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ラーメンレビュー 山本増刊9号
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ラーメンレビュー 山本増刊9号

2014-07-03 12:30

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    ■「ラーマガ」本誌に載せきれなかったレビューを掲載する「ラーメンレビュー増刊号」です

     「ラーマガ」本誌では、各号で一人最大5件のレビューを掲載しています。遠征や連食などで、そこに収まらない私のレビューを、随時「ら~マニア共和国」で掲載します。

    今回は以下の12杯を紹介します。ラーマガ本誌と合わせてお楽しみください。
    ・私が審査した「つけめんTETSU」グループで販売中の冷やし中華
    ・6月にレビューした「群馬県東毛遠征」に入れきれなかった1軒。
    ・新横浜ラーメン博物館の3軒。
    ・再訪している「食堂七彩@都立家政」「巌哲@早稲田」の2軒×2杯。
    ・江戸川区のカレーつけ麺3軒。


    1.私も審査した夏の限定冷やし

     ・海老だしの哲@御徒町(つけめんTETSUグループ各店で提供する冷やし中華)

    2.群馬県東毛遠征:完全版

     <本誌25号にて「恒@竜舞」「うしおととり@太田」のレビューを掲載
     <本誌26号にて「ROOSTER@桐生」「ほおずき@桐生」のレビューを掲載
     <本誌27号にて「ようすけ@佐野」「博多屋台@館林」のレビューを掲載
     ・analog@伊勢崎「とりそば(塩)」

     

    3.「無垢」と連食?新横浜ラーメン博物館特集

     <レビュー増刊8号にて「支那そばや(ざる中華)」のレビューを掲載
     ・龍上海<ベジタリアンにも辛味噌を>
     ・すみれ<平日ランチだけ食べられるカレーライス>
     ・かもめ食堂<3年目の潮味にワンタンを乗せて>

     

    4.複数メニューがあるので通ってます!

     ・食堂七彩@都立家政<「黒味噌まぜそば」と「香辣担々麺」>
     <本誌24号にて「豆乳冷やがけ中華」のレビューを掲載

     ・巌哲@早稲田<「鮪塩」と「マルチョウそば」>
     <本誌25号にて「醤油」のクロスレビューを掲載
     <レビュー増刊8号にて「盛」のレビューを掲載

     

    5.江戸川区のカレーつけ麺食べ比べ

     ・豚骨一燈@小岩
     ・バリバリジョニー@小岩
     ・麺屋永吉花鳥風月@葛西


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    【海老だしの哲@御徒町】
    親父と縁側と冷やしまぜそば(800円)
    ※8月末まで販売

     つけめんTETSUグループが7・8月の2か月間、全店共通(TETSU豊洲店、キンシャリ屋を除く)で冷やしメニューを販売。今回は店長24人がアイデアを出したコンペを実施。私もそのコンペの予選と決勝で審査員として参加した。そんなわけで優勝した店長の店に伺ってこちらを注文。正午を回ったあたりでお客が増えてほぼ満席の人気ぶり。

     今回の冷やしのテーマが「男の冷やし中華」ということで、男っぽさを「つまみになる具」で表現。中でもイカゲソ、揚げ鶏皮、ポテトチップスといった具材がビールにも合いそう。味が染みたモヤシも、胡椒がかけられていて男っぽい。唐辛子をかけたマヨネーズは、イカゲソと食べてもよく、冷やし中華に混ぜ込んでもよい。鶏皮とポテチの食感は口直しに程よい。

     スープはスタンダードな酢と醤油の味付けだが、更にジュレが加わって唇を驚かせ冷たさをキープ。中太麺のシコシコした茹で加減も啜り心地が楽しい。味自体のスタンダードさに加え、器やスープ、麺をしっかり冷しているところが嬉しい。つまるところ、冷やし中華の一番大事な所は冷たさ。ビールと共に冷やし中華も冷えていれば、それで親父はご機嫌になります。

     親父でなくても、シンプルな冷やし中華のように見せて、具にはちょっとした驚き、シコシコした麺の美味しさを楽しめるのはオススメ。是非みなさんも、この一品を楽しんでみてください。

