『コスプレ少女』新装版 189-192頁        ★萌っ娘は食用ガエルと鳴き競っているのか?
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『コスプレ少女』新装版 189-192頁        ★萌っ娘は食用ガエルと鳴き競っているのか?

2016-12-31 13:42
    ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。
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    【連載小説 コスプレ少女】 今までのあらすじ

    コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
    三人は リンの家の庭先でキャンプを楽しむのだが……

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    07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
    再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
    設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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    【登場人物紹介】                
                     人公の本田ルミ

    この春、中学生になったばっかりの女の子。
    ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレをきっかけに
    コミュ障からリハビリ中。
     ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
    「賢者のルミ」のコスプレイヤー。   



    イメージイラストは はじめとみかん様提供。

                       

                        滝沢エリカ
    ポニーテールにティアラを着けた「エリカ姫」の

    コスプレイヤーで中学三年生。
    イジメにあって、リストカットした過去がある
    ちょっとワケありの美少女。

    ルミをダンス動画作りに誘う。







                     白銀(しろがね)リン
    ルミがイベント会場で出会ったベレー帽が
    トレードマークの萌え可愛い女の子。
    本名は坂本サキ

    天使のリンをイメージしたオリジナルコスプレイヤー。
    実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

     
    イメージイラストは ゐてぃ様提供。

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     当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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       189-192頁目です。

    リンナイフを握る手に力を込める。
    テーブルの真ん中にドンと置かれたスイカにズブズブとナイフが挿入されていく。
    赤い果汁が溢れ出る。鼻腔をくすぐるような甘い香りがリビングに広がった。

    前後にゆっくりとナイフを抜き刺ししながら切り進める。

    ナイフを動かす度にスイカの切り口からジュビジュビと果汁が溢れ、
    ナイフの柄を握るリンの手を伝い、テーブルに敷かれたビニルシートへ滴り落ちていく。

    スイカを切り裂こうとするナイフの動きが徐々に早くなり、果汁の出方も激しくなる。

    しかし、リンの手の動きが止った。まだスイカは二つに割れていない。

    リンルミエリカの方を向き、小さな舌をチロりと出して、イタズラっぽく微笑む。
    そのあざとくも小悪魔的な表情に、ルミはちょっとドキりとさせられた。


    じれったいわね!
     スイカなんだから、スパッと切りなさいよ! スパっと!


    スイカを食べる気まんまんだったエリカが、ポニーテールを逆立てんばかりに怒鳴る。

    咽が渇いてるんだから! あたし、焦らされるの大っ嫌いなの!
     かなり苛立っている。

    ルミも全く同感だ、早く切ってよと思った。

    アハ、じらしてたの、バレちゃいましたぁ
     リンがしれっとそうのたまった。

    ええっ、バレちゃいましたって?
     リンちゃん、訊いてもいないナイフの解説とか、ちんたら切ってたのってワザっだたのか
     なかば呆れ気味に怒るルミ

    早く切んなさい!
     エリカのチョップがリンの脳天に落ちた。

    ようやくスイカが半月状に切り分けられ、みなに配られた。

    はい、エリカさんどうぞ、『大中すいか』ですゥよ

    いただくわ

    エリカが手渡されたスイカをひとかじり。
    うん、甘いわね

    ルミもかじってみた。シャコっと心地よい食感、ジューシーな果汁。
    美味しい、時期が早いので、ルミにとっては、これが初物だった。

    ね、じらされると余計に美味しいでしょう
    そう言って、得意気な表情をするリン

     いや、焦らされなくても、甘いものは甘いぞと思いながら、
    ルミはシャコシャコとスイカを頬ぼった。

     甘く、冷たく、美味しい。 大はしゃぎした長風呂の後だけに、渇いた喉に染み渡る、
    待たされた分だけ美味しく感じるってのも、少しはあるのかも知れない。

    スイカを頬ぼる三人。スプーンで穿るのではなく、かぶりついている。

    リンは顔をスイカに埋めんばかりに噛りつき、とてもセレブなお嬢様の食べ方には見ない。
    お嬢様はベタベタになった口の周りを時折、腕で拭いながらスイカにかぶりついている。

