• 『コスプレ少女』新装版 193-196頁        ★咽元にギラリと光るナイフを突きつけ

    2017-01-09 15:51
    ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。
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    【連載小説 コスプレ少女】 今までのあらすじ

    コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
    そして、ふたりと打解けていくのだが ……
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    07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
    再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
    設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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    【登場人物紹介】                
                     人公の本田ルミ
    この春、中学生になったばっかりで、
    京都市に住んでる女の子。
    ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレをきっかけに
    コミュ障からリハビリ中。
     ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
    賢者のルミのコスプレイヤー。   



    イメージイラストは はじめとみかん様提供。

                       

                         滝沢エリカ
    ポニーテールにティアラを着けた「エリカ姫」の

    コスプレイヤーで中学三年生。
    イジメによる背中に酷い火傷がコンプレックス。リストカットした過去もある
    ちょっとワケありの美少女。
    ルミをダンス動画作りに誘う。


        

                         白銀(しろがね)リン
    ルミがイベント会場で出会ったベレー帽が
    トレードマークの萌え可愛い女の子。
    本名は坂本サキ

    天使のリンをイメージしたオリジナルコスプレイヤー。
    実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

     
    イメージイラストは かりん様提供。

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     当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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       193-196頁目です。

    ―― 危険人物 ――

     週明けの学校はダルい。 重い足取りで登校するルミ、教室の前で立ち止まり、
    深い溜息をついてから扉に手をかける。

    おはよう ……
    かぼそい声を出して中に入るも、クラスの誰からも 挨拶は返ってこない。

     普段、彼女は髪をツインテールなどにしていない、
    地味なおさげだ、リボンも結んでいない。
    コスプレ仲間のエリカ達と遊ぶ時と違って、メガネも赤い下縁タイプではなく、
    黒くて安っぽいやつを掛けている。

    現実の世界、ここではコスプレヤー『本田ルミ』ではなく、未だクラスに馴染めない
    コミュ障の中学生なのだ。

    彼女は 隅っこにある自分の席に着くなり 溶けるように突っ伏した。
    ああ、次の週末が待ち遠しいよ

    先生が来るまでの教室は、ふざけて走りまわる男子や お喋りに夢中の女子で
    喧騒に満ちた空間だが、ルミにとっては 音の無い深海にでも居るような気分だ。

    彼女の心のソナーには、真っ暗で何の反応もなく、もがいても何も掴めない
    そんな世界しか映っていなかった。

    しかし、今の彼女に入学したての頃のような酷い悲壮感はない。
    なぜなら、学校の外では、趣味のコスプレで通じた友達がいるからだ。


    下校時間、今日も苦行のような一日を終えたルミは、そそくさと帰り支度を済ませると
    足早に教室を出た。
    登校時よりは幾分軽い足取りで家路につく。

    スカートのポケットに仕舞ってあるスマホが お気に入りのアニソンメロディを奏でた。

    エリカさんからだ!
     嬉々としてスマホを取り出すルミ

     エリカからメールの着信だった。

    金曜日、買い物に行くから一時に四条(しじょう)駅に集合!

    ……エリカさんらしいメールやな

     滝沢エリカルミより二つ年上の中学三年生、人気ゲーム『ファンタジア学園』
    ヒロイン『エリカ姫』のコスプレイヤーだ。

     キャラコスである黒髪ロングのポニーテールに銀のティアラがトレードマーク、
    キュっと引き締まった細いウエストにスラリと伸びた長い脚は モデル並みの美少女なのだが、お姫様キャラそのまま、自分勝手に振る舞うので、ルミはいつも振り回されているのだ。

    ルミへのメール内容も相手の都合など一切お構いなしの現地集合せよという命令だ。

        ―― ☆ ――

    待ちに待った金曜日、この日は行事予定日の調整で 授業は午前中までなのだ。
    ルミは急いで京阪電車に乗り、エリカが指示した四条駅へ出かけた。

    京都の四条(しじょう)という所は、一般の買い物客だけでなく、修学旅行生や
    海外からの観光客もたくさんやって来る人気スポットだ。

     そんな繁華街を 頭に銀のティアラを輝かせ、颯爽と歩いているセーラー服の少女がいた。

     エリカだ、眩しいくらいの白い夏服に真紅のスカーフがよく映える。

    エリカさん、やっぱりティアラ着けてのコスプレなんですね

    これはアクセサリーよ、アクセサリー!
     そう言って、この自己中なポニーテールの美少女は憚らない。

     そう、エリカは芸能スカウトをされそうなくらいの綺麗な子なのだが、
    ティアラを着けた『エリカ姫』コスのまま、平然と外を出歩く、
    ちょっと残念なところがあるのだ。

