• 【艦これ】戦艦主砲の装備補正検証 その4 -フィット・過重量砲の概念は扇? 16inchMk.7など同種主砲2本積み9~11種類戦艦型別命中率分析-

    2016-04-22 00:158105

    結論



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     LV99赤疲労の実測データより命中率を算出し、同種2本積み8~10種類の主砲と素手の命中率を装備命中ステータスの影響を排除せず比較した。

    ・7種類の戦艦型全てにおいて、素手と16inchMk.7の2本積みの命中率に差がない(p>0.10)。

    ・41cmおよび試製41cm2本積み命中率の差は、扶桑改二で素手と比較して上昇する傾向にあるが(p<0.10)、伊勢改と長門改において素手と差が認められない(p>0.10)。なお、既存検証と同様に、高速戦艦(霧島改二、Bismarck drei、Italia)において素手より命中率が低下し(p<0.01)、大和改では素手と差は認められなかった(p>0.10)。

    ・各主砲の命中率は、高速戦艦(霧島改二、Bismarck drei、Italia)>扶桑改二>伊勢改>長門改>大和改の順で開いた扇が閉じるように変動の幅が小さくなり、素手命中率付近に収束する。

    ・戦艦主砲の装備補正は、「戦艦の型」、「主砲の種類」、「装備本数」の少なくとも3変数が命中率変動に関与するモデルであると推測される。これを「フィット・過重量砲扇モデル」と命名する。


    ※今回の記事は、かなり分量が多くなっております。各戦艦型別の分析結果は図3~図9(図の読み方は表1)に、測定結果の一覧は表2に記載しました。分析結果のみ知りたい方は、読み飛ばして下さい。

    ※データの分析は、投稿日時点までに確認された実測データを元に統計的検定を実施し、検定結果に基づいたデータ解釈をしております。今後、さらなる実測データを加えた再分析によって、データの解釈が変わる可能性がありますので御留意下さい。


    要約

     LV99赤疲労で同種主砲2本積みを中心に命中率を500試行以上の実測データを追加して分析を行った。同種2本積みの主砲の命中率は以下の6群に分類され、命中率増減の補正は戦艦の種類別および主砲別に設定されている可能性が極めて強いことが示唆された。

    ・A群(35.6cm、試製35.6cm、38cm改) 
     高速戦艦(金剛型改二、Bismarck級drei、V.V.級改)と航空戦艦(伊勢型改、扶桑型改二)では、命中率が素手より上昇することが認められた(一部、傾向差を含む)。低速戦艦(長門型改、大和型改)では、素手との命中率に差は認められなかった。

    ・B群(381mm改) 
     金剛型改二のみ命中率が素手より低下することが認められた。Bismarck級dreiとV.V.級改の高速戦艦、航空戦艦(伊勢型改、扶桑型改二)と低速戦艦(長門型改、大和型改)では、素手との命中率に差は認められなかった。

    ・C群(41cm、試製41cm)
     高速戦艦(金剛型改二、Bismarck級drei、V.V.級改)では、命中率が素手より低下することが認められた。伊勢型改と低速戦艦(長門型改、大和型改)では、素手との命中率に差は認められなかった。扶桑型改二では命中率が素手より上昇する傾向が認められた。

    ・D群(試製46cm)
     高速戦艦(金剛型改二、Bismarck級drei、V.V.級改)と扶桑型改二では、命中率が素手より低下することが認められた。伊勢型改と低速戦艦(長門型改、大和型改)では、素手との命中率に差は認められなかった。

    ・E群(46cm)
     大和型のみ素手との命中率に差が認められなかった。高速戦艦(金剛型改二、Bismarck級drei、V.V.級改)と航空戦艦(伊勢型改、扶桑型改二)および長門型改では、命中率が素手より低下することが認められた。

    ・Z群(16inchMk.7、試製51cm)
     16inchMk.7は、高速戦艦(金剛型改二、Bismarck級drei、V.V.級改)と航空戦艦(伊勢型改、扶桑型改二)および低速戦艦(長門型改、大和型改)の全てで、素手との命中率に差は認められなかった。試製51cmは、装備可能な低速戦艦(長門型改、大和型改)全てで、素手との命中率に差は認められなかった。

     各主砲の命中率は、高速戦艦(霧島改二、Bismarck drei、Italia)>扶桑改二>伊勢改>長門改>大和改の順で開いた扇が閉じるように変動の幅が小さくなり、素手命中率付近に収束する。戦艦主砲の装備補正は、「戦艦の型」、「主砲の種類」、「装備本数」の少なくとも3変数が命中率の変動に関与するモデルであると推測される。これを「フィット・過重量砲扇モデル」と命名する。

     今後の課題として、サンプルサイズ拡大による1%単位の測定精度の向上、同種3本積みや異種大口径主砲混載の測定データなどが必要となることが見込まれる。これらの検証が進むことでフィット・過積載概念の全体像やケッコンフィット仮説の解明が進めば、火力と命中を両立した最適装備の判明などが期待される。


