【雑記】なぜ北陸新幹線は「米原ルート」ではなく「小浜京都ルート」なのか?
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【雑記】なぜ北陸新幹線は「米原ルート」ではなく「小浜京都ルート」なのか?

2016-12-11 06:58
  • 4


 北陸新幹線が、「小浜京都ルート」に決まりそうです。

 北陸新幹線の延伸はとても喜ばしいことで、観光資源が豊富な北陸地方や信越に人が移動しやすくなり、観光はもちろんのこと、経済が活発になることが予想されます。

 本記事では、その北陸新幹線の敦賀以西のルートが「小浜京都ルート」に決まるということで、予想されるメリットやデメリット、まだあまり言われていないことなどを多角的な視点で書いてみようと思っています。

 鉄道の、特に新幹線のこととなると感情的になるものが目立ちやすいです。しかし、この記事ではそのような姿勢はとらず、つとめて冷静な視点で考えたいと思います。


  ① どんなルートがあるか?

 まずは北陸新幹線の敦賀以西のルートにはどんなものがあるかを書きますね。

 よくメディア等で使用されていた右記の図を見ますと、

 ①米原ルート
 ②小浜京都ルート
 ③小浜舞鶴ルート

 の3つが候補になっていることが分かります。そして、近日与党会議によって決定されたのが②の「小浜京都ルート」です。

 実際の世間の支持としては、やはり「小浜京都ルート」の支持が高いように思います。なぜ「小浜京都ルート」の支持が高いかといえば、それは所要時間に大きな理由があるでしょう。

 高速鉄道である以上、所要時間は最重要です。「小浜京都ルート」ですと、新大阪⇔敦賀間が最速43分、新大阪⇔金沢間が約1時間19分、新大阪⇔長野間が約2時間25分で結ばれると想定が出ています。

 この所要時間の優位性こそ、「小浜京都ルート」が支持される強み、最大の長所でありメリットでしょう。


  ② 小浜京都ルートのデメリットは?その1

 先に書いたように、所要時間の優位性が「小浜京都ルート」最大の長所・メリットです。では「小浜京都ルート」にデメリットがないのか、それを考えていきましょう。


 上図を再掲しますが、それは「建設費」にあることが読み取れます。

 最安価の「米原ルート」と比較すると「小浜京都ルート」は3.5倍。

 キロあたりで比較しても、「米原ルート」の11.8億より「小浜京都ルート」の14.7億のほうが高いことが分かります。

 ではなぜ「小浜京都ルート」は「建設費」が高騰するのでしょう?

 それは「小浜京都ルート」の通っているルートそのものに理由があります。
 
 拙い図になってしまい申し訳ないですが、Googleマップより拝借させていただいた図に線を引きました。

 が北陸新幹線(金沢~敦賀)
 が東海道新幹線
 が「米原ルート」
 が「小浜京都ルート」
 が中央新幹線リニアの予定ルート

 先程の図では地表面がどうなっているのかが分かりませんでしたが、これを見ると「小浜京都ルート」は山脈を突っ切っていることが分かります。

 どのくらいの長さかというと、小浜駅から京都駅まで直線距離で約60km。これは青函トンネルの53.9kmを凌ぐ長大な長さになります。

 かつ、「小浜京都ルート」は京都市内を縦断する想定のルートですが、これはいわゆる大深度地下という、土地の権利関係が絡まない地下40m以上の深さを通ると予想されています。

 地下40m以上の深さがどれくらいかというと、だいたい東京の地下鉄・大江戸線の倍程度の深さと考えてもらえばと思います。なぜ大深度地下を通ると予想されているかと言うと、京都という土地に理由があります。

 文化財や景観等に厳しい規制があり、地上を通すことが難しいから、ということですね。しかし、大深度地下を採用しようとする公共事業はまだ少なく、中央新幹線リニアや東京外殻環状道路などがその代表例になる予定です。

 長大トンネルかつ大深度地下の工事、これが「建設費」が高騰する理由です。


  ③小浜京都ルートのデメリットは?その2

 さらに「小浜京都ルート」にデメリットがないかを検討します。

 「小浜京都ルート」は山陽・近畿方面と北陸地方&信越を最速で結んでくれます。また、小浜駅を通過することで、舞鶴や天橋立方面への距離感がぐっと近くなり、日本海方面の観光需要の引出しがより期待されます。

 その一方で、地図を見れば明らかですが、「小浜京都ルート」だと東海四県と北陸地方が遠ざかります。

 これが何をもたらすかというと、「費用対効果」の低下です。

 「米原ルート」だと、東海四県の利用者を引き込めます。米原駅で10分程度の乗換える時間を含めるとしても、名古屋~金沢間を約1時間20分、静岡~金沢間を約2時間15分と、いずれも在来特急であるしらさぎを使用した際より1時間以上の短縮効果を得られます。

 これが「小浜京都ルート」経由ですと、京都駅で乗換えになるため、「米原ルート」よりも所要時間が40分程度余分にかかることになり、かつ移動キロが増えますので、運賃がかさむことになります。

 東海四県の需要は、山陽・近畿方面の需要の3~4割程度はあると予想されます。「小浜京都ルート」は山陽・近畿方面と北陸・信越の需要を確実なものにするでしょう、しかし東海四県の需要を取りこぼすことになります。

 「費用対効果」が伸び悩む可能性、それが「小浜京都ルート」の第2のデメリットです。

 ただ「米原ルート」だと両面からの需要には応えられますが、「小浜京都ルート」最大の長所である所要時間の優位性を傷つけることになります。第2のデメリットには、第1のデメリットほどの強力なインパクトはないとも言えます。


  ④米原ルートの所要時間の理由

 少し話題を「米原ルート」へと変えてみましょう。再度、図を使用してみます。

 図の「米原ルート」ですが、所要時間がやけに長いです。

 かなり遠回りをしている「小浜舞鶴ルート」よりも掛かっています。これには理由があります。

 それは、図の「米原ルート」は東海道新幹線と直通していないからです。乗換え時間を含めているため、所要時間が伸びています。

 では、もし東海道新幹線と直通運転したら所要時間はどうなるでしょう?