    キンキンに 冷やし中華も 冷してる

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    海老だしの哲
    東京都台東区上野3-23-11
    JR「御徒町」駅、東京メトロ「上野広小路」駅、都営地下鉄「上野御徒町」駅から徒歩3分


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    【analog@伊勢崎】
    とりそば(塩)(780円)

     伊勢崎の商店などが連なる一角、交差点の角が駐車場になっていて、目立たない店構え。実際車でここまで来た時、気づかずに通り過ぎてしまった。看板はドアに立てかけたものだけで、一見してもラーメン店には見えない。店内に入っても、昭和を思わせるテーブルや椅子が並び、扇風機やミシンも時代を語りかけてくれる。カフェも兼用していて、コーヒーや天然氷のかき氷、夜は様々なつまみもメニューに並んでいる。ラーメンメニューは「とりそば」の「塩・醤油・味噌」の3種類で、塩を注文。

     うっすら濁りを出しつつ、くどさのないスープは、鶏のまろやかさを感じつつ油はそこまで出さず、アゴ出汁や昆布・帆立などの魚貝系の旨みが感じられて素直に飲める味わいになっている。細麺もしゃっきり茹でられていてするすると食べられる。ネギ・カイワレ・三つ葉で食感や香りを様々に楽しませてくれる。炙ったチャーシューもその香りがポイントになっている。すっきりした後口なのに丁寧な印象を残してくれる一杯のとりそば。機会があれば他の味も食べてみたい。

    美味しさへ 時計の針が 指す一杯

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    群馬県伊勢崎市三光町16-1
    東武伊勢崎線「新伊勢崎」駅から徒歩10分


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    【龍上海@ラー博】
    ベジタリアンラーメン(870円)

     外国人観光客の定番スポットとなった感もあるラー博。そこでの取り組みの一つとして「グローバルスタンダードラーメン」がある。タブーとしている地域がある「豚」を使わないラーメンと、肉類を使わない「ベジタリアンラーメン」のどちらかを、各店舗で提供。こちらは「ベジタリアンラーメン」を提供しているが、食券を渡すと「こちらは通常のラーメンと違う味付けであまりお勧めしていませんが、よろしいでしょうか?」と確認された。
     ベースは龍上海の看板メニュー「からみそラーメン」。通常のスープに使われている動物系素材を排し、野菜ベースのスープを味噌ダレと合わせ、油も植物系の物を使っている。その分動物系の持つこってり感がなくなるが、味噌の味がしっかりしているので物足りないというほどではない。もちろん力強い麺の縮れがスープをしっかり掬い上げてくれる。辛味噌を混ぜればその辛さもしっかり。チャーシューが乗らない所で物足りなさは少しあるが、スープと麺、辛さの3つは存分に楽しめる。
     龍上海のイチオシが通常のからみそラーメンである事は変わらないが、肉を絶っている人だけでなく、通常のからみそラーメンだと味を強すぎると感じる人も、この一杯を食べてみるといいかもしれない。

    からみそを 飲み干し叫ぶ ベジタリアーン!