    ルミは 街中をコスプレして出歩いたりしない、イベント開場以外では律儀に着替えている。
    今日もTシャツにデニムパンツの普段着だ。

     エリカの左腕には、白銀(しろがね)リン誰にもエリカを取られまいと
    アピールしているかのごとく絡み付いていた。

    リンちゃん、こんにちは。 今日の服装もすごく可愛いよ

    こんにちはルミちゃん。ありがとですゥ~
    甘いアニメ声で挨拶を返すリン

    淡いブルーのベレー帽にノースリーブのワンピース、その小さな肩を
    彼女の柔らかな髪がふわりと包んでいる。上品で可愛らしいコーデだ。

    もちろん、服装だけでなく、彼女から愛くるしい微笑みを向けられたら、
    思わずギュっと抱き締めたくなる、そんな萌え可愛い女の子だ。

     ルミはコミュ障で友達と一緒に買い物をすることなどなかっただけに、
    ふたりと居られることが とても嬉しかった。

    それに、ふたりとも人が羨むような美少女なので、連れて歩くことが
    モテる男の子のように誇らしい気分に浸れた。

     三人はファンシーグッズやアニメショップを廻り、エリカが明日のイベント(同人誌
    即売会)用の小物を買い求めた。

    ちょと、ここのお店を覘いていくですゥ

     リンが語尾を延ばした甘ったるいアニメ声でブランドショップに誘う。
     エリカリンが店に入っていく、次いでルミもおずおずと入っていった。

     ゲームオタクなルミは、買い物といってもだいたいがアニメショップと本屋以外、
    あんまり用がない、自分『ファッション』感覚に自信がないので、無難で地味な
    格好ばかりしている。
     だからブランドショップなど苦手なのだ。

    この服、ルミちゃんに似合いそうですゥ~

    自らコスプレ衣装までも手作りしている萌え系レイヤーの白銀リンが、
    ルミに店内の可愛い服を色々と勧めてくる。

    ルミは手に取るも値札を見て即リリースする。

    服って高いなあ

    そうぼやくルミだが、中古ゲームやムック本には万超えの金額を平気で注ぎこんでいるのだ。

    ルミちゃん、もっと自分を可愛く見せる努力をしないといけませんですゥよ

    ルミはお洒落上手なリンからコーデの手ほどきを受けるのだが、
    明るい色合いの服は何だか気恥ずかしく、ダーク系をセレクトすると
    リンから地味過ぎだと諭されてしまうのだった。

    服選びってメンドクサイ ……

    ええっ! お洋服を選ぶのって楽しいじゃないですゥかあ
     リンは両手で頬を挟み、信じられないっといった表情でルミを見る。

    リンから真顔でそう指摘されたルミ、女子力の無さを露呈してしまった。
    まだまだコミュ障からのリハビリが必要なようだ。


    ショップを出て直ぐにリンが用事を思い出し、銀行に寄ると言い出した。
    涼みがてらルミ達も一緒に行くことにした。

    閉店間際の銀行、客はそれほどなく空いていた。
    冷房のよく効いた待合所の黒いソファーにルミエリカは腰を降ろす。
    ひんやりとしたシートがお尻に心地よい。

    エリカは短いスカートから伸びた脚を優雅に組んでいる、その膝上が白く眩しい。

    リンはカウンターテーブルの方で、そこの用紙に何やら記入している、
    大方、通販か口座の手続きでもしているのだろう。

    そこへ一人のが入ってきた。

    夏も近く外は半袖で歩く人も多いくらい暑い。
    それなのにその男は花粉症用の大きなマスク
    をして、黒いサングラスを掛けている。

    おまけに黒っぽいジャケットを着込み、その懐に右手を突っ込だまま、
    カウンターへとツカツカと近づいていった。

    は書きものをしているリンの後ろにつくや、突然、リンを背後から首絞めにすると、
    彼女の咽元にギラリと光るナイフを突きつけ、フロア中に響く声で叫んだ。

    動くな! 静かにしろ!

