• 神経鬼の「ほんわかとサイエンス:脳や精神を研究しましょ」 Vol. 2

    2016-01-21 10:00




    今回の目次

    1. このブロマガとは
    2. 最新の論文
    3. 時事ネタ
    4. 精神科に物申す!
    5. なんでもQ&A

    1. このブロマガとは
    さて、2つ目の発行です。ここでは、脳・神経科学領域、精神科や神経内科領域の世界の研究について、本物の論文を元に、解説を加えながら分かりやすくお伝えしていきます。ついでというか、おまけというか、それ以外のお話もしていくつもりです。科学とか研究とかいうと堅苦しいイメージがあると思いますが、「分かりやすく、親しみやすく」をモットーにお届けしますので、まずはメール購読をお願いします!

    2. 最新の論文
    世界最新の研究をさらりと紹介していきます。

    (1) Social Stress and Psychosis Risk: Common Neurochemical Substrates?
    Neuropsychopharmacology. 2016年
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26346639

    ストレスが統合失調症という若い頃から幻聴なんかが出る精神疾患に悪い影響を及ぼすことは以前から知られていましたが、その生物学的なメカニズムについて論じられた記事です。ここでは、脳の炎症や内因性カンナビノイドという脳にあるマリファナ様物質が関わっている可能性が議論されています。まだ仮説の段階でしょうが、このように心理学的な分野も生物学的に解明しようという動きが盛んになっています。

    (2) Post-traumatic stress symptoms 5 years after military deployment to Afghanistan: an observational cohort study
    The Lancet Psychiatry. 2016年
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26681368

    アフガニスタンに派遣された兵隊さんにPTSDがどれだけ見られるかという報告。派遣の一ヶ月前、派遣の一ヶ月後、半年後、1年後、2年後、5年後と長きに渡ってフォローされて、症状を見ると、初めの半年後と、5年後に症状が多かったということです。暫くしてから苦しめられることも多いみたいですね。本当に平和が一番です。

    (3) Neuroinflammatory TNFα Impairs Memory via Astrocyte Signaling
    Cell. 2015年
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26686654

    多発性硬化症など脳脊髄に炎症が起こる病気は多々ありますが、それに関するネズミの研究です。サイトカインという炎症が起こると出る物質がありますが、そのサイトカインの一種のTNFαが脳の海馬という記憶を形成するのに重要な場所に悪影響を及ぼしているだろうということです。脳に炎症が起こる病気では記憶障害が起こることが多いんですが、これも一因かもしれませんね。

    3. 時事ネタ
    最近のニュースに軽くコメントしています。

    (1) ディープラーニング 最先端の人工知能アルゴリズム
    https://sciencechannel.jst.go.jp/M160001/detail/M150001015.html

    人間の脳の中にある神経ネットワーク(ニューラルネットワーク)を真似たディープラーニングという人工知能プログラムのニュース動画です。動画を見る限り、ちょっとした単純作業なら、もうできちゃいそうに見えますね。農業などでの応用が期待されるとか。楽しみです。

    (2) ディープラーニングの肺がん検出率は人間より上、スタートアップの米Enlitic
    http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/061500148/122400043/?ST=smart

    こちらは医療領域での応用ということで、これは単純作業を超えてますね。CTやMRIのような画像検査ではそもそも機械が絡むものですから、人工知能化、ロボット化しやすい領域だと思います。実際に病院で使われる日も遠くないかもしれませんね。

    (3) てんかん、多職種で継続支援 静岡の医療センター
    http://www.at-s.com/news/article/health/shizuoka/200416.html

    チーム医療とか包括医療とか言ったりしますが、色々な専門家が集まって医療の質を高めるというアプローチが徐々に進んできています。ここでは、てんかんという突然に意識を失ったり、けいれんしたりする脳の病気に対して行うとのこと。頑張って欲しいですね。

