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押井守の「世界の半分を怒らせる」。第10号
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押井守の「世界の半分を怒らせる」。第10号

2013-02-05 11:22
  • 3
  • 6
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  ■MAMORU OSHII MAIL MAGAZINE
  ■押井守の「世界の半分を怒らせる」。
  ■第10号(2013.2.5)
 
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  ※購読解除・変更手続きはこちら。
  http://ch.nicovideo.jp/my/blog
 
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 【CONTENTS】目次
 
  1. NEWS
  2. 時事砲弾/第10回「あるじぇりあ」
  3. 何度言ってもわからない/監督かく語りき
    第6回「解禁/押井守が『009 RE:CYBORG』を語る(前編)」
  4. 熱海おたより通信(メルマガ創刊10号スペシャル)
  5. 特別寄稿「特別寄稿『Howling in the Night~押井守、戦争を語る』
    アフターレポート」文:野田真外
  6. I.Gマキノの「ガルム戦記」(6)
  7. 募集
 
  ※今号の配信が取材の都合により当初予定しておりました2月1日から2月5
   日に変更になったことを心からお詫び申し上げます。
  ※【今月の監督1/2】は監督新作撮影中につきお休みです。近日中にカナ
   ダ日記編が始まります。お楽しみに。
  ※【監督外部記憶装置】はお休みです。
  
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 【NEWS】押井守関連情報
 
  《発売中》文庫『ケルベロス 鋼鉄の猟犬』(幻冬舎文庫)
  《発売中》小説『ゾンビ日記』(角川春樹事務所)
  《発売中》新書『コミュニケーションは、要らない』(幻冬舎新書)
  《発売中》重鉄騎×押井守[ポーランドメイキング]
       DVD&映像読本(キャラアニ)
  《連載中》押井守監督の「勝つために見る映画」
      (日経ビジネスONLINE)連載中
  《OA》ラジオ「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」(FM TOKYO)
    「ニコニコ生放送/押井守×鈴木敏夫×川上量生」ポッドキャスト配信中
  《製作決定》映画『The Last Druid: Garm Wars』(2014年公開予定)
 
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 【時事砲弾】
 
  押井監督が時事ネタに鋭く切りこむ「時事砲弾」。ときには榴弾のように、
  またあるときは徹甲弾、照明弾、焼夷弾、ガス弾…と目的に応じて様々な
  角度からオシイ論が放たれます。今回はアルジェリア人質拘束事件です。
 
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  第10回「あるじぇりあ」
 
  この時代でもアフリカは遠い世界なのでしょうか。
  連日の報道でもさっぱり事情が判らず、おそらく首相官邸でも家庭でも、情
 報の絶対量は変わらないのでしょう―と推測できるところが情けない。
  あんなヤバい場所で日本人技術者が働いてるのに、避難勧告の出ている北ア
 フリカ地区に駐在武官(自衛官)がたった二人だそうです。アルジェリアに一
 人でも駐在武官がいたら、軍人は軍人同士で現場の情報を、外交ルートより早
 く入手出来たのかも知れません。それが仕事でもあるのですから。
  危機管理という言葉は、この国にはないのかも知れません。
 
  アルジェリア軍の突入作戦とは、いったいどんなものだったのでしょうか。
  テレビを見ながら、知りたかったのはそのことでした。
  先日、そのスジの方にお会いしたときに訊いてみたところ――よくは判らな
 いんですけどね、と前置きしてから語ってくれました。
 
 「作戦も何も、飛び出してくる奴は人間だろうが車両だろうが、撃ちまくるだ
 けだったみたいですね」
 「ヘリは旧宗主国のフランス製?」
 「社会主義国だったから、ソ連製のMi-8かなんかでしょう」
 「人質の乗ってる車をヘリで?!」
 「(面制圧用の)ロケット弾じゃなくて、ピンポイントで狙える対戦車ミサイ
 ルらしいですね」
 「遺体を指輪の裏の名前で特定したってのは、つまり…」
 「まあ、本来は装甲車両に対して使うもんですから」
 
