【艦これ】戦艦主砲の装備補正検証 その2 ー追検証データを用いたItalia・扶桑改二・長門改・大和改の分析ー
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【艦これ】戦艦主砲の装備補正検証 その2 ー追検証データを用いたItalia・扶桑改二・長門改・大和改の分析ー

2015-12-02 05:50
  • 26
要約
 前回の分析(http://ch.nicovideo.jp/pixy_for_ever/blomaga/ar846779)にItalia、扶桑改二、長門改、大和改の追検証データを加えて、戦艦主砲における装備補正の再分析を行った。

1.前回の分析と比較して、Italia、扶桑改二、長門改に関して以下の3点が新たに示唆された。
・Italiaにおける381mm改の命中率は、4本積み(p<0.01)だけでなく、2本積みでも上昇する傾向(n.s.→p<0.1)の上方修正が認められ、381mm改にフィット砲補正が前回の分析より強まった。
・扶桑改二における命中率は、41cm2本積み(p<0.05→p<0.01)および試製41cm4本積み(n.s.→p<0.05)にて上昇する上方修正が認められた。扶桑改二では、41cmと試製41cmにフィット砲補正が前回の分析より強まった。
・長門改における試製51cmの命中率の差は、2本積み条件でも4本積み条件でも認められず、少なくとも過重量砲補正がない。

2.大和改について
 大和改で高い命中率を期待できる4本積みの装備は、試製41cmであり(素手および35.6cm、41cm、試製41cm、46cmの4本積みの5条件間限定)、46cmでは命中率が低下する。 ただし大和改の46cm2本積みの命中率は、35.6cm・38cm改・381mm改・41cmの各2本積みと差がない(素手および35.6cm、38cm改、381mm改、41cm、46cmの2本積みの6条件限定)。
 大和改では、 2本積み条件において他の戦艦で見られた46cmの顕著な命中率低下が認められず、過積載砲は存在しない可能性がある。仮に過積載砲の命中率低下補正があったとしても、その効果は他の戦艦より低いことが示唆された。

3.扶桑改二と大和改では、試製41cm2本積みの追加測定により、新たな知見が得られる可能性がある。   

※追記
2015/12/04 23:40ごろ 要約を文頭へ移動、引用文献のURLリンクを修正。
2015/12/05 21:40ごろ 誤字脱字を修正しました。この修正による論旨の変更はありません。 



皆様、お久しぶりです。前回記事(http://ch.nicovideo.jp/pixy_for_ever/blomaga/ar846779)の投稿から4カ月弱ぶりの投稿となります。こちらが想定した以上の皆様に前回記事を閲覧していただき誠にありがとうございます。
 前回記事投稿後、大和改の測定データなど追検証データが複数報告されたため、再分析を行いました。15秋イベントは、水雷戦隊主体で、戦艦の出番があまりありませんでしたが、戦艦の出番は次回のイベント以降、間違いなく出てくると思われます。今後も追検証データが増え次第、記事を投稿する予定です。

※データの分析は、投稿日時点までに確認された実測データを元に統計的検定を実施し、検定結果に基づいたデータ解釈をしております。今後の実測データを加えた再分析によって、データの解釈が変わる可能性がありますので御留意下さい。


 再分析の本文の前に、前回の記事に関する質問をコメント等にて多く頂きましたので、御答えできるものに対して回答してまいります。

Q1 なぜ赤疲労で命中率を取るのか?
A1 1-1-1で無疲労以上(オレンジ疲労以下を除く、間宮点灯~戦意高揚状態)で測定した場合、敵艦の回避値の低さと相まってほぼ命中率が約97%(命中キャップ)に達し、装備による差が出にくくなるため。
 
