
     まぎれもない、勝負師。ただ目の前の相手を倒すことだけを考えている、狩人の顔。
     私はこんな風には、とてもなれそうにない――やっぱり棋士を仕事にしないのは正解だったなと思った。
     振り駒が行われ、紗津姫が先手となった。
     もう誰もしゃべらない。カメラだけが回る中、張り詰めるような勝負の空気が醸成されていく。
     将棋は趣味だ。目の前の川口や傍らに座る出水のような、己の一生を賭けるほどの真剣さは持てない。
     それでもプロの現場でしか味わえないこの緊張感は、何度でも経験したい。こんなにも心躍ることはない。どんなにコンピューターが強くなっても、人間のプロと真剣勝負をすることこそ、アマチュアにとって最高の栄誉に違いないのだ。
    「お願いします」
     女子将棋フレッシュカップ予選最終局、その幕がいよいよ開いた。
     まだ作戦は決めていなかった。先手ならば主導権を握りやすい。それゆえ選択肢も幅広いが――紗津姫は深く考えることはしなかった。こういうときは、流れを大切にするのがいい。
     昨日のトレーニングでも指した、矢倉。こうすると、愛しの後輩がパワーを分け与えてくれるような気がした。彼はきっと今ごろ、小さなモバイル画面で見守ってくれているはずだ。
     川口もしばらくお付き合いしましょうとばかりに、同じく矢倉を目指した。しばらくは見慣れた定跡が続くだろう。
     すでにディレクターとカメラマンは退室して、対局室は本来の景色に戻っている。記者もいったん中座した。控え室で他の棋士のコメントを取りに行くのだろうか。
     そろそろエンジンをかけてくる頃だ――女流界きっての攻め将棋と言われる川口の猛攻に備え、紗津姫は予想される局面を脳裏に描き出していく。
    「カメラが入るとわかってれば、もうちょっといい服を着てくるんだったな」
     ……独り言と判断して、とりあえず反応はしないでおく。しかし川口は、はっきりと紗津姫の顔を見ていた。
    「神薙さん、何か反応してくださいよ~」
    「え? あの……」
    「学生はいいですよね。制服でアピールできて。やばいですよそれ、そのおっぱいブレザー!」
    「川口先生、お静かにしてください」
    「うわあ、記録係に怒られるなんて前代未聞!」
    「お静かにと言ってるんですけど? 公式戦で紗津姫ちゃんとおしゃべりしながら指すなんて……うらやましい……!」
     変なところで対抗心を燃やしている出水をよそに、川口は持論をまくしたてた。
    「昔は対局中のおしゃべり、よくあったそうじゃないですか。今それをしちゃいけないってことはないと思うんですよ。さっきはテレビカメラあったから真剣な顔をしてましたけど、ネット中継なら観る将向けに親しみやすさをアピールするっての、ありじゃないです? 伊達名人なら、きっとありだって言うかと!」
    「ど、どうでしょうか。今度聞いてみますね」
     もしかして、気を緩ませようとする盤外戦術なのかしら。チラッと浮かんだ可能性をすぐに否定して、紗津姫はあらためて意識を盤に集中させた。