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押井守の「世界の半分を怒らせる」。第24号
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押井守の「世界の半分を怒らせる」。第24号

2013-09-02 15:40
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 ■MAMORU OSHII MAIL MAGAZINE
 ■押井守の「世界の半分を怒らせる」。
 ■第24号(2013.9.1)

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 ※購読解除・変更手続きはこちら。
 http://ch.nicovideo.jp/my/blog

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 ※今回は都合により配信が遅れたことを心よりお詫び申し上げます。

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【CONTENTS】目次

 1. NEWS
 2. 時事砲弾(23)「そうかつ」
 3. 何度言ってもわからない/監督かく語りき
   第19回「ファミレスから世界を語る〜夕暮れハイボール雑談編」
 4. 監督外部記憶装置「 」
 5. 熱海おたより通信
 6. I.Gマキノの「ガルム戦記」(20)
 7. 募集
 
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【NEWS】押井守関連情報

 《発売中》文庫『ケルベロス 鋼鉄の猟犬』(幻冬舎文庫)
 《発売中》小説『ゾンビ日記』(角川春樹事務所)
 《発売中》新書『コミュニケーションは、要らない』(幻冬舎新書)
 《発売中》重鉄騎×押井守[ポーランドメイキング]
      DVD&映像読本(キャラアニ)
 《発売中》iPhone/iPadアプリ『ちまみれマイ・らぶ』(iTunesストア)
 《連載中》押井守監督の「勝つために見る映画」
     (日経ビジネスONLINE)連載中
 《8/21》Blu-ray『天使のたまご』(ポニーキャニオン)
 《8月中旬》絵コンテ『天使のたまご』(復刊ドットコム)
 《OA》ラジオ「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」(FM TOKYO)
   「ニコニコ生放送/押井守×鈴木敏夫×川上量生」ポッドキャスト配信中
 《製作決定》映画『The Last Druid: Garm Wars』(2014年公開予定)
 《参加決定》『機動警察パトレイバー』実写版プロジェクト(2014年公開)

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【速報】次回9月15日配信の当メルマガにて『機動警察パトレイバー』実写版プロ
ジェクトについての緊急発表! 警戒せよ!

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【時事砲弾】

 押井監督が時事ネタに鋭く切りこむ「時事砲弾」。ときには榴弾のように、
 またあるときは徹甲弾、照明弾、焼夷弾、ガス弾…と目的に応じて様々な
 角度からオシイ論が放たれます。当メルマガも配信から一年が経過。これ
 からまた一年よろしくお願いいたします。というわけで、今回は監督によ
 る総括です。恫喝ではありませんのでご注意を。

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 第24回「そうかつ」

 編集者の要望により、このコラムの総括をしてみます。
 と言ってはみましたが、特に何もないなあ。
 何しろ、その時々に思いついたことを思うままに書いてきただけなので。
 世界の何割を怒らせたのかも判らないし――。
 なにしろ誘導装置もなく、慣性誘導の砲弾ですから、どこまで飛んでどこに落ち
るかは風次第でいまいち定かでなひ。
 以上おしまい、ではあんまりなのでもう少し書きます。

 元来が政治やら事件やらの現実過程に関しては発言しない、書かないと決めて生
きてきたのですが、それは何故かと言えば僕が映画監督だったからです。
 映画監督は妄想と予感でモノを作っています。
 もちろん現実の歴史や世の中の動きに興味を持つことは重要ですが、それはあく
まで妄想を膨らますための謂わば原資であり、契機に過ぎません。歴史や国際政治
――その極限形態としての戦争などというものは、面白くないわけがなく、もしか
しなくても映画や小説より遥かに面白いものです。
 「事実は小説より奇なり」というのは本当のことです。
 ただし、現実が虚構より面白いと言い得るためには、それなりの教養や知的研鑽
というものが必要であり、誰でも何時でも何処でも面白いというわけにはいきませ
ん。何事においても「楽しむ」「面白がる」「興味を持つ」ということには修練と
いう過程が必要であり、訳の判らない抽象画だって、絵画の教養を積めば鑑賞の対
象足りうるものです。
 修練を積む、という過程の内実とはつまり「既存の価値体系を共有する」あるい
は一歩進んで「独自の価値観を獲得する」ことなのであって、この過程をサボって
「なんだか判らないからつまんねー」とか「判らないのはワケの判らないものを作
った奴の怠慢だ」とか「そういう役立たずは要らない」などと喚いて、クビにした
り強制収容所に送り込んだりしたのでは、ヒットラーやフルシチョフと何ら変わり
ません。
 自己のタイマンを表現者に背負わせてはいけません。
 まあ、いい加減な「表現者」がいることも事実でしょうが、それにしてもそんな
連中に引き回されて痛い目に合うとしたら、知的研鑽に投資をケチった貴方が悪い
のです。
 いつも言ってることですが、世の中にタダというものは無いのですから。
 但し、そうは言っても知的研鑽というやつは手間も暇もお金もかかるものです
し、そうでなくても現代人は忙しい。プレミアリーグも気になるし、世界陸上でア
スリートたちの素敵なカラダも見たいし、「パシフィックリブ」も見に行きたい
し、AKBの総選挙も気になるでしょう(僕は気になりませんが)。
 誰も彼もが、日に夜を継いで知的研鑽に励むというわけにはいかなひ。
 で、そういう忙しく色気の多い人たちのために、虚構というものが存在するので
す。
 小説や漫画や映画というものは、実社会やら歴史やらのエッセンスとはいいませ
んが、その上澄みを美味しく調理するからこそ商品として成立するのであって、そ
れ以外にありません。
『美味しんぼ』ほど判り易くないにせよ『バカボンド』だって『進撃の巨人』だっ
て実は既存の文化というものに原資を求めて成立しているのであって、いわばその
二次使用三次使用であり、引用やマゴ引きで出来ているのです。一部に絶対消費財
とでも呼ぶべき、二次使用どころか「完コピ」「丸パク」のアニメがあったりする
ことも事実ですが(誰の何とは言いませんが)そういうのは作る側も見る側も買う
側も、自分で自分の首を締めあげているだけであって、知らずに感性を摩滅させて
「楽しむ」ことも「面白がる」ことも、自ら困難にしているだけの話なのです。
 世の中にある商品としての虚構なるものは、謂わば知的研鑽の代用物であり、映
画が実人生の演習である、というのはそういう意味だったりするのです。
 代用物や演習だって、そう馬鹿にしたものでもありません。
 混ぜ物だらけの代用品で、ドンブリの中に「景色」を描いて見せた立喰師だって
いますし、そもそも歴史上の偉大な作家たちだって、同じ過程を経てきたのですか
ら。
 書籍や映画は模擬人格であり「もうひとりの他者」なのです。
 まあ、そればっかじゃ問題ありますが。
 二次元だけでなく、アイドルだけでもなく、現実に彼女をつくりましょう――と
言いつつも、日常だけで事足れりになったんじゃ元も子もありません。現実はキー
プしつつ、二次的現実もちゃっかり担保するというのが知性の正しい有り様なので
す。

 話が長くなりましたが、要するに僕にとって映画とはそういうものであり、その
程度のものであるのです。
 
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日本の覇者が引退したが、それについての言及は次回に持ち越しかな。映画「ガッチャマン」の事も聞きたいなあ。配信はいくら遅れても待ちますよ!お身体に気を付けて。
51ヶ月前
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