 最新の昼砲撃戦命中率に関する推定式は、以下の通りです(半製造BSアレコレ雑記帳氏 http://bs-arekore.at.webry.info/201502/article_4.html 2015/11/29閲覧、一部抜粋)。
推定命中率 = 命中項 - 回避項
命中項 = 1 + sqrt(攻撃側Lv - 1) / 50 + 装備・運・陣形補正
装備補正 = 装備による命中変化値 / 100
運補正 = 1.25~1.5 * 運 / 1000?
回避値≦40:回避項 = 0.03 + 回避値 / 80
回避値>40:回避項 = 0.03 + 回避値 / (回避値 + 40)

■追加規則その1(ほぼ確定)
・間宮点灯疲労は命中回避に影響しない
・自艦・敵艦の損傷状態は命中回避に影響しない
・T字状態は命中回避に影響しない
・索敵成否は命中回避にほとんど影響しない
・旗艦・随伴艦による命中回避の差はない
・艦種による命中回避の差はない
・低速高速混在艦隊と高速のみ艦隊の回避率差はほとんどない
・命中キャップは97%付近

■追加規則その2(推定)
・攻撃側赤疲労時は、命中項に0.5を乗じる
  2015/11/26 補足
 ただ、そのまま0.5を乗じると推定命中率が低めに出る傾向があり、実測との調整のため命中項の定数項「1」を0.07 + 0.93 * 疲労係数0.5とします(0.07は疲労の影響を受けない部分・0.93が疲労の影響を受ける部分)。命中上限キャップがあるのと同じく、命中率に下限0.07%があるのかもしれません。もしくは半端な数字ですが、1/1.9を命中項に乗じても実測と近くなるようです。
・攻撃側オレンジ疲労時は、命中項に0.8~0.75を乗じる
・戦艦の主砲フィット補正は疲労・キラの影響を受けない可能性あり(要調査)
・ケッコン艦の命中率補正はない
 単艦で出撃で命中率の測定を行う場合、1-1-1では敵艦が1艦しかいないため、ターゲット固定ができます。しかし、敵艦の回避値が低く、無疲労での命中率が命中キャップ約97%に高止まりするため、装備による差を求めにくくなります。
 では、回避値の高い敵を求めて、他の海域の1マス目で無疲労での昼砲撃戦の命中率測定を行うと、どうなるか?。1.敵が複数に増えるためターゲットが固定できず、必要試行数を確保するために出撃回数が1-1-1より確実に増えます。2.敵の攻撃回数も増えるため大破する確率が高くなる結果、修理頻度が上がり資材消費が増えます。3.疲労抜きも必要となるため、時間効率も低下し必要な試行数の確保に時間を要します。以上3点の理由より、より多くの試行数が必要とされる命中率の測定を1-1-1以外で行う場合、1-1-1周回より資源効率や時間効率が低下し、反復測定には適しません。
 命中率の差が出る条件下で、資源効率と時間効率を追求した結果、赤疲労状態にて意図的に命中率を下げ、1-1-1を周回する「1-1-1赤疲労データ取得法」が定着した結果、資源効率と時間効率が上がり、測定数が飛躍的に増えました。

※資材や間宮を購入して無疲労にて反復測定することは、理論上可能です。しかし命中率に差が出にくく、必要となる試行数が赤疲労より大幅に増えるため、相当額の予算が必要になります(そもそも誰が負担できるの?)。

※連合艦隊では、通常艦隊と比べて命中率が低下する傾向にあります(http://mmoloda-kancolle.x0.com/image.php?id=140206 http://mmoloda-kancolle.x0.com/image.php?id=140208)。しかし連合艦隊での命中補正を推定式を、より正確に算出するためには、通常艦隊海域と連合艦隊海域で「全く同一の敵編成」を発見し、同一編成と装備にて反復測定する必要があります。通常艦隊と比べて、どの程度命中率が低下するか、正確な値は分かっていません。


Q2. なぜ38cm改や試製46cmなどのデータが少ないのか?
A2. 参加した測定者の皆様の中でLV99の運未改修艦と、該当未改修装備の両方をもっている方がいなかったため。
例えばBismark dreiの38cm改条件について、艦がLV99かつ運未改修かつ38cm改未改修の全てを満たした該当者がいませんでした。

