• ★VOCALOIDでめぐるヒップホップ!! ~HIPHOPってなんぞや の巻~★

    2018-07-11 00:3026


     こんにちは。はじめましての方ははじめまして。さぎしです!!

     今回はちょっと思いついて、「VOCALOIDでめぐるヒップホップ!!」という記事を書こうと思いました。VOCALOIDのヒップホップが増えつつある最近ですね~。

     が! ここであらためて、「そもそもヒップホップって何やねん!」「どういうふうに聴けばいいんじゃ!」ということを書こうかなと思います☆

     その上で、わたしが好きなVOCALOIDのヒップホップ曲を紹介しようと思います!!


     ~HIPHOPってなんぞや の巻~


     ヒップホップの起源は、「ブロック・パーティ」と呼ばれるパーティからはじまりました。公園でDJが音楽を流し、皆んなは踊ったりしながら楽しんでいたのですね。するとある時、「みんなサビとかじゃなくて間奏で一番盛り上がってね?」ということに気づくのです。

    「じゃあ間奏を繋げて、ずっと間奏流し続ければもっと盛り上がるじゃん!」

     アホみたいに愚直ですが、これがヒップホップの始まり、"ブレイクビーツ"と呼ばれるものの誕生です。ヒップホップは元ある曲の一部分のフレーズを抜き出して、それを再構成することで生まれた、いわば「借り物を使った音楽」です。普通の音楽と違い、「同じフレーズが何度も繰り返される」という大きな特徴があります。論より証拠、聴いてみてください。


     同じフレーズの繰り返しが、特にヒップホップは「ズン…チャ! ズンズンチャ!」という繰り返しが非常に大事です。個人的に「チャ!」の部分の音、ビートが太い曲、大きく強調されている曲はとても好ましい印象があります(ビートが感じられる曲こそヒップホップであり、ビートがふにゃふにゃだとヒップホップではないと言えます)。

     ゆっくり時間を掛けて良い曲を耳に馴染ませることで、徐々にトラックの繊細な良さや違いが分かってくると思います。是非、「音がループしている!」「ビートが太い!」「良いトラックだ!」という観点でヒップホップを聴いてみてください!!


     ~実践編 VOCALOIDのHIPHOP!~


     では続いて、わたしが大好きなVOCALOIDのHIPHOP曲を紹介していきます!!
     

     MSSサウンドシステム
     
     
     MSSサウンドシステムは、VOCALOIDのヒップホップを語る上で避けて通れない存在です。彼の音楽の大きな魅力は、ビートの太い、非常に古風なヒップホップらしいループトラックというところ。そして、音楽を通して強い切実さが伝わってくるところにあります。
     『耳なりはフェンダーローズ』は傑作で、太いビートが心地よく、大音量で聴きたい曲です。彼なしには、VOCALOIDのHIPHOPの隆盛はあり得なかったでしょう。

     Torero
     
     
     
     Toreroの魅力は、メロディアスな王道さ、そして何と言っても4機のボカロ(ミク、リン、ルカ、GUMI)を使ったラップの掛け合いです。ボカロ全体で見ても、彼と同じような音楽を作っている人はおらず、まさに唯一無二の存在です。聴いてて楽しくなるカッコいい音楽! それがToreroの大きな魅力です。
     彼の曲は、いわゆる"喧嘩弱い系"といわれる日本語ラップを体現しています。ヒップホップにありがちな厚かましさがなく、ラフな音にまかせて時に穏やかに、時に熱くなれます。

     松傘
     
     
     
     松傘の魅力は、変則的なラップと、類まれなアートセンスです。ボカロのヒップホップは、「何だかんだいってもラップがダサい」という烙印を押されることもしばしばでした。
     松傘はその領域で偏見を壊し、機械が人間を飲み込む"危なさ"を見せてくれたのが革新的でした。原色を多用した動画に、怪しい歌詞は、ラップと相まって非常に蠱惑的なものになってます。ボカロの歌唱法の新境地を拓いたPで、実にアンダーグラウンドな存在感があります。