     大理石の銀行内が一瞬静まりかえる。

    金を出せ!

    突然の強盗に行内は一変して騒然となった。
    カウンター周りにいた客は悲鳴を上げて一斉
    に逃げ散り、腰を抜かした中年の女性が
    四つん這いになってルミ達の座っているソファーまで逃げてきた。

    (うそでしょう!)
     ルミは心の中でそう叫びながらも恐怖で声にはならず、ソファーの端っこを
    ギュっと掴んでいるだけだった。

    強盗犯の男は、辺りを警戒してか、しきりに体を左右に動かし、握り締めたナイフで
    周りを威嚇している。

    人質となったリンは、後ろから首絞めされ、の左腕にぶら下がっていた。
    小柄な彼女の体重は軽いので、が動く度にプランプランと体を左右に揺らされ、
    首吊りのような状態になっていた。

    (ひえーっ、大丈夫なのかリンちゃん!)
     この悲惨な光景に、ルミは心臓が破裂しそうなくらいドキドキした。

     そんな状況の中、エリカがソファーからすくっと立ち上がると、
    に向かって吠えるように訴えた。

    その子を放しなさいよ!
     よく通る高い声、真っ直ぐ射抜くような鋭い視線、勇敢な少女強盗犯を睨みつける。

    うるせー、動くな!

    「放しなさいってば!」

    動くなって言ってるだろ! てめえ、殺されたいのか!

    ルミは見ていて血の気が引いた。

    (ええーっ、エリカさん危ないよ、相手は銀行強盗だよ、
       刃物持ってんだよ!)


    (つづく)
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  • 『コスプレ少女』新装版 189-192頁        ★萌っ娘は食用ガエルの鳴き競っているのか?

    2016-12-31 13:42
    ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。
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    【連載小説 コスプレ少女】 今までのあらすじ

    コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
    三人は リンの家の庭先でキャンプを楽しむのだが……

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    07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
    再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
    設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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    【登場人物紹介】                
                     人公の本田ルミ
    この春、中学生になったばっかりの女の子。
    ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレをきっかけに
    コミュ障からリハビリ中。
     ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
    「賢者のルミ」のコスプレイヤー。   



    イメージイラストは はじめとみかん様提供。

                       

                        滝沢エリカ
    ポニーテールにティアラを着けた「エリカ姫」の

    コスプレイヤーで中学三年生。
    イジメにあって、リストカットした過去がある
    ちょっとワケありの美少女。

    ルミをダンス動画作りに誘う。







                     白銀(しろがね)リン
    ルミがイベント会場で出会ったベレー帽が
    トレードマークの萌え可愛い女の子。
    本名は坂本サキ

    天使のリンをイメージしたオリジナルコスプレイヤー。
    実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

     
    イメージイラストは ゐてぃ様提供。

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       189-192頁目です。

    リンナイフを握る手に力を込める。
    テーブルの真ん中にドンと置かれたスイカにズブズブとナイフが挿入されていく。
    赤い果汁が溢れ出る。鼻腔をくすぐるような甘い香りがリビングに広がった。

    前後にゆっくりとナイフを抜き刺ししながら切り進める。

    ナイフを動かす度にスイカの切り口からジュビジュビと果汁が溢れ、
    ナイフの柄を握るリンの手を伝い、テーブルに敷かれたビニルシートへ滴り落ちていく。

    スイカを切り裂こうとするナイフの動きが徐々に早くなり、果汁の出方も激しくなる。

    しかし、リンの手の動きが止った。まだスイカは二つに割れていない。

    リンルミエリカの方を向き、小さな舌をチロりと出して、イタズラっぽく微笑む。
    そのあざとくも小悪魔的な表情に、ルミはちょっとドキりとさせられた。


    じれったいわね!
     スイカなんだから、スパッと切りなさいよ! スパっと!