  どうも凄惨な様相だったようです。
  テロリストが殆んど射殺されていたのも、ペルー大使館の時と同じです。
  報道が「突入」と形容しているから「人質奪回作戦」を連想しますが、要す
 るに「人質」でなく「施設」を確保するための「強襲作戦」だったことが窺い
 知れます。
  施設のコアを破壊されると一年は操業を再開できなくて、政府側はそれをも
 っとも恐れているらしい、という話もありましたから、そういうことなのでし
 ょう。
  アルジェリア軍からすれば、敷地は広いし、内部情報を知る手段もないし、
 早急な解決を目指すとすれば、力押しの強襲以外に選択肢がなかったのかもし
 れません。
  それにしても、です。
  「人命優先」とか「人権」とかが通用しない国で、その信用できない政府の
 保護だけを頼りに働いていたというのは、考えるまでもなく、実に恐るべきこ
 との筈です。そのことの持つ意味を、企業や政府は、そして本人や家族たちは
 どのように認識していたのでしょうか。報道には「企業戦士」という形容詞も
 出ていましたが、「戦士」どころか「兵士」だって、もっとマシな支援を受け
 て戦うものです。どこぞの隣国のように、軍隊からコックに至るまで同伴して、
 というのもどうかと思いますが、これでは「鉄砲玉」に等しい扱いです。
  テレビを見ていると「こんなことになるとは夢にも思わなかった」という言
 葉も出ていましたが、当人たちは「こんなこと」をチラとも考えなかった筈は
 ありません。それでも仕事だから行く、というのが日本人なのだとすれば、そ
 れはつまり現在の日本には「職業倫理」以上のモラルはないということになる
 のでしょう。
  国家や企業に「危機管理」という観念がないのなら、日本人は個人のレベル
 で自分や家族の危機管理を行うしかありません。
 
 『バベル』という映画のエピソードを思い出します。
  モロッコを旅行中の倦怠期のアメリカ人夫妻の物語です。
  妻ケイト・ブランシェットが、現地の少年の放った小銃弾に倒れ、夫役のブ
 ラッド・ピットはとんでもない田舎町で電話を探しまわり、大使館に電話が繋
 がるや、直ちに舞い降りてくるのが米軍指し回しのヘリなのです。ブラピは政
 府の要人でもなければ、大富豪でもありません。アメリカは海外にあって、そ
 れが平凡な一市民であったとしても、その生命が危機に晒されれば、直ちに軍
 を動かしヘリを飛ばし、安全圏へと運び去る。
  まあ、本当にそうなのかどうかは別としても――少なくとも、映画はそれを
 当然のこととして描いています。
  あのヘリを日本人はいつになったら持てるのでしょうか。
 
  僕もまた政府要人でもなければ、富豪でもないけれど、海外で人質にされた
 ときには、自分を家族のもとへ連れ帰ってくれる、あのヘリを夢想するでしょ
 う。
  国際法規を無視してでも、突入してくる――日本人の生命がどれほど高価で
 あるかを、世界に知らしめてくれる『オメガ7』(小林源文)が欲しい。隣国
 に拉致された同胞を、力尽くで奪還してくれる政府が欲しい。
  その政府の、国家のためだったら、愚痴ひとつこぼさずに税金も払うし、な
 んなら予備役の訓練だって受けるでしょう。必要なのは整列して頭を垂れる空
 港職員でも、弔意を示す喪服姿の役人でもありません。もちろん遺憾の意を表
 明する首相でもありません。
  たった一機のヘリであり、それを送り込む意思なのです。
  現実には死体となって数日が経過し、安全が確認されてから、ようやく到着
 するのが日本の飛行機なのです。殺戮された日本人の頭上を舞っていたのが、
 情け無用の旧ソ連製のヘリのみだったことを思うと、無念というしかありませ
 ん。
 
  繰り返しますが――国家や企業に「危機管理」という観念がないのなら、日
 本人は個人のレベルで自分や家族の危機管理を心掛けるしかない。そして、そ
 の意識を積み上げることによってしか、この国に危機管理という言葉を思い出
 させる方法はないのでしょう。自分と自分の大事な者たちの命は、自分で守る
 しかないし、その覚悟があってこそ、舞い降りるヘリを国に要求できるのです。
 
  ……と、ここまで書いたところで、ラジオのニュースが聞こえて来ました。
  日本政府はアフリカにおけるテロ対策に向けて、109億円を供出することに
 決めたのだそうです。関係各国の中で最高の金額だそうです。これは日本の得
 意とする人道支援の分野における貢献であり、貧困の撲滅によってしかテロを
 防止することは出来ないのだそうです。
  貧困がなくなったって、テロは頻発します。
  単価は知りませんが、109億円はしないであろう、一機のヘリを送ることが
 大事なのです。その意思を持つことが何より重要なのです。十人の日本人がア
 フリカで殺戮されて、結局カネで総括するのだとしたら、また異国のどこかで
 日本人がテロの標的になることでしょう。
 
  なんだか書くのがイヤになってきました。
  読んでいてイヤな気分になったら、ごめんなさい。
 
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 【何度言ってもわからない/監督かく語りき】
 
  ひとつお題が投げこまれれば、あっと言う間に雑多な教養と縦横に結びつき、
  無限に繁殖していく(そして誰にも止められない)押井ワールド。これは映
  画監督・押井守の思考体系を学ぶ、ダダ漏れおしゃべり録です。今回からは
  数回に渡って、話題作『009 RE:CYBORG』(監督/神山健治)について
  ついに押井監督が言及します! 
   