 予想ですが、恐らく「50分」ほどになるのではないかと思われます。

 この予測は、米原~京都間が68.1kmで所要時間20分であることをベースに、敦賀~米原間の距離は50kmのため、所要時間を16分程度と考えました。その16分に、米原~新大阪間の所要時間である34分を足して、「50分」と考えました。

 しかし、実際には所要時間は「67分」とあります。つまり、乗り換えに17分程度を要している想定のようです。この所要時間の試算をどうやって出しているのかは分かりませんが、ちょっと長い気がします。

 話がややそれましたが、東海道新幹線直通込みで、仮に「米原ルート」の所要時間を50分と考えたとしても、「小浜京都ルート」の所要時間の優位性は変わらなさそうです。


  ⑤各社の事情

 では、なぜ「米原ルート」を東海道新幹線の直通をベースに考えていないかですが、それはJR東海とJR西日本の事情があります。

 JR東海の事情ですが、そもそも東海道新幹線に線路容量がありません。東海道新幹線は大混雑しており、北陸新幹線を直通させる余裕がほとんどないと考えられています。将来的に中央新幹線リニアが全通開業すれば変わる可能性は十分にありますが、不透明な部分も多いです。

 そして、JR西日本の事情ですが、もし「米原ルート」になると、北陸地方の利用客の利益がJR東海のものになってしまうので避けたいという事情があります。自社路線を引きたいため、JR西日本は「小浜京都ルート」を支持しています。

 利用者的にも、そもそも北陸新幹線は、東京~上越妙高間をJR東日本が運用しており、上越妙高~金沢間をJR西日本が運用しているため、ここにJR東海が混ざると料金設定や運行プラン、またダイヤ設定が複雑になり、北陸新幹線はおろか東海道新幹線も使いにくくなる可能性が予想されます。

 また東海道新幹線不通時には、北陸新幹線が期待されるような東海道新幹線のバックアップ機能を十分に果たせなくなる可能性もあります。しかし、中央新幹線リニアが完成した場合はそもそも論として北陸新幹線にそこまでのバックアップ機能を持たせるべきか必要性の議論もあります。つまり、過大投資になる可能性です。


  ⑥議論の焦点はどこか?

 以上のことを踏まえた上で考えましょう。なにが議論の焦点になるかといえば、まとめると3点になるかと思います。

  Ⅰ.所要時間の優位性
  Ⅱ.投資コストと費用対効果
  Ⅲ.東海道新幹線に直通できるのか

 Ⅰの「所要時間の優位性」ですが、これは「小浜京都ルート」が有利です。最初にあげたとおり、新大阪⇔金沢間を約1時間19分、新大阪⇔長野間を約2時間25分で結んでくれます。

 Ⅱの「投資コストと費用対効果」ですが、これは「米原ルート」が有利です。速達性には欠けますが、最小のコストで高いパフォーマンス効果を発揮してくれます。

 Ⅲの「東海道新幹線に直通できるのか」ですが、現時点では難しいです。将来的にも不透明な部分があります。

 すると「小浜京都ルート」が支持されている理由は山陽・近畿方面への速達性があるのだと分かります。他にも細緻な理由はあるでしょうが、山陽・近畿方面への「所要時間の優位性」こそが、「小浜京都ルート」が選ばれている理由でしょう。


  ⑦さいごに

 「小浜京都ルート」は与党会議にて決定され、世間の支持も高い状態です。しかし、まだあまり具体的なことが決まっていないために注目されきっていませんが、「小浜京都ルート」には①で示した強力な問題点があります。

 果たして、青函トンネルより長大で、かつ大深度地下を通るような構造物を京都市内に建造できるのか、大きな疑問を感じます。既存の新幹線との乗換えはどうなるのか、駅の設置場所や費用の捻出、そして、京都から新大阪まで結ぶことが果たして可能であるのか、過大投資になるのではないかという疑問がいくつも残ります。

 東海道新幹線に直通ができ、「米原ルート」の速達性が改善される可能性があれば、ルートが変わる可能性はあるかもしれませんね。

 この記事では一旦はここまで。

 では、より良い未来と、北陸・信越地方のますますの発展を祈って、この記事の結びとさせていただきます。


(2016/12/11)
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米原ルートだと本筋である関西⇔北陸間で考えた場合、2社にまたがることにより
利用者の負担する運賃が割増加算されるという大きなデメリットもありますね。
4ヶ月前
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>>1
こんばんは。そうですね~。
3ヶ月前
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今は細かく説明できないのですが、全体的な利害関係と利便性を相当に考えたうえで小浜経由に決めたのではと思いました。
2ヶ月前
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>>3
こんばんは。この記事を書いた当初は速達性重視の小浜経由だと思っていたのですが、京都以西のルートが南側ルートを採用したために、この記事だけでは説明しきれなくなりましたね。

リニアが完成したらまた状況も変わってくるのかもしれません。
2ヶ月前
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