     Tachibuana
     
     
     Tachibuanaは新進気鋭のボカロPで、MIKUHOPの中ではいわゆる"第2世代"の存在です。言語、特に音声方面への研究や関心が強く、フロウへの意識や語彙の詰め込みにボカロの機械感を存分に取り入れています。技術の理知の高さの他方、リリックは非常に人間的で下品です。『高級娼婦』や『暴食』は特にその傾向が強く、「こんなことVOCALOIDに歌わせていいのか?」と思えるキワドイ内容になっています。

     やながみゆき
     
     やながみゆきは優秀なトラックメイカーです。同じく"第2世代"の存在で、HIPHOPとの接触期間は短いと聞いていますが、『Psycho』では希少なTRAPを完成度高く制作し、『貧困と尊厳』でHIPHOPらしいリリックとトラックを送り出したことで存在感が増してきています。トラックの統合的な完成度が高いため、今後の活躍にも期待がかかります。

     逆子
     
     
     逆子は、一聴すれば分かりますが、玄人向けの外れたリズムの生成に注力しているPです。ビートのヒット間隔が一定の調子ではなくリズムが複雑で、しかしてトラックとラップ自体は非常に素朴な一本感覚な作りになっており、独特なグルーヴがあります。TRAPやJukeの制作もしており、いわゆる"第2世代"の中でも特にトラックメイクに特徴があるPです。

     空海月
     
     
     空海月の魅力は、洗練された完成度の高いビートメイク、それをキュートでポップなサウンドに纏める曲群です。週末が待ち遠しくなる歌詞、楽しくなる弾けるメロディ、キュートなだけでなく渋くてクール。思わず唸るカッコいい音、これが彼の魅力です。
     アルバム『brown sound』では、クールなサウンドにより磨きがかかっており、今後もますます楽しみです。可愛さとカッコよさと渋さ、このバランスが彼の音楽の魅力です。

     mayrock
     
     
     mayrockの魅力は、王道的なHIPHOPビート、重音テトと雪歌ユフによる新感覚のフロウラップ、RaggaからGlichHop、そして電子ドラッグまでを横断する強烈な音楽性です。また日本語の言語感覚が非常に閃光的で、他を隔絶した歌詞を書いており、聴かされます。
     機材的にも、UATUを使ったラップは、操作的にかなり難しいことが想像できますが、彼の深いUTAU愛とHIPHOP愛、そして音楽造詣はそれを一個の世界観のある音楽にしています。
     『他愛ない話』は、メロウなトラックに完成度の高いライミングで、古きよき日本語ラップを想起させます。『フローラ』のような極端な電子音も、彼の大きな魅力です。

     HeadNho
     
     
     HeadNhoは、希少なポエトリーとTrapを作るボカロPです。トラックも蠱惑的で非常にカッコいいですが、特に歌詞が素晴らしいです。ポエトリーは物語調や自分の過去を主題にするものがよくありますが、彼の曲は全くそうでないところが大きな魅力です。自動筆記のように並べられた言葉は、純粋に楽器のように扱われ、押韻と言葉の印象が強く強調されます。『全景』は、ボカロポエトリーラップの、まさにエポック・メイキングです。
     また近年ではTrapでの活躍や発展が目覚ましく、『hollow』は日本語を美しく自然なままにTrapのノリに乗せることに成功した大傑作です。

     neilguse-il
     
     
     neilguse-ilは、非常にヒップホップの純粋なところを描き出すひとです。本格派の音楽で、Jazzyな音を基調にして乾いたビートを鳴らし、そこにGUMIの楽器寸前の甘い声、統一された音の世界があります。思わずDJ KRUSHを想起する音楽性が魅力的です。
     『自分の音楽からは逃れられない』という曲名からも明らかに、彼は自分の音楽に批評的な目を持っています。これも非常に好ましく、安心して心を委ねられる気持ちになります。アルバム『NONDIRECTIONAL MOONLIGHT』は、個としても全体としても一級品です。