Q3. なぜ38cm、381mm、試製35.6cm、試製41cmなど、データがほとんどない条件があるのか?
A3. 測定条件が膨大であり、条件を絞ったため。
 38cm改と381mm改の下位互換である38cmと381mmの測定は見送られました。改修可能な主砲の測定が優先され、改修不可能な試製35.6cmと試製41cmの測定はほとんど実現しませんでした。
 同一主砲の本数に関しては、本数が多いほど主砲補正が期待できたため、2本積みと4本積みの測定が優先されました。素手と1本積みの測定は後回しとなり、データが不足気味となりました。

Q4. もっと詳細な分析ができるのでは?
A4. 統計的検定にて裏付けが取れたもののみを、当ブロマガでは採用致します。
 今後も追加データや別の分析方法を用いて紹介できるものは紹介してまいります。実測データに基づく統計学的な裏付けが取れるものに関して言及してまいります。なお、当ブロマガ上で掲載したローデータの使用は一切制限しませんので、御自由に御使い下さい。

※1. 科学論文の引用ルールもしくは日本国著作権法32条1項に従う限り、当ブロマガ記事の引用は制限しません。2. 当ブロマガ記事のURLを併記した場合に限り、当ブロマガ記事上の文章・画像ともリンクフリーとします。3. 1.もしくは2.から外れる盗用などの悪質な行為に対しては、厳正に対処する場合がありますので御留意ください。

緒言

 前回の分析(http://ch.nicovideo.jp/pixy_for_ever/blomaga/ar846779)を投稿後から現在まで、検証共同のメンバーから新たな測定データが報告された。新たな追検証データを前回までの測定データに追加し、再分析を試みた。



方法
 
・使用した艦
 金剛型として霧島改二、ビスマルク級としてBismarck drei、ヴィットリオ・ヴェネト級としてItalia、伊勢型として伊勢改、扶桑型として扶桑改二、 長門型として長門改、大和型として大和改、以上の7艦を用いた。運は未改修のものであった。レベルは大和改のみLV98~99、それ以外の艦はLV99で統一した。

・使用した装備
 今回の測定では35.6cm連装砲(以下35.6cm)、38cm連装砲改(以下38cm改)、381mm/50 三連装砲改(以下381mm改)、41cm連装砲(以下41cm)、46cm三連装砲(以下46cm) 試製41cm三連装砲(以下、試製41cm)、試製46cm三連装砲(以下、試製46cm)、試製51cm連装砲(以下、試製51cm)の8種類の主砲を使用した。 装備本数による比較も行うため、同じ種類の主砲を1本、2本、4本、装備させ測定を行った。 使用した装備のうち、特に表記の無いものは、未改修であった。

・命中率の測定と算出
 命中率の測定は、1-1-1赤疲労取得法にて行った。原則1条件500試行以上のデータを採用した(扶桑改二38cm改×2、伊勢改41cm×4および46cm×4の3条件は300試行以上)。 測定されたmiss数とhit数から命中率を算出した(命中率=hit数/miss数+hit数)。


・追検証データの内訳
 霧島改二 素手501試行(累計1001試行)
 Italia 素手500試行
 扶桑改二 素手501試行
 長門改 試製51cm4本積み500試行
 大和改 35.6cm2本積み500試行、35.6cm4本積み516試行
     38cm改2本積み590試行
     381mm改2本積み1005試行(LV98)
     41cm2本積み1002試行(LV98-99)、41cm4本積み1000試行
     試製41cm4本積み1153試行
     46cm2本積み682試行

 なお霧島改二の素手命中率は、前回測定から大きな変動がなかったため再分析を省略した。

※大和改に関しては、15秋イベ終了後に他の主砲条件で測定再開予定です。     

・統計的検定
  命中率の検定は、比率の差の検定であるカイ二乗検定(chi-square test)を用いて各艦ごとに検定した(イェーツ補正は未使用)。また下位検定には残差分析(residual analysis)を用いた。 統計処理はjs-STAR 2012(http://www.kisnet.or.jp/nappa/software/star/index.htm)を用いて統計ソフトRのプログラムコードを生成し、R version3.2.0上にて行われた。帰無仮説の棄却水準は5%とした。