    スイカを食べる気まんまんだったエリカが、ポニーテールを逆立てんばかりに怒鳴る。

    咽が渇いてるんだから! あたし、焦らされるの大っ嫌いなの!
     かなり苛立っている。

    ルミも全く同感だ、早く切ってよと思った。

    アハ、じらしてたの、バレちゃいましたぁ
     リンがしれっとそうのたまった。

    ええっ、バレちゃいましたって?
     リンちゃん、訊いてもいないナイフの解説とか、ちんたら切ってたのってワザっだたのか
     なかば呆れ気味に怒るルミ

    早く切んなさい!
     エリカのチョップがリンの脳天に落ちた。

    ようやくスイカが半月状に切り分けられ、みなに配られた。

    はい、エリカさんどうぞ、『大中すいか』ですゥよ

    いただくわ

    エリカが手渡されたスイカをひとかじり。
    うん、甘いわね

    ルミもかじってみた。シャコっと心地よい食感、ジューシーな果汁。
    美味しい、時期が早いので、ルミにとっては、これが初物だった。

    ね、じらされると余計に美味しいでしょう
    そう言って、得意気な表情をするリン

     いや、焦らされなくても、甘いものは甘いぞと思いながら、
    ルミはシャコシャコとスイカを頬ぼった。

     甘く、冷たく、美味しい。 大はしゃぎした長風呂の後だけに、渇いた喉に染み渡る、
    待たされた分だけ美味しく感じるってのも、少しはあるのかも知れない。

    スイカを頬ぼる三人。スプーンで穿るのではなく、かぶりついている。

    リンは顔をスイカに埋めんばかりに噛りつき、とてもセレブなお嬢様の食べ方には見ない。
    お嬢様はベタベタになった口の周りを時折、腕で拭いながらスイカにかぶりついている。

    赤い汁が少女の白い咽を伝って、鎖骨の辺りまで垂れている。
    せっかくお風呂に入ったのに台無しである。

    このまま外のテントで寝たりしたらカナブンにキスされてしまいそうだ。

    さすがに寝る前にもう一度シャワーを浴びてスイカの汁を洗い流すことに。


    一応、三人はキャンプをしに来ているので、外のテントで寝ることにしている。

    リンもワンピースのお洒落着から、ルミたちと同じようにTシャツとジャージに着替えた。

    エリカが ご自慢の細い脚に 美容液やら 虫除けやらを 入念に塗ってお手入れしている間、
    ルミはリビングのカウチソファーチに並んで座った。

    リンルミの隣に腰を降ろすと、肩を擦り寄せるようにして、にじり寄った。
    そして、ほんのり赤らめた顔を両手で包むように押さえながら恥かしそうに。

    ルミちゃん、あのですゥねえ …… さっきお風呂でエリカお姉様が ……

    ん? エリカさんがどうしたの

    そのう …… うちの …… 女の子の ……

    女の子の?

    大事な所を触ってきたのですゥよ

    …… 知ってたよ

    ええっ、ルミちゃん知ってたですウか!

    一緒に入ってたもん。丸見えだよ

    ……

     どうやら、エリカの思いがけない行動に リンは周りが見ないくらい
    気が動転していたようだ。

    そ、それでですゥね。エリカお姉様は指で …… うちの ……

    指で何? 大事な『生牡蠣ちゃん』に突っ込まれでもしたの?

     ルミはキツネのような意地悪な目つきで、リンの肩を肩で小突きながらからかった。

    『生牡蠣ちゃん』って! エロい同人誌みたいな言い方しないでほしいですゥ

     耳まで真っ赤になるリン

    アハハ、からかってゴメン、ゴメン

    本当、うちは百合属性は ないのですゥよ。
     うちがエリカお姉さまを好きって言うのは、恋愛対象とかじゃなくって、
    身を挺して助けてもらったこととかあ、実の姉のように慕う気持ちっていうか……
    尊敬 …… そう尊敬しているのですゥ

     心内のもどかしさを上手く言えない彼女は、最後に尊敬という語彙を搾り出した。

    ふ~ん、わたしも一緒だよ。 エリカさんのこと尊敬してる

    ルミちゃんは 前にお姉様と抱き合ってたじゃないですか、うち知ってるんですゥよ

    あああ、あれは違うよ
    誤解を解こうと慌てて否定するルミ

    いいんですゥ。うちはお二人の関係を邪魔する気はありません

    違う ゆうてるやろ!

    うちに百合っ気は、ないのですゥよ。
    でも、もし、お姉様から求められたら、それを拒む勇気がないですゥ。
    だから、その時はルミちゃんに許してほしいのですゥよ

    リンが赤く染った頬を両手で挟み、悶絶気味に首を激しく振る。

    リンちゃんって、一旦、妄想が暴走すると止らないんだね。コスプレイヤーの性なのか?