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 【第6回】「解禁/押井守が『009 RE:CYBORG』を語る(前編)」
 
 ――今回は昨年末から告知していた『009 RE:CYBORG』について、という
 ことになります。まずは完成したものを観たのはいつだったんですか?
 押井:結構早めに行ったよ。新宿のバルト9でちゃんと金を払って客として観
 た。だって俺は試写にも呼ばれてないし。
 ――呼ばれてないんですか…!?
 押井:呼ばれてないよ。
 ――なんで?
 押井:なんでって全然関係ないじゃないの(笑)。
 ――関係あるじゃないですか(笑)。
 押井:とにかく誰からもお声もかからなければ、メールひとつなし。
 ――それは寂しいですね。
 押井:寂しくはないよ。逆に来いと言われたって微妙なもんだよ。
 ――わざわざ映画館に行くなんて、珍しいんじゃないですか?
 押井:いや、最近は『Garm Wars』の制作で佐藤(敦紀)くんとつきあって
 るから、けっこう映画館で映画を観るようになった。あの男は試写とかも大好
 き男なんだよね、誰よりも早く新作を観たい男。
 ――最近見た新作はなんですか?
 押井:一番最近見たのは『クラウド アトラス』っていうウォシャウスキー兄
 弟の最新作。それも佐藤くんと一緒に観てる。いろんなものを一緒に観たよ。
 覚えてないくらい。自分で金を払って見たのは最近だと『裏切りのサーカス』、
 『スカイフォール』…その2本ぐらいかな。あとは『009』か。ちゃんと3D
 で見たよ。
 ――メガネかけて。
 押井:作り手が3Dでえらい苦労してるの知ってるんだから、3Dで見なかった
 ら失礼でしょうが。でも、3Dは高いよね。俺はシルバー料金だから映画は半
 額なんだよ。ところが、いきなりチケット売り場でお姉ちゃんに1200円とか
 言われて「え?」ってさ。
 ――率直な感想としてはどうでした?
 押井:まず、映画館だと観終わったときにまわりの観客がどういう反応をする
 のかが気になるんだよね。それは以前に原稿で書いたけど、銀座の松竹に前の
 『エヴァ』を観に行ったときの観客の反応が面白くてさ。最終日だったから、
 そのときは10人もいなかったけど、前のほうに2、3人いて「やっと『エヴ
 ァ』観たな」「これで話についていけるよな」とか話をしてて、トイレ行った
 ら明らかに高校生とわかるふたりが並んでおしっこしてたんだけど「綾波が死
 
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国際法規を無視してでも突入し、日本人の生命がどれほど高価であるかを世界に知らしめてくれる特殊部隊。
隣国に拉致された同胞を力尽くで奪還してくれる政府。
そういう具体的で積極的なイメージをこそ、映画やアニメで提示できればよいのに。

今は、問題提起するにしても現状を憂うところどまりか、せいぜい悲憤にかられたスタンドプレー的な行為として描かれるものが殆ど。

パトレイバーの榊の親父っさんじゃないが「慰め合ってもはじまらねぇ」わけで、
『そうか、こういうシステムを目指せばいいんだ』という<成功モデル>を描いてみせることこそ必要であり有効なのでは?


・・・でも、人間や社会について深く考えれば考えるほど、結局最後は諦観に帰着してしまうものなのかな。
58ヶ月前
×
このコメント欄に引用して良いのかわかりませんが、

“  国際法規を無視してでも、突入してくる――日本人の生命がどれほど高価であるかを、世界に知らしめてくれる『オメガ7』(小林源文)が欲しい。隣国に拉致された同胞を、力尽くで奪還してくれる政府が欲しい。
  その政府の、国家のためだったら、愚痴ひとつこぼさずに税金も払うし、なんなら予備役の訓練だって受けるでしょう。必要なのは整列して頭を垂れる空港職員でも、弔意を示す喪服姿の役人でもありません。もちろん遺憾の意を表明する首相でもありません。
  たった一機のヘリであり、それを送り込む意思なのです。“

>>1 さんとかぶってしまいますが、こういったアニメ映画がみたいです。とてもみたいです。出来るだけ早くみたいです。それをみたいと思う我々一視聴者は具体的になにをすれば良いのでしょうか?(とりあえず、まずこちらにみたいという意思表示をさせて頂きましたw)

あといつも思いますが、読者コーナーの質問のレベルが非常に知的なのと、それに対する押井監督のユーモアあふれる回答がとても心地よいです。次号も楽しみにしています。
58ヶ月前
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そうか、今こそ小林源文作品をIGの技術力で!……とか思いましたが、
そういえば「CAT SHIT ONE」が既にCGアニメ化されてましたっけ
58ヶ月前
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