    はじめに

     皆様、御無沙汰しております。新年度いかがお過ごしでしょうか。
     16冬イベの海域突破報酬および月次作戦褒章で配布された16inchMk.7につきまして、7種類の戦艦型別にLV99赤疲労での2本積み命中率の測定が、2本以上所有されている皆様の御協力のもと、完了致しました。また2016/2/29のメンテナンスにて改修可能となった試製35.6cm ・35.6cm(ダズル迷彩)・試製41cmのうち、試製35.6cmと試製41cmにつきましても、7種類の戦艦型別に2本積みの命中率の測定が、多くの皆様の御協力のもと、完了しました。さらに今まで測定データがなかった各艦の38cm改の2本積みおよび4本積みや伊勢改などの測定を重点的に行い、前回の分析から約2.3万試行増の累計8万試行の実測データをサンプルサイズ最低500以上(500~1951試行)で分析に採用しました。
     特に今回は、実戦でキャップ後補正最大1.5倍(主砲・主砲の昼弾着射撃)など高ダメージが期待できる「主砲2本+徹甲弾+偵察機」装備のベースとなる、同種2本積みの命中率を網羅的に測定しました。大和改で素手+主砲8種類、霧島改二・Bismarck drei・Italia・扶桑改二で素手+主砲9種類、伊勢改と長門改で素手+主砲10種類について、比較検討を行いました。

     分析の前に赤疲労命中率が何を反映しているのか、および赤疲労命中率と無疲労命中率の関係を、Xe氏の最新の命中推定式(「艦これ」砲撃命中率について・最新の推定式 2015年11月版 半製造BSアレコレ雑記帳)を使って説明しています。

    図1 命中推定式を用いた赤疲労命中率から通常艦隊無疲労命中率の推定
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     図1は霧島改二の35.6cm2本積みと46cm2本積みの赤疲労命中率から、通常艦隊無疲労での敵回避15(駆逐ロ級、軽巡ハ級・へ級など)や、敵回避30(戦艦棲姫など)、敵回避74(軽巡ツ級elite)の命中率をそれぞれ逆算して表示しました。この命中推定式では、赤疲労時と無疲労時の命中率の差は一定となります(命中率上限の97%を超えない場合に限る)。判明している敵回避最大であるツ級eliteに対する無疲労命中率と、1-1-1赤疲労命中率の差は約0.34%と算出され、ほぼ同等の命中率を示します。この推定式では、無疲労命中率の再現性も概ね確認されています(「艦これ」無疲労状態での主砲フィット・ペナについて 半製造BSアレコレ雑記帳)。以上のことから、現時点の命中推定式より、装備の違いによる赤疲労命中率の差は、通常艦隊における無疲労時でも概ね再現されることが強く示唆されます。

    ※なお14秋イベ頃の仕様変更で14秋イベ以降に実装された敵の回避値はいかなる手段をもってしても入手不能です。ツ級eliteを超える回避値の敵艦は実装されており、現在は命中率の差から敵艦回避項を逆算して推定する方式が取られています(PT小鬼群命中検証 buin氏)。


    方法

    LV99赤疲労における命中率測定を、以下の点を除き前回までと同様の方法で実施した(詳細は前回の分析の方法を参照)。

    ・統計的解析
    命中率の検定は、比率の差の検定であるカイ二乗検定(chi-square test)を用いて各艦ごとに検定した(イェーツ補正は未使用)。下位検定は1対毎のカイ二乗検定のp値をBenjamini-Hochberg法(以下BH法、Benjamini and Hochberg, 1995)にて調整したp値にて行った。 統計処理はjs-STAR 2012を用いて統計ソフトRのプログラムコードを生成し、R version3.2.0上にて実施した。帰無仮説の棄却水準は5%とした。なおjs-STAR 2012の仕様上、p値は小数点第4位までしか表示されないため、それより小さいp値は「p=0」と一律に表記した。
     サンプルサイズ500~1952では、各条件の命中率の上ブレ下振れを完全に除外できず、1%単位の検出力を必要とするサンプルサイズ約10000(95%信頼区間で±0.5%)に達しないため、装備命中ステータスの影響を排除せず解析を行った。


    図2 BH法と残差分析の違い


    ※図2のように、残差分析では追加測定分の新条件を加えるたびに、全平均(赤線)が変動します。この影響を排除するため、今後の下位検定は、1対毎のカイ二乗検定にて算出されたp値をBH法にて調整したものを採用します。BH法では表1のように素手と各主砲の差(オレンジ線)だけでなく、各主砲間の命中率の差(青線)も比較可能です。


    表1 BH法による各条件の比較方法と表の見方 
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    統計初心者にもわかる繰り返した検定結果が使えない解説ページ(ハンバーガー統計学にようこそ 6.1なぜt検定が使えないか)
    より詳しいBH法解説ページ(大阪大学大学院医学系研究科 老年・腎臓内科学 腎臓内科HP)



    結果と考察

     前回までの測定データに新たな測定データを加えて算出した命中率、標準誤差、試行数を表2に示した。



    表2 艦別、装備別、本数別の命中率と標準誤差




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    1.霧島改二
     霧島改二で測定された素手および35.6cm、試製35.6cm、38cm改、381mm改、16inch Mk.7、41cm、試製41cm、46cm、試製46cmの同種2本積み時10条件における命中率とカイ二乗検定の結果を図3に示した。




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    図3 霧島改二における各装備(2本積み)の命中率



     検定結果より、同種2本積み装備時における霧島改二の命中率では、以下の3点が認められた。

    ・35.6cmおよび38cm改では素手と比較して命中率が上昇し(p<0.05)、試製35.6cmでは素手より上昇する傾向(p<0.10)がそれぞれ認められた。これら3主砲間に命中率の差は認められないが、他の6種類の主砲より命中率が高いことが認めれらた。

    ・16inchMk.7では素手と命中率に差が認められなかった(p>0.10)。

    ・381mm改、41cm、試製41cm、46cm、試製46cmで素手と比較して命中率の低下が認められた(全てp<0.01)。また、これら5種類の主砲では16inchMk.7と比較して命中率の低下が認められた。