    龍上海 横浜店
    神奈川県横浜市港北区新横浜2-14-21 新横浜ラーメン博物館 B2F
    各線「新横浜」駅から徒歩5分

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    【すみれ@ラー博】
    ランチセット(正油ラーメン+ラーメン屋さんのカレー)(1,000円)
     ラー博でいつでも食べられると思うと、ついつい後回しにしてしまう「すみれ」。気づけば、「ラーメンの駅」の後を継いで開店してから、こちらで食べるのは初めてだった。どうしても「味噌」を食べてしまいたくなるが、普段頼んでない「正油」を注文。
     味噌同様に湯気が立たないスープだが、覚悟していたせいかスープはそこまで熱くない…と思ってスープを飲んでいたら、どんどん体が熱くなってきたので、やはりその熱量はかなりありそう。濃い醤油をスープ全体に感じ、引き上げた麺もその色に染まるほど。
     醤油の濃さを感じつつ、しょっぱすぎるとは思わせない所はラードの効果なのか、炒められたタマネギやモヤシが入る効果なのか。チャーシューも肉厚で味がしっかり染みたもの。インパクトの強さは味噌に負けないが、正油を食べるとまた味噌味を食べたくなるのが「すみれ」の魅力だと思う。
     平日ランチだけは、ご飯ものをつけたセットが食べられる。「味噌明太子ご飯」「鬼飯」も選べるが、何といっても気になったのは、このランチでしか食べられない「ラーメン屋さんのカレー」。ラーメンスープを使っているから味の濃さは抜群。カレー自体はそこまで辛くないので気軽に楽しめるし、ラーメンに100円プラスでこれが食べられるのはありがたい。そして、カレー用に出してくれる「先割れスプーン」がまた懐かしかったり。

    夕焼けの 街の色した 昭和カレー
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    龍上海 新横浜店
    神奈川県横浜市港北区新横浜2-14-21 新横浜ラーメン博物館 B1F
    各線「新横浜」駅から徒歩5分

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    【かもめ食堂@ラー博】
    気仙沼エビワンタンメン潮味(980円)

     被災した気仙沼に出店する前段階として、2012年2月に3年間限定で開店した「かもめ食堂」。つまり、新横浜で食べられるのは来年までという事になる。エビワンタンが気になり、潮味で注文。

     澄んだスープにしっかりとした旨みを感じ、魚介系の味わいもじんわりと出てくる。シコシコした麺もリズミカルに啜れて、チャーシューも2枚乗るのでボリュームはしっかり。トッピングした、海老がプリッと入ったエビワンタンも、口の中でふわっと広がって食感が楽しい。ボリュームはあるが、連食していても胃に溜まりすぎない点がありがたい。

     同行者の「潮冷やしラーメン」(8月末までの限定)も少しいただいたが、塩ベースの冷たいスープに麺がマッチし、すっきりした味を柚子胡椒で引き締められていい感じだが、モヤシの必然性が少し弱いかも。

     来年にはラー博を卒業する予定だが、かつて気仙沼にあった「かもめ食堂」とは違う業態になるわけで、気仙沼でどういう形にして出店するかが気になる所でもある。

    北へ飛ぶ 支度の前の 潮の香を

    かもめ食堂
    神奈川県横浜市港北区新横浜2-14-21 新横浜ラーメン博物館 B2F
    各線「新横浜」駅から徒歩5分


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    【食堂七彩@都立家政】
    香辣担々麺(汁無し)(970円)

     東京ラーメンストリート出店後、こちらは「食堂七彩」に改名。当初は「親子丼」もあったが、最近は喜多方風手打麺、稲庭中華そばを基本メニューにしつつ、様々な個性的なメニューを展開している。

     目当ての限定を食べに行ったがその日は販売なし。でも、様々なメニューがあるので困る事がないのが七彩。香菜担々麺が気になり食券購入。汁有りと汁無しがあるとのことで、オススメを訊いたら汁無しとの事だったのでそちらを注文。

     ラー油でしっかりと辛いタレが、稲庭中華そばの麺の上にかけられ、その上には大量のパクチー(香菜)。麺を引き上げて徹底的にかき混ぜて、麺の滑らかさを喉で、辛さの中に酸味もたっぷり感じるタレの辛さを舌で、そしてパクチー独特の香りを鼻で存分に楽しめる。もちろんパクチーの好みは人それぞれで、強烈に苦手意識を持つ人も少なくないので、万人にオススメできるものではないが、パクチー大好きな私にはたまらない一品。挽肉もタレに絡んで美味しい。汁有りも興味あるが、本場スタイルの汁無しを麺で極め、パクチーで彩るこの一杯をまずは楽しみたい。

    香草を 重ねて辛し 担々麺


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    【食堂七彩@都立家政】
    黒味噌まぜそば(820円)

     「ラーマガ24号」でレビューした、「豆乳冷やがけ中華」と連食。阪田店主が韓国で出会ったという「チャジャンミョン」をアレンジしたメニューを出したと聞いて訪問。食券を出すと、麺は冷たくするか温かいかを選べるとの事で、オススメという温かい方でお願いした。

