• このエントリーをはてなブックマークに追加

記事 5件
  • ツチヤの口車 第1014回 土屋賢二 「『記録するだけダイエット』の効果」

    2017-09-14 05:00  
     歳をとると、何事にも挑戦しなくなる。「そんな時間が自分には残されていない」と思うからだ。
     わたしは違う。残り時間がないと自覚しているのに、ダイエットに挑戦中だ。この歳でダイエットすることに意味があるのか、われながら疑問である。ちょうどあと五分で爆発する爆弾を作り、その上に座って翌朝の目覚まし時計をセットするようなものだ。だが、意味のない方を選ぶのがわたしの生き方だ。
     
  • ツチヤの口車 第1013回 土屋賢二「影響を及ぼす方法」

    2017-09-07 05:00  
     ヨーロッパでは、イスラム国に共鳴する若者たちがテロに走っている。不思議なのは、だれがどうやって説得したのかだ。
     人間に何かをさせるのはとてつもなく難しい。新聞をとって来てもらうだけでも難しい(ただ、わたしは、断らせたり拒否させることにかけては自信がある)。 
  • ツチヤの口車 第1012回 土屋賢二 「敗者インタビュー」

    2017-08-31 05:00  
     人間の感想はあてにならない(主な原因は人間があてにならないからだ)。
     宝くじを買って外れると「やっぱり思った通りだ。当たるはずがないよ。バカだった」と自分を責め、当たると「まさか当たるとは思わなかった。神様ありがとうございます」と無信仰の者が感謝する。
     だが、本当に当たらないと予想していたら、絶対に買わないはずだ。何千万分の一でも望みがあると思うから買うのだ。賞金が一兆円でも当選確率ゼロなら買う人はいないだろう。 
  • ツチヤの口車 第1011回 土屋賢二「良妻はどこへ行った」

    2017-08-23 05:00  
     買い物に出かける妻に、ついでに買ってきてもらう物を二、三頼んだ。妻が「他に要るものは?」と聞いたので、わたしが「やさしい良妻」と答えたところ、驚いたことに何の反応もなかった。思えば、そんな嫌味を言うと怒っていたころはよかった。いつからこうなったのだろうか。記憶をたどると、最初からだったように思える。
     そういえば最近「良妻」ということばも聞かない。美しい理想はどこに消えたのか、教え子に聞いた。 
  • ツチヤの口車 第1010回 土屋賢二 「帰宅と進化」

    2017-08-09 05:00  
     乳児は人目もはばからず親にべったり甘えている。わたしが高速まばたきをしようが、より目をしようが無関心だ。たぶん、百万円の札束が落ちていようと、わたしの書いた本が投げ売りされていようと、わたしの次の一歩が側溝に落ちるところだろうと、見向きもしないだろう。
     彼らは何よりも安心できる場所を求めているのだ。ウサギが巣穴に身をひそめ、ゴキブリが台所の流しの下の隙間に入り込むのも、同じである。安心できる場所にじっと身をひそめるのが、動物の本能なのだ。