    4. 精神科に物申す!
    (今回、投稿はありませんでした)
    残念ながら、日本の精神科医療には色々と問題があるのも事実。多くの人が不平不満を抱えていると思いますが、なかなか言いたくても言えないでストレスがたまっている方も多いのではないでしょうか?
    そのストレスをここにぶつけてみてください。投稿は下記のアドレスまで。なお、投稿内容はここで公表しますので、個人情報など公表できない情報は書かないでください。
    shinkeikimagazine@gmail.com

    5. なんでもQ&A
    (今回、投稿はありませんでした)
    どんな質問でも受け付けますが残念ながら答えられないものもあるのはご了承ください。質問は下記のアドレスまで。「精神科に物申す!」コーナーと同様にここで公表しますので、個人情報などの公表できない情報は書かないで下さい。
    shinkeikimagazine@gmail.com


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  • 神経鬼の「ほんわかとサイエンス:脳や精神を研究しましょ」 Vol. 1

    2016-01-09 18:25

    今回の目次
    1. このブロマガとは
    2. 最新の論文
    3. 時事ネタ
    4. Paper and Fiction
    5. 精神科に物申す!
    6. なんでもQ&A

    1. このブロマガとは
    だいぶ寒くなってきましたね。とある精神科医の化身、神経鬼と申します。
    さて、現在、脳・神経科学領域は世界中の研究機関で調べられ、それに関連した医学分野である精神科、神経内科領域もどんどん進化しています。しかし、科学の中でも、脳や精神の領域は一般的にほとんど知られていません。学校でも教えてくれないですよね。テレビや新聞などの既存のメディアでは、脳科学の情報をやたらと誇張したり、歪めて報道したりするものもありますが、ここでは、世界の研究者たちが報告した本物の論文を元に、解説を加えながら分かりやすくお伝えしていきます。科学とか研究とかいうと堅苦しいイメージがあると思いますが、「分かりやすく、親しみやすく」をモットーにお届けしますので、脳科学に興味のある方、精神疾患、神経疾患についてもっと知りたい方は是非読んでください!まずはメール購読をお願いします。

    2. 最新の論文
    神経科学系(精神科、神経内科系)の論文をさらりと紹介していきます。

    (1) Post-Stroke Depression: A Review.
    The American Journal of Psychiatry. 2015年
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26684921

    脳梗塞になった後にうつ病が起きやすいことは以前より知られていましたが、そのレビュー(過去から現在までの有力な論文をまとめた論文)が出ました。脳梗塞後のうつ病を早期に抗うつ薬で治療すると、身体的機能や認知機能の回復にも役立ち、生存率まで上げることなどが紹介されています。精神科の治療で体の具合まで良くなるというのが素敵な発見ですね。

    (2) Obesity Genes and Risk of Major Depressive Disorder
    in a Multiethnic Population: A Cross-Sectional Study.
    The Journal of Clinical Psychiatry. 2015年
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Obesity+Genes+and+Risk+of+Major+Depressive+Disorder+in+a+Multiethnic+Population:+A+Cross-Sectional+Study

    昔から肥満とうつ病に関連性があることは知られていたのですが、その遺伝子レベルでの解析結果です。21個の肥満遺伝子とうつ病との関連性が調べられ、2つの遺伝子がうつ病と統計学的な関連性を認めたようです。これだけだと何とも言えないですが、こうした遺伝子レベルの解析結果が増えると、遺伝子を調べればある病気のなりやすさを計算できるようになると思います。

    (3) 18F-FDG-PET correlates of cognitive impairment in ALS.
    Neurology. 2016年
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=18F-FDG-PET+correlates+of+cognitive+impairment+in+ALS