     呆れたルミは苦笑いをするしかなかった。


    庭先とはいえ、リンの家の周りは畑や田んぼなので、暗くなると食用ガエルが
    ブモォー、ブモォーと低い声でやかましく鳴きたてる。

    テントは露店級の大きなタープの下に設営してある。

    テントの中に入ってから、足から寝袋に潜り混み、ミノムシのようになって寝転ぶ。

    しばらくは今日の出来事なんかをキャッキャッとお喋りしていたが、
    昼間に慣れない肉体運動をしたせいか、直ぐに眠りに落ちた。

    静まりかえるテント。しかし、直ぐに。

    ズゴゴゴゴッ、ゴゴゴゴッゴーーッ

    狭いテントに爆音が響き渡った。

    ルミエリカと顔を見合わせながら。

    すっかり忘れていたよ、リンちゃんのハイパーなイビキを!

     あまりの大イビキにルミ思った。

    萌っ娘は食用ガエルの鳴き競っているのか? カエルの方がまだお上品で静かだぞ。
    幸せそうに大きく口を開けて眠ってるなあ。
    その大口径スピーカーに何か詰め込んでやろ
    うか …… そんな度胸はないけど


    ルミエリカはテントにリンを独り置き去りにして、リビングで寝ることにした。
    ふかふかの絨毯の上に寝袋でくるまっているルミが、カウチソファに
    寝転んでいるエリカに話しかける。

    エリカさん、さっきリンちゃんが言ってたよ。
     お風呂でエリカさんに大事なところをまさぐられて、誘われているって

    ああ、男の子かどうか確かめてたこと 

    エリカさん、リンちゃんの『生牡蠣ちゃん』に指まで入れたの?

    『生牡蠣ちゃん』? 指?

     やや遅れて『生牡蠣』の意味が解ったエリカは、カウチソファから寝袋に入ったまま
    転がり降りてきて、腕を伸ばし、ルミの頭に手刀を打ちこんだ。

    このすけべ!

    痛いなあ、もう。冗談だって

    あんたの『生牡蠣』を裏返しにするわよ

    そんなプレイはイヤです

     口の減らないルミに、エリカは寝袋の足の方をドンとルミの寝袋に乗せた。

    グヘッ、リンちゃんはわたしとエリカさんが百合だと勘違いしてるよ

    あら、違ったの?

    ええっ、……逆にからかれただけかあ

     

     外では相変らず、リンのイビキと食用ガエルの鳴き声が協奏している。

     ルミは翌朝のことを考えつつ眠りについた。
    リビングに寝袋を二つ並べて寝ている光景をリンが見たら、
    また、ふたりの関係を勘違いするに違いない。
    それにテントにリン独りを置き去りにした事も怒るだろう。
    何しろ、リン自身は、イビキをかいている自覚など全くないのだから。

                     (つづく)
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    ********
    本年、最後のうpとなりましたが、いかがでしたでしょうか?
    来年はバトル中心でリンがメインの章に突入、お楽しみに。(SonicVoice)
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  • 『コスプレ少女』新装版 185-188頁        ★お風呂タイム③

    2016-12-18 17:49
    ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。
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    【連載小説 コスプレ少女】 今までのあらすじ

    コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
    三人は リンのセレブな邸宅のゴージャスなお風呂を楽しむ……

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    07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
    再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
    設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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    【登場人物紹介】                
     主人公の本田ルミ
    この春、中学生になったばっかりの女の子。
    ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレをきっかけに
    コミュ障からリハビリ中。
     ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
    「賢者のルミ」のコスプレイヤー。   



    イメージイラストは はじめとみかん様提供。

                       
                        滝沢エリカ
    ポニーテールにティアラを着けた「エリカ姫」

    コスプレイヤーで中学三年生。
    イジメにあって、リストカットした過去がある
    ちょっとワケありの美少女。

    ルミをダンス動画作りに誘う。







                        白銀(しろがね)リン
    ルミ
    がイベント会場で出会ったベレー帽が
    トレードマークの萌え可愛い女の子。
    本名は坂本サキ

    「天使のリン」をイメージしたオリジナルコスプレイヤー。
    実は狂犬サキの異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

     
    イメージイラストは ゐてぃ様提供。

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     当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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       185-188頁目です。

    リンがクリーミーなシャボンのスポンジで、エリカの背中をリズミカルに洗う。

    湯船にいるルミからは、リンの小さなお尻が目の当たりだ、
    白いお尻が背中を洗う動きに連動してプルプルと揺れている。

    上手ねえ、スゴく気持ちいいわ
    エリカがそう言って、気持ちよさそうに目を細める。

    いつも、パパの背中を流してるからですゥ
    さも当然という風に話すリン

    ええっ! お父さんの背中を?
    驚くエリカ。コスプレではロリキャラを売りにしている白銀リンだが、
    彼女は もう中学一年生だからだ。

    子供が親の背中を流すのは、当たり前のことですゥ

    まさか、お風呂も一緒に入っているとか?