    2.Bismarck drei
     Bismarck dreiで測定された素手および35.6cm、試製35.6cm、38cm改、381mm改、16inch Mk.7、41cm、試製41cm、46cm、試製46cmの同種2本積み時10条件における命中率とカイ二乗検定の結果を図4に示した。


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    図4 Bismarck dreiにおける各装備(2本積み)の命中率



     検定結果より、同種2本積み装備時におけるBismarck dreiの命中率では、以下の3点が認められた。

    ・試製35.6cmおよび38cm改では素手と比較して命中率が上昇し(共にp<0.01)、35.6cmでは素手より上昇する傾向(p<0.10)がそれぞれ認められた。これら3主砲間に命中率の差は認められなかった。

    ・381mm改、16inchMk.7では素手と命中率に差が認められなかった(p>0.10)。また、381mm改-35.6cmおよび381mm改-16inchMk.7の2対間の命中率に差は認められなかった。

    ・41cm、試製41cm、46cm、試製46cmで素手と比較して命中率の低下が認められた(全てp<0.01)。また、これら4種類の主砲では、381mm改および16inchMk.7と比較して命中率の低下が認められた。


    3.Italia
     Italiaで測定された素手および35.6cm、試製35.6cm、38cm改、381mm改、16inch Mk.7、41cm、試製41cm、46cm、試製46cmの同種2本積み時10条件における命中率とカイ二乗検定の結果を図5に示した。



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    図5 Italiaにおける各装備(2本積み)の命中率



     検定結果より、同種2本積み装備時におけるItaliaの命中率では、以下の3点が認められた。

    ・試製35.6cm(p<0.01)、38cm改(p<0.01)、35.6cm(p<0.01)の3主砲では素手と比較して命中率が上昇が認められた。これら3主砲間に命中率の差は認められず、これら3種類の主砲は35.6cm-381mm改間を除いた他の6種類の主砲より命中率が高いことが認めれらた。

    ・381mm改、16inchMk.7では素手と命中率に差が認められず(p>0.10)、この主砲間の命中率に差は認められなかった。

    ・41cm、試製41cm、46cm、試製46cmで素手と比較して命中率の低下が認められた(全てp<0.01)。また、これら4種類の主砲では、16inchMk.7-試製41cm間を除き、381mm改および16inchMk.7と比較して命中率の低下が認められた。


    4.扶桑改二
     扶桑改二で測定された素手および35.6cm、試製35.6cm、38cm改、381mm改、16inch Mk.7、41cm、試製41cm、46cm、試製46cmの同種2本積み時10条件における命中率とカイ二乗検定の結果を図6に示した。



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    図6 扶桑改二における各装備(2本積み)の命中率



     検定結果より、同種2本積み装備時における扶桑改二の命中率では、以下の4点が認められた。

    ・35.6cm(p<0.05)、試製35.6cm(p<0.05)、38cm改(p<0.01)の3主砲では素手と比較して命中率が上昇することがそれぞれ認められた。これら3主砲間に命中率の差は認められなかった。

    ・41cmおよび試製41cmでは素手と比較して命中率が上昇する傾向が認められた(p<0.10)。

    ・381mm改、16inchMk.7では素手と命中率に差が認められなかった(p>0.10)。これら2主砲は38cm改-381mm改と38cm改-16inchMk.7の2対を除き、35.6cm、試製35.6cm、38cm改、41cm、試製41cmの5主砲との間に命中率は認められなかった。

    ・46cm、試製46cmで素手と比較して命中率の低下が認められた(全てp<0.01)。また、これら2種類の主砲は他の7種類の主砲と比較して命中率の低下が認められた。



    5.伊勢改
     伊勢改で測定された素手および35.6cm、35.6cm(ダズル迷彩)、試製35.6cm、38cm改、381mm改、16inch Mk.7、41cm、試製41cm、46cm、試製46cmの同種2本積み時11条件における命中率とカイ二乗検定の結果を図7に示した。




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    図7 伊勢改における各装備(2本積み)の命中率



     検定結果より、同種2本積み装備時における伊勢改の命中率では、以下の4点が認められた。

    ・試製35.6cmおよび38cm改では素手と比較して命中率が上昇し(共にp<0.01)、35.6cmでは素手より上昇する傾向(p<0.10)がそれぞれ認められた。これら3主砲間に命中率の差は認められなかった。

    ・35.6cm(ダズル迷彩)、381mm改、16inchMk.7、41cm、試製41cm、試製46cmの6種の主砲は素手との命中率に差が認められなかった(p>0.10)。

    ・上記の9種類の主砲間では、一部の主砲間を除き命中率に差がない。

    ・46cmでは素手と比較して命中率の低下が認められた(全てp<0.01)。また、46cmでは試製46cmを除く9種の主砲と比較して命中率の低下が認められた。



    6.長門改
     長門改で測定された素手および35.6cm、試製35.6cm、38cm改、381mm改、16inch Mk.7、41cm、試製41cm、46cm、試製46cm、試製51cmの同種2本積み時11条件における命中率とカイ二乗検定の結果を図8に示した。




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    図8 長門改における各装備(2本積み)の命中率



     検定結果より、同種2本積み装備時における長門改の命中率では、以下の3点が認められた。

    ・35.6cm、試製35.6cm、38cm改、381mm改、16inchMk.7、41cm、試製41cm、試製46cm、試製51cmの9種の主砲は素手との命中率に差が認められなかった(p>0.10)。