    どんどん筋肉が衰えていく神経の病気である筋萎縮性側索硬化症(ALS)と、認知症の一つである前頭側頭型認知症(FTD)は同じ病気のメカニズムを持つことが分かるなど、その関連性は最近よく指摘されています。この関連性を脳の代謝レベルで解析した研究です。FDG-PETという装置を用いて脳の糖代謝を調べたところ、FTDとALSを併せ持つケースでは、やはり脳の前頭葉の糖代謝が低下するというFTDと同様の所見が得られたとのことです。このFDG-PETはアルツハイマー型認知症の検査などでも用いられますが、このようにALSの検査としても有用なのかもしれません。

    3. 時事ネタ
    神経科学系(精神科、神経内科系)のニュースをさらりと紹介していきます。

    (1) 精神科患者の長期入院解消へ 西宮市が支援事業
    http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201601/0008698889.shtml

    日本では主に統合失調症などの精神疾患を持つ患者が精神科病院に何年も入院しているケースが多く、昔から問題になっていたものの、なかなか解決されてきませんでした。そこで、地方行政がこの問題解決に乗り出したようです。これが、全国的な展開になると良いですね。

    (2) 佐大病院で 4日間手術遅れ 患者未回復 /佐賀
    http://mainichi.jp/articles/20151229/ddl/k41/040/302000c

    残念な話ですが、神経の病気の症状は分かりにくく、神経疾患は本当に見逃されやすいんですよね。100%見逃さない方法はないものの、MRIなどの高度な検査をどのような人に行えば良いのか、指針を決めて学会や厚労省などがアナウンスしていかないといけないんでしょうね。

    4. Paper and Fiction
    論文と映画などのフィクション作品を同時に紹介するコーナーです。
    「Paper and Fiction」というブログと同じ内容になります。
    http://paperandfiction.blogspot.jp

    「酔拳」は知ってますか? 「酔拳」は1978年公開の香港映画で、「酔拳2」は1994年に公開されています。

    この映画の主人公(ジャッキー・チェン)はカンフーの達人ですが、普通とはちょっと違います。酒を飲めば飲むほど強くなるのです。どうしてかは知りませんが、これが彼の流派。このアクションはYouTubeでも見ることができますね。泥酔した人のようによたよたと歩いてますが、この風変わりなカンフーで何人も倒してしまいます。

    ところで、お酒が時に良い部分があるとしても、寝酒は勧められません。

    不眠症の治療ガイドラインによると、「アルコールは不眠症の自己流の治療として使われることも多いが、作用時間が短く、睡眠に対する悪影響があり、睡眠時無呼吸症候群の悪化、乱用や依存性などの危険性からも勧められない」と言われています。

    Evaluation and Management of Chronic Insomnia in Adults.
    J Clin Sleep Med. 2008.
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2576317/

    睡眠時無呼吸症候群とは上気道の閉塞からくる睡眠中の無呼吸状態のことで、日中の眠気や不眠の原因になります。

    実のところ、多量の飲酒は睡眠を悪化させます。2013年発表の論文によると、多量飲酒はレム睡眠を減らすようです。また、飲酒量に関わらず、飲酒は睡眠の後半を妨害するとのことです。

    Alcohol and sleep I: effects on normal sleep.
    Alcohol Clin Exp Res. 2013.
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23347102

    お酒で強くなるかどうかは知りませんが、少なくとも飲酒は睡眠の助けにはなりません。気をつけましょう。

    5. 精神科に物申す!
    残念ながら、日本の精神科医療には色々と問題があるのも事実。多くの人が不平不満を抱えていると思いますが、なかなか言いたくても言えないでストレスがたまっている方も多いのではないでしょうか?
    そのストレスをここにぶつけてみてください。投稿は下記のアドレスまで。なお、投稿内容はここで公表しますので、個人情報など公表できない情報は書かないでください。
    shinkeikimagazine@gmail.com

    6. なんでもQ&A
    どんな質問でも受け付けますが残念ながら答えられないものもあるのはご了承ください。
    質問は下記のアドレスまで。「精神科に物申す!」コーナーと同様にここで公表しますので、個人情報などの公表できない情報は書かないで下さい。
    shinkeikimagazine@gmail.com