     でんの子P
     
     
     でんの子Pは、蒼姫ラピスを中心に据えた曲を作るPです。多彩なボカロを使っていますが、マイクリレーではなく、キメラのようにそれぞれが渾然一体となるような曲が特徴です。
     とにかく百聞は一見に如かずなボカロPであり、変幻自在で奇想的、畳み掛ける音楽、ボカロラップのエンターテイメント性を極限まで押し上げている、それがでんの子Pの魅力です。またラッパ我リヤに影響を受けており、硬派な脚韻の押韻主義を打ち出しています。

     iNat
     
     
     iNatの魅力は、尖ったクールさ、そしてボカロと人間が一緒にラップしているところです。ただでさえボカロと人間が一緒に歌っている曲は珍しいですが、ラップとなると唯一無二。そこを全く違和感なく、カッコいい曲にしているのは彼の大きな魅力です。
     彼は様々なジャンルを横断しますが、一貫しているのはその独特のリズム感覚で、ビートの瞬間がスポットになっていてふっと抜けます。その抜ける感覚が、非常に心地いいです。

     青屋夏生
     
     
     青屋夏生は、多彩なトラックメイカーで、優しさとクールさのあるメロディが魅力的です。ヒップホップに主眼が置かれた二曲がチャレンジ的で、『蛹』はdaokoを髣髴とさせるラップ、だけど押韻やサウンドは男性的で、このアンニュイなバランスが非常に面白いです。
     『モンキービジネス』は、ファンキーでアガれる楽しいヒップホップです。意外とこういうボカロのヒップホップは珍しく、この系統の曲でのまさに"金字塔"と言えます。

     
     GERESNA01
     
     GERESNA01は、アンダーグラウンドなHIPHOPをつくるPです。『泳ぐ実験体-自己欺瞞-』という曲があらゆる面で衝撃的で、サウンドもボカロでは珍しく目をみはるものですが、呟きのような高速ラップ、ボカロの使い方も相当に新しく、怪しい雰囲気があります。
     つまり、本当にカッコいいんです。こういうのがボカロにあるんだという確かな手応えを覚えます。普通の発想では生まれないような規格外さ、それが彼の存在感です。

     やし
     
     やしは、安定感のあるライミングが魅力的なボカロPです。彼の初音ミクのライミングは、とても整然としていて、非常に聴き取りやすいです。これがわたしには相当な衝撃でした。初音ミクで聴き取りやすいライミングをするのは難しいという思いこみがあったからです。
     『ユメ』という曲はテーマも明確で、松傘の初音ミクとはまた違ったところで、VOCALOIDのヒップホップはイケるという確信を持ちました。
     
     room
     
     roomは、ローテンションで有機的なサウンドが魅力的なPです。落ち着いた音は少しずつ、心内に浸透してきて、徐々に高揚感へと変化していきます。「ゆっくり音に乗る」という言葉が実に似合うPで、味わい深いサウンドは決してあなたを裏切りません。
     黒人ラップとボカロの不思議なセッションは独自の雰囲気を保っていて、この対比の境界的なバランス感覚もまた彼の魅力です。

     K■nie
     
     K■nieは、HIPHOPを芸術的領域まで高めた音の機術師です。冷然とした中に、電子音に留まらない温かみ、繊細さ、拘りが滲んでいます。彼の音楽が時代や国境を越えて評価されることをわたしは望みます。
     『Fuzzy』は、俗に"LAビート"と呼ばれる、ビートのもたりを敢然たる音楽で示した傑作です。音の一瞬ゝゝにまで、血の渡るような意識が張り巡らされています。