    ・これら9つの主砲間では一部の主砲間を除き命中率に差がない。

    ・46cmでは素手と比較して命中率の低下が認められた(p<0.01)。また、46cmでは試製46cmを除く9種の主砲と比較して命中率の低下が認められた。



    7.大和改
     大和改で測定された素手および35.6cm、38cm改、381mm改、16inch Mk.7、41cm、試製41cm、46cm、試製51cmの同種2本積み時9条件における命中率とカイ二乗検定の結果を図9に示した。




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    図9 大和改における各装備(2本積み)の命中率



     検定結果より、同種2本積み装備時における大和改の命中率では、35.6cm、38cm改、381mm改、16inchMk.7、41cm、試製41cm、46cm、試製51cmの8種全ての主砲は素手との命中率に差が認められなかった(p>0.10)。また8種類全ての主砲間の命中率に差が認められなかった。

    ※ 素手と試製46cmの命中率の比較については、前回の分析で3本積みにて実施済みであるが、本数の違いによる命中率変動の影響を排除するため今回の分析では取り扱わなかった。


    総合考察



    主砲の変動傾向と「フィット・過重量砲扇モデル」
     各戦艦型における同種主砲2本積み命中率の検定結果より、命中率が戦艦型により変動する主砲をA~E群の5種類、戦艦型で変動しない主砲をZ群の計6種類に分類し、表4に示した。


    表4 戦艦別の検定結果の一覧と群分け

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    ・A群(35.6cm、試製35.6cm、38cm改) 
     高速戦艦(金剛型改二、Bismarck級drei、V.V.級改)と航空戦艦(伊勢型改、扶桑型改二)では、命中率が素手より上昇することが認められた(一部、傾向差を含む)。低速戦艦(長門型改、大和型改)では、素手との命中率に差は認められなかった。

    ・B群(381mm改) 
     金剛型改二のみ命中率が素手より低下することが認められた。Bismarck級dreiとV.V.級改の高速戦艦、航空戦艦(伊勢型改、扶桑型改二)と低速戦艦(長門型改、大和型改)では、素手との命中率に差は認められなかった。

    ・C群(41cm、試製41cm)
     高速戦艦(金剛型改二、Bismarck級drei、V.V.級改)では、命中率が素手より低下することが認められた。伊勢型改と低速戦艦(長門型改、大和型改)では、素手との命中率に差は認められなかった。扶桑型改二では命中率が素手より上昇する傾向が認められた。

    ・D群(試製46cm)
     高速戦艦(金剛型改二、Bismarck級drei、V.V.級改)と扶桑型改二では、命中率が素手より低下することが認められた。伊勢型改と低速戦艦(長門型改、大和型改)では、素手との命中率に差は認められなかった。

    ・E群(46cm)
     大和型のみ素手との命中率に差が認められなかった。高速戦艦(金剛型改二、Bismarck級drei、V.V.級改)と航空戦艦(伊勢型改、扶桑型改二)および長門型改では、命中率が素手より低下することが認められた。

    ・Z群(16inchMk.7、試製51cm)
     16inchMk.7は、高速戦艦(金剛型改二、Bismarck級drei、V.V.級改)と航空戦艦(伊勢型改、扶桑型改二)および低速戦艦(長門型改、大和型改)の全てで、素手との命中率に差は認められなかった。試製51cmは、装備可能な低速戦艦(長門型改、大和型改)全てで、素手との命中率に差は認められなかった。
     全体の傾向を把握するために、素手・2本積みおよび素手・2本積み・4本積みの命中率が存在する条件を抽出し、図10上部に示した(注意:グラフは回帰直線ではなく、各命中率を繋いだ折れ線グラフ)。図10では、A群を緑色、B群を水色、C群を赤色、D群を灰色、E群を黒色、Z群を青色、にそろぞれ色分けして表示した(標準誤差のヒゲは、図が見にくくなるため省略)。






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    図10 戦艦型別における素手・2本積み・4本積みの命中率(上)と変動幅の模式図(下)



     サンプルサイズ500~1951で約100条件あるため、一部の条件で上振れ下振れと推測される揺らぎが見られるものの、以前の分析と同様に本数が増える毎に各条件の特徴が明確になる傾向が観察された。
    装備と艦の組み合わせにより、以下の2つの傾向が見られる。

    ・傾向1.本数が増える毎に命中率が減少する傾向にある条件 (霧島改二の381mm・41cm・46cm、Bismarck dreiの41cm・46cm、長門改の46cm)
    ・傾向2.本数が増える毎に命中率が増加する傾向、もしくは素手の命中率と変わらない傾向にある条件 (霧島改二・伊勢改・Bismarck drei・長門改の35.6cm、長門改の41cm・試製51cm)


     A群・D群・E群・Z群の計4群は高速戦艦(霧島改二、Bismarck drei、Italia)>扶桑改二>伊勢改>長門改>大和改の順で図10左側に向かうにつれ命中率変動の幅が増加し、長門改さらに大和改と図10右側に向かうにつれ素手命中率付近に収束していく。これらは、図3~図9の検定結果からも裏付けられる。すなわち図10左から右に向かうにつれ、命中率変動の幅は開いた扇が徐々に閉じるように戦艦型によって変動していることが強く示唆された(図10下模式図)。
     一方、B群とC群は、戦艦型の間で変動傾向が異なることが示唆された。なお素手と命中率に差がないB群の6種類の戦艦型(Bismarck drei、Italia、伊勢改、扶桑改二、長門改、大和改)およびC群の3種類の戦艦型(伊勢改、長門改、大和改)では、これら2群をZ群に分類する見方もできることを併記していおく。
     以上のことより、戦艦主砲の装備補正とは、「戦艦の型」、「主砲の種類」、「装備本数」の少なくとも3変数が命中率変動に関与するモデルであると推測される。装備本数も命中率変動に寄与するものと強く示唆されるが、同種3本積みのデータがないため、線形であるか否かなどの詳細については、判断を保留とする。このモデルを命中率変動の幅が扇の開閉のように変化することから「フィット・過重量砲扇モデル」と命名する。