※今回より、下位検定である残差分析の結果にBH法(Benjamini and Hochberg, 1995)にて調整後のp値を併記しました。前回の分析と整合性を取るため、前回と同様にBH法調整前の残差分析によるp値を採用しました。p<0.01より小さい条件(p<0.001など)は、前回同様、p<0.01で統一しました(調整された残差は、Z値を算出しています。±1.60未満で90%信頼区間、±1.96未満で95%信頼区間、±2.58未満で99%信頼区間、±3.291未満で99.9%信頼区間、±3.891未満で99.99%信頼区間)。また各2条件間のカイ二乗検定をBH法にてp値の調整した多重比較の出力結果も併記しました。
※カイ二乗検定の結果、有意差が検出されなかった場合においても、下位検定の出力結果を含めて掲載します。ただし、上位検定において有意差が検出されなかった場合下位検定の解釈を行わない統計学の原則にのっとり、下位検定の解釈は行いません。
※カイ二乗値は使用できるフォントの都合上χ2と表記します。


結果と考察

 前回測定データに追検証データを加えた命中率、標準誤差、試行数を表1に示した。


表1 艦別、装備別、本数別の命中率と標準誤差



※最大サイズで投稿しました。読みにくい方は御手数ですが、画像をクリックして拡大して下さい。

 
1.Italiaおよび扶桑改二における素手の命中率データ追加による再分析
 前回の分析では、Italiaおよび扶桑改二の素手データは測定されていなかったため、命中率45%500試行の仮データにて分析を行った。今回の追検証にて測定された素手の命中率は、仮データを下回った(Italia43.40±2.22%、扶桑改二39.92±2.19%)。素手命中率を実測値に置き換えた場合、統計的検定の結果が変わる可能性があるため、カイ二乗検定を実施し直した。


1-1.Italia
 Italiaにおける素手および35.6cm、381mm改、41cm、試製46cmの2本積みの5条件における命中率を図1-1に示した。 カイ二乗検定を行ったところχ2(4)=54.77(p=0)の有意差が認められたため、下位検定を含めたカイ二乗検定の分析結果を表2-1に示した。


図1-1 Italiaにおける各装備(2本積み)の命中率



表2-1 Italiaにおける各装備(2本積み)の検定結果





 検定結果よりItaliaの2本積み装備による命中率は、35.6cm(p<0.01)で上昇、381mm改(p<0.1)で上昇傾向、41cm・試製46cm(p<0.01)で低下することが認められた。前回の分析と比較して、381mm改の命中率が上方修正された(n.s.→p<0.1)。

 続いて、Italiaにおける素手および35.6cm、381mm改、41cm、46cmの4本積みの5条件における命中率を図1-2に示した。 カイ二乗検定を行ったところχ2(4)=148.9(p=0)の有意差が認められたため、下位検定を含めたカイ二乗検定の結果を表2-2に示した。


図1-2 Italiaにおける各装備(4本積み)の命中率


表2-2 Italiaにおける各装備(4本積み)の検定結果




 検定結果よりItaliaの4本積み装備による命中率は、35.6cm・381mm改(p<0.01)で上昇し、41cm(p<0.05)と46cm(p<0.01)で低下することが認められた。この条件においては。追検証データ追加による分析結果変更はなかった。

 これらのことより以下の2点が示唆される。
・Italiaで高い命中率を期待できる2本積み装備は、35.6cmである(素手および35.6cm、381mm改、41cm、試製46cmの5条件限定)。
・Italiaで高い命中率を期待できる4本積み装備は、35.6cmおよび381mm改である(素手および35.6cm、381mm改、41cm、46cmの4本積みの5条件間限定)。

 素手データ追加による再分析の結果、Italiaにおける381mm改の命中率は、4本積み(p<0.01)だけでなく、2本積み(p<0.1)でも上昇する傾向にあることが認められた。