     Xnaga Yuzo
     
     Xnaga Yuzoは、VOCALOIDヒップホップの隆盛に公然とツバを吐きつけた人物です。『reMIKUtance』はボーカロイドらしいライミングのあるDIS曲です。しかし、これにむしろDISされた側がブチ上がりました。二度と起こりえないような光景ですが、DISは楽しいものです。『出る杭』の返答までの流れはボカロヒップホップの歴史的一景です。
     Xnagaはアカデミックな方面からVOCALOIDやHIPHOPを見ている人で、「機材としての初音ミクの可能性」をアグレッシブなスタンスで求めています。

     nak_ami
     
     nak_amiは、透明に偏執的な世界にいます。実に細緻で独自な音楽を見せてくれるPで、彼の曲を聴くと、まさに音楽の未知の一面がぎょっと顔をだすような気持ちになります。
     『わたしはミーム』は、退廃の中に一呼吸の生気が混じるような曲で、古びて崩れそうな音質の危うさ、そこに入り込む甘いメロディとミクの歌唱、語りの織りなす絶妙な空気感、濡葉のような水気、不朽の名作です。

     円盤P
     
     
     円盤Pは、ポップとリズム、そしてLat式ミクのアイコンでできています。常に革新的なリズムのある曲を製作していて、2015年頃からはJuke/Footworkというジャンルのヒップホップを手掛けています。規格に収まらないフリーダムな音楽が特徴。リズムの楽しさを全身で感じてほしいです。次々とユニークかつテクニカルな音源を出してきていて、『フリーはフリーダム』では、曲の構造の面でもラップの歌唱法の面でも眼を見張る新しさを見せてくれました。

     それっぽいP
     
     
     それっぽいPは、完成度の高いファンクを作るPで、自分の曲に合う映像をそれっぽく動画にサンプリングしてしまう面白いPです。VOCALOIDのヒップホップが沸き立ってきた2013年以前の活動が顕著なため、最近知られてないですが是非この機会に知ってほしいです。
     世界観を大事にするPで、映像にも歌詞にも音にもボカロの調声にも、各曲の性質に応じた遊び心があります。ワードセンスが多彩で、ポップでクールなダーティーさを味わえます。

     まひろのサイドギャザー
     
     まひろのサイドギャザーは、空気感のあるサウンドが特徴的なPです。変化に富んだトラックは夏の風のようで、歌詞は遊戯的、強調されたビート分と、ミクのくすぐったくなるような甘い声が絶妙な相対をなして、聴いていてとても心地いいです。
     『逃走する空想』は、日本のヒップホップではなかなか耳にしないもので、こういう世界もあるのかと、VOCALOIDだからできたのだろうと思わせられる名曲です。
     
     緊急ゆるポート
     
     緊急ゆるポートは、Jazzを基盤に音楽の再構成を得意にするPです。一聴して「ぶっ壊れてる」という印象を抱くほど、大胆かつ核心的な音を鳴らします。松傘と共奏した『災難!』は特に傑作で、まるで目の前で演奏されているような錯覚をおぼえる異様な曲です。
     彼の音楽の強い握力は、ボカロのヒップホップを小さな枠に収めず、全く未知の領域に飛び出させる原動力になりました。

     Cheif Meat
     
     Cheif Meatは、妖艶で多彩なトラックメイカーです。MIKUHOP LPのリード曲『It's Da MikuHop』は、まさにVOCALOIDのヒップホップを宣言する曲であり、「こういうラップがボカロでも出来るんだ」という大きな感動を覚えました。
     艶やかなメロディに揺られ、その中に綺麗なライミングがうまく収まっており、王道さのあるボカロライミングの一つの指標と言えます。

     LL HOT J
     
     DISする者がいれば、そのフォロワーもいます。LL HOT Jは、名前からしてすでに面白いですが、彼の曲は実に初音ミクらしい、初音ミクのヒップホップになっています。
     ヒップホップとなるとどうしても個人性が強くなってしまいますが、故に初音ミクのアイコンに還元するLL HOT Jの曲は、非常に安心できるものです。ボカロの既存曲へのリスペクトも欠かさず、毒もチクっと刺してくる、ボカロらしいヒップホップです。