    「フィット砲の定義」と既存検証との比較
     


    表3 「フィット砲」定義の変遷



     表3に示した通り、「フィット砲」の定義が曖昧であるため整理する。表3以外にも「一番命中率が高い主砲がフィット砲である」と認識しているプレーヤーもいるため、プレーヤーによって定義がバラバラであることがWeb上で多く観測されている。フィット砲の定義が複数ある理由としては、初期のフィット砲検証から明確な定義が長期間生まれてこなかったことが原因であると推測される。
     定義Aは下記のフィットと過重量の主砲概念を導入した公式ツイートにさかのぼる。
     初期の検証では、定義Aをもとにフィット砲・過重量砲の分類が始まりましたが、素手命中率付近の主砲が確認されたことから両者の中間の「ノンフィット砲・ノンペナ砲」が新たに定義され定義Bが生まれた。しかし、これらの境界線をどこに置くかは定義を確認することはできなかった。
     その後、2015年8月に発表されたびいかめ氏の分析([艦これ] 大口径主砲のフィット・過積載補正)にて「フィット、バニラ、過積載(小)、過積載(大)」4種類に分類し、その基準を定めた。
    1本2本3本4本
    命中率標準誤差命中率標準誤差命中率標準誤差命中率標準誤差
    フィット+2.73%±0.78%+6.30%±0.70%+5.22%±2.21%+6.38%±0.63%
    過積載(小)-1.69%±1.16%-8.00%±0.79%NANA-8.51%±0.91%
    過積載(大)-10.75%±1.33%-12.73%±1.06%-16.83%±2.22%-19.17%±0.99%

    ※筆者追記、上記以外は「バニラ」判定


    今回行った同種2本積みの分析結果をより、長門型41cmやV.V.級の381mm改など「フィット」判定であった主砲の一部が「バニラ」に下方判定される可能性があることが示唆された。今回の分析で同種2本積みにて条件を絞ったことにより異なる結果が得られた可能性もあるため、同種3本積みの測定やサンプルサイズを増やした検証が今後求められる。


    「ケッコンフィット仮説」と今後の課題
     現在、艦これ検証共同および艦これ検証wikiで検証途中「ケッコンフィット」仮説(ケッコン艦のフィット補正検証まとめ 文旦氏)について簡単に触れる。図11のように、LV100以上の高レベル戦艦では、LV99では素手より命中率が低い装備条件の一部において、赤疲労命中率の上昇が複数観測されている。しかし、艦種や装備によっては命中率上昇が観測されない「過積載砲」装備時の観測結果も複数報告されている。詳細な発動条件やその恩恵などの効果は不明な部分が多いため、「全てのケッコン艦にて効果が期待できる」といった判断は現段階で早計であり、今後の検証にてメカニズム解明が待たれる。



    図11 霧島改二において観測されたLV99とLV134-136の命中率変動現象



     今後の課題として、サンプルサイズ拡大による1%単位の測定精度の向上、同種3本積みや異種大口径主砲混載の測定データなどが必要となることが見込まれる。これらの検証が進みことでフィット・過積載概念の全体像やケッコンフィット仮説の解明が進めば、火力と命中を両立した最適装備の判明などが期待される。




    謝辞

     試行錯誤した末に「1-1-1赤疲労データ取得法」を確立し、今回の検証の礎を築かれた艦これ専用掲示板「検証スレ」にて検証報告をしてくださった全ての提督の皆様、「艦これ検証共同」コミュおよび艦これ検証wikiにて貴重な時間と労力と資源を提供し、データ測定に協力してくださった提督の皆様に、前回に引き続き、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
     また統計処理で使用したjs-STAR 2012の開発者である田中敏先生、中野博幸先生に厚く御礼申し上げます。






    艦これ検証wiki

    現在、募集継続中の戦艦赤疲労命中検証
    ケッコン艦のフィット補正検証まとめ 文旦氏
    16inch三連装砲 Mk.7 フィット検証 skm氏
    2016LV99赤疲労命中検証追試専用  伊勢改LV99命中検証追試専用  pixy
    これらの検証は投稿日時点で継続中です。御協力いただける方を募集しております。詳細につきましては各スプレッドシートにて御確認下さい。


    新規測定分ローデータ一覧

    あご氏
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1o5pOqOZaocV644xY6E2b1NLhiV9dMPaKi-jPjPz-n3I/edit#gid=1714779726

    CC氏
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1jEYTyIqQbUN-Sk9e8dxg6fbe-G7TwXQ2746dBNmiczQ/edit#gid=1621435140
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1D_CySrwQbs49Aedpp6rGBQQpafuQ7kNd2VoRuvuKQcc/edit#gid=2002379732

    目氏
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1QwBln0m5Nt1agj2tbhOdi_YEKj52oWyVcDGA-k5urXY/edit#gid=11876925

    みゅん氏
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1W5ph3aTpxMi28LLoSuj901YLI5JM_jAzFvfuZhIpQBo/edit#gid=853329571
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1cExwNMcWqVgzB2S5SIqdlwUQPyFt6AiEcFy66YOgLDw/edit#gid=1241365344

    のらたこ氏
    http://ux.getuploader.com/kanokiba/download/108/IseBis.xlsx
    http://ux.getuploader.com/kanokiba/download/111/MutsuIseYubiwa46x4Nagato99Mk7x2.xlsx
    http://ux.getuploader.com/kanokiba/download/119/99nagato46x2.xlsx