1-2.扶桑改二

 扶桑改二における素手および35.6cm、38cm改、381mm改、41cm、46cm、試製46cmの2本積みの7条件における命中率を図2-1に示した。カイ二乗検定を行ったところx2(6)=88.92(p=0)の有意差が認められたため、下位検定を含めたカイ二乗検定の結果を表3-1に示した。



図2-1 扶桑改二における各装備(2本積み)の命中率



表3-1 扶桑改二における各装備(2本積み)の検定結果





 検定結果より扶桑改二の2本積み装備による命中率は、35.6cm・38cm改・41cm(p<0.01)で上昇し、46cm・試製46cm(p<0.01)で低下することが認められた。前回の分析から41cmの命中率が上方修正された(p<0.05→p<0.01)。

続いて、扶桑改二における素手および35.6cm、381mm改、試製41cmの4本積みの4条件における命中率を図2-2に示した。カイ二乗検定を行ったところχ2(3)=13.49(p=0.003)の有意差が認められたため、下位検定を含めたカイ二乗検定の結果を表3-2に示した。



図2-2 扶桑改二における各装備(4本積み)の命中率




表3-2 扶桑改二における各装備(4本積み)の検定結果



 検定結果より扶桑改二の4本積み装備による命中率は、試製41cm(p<0.05)で上昇し、素手(p<0.01)で低下することが認められた。前回の分析から試製41cmの命中率が上方修正された(n.s.→p<0.05)。

これらのことより以下の4点が示唆される。
・扶桑改二で高い命中率を期待できる2本積み装備は、35.6cm、38cm改、41cmである(素手および35.6cm、38cm改、381mm改、41cm、46cm、試製46cmの2本積みの7条件間限定)。
・扶桑改二で高い命中率を期待できる4本積み装備は、試製41cmである(素手および35.6cm、381mm改、試製41cmの4本積みの4条件間限定)。
・よって扶桑改二では、試製41cm2本積みの追加測定が必要である。
・扶桑改二で超長射程の主砲装備を求める場合、高い命中率を期待できる装備は、381mm改である。

 素手データ追加による再分析の結果、扶桑改二における命中率は、41cm2本積み(p<0.05→p<0.01)および試製41cm4本積み(n.s.→p<0.05)にて上昇する上方修正が認められた。

1-3. 戦艦の素手命中率について

表4-1 8戦艦の素手条件命中率と標準誤差



 今回までの分析で用いた7艦に武蔵改を加えた計8戦艦の素手命中率を表4-1に示した。カイ二乗検定を実施したところ、χ2(7)=8.96(p=0.255)となり有意差は認められなかった

※下位検定にて武蔵改の調整された残差がp<0.05となり命中率の低下が認められるが、上位検定において帰無仮説が採択されないため、解釈は行わない。なお下位検定にて調整された残差および2条件間のカイ二乗検定のp値をBH法にて調整した場合、いずれもp>0.1となり命中率に差は認められなかった。

表4-2 8戦艦の素手条件命中率に対する検定結果






2.長門改の試製51cm命中率について
 長門改について、試製51cm4本積みの測定結果を加えて、再分析を行った。長門改における素手および35.6cm、381mm改、41cm、46cm、試製41cm、試製51cmの4本積みの7条件における命中率を図3に示した。 カイ二乗検定を行ったところχ2(6)=49.00(p=0)の有意差が認められたため、下位検定を含めたカイ二乗検定の結果を表5に示した。



図3 長門改における各装備(4本積み)の命中率



表5 長門改における各装備(4本積み)の検定結果








 検定結果より長門改の4本積み装備による命中率は、試製41cm(p<0.01)で上昇し、46cm(p<0.01)で低下することが認められた。試製51cmの測定結果を加えても、前回の分析から解釈の変更は生じなかった。