     はいより子
     
     はいより子は、女性のボカロPですが、楽曲としては奇想天外のさらに斜め上にいます。ループ素材を駆使して製作したその作風は他に類似例がなく、ヒップホップという意識も恐らくは本人の中では希薄だと思える曲を提出しています。
     ボカロのヒップホップはほとんどが女性ボーカルのため女性的な面が強いですが、それでもやはり男性が手掛けた作品が多いので、女性製作のボカロヒップホップも今後の可能性です。

     Takamatt, DixieFlatline
     
     TakamattとDixieFlatlineは、ボカロのヒップホップを語る上で欠かせない存在です。わたしもまだボカロを聴きはじめた頃で、当時はハチやwowaka、dorikoなどを聴いていました。
     HIPHOPも聴きはじめたばかりでほとんど意識はしていませんでしたが、『Mr. Wonder』や『Soul Breeze』は「良いな~!」と思った記憶があります。ボカロのヒップホップを考えると彼らの曲は行き当たるものなので、是非色々聴いてほしいです。

     厨二エナジーP,Daphnis(黒江)
     
     厨二エナジーPは、硬派な押韻をUTAUでやるボカロPです。しかし、彼の奔放な精神を留めるにはHIPHOPの庭は狭すぎた。縦横無尽にジャンルを行き来する愉快さを感じてください。
     Daphnis(黒江)『からっぽな毎日に』は優しい曲です。この人にしては異色の作風ですが、実に正面からヒップホップしています。歌詞も遊び心があり、何度聴いても飽きません。

     Jake
     
     Jakeはサンプリングだけで曲を作るかなり異端なボカロPです。その再構成の手腕には何度も驚かされ、何か不思議な魔術か、魂が宿っているんじゃないかと感じます。

     rjnk
    ・skol https://soundcloud.com/rjnk-1/flml-f12f
    ・love https://soundcloud.com/rjnk-1/love
     rjnkは、希少なJuke/Footworkを作るPです。相当な音の研究家で、素晴らしいJukeを提出しています。本格派VOCALOID・Jukeを聴きたいのならば、彼の音を避けては通れません。 

     Chet brocker,ΩBAKE
     
     Chet brocker『chocolate sugar』は挑戦的な曲です。ゆっくり霊夢を面白く使っているのが注目点で、ボーカルの後ろで、呪文のように呟きつづけるのが良い雰囲気を出しています。
     ΩBAKEは、詩的な夏の風のような『ノ・ノ・ディスコ』で現れました。Acidさと気怠さで、街角をどこまでもくぐり抜けていけそうな。ひとつの淡い新時代の音です。

     初音ミクの証言
     
     
     
     最後に触れるのは『初音ミクの証言』をめぐる流れです。自己言及になってしまいますが、この曲は不思議な偶然性の魔力が宿っています。
     どういうふうに聴かれ、どうこれから流れていくか、わたし個人としては楽しみです。どう裏返ってもヒップホップが好きだなと思うので、これから登場してくるまだまだ新しいボカロのヒップホップを聴いていきたい気持ちです。

     Sagishi
     
       
     また、この記事の作成者であるわたしも、ポエトリー系統のVOCALOIDヒップホップ曲にたずさわっています。さとうささらを主軸に、言葉を意味中心ではなく印象で書いているので、普段なヒップホップにはないヒップホップに聴こえたらいいなと。


     ~さいごに!~


     ここに載せたボカロのヒップホップ曲は、まだまだ全体のなかのほんの一部です。

     DIGして新しい世界を見つけるのも良いし、一つの曲を繰り返し聴くのも良いし、ヒップホップから遠ざかってもまた良しです。音楽は自由です。みんなで必死に自分の求めるものに向かっているんだな、と最近思います。

     ボカロのヒップホップを知らなかったというひとは、ちょっと覗いてみてください。なんでこのひとはこういう曲を作るんだろうとか、なんでこのひとはこういう曲が好きなんだろうとか、ひとり黙々と思いを馳せることはいいものです。

     今回は、自分なりにボカロのヒップホップのことをまとめられて一段落と言いますか、とにかく書きたかった!! 実際思っていることをことばにしてみるのは難しいものですね。

     最後にもう一度ありがとうございました。

     これからも、みんな自由に音楽を楽しんでいきましょう! では!