    んsn氏
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1NSXFlfz4ZatXGiX25Tazn8a3eyiXK_aW9uMLYfkUxBw/edit#gid=0

    pixy
    http://ux.getuploader.com/kancolle_kensho/download/6/nagato100over_46_2.ise99_shisei41_2.1-2-1-red.xlsx
    http://ux.getuploader.com/kancolle_kensho/download/7/nagato100over_46_2.ise99_46_2.1-2-1-red.xlsx
    http://ux.getuploader.com/kancolle_kensho/download/8/nagato100over_shisei51_2.ise99_shisei35_2.Bisuko_38kai_2.Italia_shisei41.1-2-1-red.xlsx
    http://ux.getuploader.com/kancolle_kensho/download/9/nagato100over_shisei51_2.ise99_46_2husou99_shisei35.6_2.1-2-1-red.xlsx
    http://ux.getuploader.com/kancolle_kensho/download/10/ise99_35dazuru_2.Italia_38kai_2.Husou_shisei41_2.1-2-1-red.xlsx
    http://ux.getuploader.com/kancolle_kensho/download/11/nagato100over_sude.Italia_46_2.1-2-1-red.xlsx

    skm氏
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1G7gfUDJIv_NY3P8xBNIAWzq7m0KrSqEkWmImAjA25A8/edit#gid=2092613605

    シュン氏
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1D_CySrwQbs49Aedpp6rGBQQpafuQ7kNd2VoRuvuKQcc/edit#gid=2002379732
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1SJc6lJEadSCurQt89nzegE5aAjtfi7TgLQo2_z3sPGE/edit#gid=2002379732
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1S9udaQxtz0ZLiJVk_72pSeb1bO7IJ9MZpZIBdxhyo6U/edit#gid=2002379732

    SYUTEN氏
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/11LgVereRBazgWRQivciMhvJAQkpliaaQn6GpVrnD0Zo/edit#gid=0

    ukime氏
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1_BU9jLTWCgw240qYl8dnT-HszX9aon3u8RmW9l63uCw/edit#gid=0


    ※アルファベット順
    ※本記事以前のローデータにつきましては、各分析結果文末に掲載済みです(その1その2その3)

    今回の分析に用いたRソース


    今後の予定
     16春イベにて報酬艦の予告があった戦艦Iowaの装備補正、16inchMk.7の追試、異種大口径主砲混載時の挙動、および多変量解析を用いた「フィット・過重量砲モデル」の詳細分析などを予定しておりますが、日時は御約束できません。気長に御待ちいただけると幸いです。
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  • 【艦これ】LV99伊勢改、赤疲労命中検証追試に関して

    2016-02-05 00:201

    概要
     昨日、当ブロマガ2015年8月投稿の検証記事、戦艦主砲の装備補正検証 その1 -艦これ検証共同データを用いて-のコメント欄に寄せられた下記の御指摘を認知致しました。

    引用されていますこちら伊勢改41x4データですがhttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/netgame/12394/1424879347/#297恐らく(といいますかデータ数的にほぼ確実に)下の投稿を元にしたデータかと思います。http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/netgame/12394/1408701590/#500そしてこの恐らく元々のデータの中身を見てみますと、伊勢改41x4データの平均レベルは[67.34]です。データがレベル99で揃えられていないかもしれません
    (引用コメントURL)


    2016/04/22追記
     これまでの測定データを【艦これ】戦艦主砲の装備補正検証 その4 -フィット・過重量砲の概念は扇? 16inchMk.7など同種主砲2本積み9~11種類戦艦型別命中率分析-にて公開致しました。なお予定していたその1の結果と考察の差し替えは行わず、同記事への案内を追記致しました。


    2016/02/05記述
     この御指摘について、ローデータをさかのぼって確認したところ、LV99のデータではなく
    平均レベル約67のものであることが確認されました。最新の命中推定式よりレベルだけでも約4%の命中率影響が出ます。もともと、伊勢改においては比較データ型の艦に比べて少ないため、LV99伊勢改赤疲労命中検証の追試を実施し検証データを募集し再分析を行う必要があると判断しました。
     現在、こちらのスプレッドシートにて検証参加者の募集を開始しております。LV99伊勢改(運未改修)の艦を御持ちの方で「是非、検証に参加してみたい」と思われた方は、御参加いただけると大変助かります。現在、私もLV97伊勢改を最重要レべリング要因として育成中です。16冬イベ終了頃までに育成を完了し、検証に参加する所存です。2/10から開催の16冬イベ直前ということもあり、早急な検証データの収集は見込めないため、正式な検証結果は4月以降になると思われます。
     また、この件に関する分析は、一旦こちらのブロマガ記事にて結果と考察を公表した後で、-その1-の結果と考察を差し替える形式をとります。その形式上、このブロマガ記事は、随時記述を追加し更新されていきますので、その点御留意いただきますよう宜しく御願い申し上げます。


    2016/02/05 LV99伊勢改赤疲労命中検証実施決定。追試用スプレッドシートを本ブロマガ記事にて告知、検証参加者の募集開始


  • 【艦これ】戦艦主砲の装備補正検証 その3  -16inch三連装砲Mk.7の1本積み命中率分析、大和改における試製51cmと試製46cmの命中率分析-

    2016-01-30 16:4025

    結論


    LV99赤疲労の実測データから以下の命中率分析を行った。
    ・16inch三連装砲Mk.7の1本積み命中率を比較した結果、381mm/50三連装砲改と同等もしくは381mm/50三連装砲改と41cm連装砲の中間に位置する命中装備補正であることが示唆された。1本積みでは顕著な差が認められず、比較対象が少ない艦もあるため2本以上で追試が必要である。
    ・大和改における試製51cmおよび試製46cmの命中率は、素手と差がないことからフィット補正および過積載補正はない。