    もちろんですゥ、一緒に入ってるですゥよ。
    小さい時からずうっと『洗いっこ』してるの
    ですゥ~

    洗いっこって! 恥ずかしくないの?

    恥ずかしい? だって 家族同士ですゥよ?

     キョトンとするリンわたし何かおかしな事を言ったかしら? という表情だ。

    二人の会話を湯船で聞いていたルミは、湯に浸りながら子供の頃を思い起こす。
    家族、そう言えば血の繋がった家族なのに、
    父親に裸を見られて恥ずかしいと感じ出したのは、いつからだろう? 

    小学校四年生くらい?

    父親と自分とは『性』が違うのだと意識し始めたのが、多分そのくらいだっただろう。

     リンは今の父親と幼い時から一緒に暮らしているが、は全く繋がっていない。

     母子家庭で 実の父親を知らないリン

    母親を早くに亡くしている彼女にとって、義父は『異性』であるというより
    『親』であるという意識の方が強いのかも知れない。

    の繋がっていない父親と中学一年生の娘、
    微妙なこの親子は、実の親子以上に『親子』である事を大事に思っているのだろう。

    こんな可愛い娘に背中を流してもらえて、リンの父親は さぞかし幸せなことだろう。

    そんな幸せを邪魔しては悪い、ルミは心の中でエリカが これ以上『洗いっこ』のことについて掘り下げないようにと願った。


    エリカの背中を流し終えたリンが、今度は自分の体を洗いにかかった。

    風呂イスは使わず、エリカの後ろでペタンと座ると、胸からスポンジを滑らせた。
    起伏こそないが、その上半身はローマの彫像のように滑らかで美しい。

    その様子をルミは、湯船からジッと観察していた。
    シャボンで包まれた白い肢体、時折伸ばす細い腕は
    宗教画にある天使の白い羽根のように見えた。

    そう、裸のリンはまさしく天使そのものだ。
    すっかり見とれてしまいのぼせそうになる。

    ルミはバスタブに手をかけると、ホラー映画で テレビ画面から女幽霊が出てくる
    有名なシーンみたいに、四つん這いになって揚がってきた。

    そして、ペタン座りしている天使の背後からのしかかるように抱きつきにいった。

    リンちゃ~ん

    な、なんですかルミちゃん! ちょっと重たいですゥよ

     ルミがシャボンの着くのも構わず、リンの背中にのぼせた体をピッタリと重ねる。

    うひゃあ、リンちゃんの体って気持ちいいなあ

     そう言って体を上下にすりすりして、リンの肌の感触を楽しむルミ

    ルミちゃん、離れてほしいですゥ。 うち、これからシャンプーするですゥよ!

     嫌がられてもルミは離れようとはしない。
    それどころかリンの肩に顎を載せて、脇から伸ばした手で胸をまさぐりだした。

    あわわ、うちの胸になにセクハラしてくれてるですゥか!

     リンは軽く肘打ちをして逃げようとしたのだが、ピッタリと背中にくっつかれているので
    全然ルミには効いていない。

    いや~、育ち具合が気になって

    ムウ! ルミちゃんだって変わんないじゃないですゥか!
     頬っぺを膨らませて怒るリン

    そうそう、わたしとおんなじだよ、同志!

    ん~ん、ちっとも嬉しくない同志ですゥ~

     カエルの交尾のように体をくっつけてじゃれ合っているルミリン
    そこへシャンプーを流
    し終えたエリカが、二人の頭の上からシャワーの冷たい水を浴びせた。

    キャーっ

    アハハハ

     同時に転がる二人を見て、大笑いする悪戯なエリカ

    リンちゃん、エリカさんにやり返そう

    おう!

