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【漢】孤島で美少女とともに過ごす仮想現実と、暗い部屋で虚空に向かって語りかける現実の、おかしくも哀しいコントラスト『ルサンチマン』
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【漢】孤島で美少女とともに過ごす仮想現実と、暗い部屋で虚空に向かって語りかける現実の、おかしくも哀しいコントラスト『ルサンチマン』

2013-08-05 23:55
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6ea108f2a7ea40d332e40e0af6b08a4b9687af54 本日のテーマは漢です。

ルサンチマン

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【紹介文】
 「モテない」ことの息苦しさと、その中で必死に藻掻く漢たちの様子。
 それを執拗なまでに描き切るのが、花沢健吾の作風だ。


 その真骨頂は、実写で映画化とテレビドラマ化もされた代表作『ボーイズ・オン・ザ・ラン』に現れている。
 モテなくて仕事の成績もふるわない27歳の独身男。
 意を決して同僚の女性へアプローチを試みるが、失敗に次ぐ失敗でくじけているうちに、とある衝撃的な真実を突きつけられてしまう。
 やがて彼は、自分の想いを貫くため“決闘”に臨むが――。
 心身ともに容赦なく、幾度となく打ちのめされてしまう主人公。
 その姿は滑稽でいて、しかし笑い飛ばすには哀しすぎる。
 あまりの境遇に、ページを捲る手が止まりそうにもなるが、それでも主人公の奮闘ぷりに後押しされて読みふけってしまう。そんな作品だ。


 また、現在「ビッグコミックスピリッツ」にて連載中の『アイアムアヒーロー』では、「モテない」こととはまた違った閉塞感や絶望感が描かれている。
 だが、作者ならではの描写力が冴え渡っており、こちらも無類に面白い。
 ――ただし、同作の内容について、ここでは多くを語らないでおこう。
 ぜひとも、予備知識の無いまま第1巻を手にとって、ある“驚き”を味わってほしい作品なのだ。


 そして、これらの作品の原点にあるのが、初連載作『ルサンチマン』だ。
 2003年からビッグコミックスピリッツ誌にて連載されるも、全4巻で打ち切りとなった不遇の作品である。

 舞台は2015年の近未来。
 現代(執筆当時)よりも少しだけ技術が進歩したこの時代で、絶大な人気を誇る娯楽があった。
 それは、ヘッドギア(ヘッドマウントディスプレイ)とグローブ型のコントローラーで、あたかも自分自身が仮想世界上にいるような感覚で楽しめるオンラインゲームだ。
 RPGとして遊ぶこともできるし、自分にしか好意を抱かない美少女と恋愛を楽しむこともできる。
 ゲーム内で感じた触覚は、グローブ型のコントローラーや、ボディースーツ等を通して体験できてしまう。
 限りなく現実に近い、仮想現実上の生活が味わえるのだ。

 さて。本作に限らず、オンラインゲームや仮想世界を題材にしたフィクションは無数にある。
 しかし、『ルサンチマン』が異彩を放っているのは、“現実”とのギャップを強烈に、目を背けたくなるほどに生々しく描いているところだ。

 主人公は、印刷会社に勤める30歳の実家暮らしの独身男。でっぷりと太り、頭髪は大幅に後退しており、当然のように全くモテない。
 現実に希望が抱けずにいる彼は、友人の誘いを受けて、オンラインゲームを楽しむための機材一式を奮発して手に入れる。
 彼が仮想世界の中に作ったアバターは、高校時代の彼自身だ。身体は細く、髪も充分にあり、美形とまではいかないが平均点程度のルックスではある。

 そこで彼は、仮想世界上の少女「月子」と孤島で逢瀬を重ねていく。
 満たされてこなかった30年間を取り戻すように、月子との甘酸っぱい日々を過ごす、仮想世界の主人公の姿。
 それと平行して、山積みのゴミに囲まれた薄汚い部屋で身もだえする醜い小太りの男の姿も描かれる――そう、現実世界の主人公の姿だ。
 美少女とともに孤島で夢のようなひとときを過ごしている姿と、暗く汚い部屋で独り、虚空に向かって愛の言葉を囁く独身男の姿。そのコントラストが、あまりにもつらい。

 実のところ、初連載作ゆえの荒削りな部分も少なくない。打ち切りになったためか、終盤の展開にも強引さが見受けられる。
 しかし、モテない現実の中で藻掻く哀しみをありのままに描きつつも圧倒的なエンターテイメントに仕上げてしまう作者の手腕は、この時点で既に発揮されている。
 二次元の世界に耽溺した経験のある人にも、ぜひともお薦めしたい。
【ライター】
篝春樹
他4件のコメントを表示
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本田透が絶賛してたな。「電波男」の骨子はすべてこの作品に既に入ってる。
49ヶ月前
userPhoto
PC
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ちょっと主人公をキモクズにしすぎてる感はあるけど面白い
というか打ち切りだったのか
そういう印象はうけなかったな
49ヶ月前
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ボーイズ・オン・ザ・ランも面白いよね
49ヶ月前
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これ打ち切りだったのか。普通に完結したと思ってたな。
49ヶ月前
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ええ、打ち切りだったんだ。
印象に残った作品だったなー
49ヶ月前
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読んでて辛かったんだよなぁ
49ヶ月前
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VR世界で走ると、現実でも走って階段から落ちちゃったりで、ギャグなんだけど、「大人気製品の安全性としてどうよ?」とか、さまざまなゲームが融合されてて、なんでもできる的な説明のわりに、はっきりしないシステムというか、ぼんやりした世界観で、話にとんと没入できなかった。
ヒロインの女の子も、棚の裏に落ちてたよくわからないディスクのプログラムで、ダメダメどじっ子。でも実は・・・ってありふれた展開すぎて、ストーリーに魅力を感じなかったなあ・・・。

ルサンチマンってタイトルからして、書きたいのは「VR世界なのか、現実なのか。人として大事なもんってなんだよ?」って作者の言いたいテーマが前面に出すぎて、>そのコントラストが、あまりにもつらい。 とおっしゃってる面白い部分が、そのためのギミックでしかないのが、残念。
やはり評価としては「花沢健吾の原点」以上でも以下でもないのが、個人的な印象。
49ヶ月前
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タイムトラベラーズとは無関係なのかな? ルサンチマンっていうヒーローがいるんだけど。
49ヶ月前
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なんで今更、こんな古いモンを。アイムヒーローの宣伝下地ですか?
49ヶ月前
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面白そう
48ヶ月前
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