    要約

    1. 16inch三連装砲Mk.7(以下16inchMk.7)1本積みの命中率を、LV99赤疲労にて前回の分析と同条件で比較した。
    ・霧島改二とBismark dreiで、16inchMk.7の命中率は、381mm改と差がないことが認められた。また16inchMk.7と41cmの命中率の差は、霧島改二において認められなかったが、Bismark dreiにおいて16inchMk.7の命中率が41cmと比較して上昇した。
    ・扶桑改二および長門改で、16inchMk.7の命中率は、素手および35.6cm、381mm改、41cmの条件間と差が認められなかった。
    ・これらのことから16inchMk.7の装備補正は381mm改と同等もしくは381mm改と41cmの中間に位置することが示唆された。1本積みの測定しかできなかったため明確な差が出ていない可能性があり、2~4本積み条件での追検証が必要であると推測される。

    2.大和改の試製51cm2本積みと試製46cm3本積みの追検証データ(LV99赤疲労)を加えた再分析を行った。
    ・素手および35.6cm、38cm改、381mm改、41cm、46cm、試製51cmの2本積みの7条件間で、命中率の差は認められらなかった。
    ・素手、試製46cm3本積み、13号対空電探3つ積みの3条件間で、命中率の差は認められなかった。
    ・試製51cmと試製46cmの命中率は素手と同等であり、大和改には他の主砲を含め装備補正がないことが示唆された。

    ※データの分析は、投稿日時点までに確認された実測データを元に統計的検定を実施し、検定結果に基づいたデータ解釈をしております。今後、さらなる実測データを加えた再分析によって、データの解釈が変わる可能性がありますので御留意下さい。

    ※ 追記
    2016/02/02 01:00ごろ 残差分析とBH法による調整されたp値による多重比較の違いの説明を追加しました。
    2016/02/02 20:00ごろ 図1の記載に誤りがあったため差し替えました。この差し替えによる論旨の変更はありません。結論に16inchMk.7の分析の概要表を追加しました。
    2016/02/09 23:00ごろ 表1に使用した命中率の基礎統計量のスプレッドシートを公開しました。伊勢改についてはデータを一部削除しました( 詳細はこちら)



     皆様、新年あけましておめでとうございます。今回は、昨年十二月作戦の褒章として1/22に先行配布された16inchMk.7の検証結果から、装備補正の分析を試みます。また前回までの分析に引き続き、大和改における試製51cmと試製46cmの検証結果を加えて再分析を行います。
     前回までの記事を読まれた複数の方から「全体的に長く、結論が分かりにくい」との御指摘を頂きました。今回の記事より、分かりやすさと記事分量の削減のため、試験的に結論→要約→本文の順に書式を変更します。



    方法
     LV99赤疲労における命中率測定を、以下の点を除き前回までと同様の方法で実施した(詳細は前回の分析の方法を参照)。


    ・測定場所が従来の1-1-1に加え、1-2-1においても実施した。
    ※1-2の1マス目は2つに分岐するが、両方のマスで出現する敵艦が1-1-1の敵艦と同じ回避値である。また複数の敵が出現するので、1回の出撃で複数の艦による同時測定が可能となり測定効率化が図れる。


    ※残差分析とBH法を用いた調整されたp値による多重比較の違いについて



    統計初心者にもわかる繰り返した検定結果が使えない解説ページ(ハンバーガー統計学にようこそ 6.1なぜt検定が使えないか)
    BH法に関するより詳しい解説ページ(大阪大学大学院医学系研究科 老年・腎臓内科学 腎臓内科HP)



    結果と考察

     前回までの測定データに今回の検証データを加え、各条件別の命中率と標準誤差、試行数を表1に示した。


    表1 艦別、装備別、本数別の命中率と標準誤差





    ※最大サイズで投稿しました。読みにくい方は御手数ですが、画像をクリックして拡大して下さい。表1の基礎統計量を記載したスプレッドシートを公開しました。

    1. 16inchMk.7、1本積み命中率検証データの分析
    1-1.霧島改二とBismark drei
     霧島改二における素手および35.6cm、381mm改、16inchMk.7、41cm、46cmの1本積み6条件における命中率を図1に示した。 カイ二乗検定を行ったところχ2(5)=36.79(p=0)の有意差が認められたため、下位検定を含めたカイ二乗検定の分析結果を表2に示した。






    図1 霧島改二における各装備(1本積み)の命中率

    表2 霧島改二における各装備(1本積み)の検定結果












     残差分析より霧島改二の1本積み装備による命中率は、35.6cm(p<0.05)で上昇し、46cm(p<0.01)で低下することが認められた。BH法を用いた調整されたp値による多重比較の結果、16inchMk.7の命中率は、35.6cmより低い傾向(p<0.10)、46cmより高いこと(p<0.01)、素手・381mm改・41cmの3条件と差がないこと(p>0.10)、がそれぞれ認められた。


     Bismark dreiにおける素手および35.6cm、381mm改、16inchMk.7、41cm、46cmの1本積み6条件における命中率を図2に示した。 カイ二乗検定を行ったところχ2(5)=39.7(p=0)の有意差が認められたため、下位検定を含めたカイ二乗検定の分析結果を表3に示した。