     二人の逆襲が始まった。

    冷水シャワーで応戦したり、エリカの胸を触ったりと、大理石に囲まれたゴージャスな浴室に破廉恥な悲鳴が響きわたった。

    そんな賑やかなお風呂タイムも終わって、三人はバスタオルとドライヤーで体を乾かす。
    まだキャンプは続いている、今晩は庭に張っているテントの中で寝るのだ。

    だから、ルミエリカはTシャツとジャージに着替えた。

    何だか修学旅行に来ているみたいですね

    そうねえ

    そんな感想を話している二人の前にリンがお洒落なミニのワンピース姿で現れた。

    昼間のレンジャー隊員みたいなアウトドアした格好から一変、
    胸に飾りリボンの付いた水色のノースリーブ、清楚かつキュートで
    別荘地のお嬢様を絵に描いたようなコーディネートだ。

    わあお! 凄く可愛いよ。でもリンちゃん、その格好で寝るの?」 

    コレは部屋着なのですゥ。テントで寝る時は、また着替えますですゥよ
     そう言って、短いスカートの裾をちょっと摘んでくるっと廻ってみせる。
     廻った勢いで彼女の柔らかな髪もふんわりと肩に舞い降りる。

    そ、そうか。寝るまでの僅かな時間でも服装に拘るなんて、お洒落さんは違うなあ

     天使のような萌少女とは別に、狂犬との異名まである喧嘩猛者の白銀リン
    天使と狂犬という両極端な顔を持つミステリアスな子だ。


    お風呂上りは咽が渇く。リンが大きなスイカを一玉、胸に抱えて持ってきた。

    あら、気が利くわねえ。 あたし、スイカは大好きよ

     エリカ細い指先で愛しげにスイカを弄りながら、貼られている産地ラベルに
    『大中すいか』と書かれていることに気がついた。

    だいちゅうすいかって何? サイズがブランドなの?

    違いますですゥ。


    コレは、だいなか(大中)って読むですゥよ。

    近江八幡市にあるスイカの産地ですゥ

    聞いた事ないわねえ、スイカって言えば、
    鳥取産とか、熊本産とかはよく見るけど、
    滋賀県の隠れブランドなのかしら? 

    ルミ、あんた知ってた?

    んにゃ、知らな~い。ずっと京都に住んでるけどさあ、滋賀県産のスイカ自体を
    見かけた覚えがないんだけど

    ルミは首をすくめて、そう答えた。

    失礼な! 食べてみたら分かるですゥよ

     地元滋賀県愛の強いリンが憤慨する。

     ビニルシートを敷いたテーブルに、ドンっとスイカを置いて、切る準備をする。

     そして、持ち出してきた包丁は …… ごついサバイバルナイフだった。

    それは昼間、ウサギの首を撥ねた時に使っていたのとは違う、
    刃渡りだけでTVのリモコンくらいもある大きなナイフだった。

    それで切るんかい! 露店級のタープ買うくらいなら、西瓜包丁だって用意しとけよ!
    そうルミは心の中だけで激しく突っ込んだ。
    うっかり口に出したら、刺されそうな気がしたからだ。

    昼間見たウサギの首ギッチョン、ルミにとって一生もののトラウマになりそうだった。

    テーブルの中央にボーリング玉のようにドンと置かれた滋賀県産の『大中すいか』
    リン『さあ、切るぞ』という感じでノースリーブのワンピースを着ているのに、
    腕まくりするような仕草をした。

    リンちゃん、無い袖は、まくれないよ

     ルミの茶々にチロリと舌を出して照れ隠しの愛想を浮かべるリン

    その愛らしさとは不釣合いなごついサバイバルナイフ彼女の小さな手に握られている。

    えーとですねえ。このナイフは映画でも有名になった
    アメリカ特殊部隊が愛用しているタイプのレプリカなのですゥ~

    誰もナイフの説明なんか訊いてないわよ。 早く切ってくれないかしら
     そう言って、エリカリンのナイフ講釈をバッサリ切って捨てた。

     エリカは長い黒髪を頭の後ろで束ね、口に咥えていた輪ゴムで
    髪をクリンクリンと二回潜らせると、たちまちいつものポニーテールに結い上げて、
    食べる身支度をした。
    好物のスイカを食べる気まんまんだ。

     テーブルに置かれたスイカに刀身の厚いサバイバルナイフが突き刺された。

                    (つづく)

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