3.大和改の命中率
 
大和改の命中率の比較にあたり、2本積みの測定結果と4本積み測定結果で比較できる装備条件が異なるため、2本積みと4本積みの2パターンの分析を行った。

 大和改における素手および35.6cm、38cm改、381mm改、41cm、46cmの2本積みの6条件における命中率を図4-1に示した。 カイ二乗検定を行ったところχ2(5)=5.07(p=0.407)となり、有意差は認められなかった。検定結果は表6-1に示した。

図4-1 大和改における各装備(2本積み)の命中率


表6-1 大和改における各装備(2本積み)の検定結果







 検定結果より大和改における、素手および35.6cm、38cm改、381mm改、41cm、46cmの2本積みの6条件で命中率に差がないことが認められた。


 続いて大和改における素手および35.6cm、41cm、試製41cm、46cmの4本積みの5条件における命中率を図4-2に示した。 カイ二乗検定を行ったところχ2(4)=9.21(p=0.056)の傾向差が認められた。検定結果は表6-2に示した。

※帰無仮説の棄却水準を5%と定めた場合、厳密には、傾向差(0.05≦p<0.1)であっても帰無仮説が採択され、下位検定を行わない。しかし傾向差を一律に無視した場合、第二種の過誤が起こる可能性が上がる。今後、他の主砲条件の命中率を加えて再分析されるため、下位検定を行いました。






図4-2 大和改における各装備(4本積み)の命中率



表6-2 大和改における各装備(4本積み)の検定結果







 検定結果より大和改の4本積み装備による命中率は、試製41cm(p<0.01)で上昇し、46cm(p<0.05)で低下することが認められた。

 これらのことより以下の3点が示唆される。
・大和改で高い命中率を期待できる装備は、試製41cmである(素手および35.6cm、41cm、試製41cm、46cmの4本積みの5条件間限定)。
・ただし大和改の46cm2本積みの命中率は、35.6cm・38cm改・381mm改・41cmの各2本積みと差がない(素手および35.6cm、38cm改、381mm改、41cm、46cmの2本積みの6条件限定)。
・よって大和改では、試製41cm2本積みの追加測定が必要である。


 

4.総合考察
 Italia、扶桑改二、長門改、大和改の4艦にて、素手・2本積み・4本積みの命中率データがある条件を抽出し、図5に示した。





図5 4艦における素手・2本積み・4本積みの命中率


 前回の分析(http://ch.nicovideo.jp/pixy_for_ever/blomaga/ar846779)および、びいかめ氏の分析(http://ch.nicovideo.jp/biikame/blomaga/ar850895)にて、戦艦に同一の主砲を複数装備させた場合、装備本数が多いほど戦艦主砲の装備補正の効果が増す傾向にあることが明らかになっている。今回の分析にて命中率の上昇が上方修正された、Italiaにおける381mm改2本積み(n.s.→p<0.1)、扶桑改二における41cm2本積み(p<0.05→p<0.01)および試製41cm4本積み(n.s.→p<0.05)の解釈は、びいかめ氏の分析にて多変量解析によるフィット・バニラ・過積載(小)・過積載(大)の4種類の分類におけるフィットの分類と合致し、先行研究を支持するものであった。
 長門改における試製51cmの命中率の差は、4本積み条件でも認められなかった。追加データを用いた多変量解析による再分類を行っていないが、びいかめ氏の4種類の分類のバニラに該当する可能性が高く、少なくとも過積載(小)以下の命中率低下の分類には含まないことが推測される。これは、先行研究を支持するものであった。

 大和改における2本積みの命中率は、差が認められなかった。また4本積みでは、試製41cm
で上昇し(p<0.01)、46cmで低下した(p<0.05)。追加データを用いた多変量解析による再分類を行っていないが、35.6cm・38cm改・381mm改・41cmがバニラへ、試製41cmがフィットもしくはバニラへ、46cmがバニラもしくは過積載(小)へ、それぞれ分類されると推測される。仮に大和改の46cmが過積載(小)に分類されたとしても、図5より長門改の46cmと比較して顕著な命中率低下がみられないことから、過重量補正があったとしても他の戦艦と比べてその補正は軽いものであることが推測される。なお、この解釈については他の統計的検定を用いて再度分析する必要があることを併記しておく。
 