    図2 Bismark dreiにおける各装備(1本積み)の命中率


    表3 Bismark dreiにおける各装備(1本積み)の検定結果














     残差分析よりBismark dreiの1本積み装備による命中率は、35.6cm(p<0.01)で上昇し、41cmおよび46cm(p<0.01)で低下することが認められた。またBH法を用いた調整されたp値による多重比較の結果、16inchMk.7の命中率は、35.6cmより低い傾向(p<0.10)、41cmより高い傾向(p<0.10)、46cmより高いこと(p<0.01)、素手と381mm改の2条件とは差がないこと(p>0.10)、がそれぞれ認められた。

     これらのことから、霧島改二に16inchMk.7を1本積みした場合、381mm改および41cmとほぼ同等の命中率であることが示唆された。またBismark dreiに16inchMk.7を1本積みした場合、381mm改とほぼ同等の命中率であることが示唆された。



    1-2.扶桑改二と長門改
     扶桑改二における素手および35.6cm、381mm改、16inchMk.7、41cm、46cmの1本積み6条件における命中率を図3に示した。 カイ二乗検定を行ったところχ2(5)=19.9(p=0.0013)の有意差が認められたため、下位検定を含めたカイ二乗検定の分析結果を表4に示した。






    図3 扶桑改二における各装備(1本積み)の命中率


    表4 扶桑改二における各装備(1本積み)の検定結果












     残差分析より扶桑改二の1本積み装備による命中率は、46cm(p<0.01)で低下することが認められた。BH法を用いた調整されたp値による多重比較の結果、16inchMk.7の命中率は、46cmより高く(p<0.01)、それ以外の4条件との差は認められなかった(p>0.10)。


     長門改における素手および35.6cm、381mm改、16inchMk.7、41cm、46cm、試製51cmの1本積み7条件における命中率を図4に示した。 カイ二乗検定を行ったところχ2(6)=5.58(p=0.471)となり有意差が認められなかった。






    図4 長門改における各装備(1本積み)の命中率





    1-3.16inchMk.7に関する総合考察

     霧島改二とBismark dreiの検定結果より、16inchMk.7の命中率は381mm改と差がないことが認められた。16inchMk.7と41cmの命中率の差は、霧島改二において認められなかったが、Bismark dreiにおいて16inchMk.7の命中率が41cmと比較して上昇する傾向にあった。これらのことから16inchMk.7の装備補正は381mm改と同等もしくは381mm改と41cmの中間に位置することが示唆された。これは、扶桑改二および長門改の検定結果から比較して明確な矛盾は認められなかった。

     今回の検証で顕著な命中率の差が見られなかった要因は、1本積みの測定しかできなかったため装備補正の効果が2本積み以上の効果より小さく、500試行では検出できなかったことが推測される。解決策としては、1本積みで試行数を増やす、もしくは2本積み以上で再測定を行うことが挙げられる。ただし前者は標準誤差を1/2に抑えるために必要な試行数は理論上4倍となり、1500試行の追検証が必要となるため現実的ではない。また公式運営より16inchMk.7装備艦が今春以降実装予定であることから、2~4本積み条件での追検証の実施によって、更なる知見を得られると期待される。
     
     

    ※参考資料.Italiaと伊勢改の16inchMk.7分析結果
     Italiaおよび伊勢改においても16inchMk.7の1本積み命中率の分析を行ったところ、素手と差が認められないことが確認された。この2艦は、これまでの2本積みと4本積みの分析から命中率の差が出やすく、1本積み条件では比較対象が少ないため結論を先送りにした。

     Italiaにおける素手および16inchMk.7の1本積み2条件における命中率を図5に示した。 カイ二乗検定を行ったところχ2(1)=1.19(p=0.27)となり、有意差が認められなかった。




    図5 Italiaにおける各装備(1本積み)の命中率




     伊勢改における素手および35.6cm、16inchMk.7の1本積み3条件における命中率を図6に示した。 カイ二乗検定を行ったところχ2(2)=2.81(p=0.24)となり、有意差が認められなかった。





    図6 伊勢改における各装備(1本積み)の命中率




    2.大和改における試製51cm、試製46cmの命中率検証分析

     大和改における素手および35.6cm、38cm改、381mm改、41cm、46cm、試製51cmの2本積みの7条件における命中率を図7-1に示した。 カイ二乗検定を行ったところχ2(6)=5.58(p=0.471)となり、有意差は認められなかった。





    図7-1 大和改における各装備(2本積み)の命中率





     続いて大和改における素手および試製46cm3本積み、13号対空電探3つ積み(試製46cm3本積みと同じ命中補正の素手条件、43.61±2.00%試行数587)の3条件における命中率を図7-2に示した。 カイ二乗検定を行ったところχ2(2)=1.39(p=0.497)となり、有意差は認められなかった。





    図7-2 大和改における各装備(3本積み)の命中率



     以上のことから、大和改における試製51cmと試製46cmの命中率は素手と同等であり、他の装備と含めても装備補正がないことが示唆された。


    謝辞

     試行錯誤した末に「1-1-1赤疲労データ取得法」を確立し、今回の検証の礎を築かれた「したらば検証スレ」にて検証報告をしてくださった全ての提督の皆様、「艦これ検証共同」コミュにて貴重な時間と労力と資源を提供し、データ測定に協力してくださった提督の皆様に、前回に引き続き、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
     また統計処理で使用したjs-STAR 2012の開発者である田中敏先生、中野博幸先生に厚く御礼申し上げます。










    ローデータリンク

    16inchMk.7検証(順不同)








    大和改検証
    試製51cm 試製46cm のらたこ氏


    今回の統計的検定で用いたRソース