     「チャジャンミョン」とは、韓国で人気の麺料理。チュンジャンと呼ばれる黒味噌を甘くしたみそだれを麺の上にかけた料理。今回の「黒味噌まぜそば」もそれを踏襲し、しっかり茹でた稲庭麺の上に、タマネギなどを炒めた黒味噌をたっぷりと乗せている。しっかりかきまぜて、麺に絡みつく味噌を味わえる。別皿で提供される玉ネギと大根の漬物はややしょっぱく、口直しに好適。これも韓国と同様のスタイルらしい。

     韓国で「チャジャンミョン」と呼ばれるこちら、中華料理の「ジャージャー麺」をルーツにしていると言われ、日本では盛岡のご当地麺料理、「じゃじゃ麺」とも共通点を感じる。この3つの料理が同じルーツを持っているのではないかと思うと、ロマンを感じてくるものである。


    黒だって 彩りになる 麺料理

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    食堂 七彩
    東京都中野区鷺宮3-1-12
    西武新宿線「都立家政」駅から徒歩2分


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    【巌哲@早稲田】
    鮪塩(850円)

     「ラーマガ25号」で醤油をクロスレビューしたこちらへ再訪。もう一つの看板メニューが「しびしお」と読むこちら。「鮪」は関西では「しび」と読むので。まず、角切りされた鮪の肉をソテーし、そこにスープを加えて温める事で一杯のラーメンの味にまとめている。なので動物系スープの旨みと鮪から出てくるエキスが一体化して、さっぱりしながら後を引く味になっている。また、スープに馴染んだ鮪肉もゴロゴロ入っているので食べごたえもある。もちろん、丁寧に茹でて平ザルであげる麺の質感も抜群。醤油同様に厚切り大ぶりのチャーシューがドーンと乗っているのも嬉しい。海苔やメンマ、九条ネギは醤油同様だが、ワカメは塩味のみの具材。
     開店日以降、鮪は築地で見たうえで仕入れている。大阪とは鮪のものが違うそうで、初日に販売できるかギリギリまで調整したとの事。麺は醤油と同じなので、大盛りでなく替玉で対応。様々な工夫で独自性を産みだしてきたなぁと感じる一杯。最初は醤油を食べてほしいですが、こちらも逃さず食べてほしいです。

    徹底し シビアな一杯 満足し

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    【巌哲@早稲田】
    マルチョウそば(950円)
    ※夏季メニュー販売中は販売休止

     「醤油」と「鮪塩」、「鶏そば」「創作つけ麺」に続いて加わった巌哲の新メニューが「中華そば」と「マルチョウそば」。中華そばにマルチョウを加えたこちらで注文した。

     「東大阪風」とつけられているように、「高井田系」とも言われる地ラーメンの味がベースになっている。鶏ベースのスープは通常のものと同じだが、魚介系スープを使わず、濃く重なった醤油ダレを使って力を出している。スープの印象は兄弟子に当たる「○丈@大阪日本橋」にも近い印象を感じる。麺も通常のものより太めのものを使い小麦粉のブレンドも変えている。ざっくりした食感がスープに負けずにいい感じ。この麺を使っている中華そばも含め、替玉はなく大盛りで対応している。

     具にはやはり分厚いチャーシューとネギ。そして、マルチョウがゴロゴロ。マルチョウとは「○腸」の意味で牛の小腸の事。これがしっかり炒められているので、出てきた油でスープがこってりに変化し、最後まで飽きさせないしインパクト抜群。コリコリしたマルチョウを噛んでいるうちに満足感も高まってくる。

     なお、中華そばとマルチョウそばは、夏の冷やしメニュー販売開始に伴って販売休止しましたが、秋からは販売再開しています。


    マルチョウが 大阪の味 重ねてく
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    巌哲
    東京都新宿区西早稲田1-10-4
    都電「早稲田」駅から徒歩3分、東京メトロ「早稲田」駅から徒歩10分
     
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