※びいかめ氏に確認したところ、フィット・バニラ・過積載(小)・過積載(大)の4種類の分類は、重回帰分析の変数選択にて4種類の分類が最適であると分析され、命名されたとのことです。
1本2本3本4本
命中率標準誤差命中率標準誤差命中率標準誤差命中率標準誤差
フィット+2.73%±0.78%+6.30%±0.70%+5.22%±2.21%+6.38%±0.63%
過積載(小)-1.69%±1.16%-8.00%±0.79%NANA-8.51%±0.91%
過積載(大)-10.75%±1.33%-12.73%±1.06%-16.83%±2.22%-19.17%±0.99%

びいかめ氏の分析(http://ch.nicovideo.jp/biikame/blomaga/ar850895)




今後の課題
 まだまだ測定データのない条件が残されており、今後の追検証にて測定データが増加すれば、全容解明につながるものと期待される。扶桑改二と大和改の試製41cmをはじめ、特に2本積みと4本積みの追検証測定が期待される。
 また、命中率の測定誤差を無くし精度をあげるため、1条件あたり5000から10000試行へ増やす選択肢もあるが、現状では極めて困難である。これを解決するためには、新たな測定者の参加や、検証に必要な資材を課金で賄うためのスポンサー獲得などが必要となる。



謝辞

 試行錯誤した末に「1-1-1赤疲労データ取得法」を確立し、今回の検証の礎を築かれた「したらば検証スレ」にて検証報告をしてくださった全ての提督の皆様、「艦これ検証共同」コミュにて貴重な時間と労力と資源を提供し、データ測定に協力してくださった提督の皆様に、前回に引き続き、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 また統計処理で使用したjs-STAR 2012の開発者である田中敏先生、中野博幸先生に厚く御礼申し上げます。



引用文献
Benjamini Y. and Hochberg Y. (1995) : Controlling the false discovery rate: a practical and powerful approach to multiple testing. Journal of the Royal Statistical Society. Series B, 57(1): 298-300

半製造BSアレコレ雑記帳氏 「艦これ」砲撃命中率について・最新の推定式 http://bs-arekore.at.webry.info/201502/article_4.html (2015/11/29閲覧)

びいかめ氏 [艦これ] 大口径主砲のフィット・過積載補正  http://ch.nicovideo.jp/biikame/blomaga/ar850895 (2015/08/12投稿)

pixy 戦艦主砲の装備補正検証 -艦これ検証共同データを用いて- http://ch.nicovideo.jp/pixy_for_ever/blomaga/ar846779 (2015/08/07投稿)

連合艦隊での命中検証 艦隊これくしょん 画像アップローダー
http://mmoloda-kancolle.x0.com/image.php?id=140206 (2014/12/14投稿)
http://mmoloda-kancolle.x0.com/image.php?id=140208 (2014/12/14投稿)



ローデータ(艦これ検証共同 http://com.nicovideo.jp/community/co2841646)
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1uV4MVs0uz5CicCdO6vunu5JFI8oZO7V38TCMO2BHSMY/edit#gid=0&vpid=A15
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1VfpGXdZ0G_Cp0EHgb0Q8AfOob9oDTg9BgKwgbgSEBrE/edit#gid=1861418866&vpid=A1
https://docs.google.com/spreadsheets/d/16GXkEODXVNn3hRdDrnO4Br_qUPApabOHX2QoJNW4YrU/edit#gid=862812387&vpid=A1


今回の統計的検定に用いたRソース
http://ux.getuploader.com/kancolle_kensho/download/3/20151129Rsource.txt


今後の予定
・BH法を用いた多重比較による、戦艦主砲補正の命中率分析
・さらなる追検証データによる、戦艦主砲補正の命中率分析

などを予定しておりますが、日時は御約束できません。気長に御待ちいただけると幸いです。
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