    (2016/03/12 初版)
    (2016/06/04 追記)
    (2016/10/06 追記)
    (2017/06/20 追記)
    (2018/07/11 追記)
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  • (b)rainwash [歌詞]

    2018-07-04 19:05

    (b)rainwash

    [Verse1 / Sagishi]
     人間が進歩をした結果
    『欠陥品が生まれました』
     シンクに落ちる涸れた水音が
     生理に響く雨の水曜日

    「生きてるのか? 死んでるのか?」
     どちらも分からず浮いてるようで
    『あなた』か「わたし」か 人格は
     " 顔 "を出してはお気楽そうで

    《皆んな辛いの》代弁したり
    《お前だけじゃない》愛惜したり
     内面を誇張して主張する
     人の多さに一人自嘲

    「わたしも同じか」同族嫌悪
     羽目を外してバスケをしたら
     洗って健康的に忘却
    「いい子にしてれば、また晴れるの?」

    [HOOK]
     辿る回顧録 過去の累層
     夢に踊ろう 夏 気象予報
     空が乾き 渇く心も
     懐かしく思い馳せる 馳せる今

     薫るペトリコール 揺れた陽炎
     恋は青色 愛は赤色
     雨が止めば 病める心も
     夏の産声に消える 消える頃

    [Verse2 / HeadNho]
     等間隔に並ぶ団地から
     ビデオ2で攪拌された
     フルカラーの世界
     俯瞰する窓枠
     雨降る前に地固まってたアスファルト
     空が腫らす雲
     孕む常套句の「晴れない心」
     軒先に宿る傘を待つ子供
     脅すパンザマスト
     煙草屋の猫
     投棄されてた不健全図書は
     紙媒体の最期を知る
     でもNHKが濡れて帰るなら
     自然崇拝も辞さない大人だ
     モノクロ写真になった外から
     懐古が孵化した路地裏の匂い
     いま 街は生まれ変わろうとしていた
     光を射した雲間

    [HOOK]
     辿る回顧録 過去の累層
     夢に踊ろう 夏 気象予報
     空が乾き 渇く心も
     懐かしく思い馳せる 馳せる今

     薫るペトリコール 揺れた陽炎
     恋は青色 愛は赤色
     雨が止めば 病める心も
     夏の産声に消える 消える頃

    [Bridge]
     滴る雨は頭を伝い
     記憶の奥から流れてく

     透過した河川敷の輪郭を撫でる
     流動体のアクリル

     受け止め/せめぎ/波立たせ
     想いと海から離れてく

     涙は揮発していた
     そんな気がした…

    [HOOK]
     辿る回顧録 過去の累層
     夢に踊ろう 夏 気象予報
     空が乾き 渇く心も
     懐かしく思い馳せる 馳せる今

     薫るペトリコール 揺れた陽炎
     恋は青色 愛は赤色
     雨が止めば 病める心も
     夏の産声に消える 消える頃
     
     辿る回顧録 過去の累層
     夢に踊ろう 夏 気象予報
     空が乾き 渇く心も
     懐かしく思い馳せる 馳せる今

     薫るペトリコール 揺れた陽炎
     恋は青色 愛は赤色
     雨が止めば 病める心も
     夏の産声に消える 消える頃

    (2018/07/04)
  • 【押韻論】「音声パターン認識」と言語学について

    2018-07-01 13:05

     本記事は、本ブログにて過去に記述された『【押韻論】定義など』と、Tachibuanaさんの『【補足】アクセント表記による効果レベルの測定』を前提として書かれます。(今更)


    ■「音声学的アクセント」の整理/音声パターン認識
     hiruzemi氏『音声学的アクセントと音韻学的アクセント』にて記述されているが、「音声学的アクセント」とは、「単語レベルの音節間に相対的に備わっている知的意味(客観的な意味)を反映した、高低・強弱・長短など音の量的変化に関する社会習慣的なパターン」だ。

     彼は、城生佰太郎『一般音声学講義』(2008)にて記述された概念を紹介している。かなり新しい書で、概念的に、特に以下のような定義は注目できるものだと思われる。

     音声学的な発話の領域を議論の俎上に載せるために、音韻学レベルの「高(H)」と「低(L)」による音の二極化の構造を避け、以下のようなパターンを想定している。
    ■定義
    H…高
    L…低
    M…安定化された中間(HLの相対的なものとして扱われる)
    m…変化段階にある中間

    (使用例)
    押韻価A:冥土の土産(LHH_M_MMM)
    押韻価B:軽度の痛手(HmM_M_MMM)
     この音声パターンの認識方法によって、押韻価内の複雑な効果レベル構造の分析が可能となる。これは偉大な手法で、かつてまでの書面上での単純な押韻研究(押韻レベルの分析)や、個人の耳に頼っていた音声的アプローチに対する押韻認識を、より学術的方面に押し上げることが可能となる。

     この分析パターンは長短については積極的に記していないが、それも太字やルビ等で表現を補完することが可能であると思う。

     ただ、私個人は「アクセント」や「高低・強弱・長短」を正しく認識できる耳・能力を保持しておらず、分析的な研究に到達できないことが悔やまれる。K DUB SHINEが意識的に「高低・強弱・長短」を日本語の押韻手法に取り入れたことについて、詩人・佐藤雄一が現代詩手帖で記していた文章があるが、音声的な分野での研究はかなり日本においては未発達に思われるため、今後はより研究が進むことを願うばかりだ。


    ■ソシュール言語学の理解
     ソシュールの言語学について改めて理解を書きたい。まず、言語学には「言語体系(Langue)」と、それに対する「個別的使用」に関する概念が基本としてある。

     人は、言葉を使う時、進行性のある蓄積された言語の歴史的体系と制度/土壌=「言語体系(Langue)」の中から、それぞれが個別的/主体的/経験的な「書く(écriture)」「読む・聞く(lecture/listen)」「話す(parole)」行為をおこなう。また、個別的使用は、言語体系に影響を及ぼす(時代の変化に伴う辞書や言語の意味の改訂)ことがある。

     Langue(ラング)、écriture(エクリチュール)、parole(パロール)といった諸概念について、私は以上のような理解をしている。この基本的な「体系」と「個別的使用」を念頭に理解しておくことが、言語学の理解においては大いに役立つ。

     また、ここでは「シニフィエ(意味)」と「シニフィアン(表層)」は特に記述しない。専ら、押韻レベルや効果レベルに対する研究は、「表層」の研究に属することが前提であるからだ。

     ソシュールを通ることで、上述した「音声パターン認識」が「体系」に対して利用された個々の「発話」に関する「差異」の構造を理解するのにも役立つと分かるだろう。


    ■最新の押韻的見地
     最後に、私が感じる最新の押韻理解についてだが、「押韻」とはより広いパース(押韻価)において、様々な子音や母音、アクセントの繊細な差異と結託し紐付き、効果を発生させることが分かってきたように思う。つまり、押韻とは、単純な押韻価の範囲だけで観測される効果だけが、総合的な音の効果の発生に紐付いていないことが分かる。

     確認される押韻価外の独立的音素が、韻律的な影響や「粘性」を帯びて、対象の押韻価の価値を向上させていることがまま散見されると感じる。

     このように音は想定外の範囲から終着的な押韻価へと「波及」してくる効果を持つし、韻律的な「粘性」によって、より単純な効果は持続あるいは引っ張られ、終着的な押韻価へと着陸することがあるように思われる。そのため、このような広い範囲での効果発生や、韻律についての理解は今後も深めていく課題であると感じている。

     これは、かつてやおきさんが指摘していた「圧縮」や「展開」の概念が、より「効果」的な面でどう有効的に引き出せるかの分析にも繋がると感じる。

     以上。


    (2018/07/01)