    赤い汁が少女の白い咽を伝って、鎖骨の辺りまで垂れている。
    せっかくお風呂に入ったのに台無しである。

    このまま外のテントで寝たりしたらカナブンにキスされてしまいそうだ。

    さすがに寝る前にもう一度シャワーを浴びてスイカの汁を洗い流すことに。


    一応、三人はキャンプをしに来ているので、外のテントで寝ることにしている。

    リンもワンピースのお洒落着から、ルミたちと同じようにTシャツとジャージに着替えた。

    エリカが ご自慢の細い脚に 美容液やら 虫除けやらを 入念に塗ってお手入れしている間、
    ルミはリビングのカウチソファーチに並んで座った。

    リンルミの隣に腰を降ろすと、肩を擦り寄せるようにして、にじり寄った。
    そして、ほんのり赤らめた顔を両手で包むように押さえながら恥かしそうに。

    ルミちゃん、あのですゥねえ …… さっきお風呂でエリカお姉様が ……

    ん? エリカさんがどうしたの

    そのう …… うちの …… 女の子の ……

    女の子の?

    大事な所を触ってきたのですゥよ

    …… 知ってたよ

    ええっ、ルミちゃん知ってたですウか!

    一緒に入ってたもん。丸見えだよ

    ……

     どうやら、エリカの思いがけない行動に リンは周りが見ないくらい
    気が動転していたようだ。

    そ、それでですゥね。エリカお姉様は指で …… うちの ……

    指で何? 大事な『生牡蠣ちゃん』に突っ込まれでもしたの?

     ルミはキツネのような意地悪な目つきで、リンの肩を肩で小突きながらからかった。

    『生牡蠣ちゃん』って! エロい同人誌みたいな言い方しないでほしいですゥ

     耳まで真っ赤になるリン

    アハハ、からかってゴメン、ゴメン

    本当、うちは百合属性は ないのですゥよ。
     うちがエリカお姉さまを好きって言うのは、恋愛対象とかじゃなくって、
    身を挺して助けてもらったこととかあ、実の姉のように慕う気持ちっていうか……
    尊敬 …… そう尊敬しているのですゥ

     心内のもどかしさを上手く言えない彼女は、最後に尊敬という語彙を搾り出した。

    ふ~ん、わたしも一緒だよ。 エリカさんのこと尊敬してる

    ルミちゃんは 前にお姉様と抱き合ってたじゃないですか、うち知ってるんですゥよ

    あああ、あれは違うよ
    誤解を解こうと慌てて否定するルミ

    いいんですゥ。うちはお二人の関係を邪魔する気はありません

    違う ゆうてるやろ!

    うちに百合っ気は、ないのですゥよ。
    でも、もし、お姉様から求められたら、それを拒む勇気がないですゥ。
    だから、その時はルミちゃんに許してほしいのですゥよ

    リンが赤く染った頬を両手で挟み、悶絶気味に首を激しく振る。

    リンちゃんって、一旦、妄想が暴走すると止らないんだね。コスプレイヤーの性なのか?

     呆れたルミは苦笑いをするしかなかった。


    庭先とはいえ、リンの家の周りは畑や田んぼなので、暗くなると食用ガエルが
    ブモォー、ブモォーと低い声でやかましく鳴きたてる。

    テントは露店級の大きなタープの下に設営してある。

    テントの中に入ってから、足から寝袋に潜り混み、ミノムシのようになって寝転ぶ。

    しばらくは今日の出来事なんかをキャッキャッとお喋りしていたが、
    昼間に慣れない肉体運動をしたせいか、直ぐに眠りに落ちた。

    静まりかえるテント。しかし、直ぐに。

    ズゴゴゴゴッ、ゴゴゴゴッゴーーッ

    狭いテントに爆音が響き渡った。

    ルミエリカと顔を見合わせながら。

    すっかり忘れていたよ、リンちゃんのハイパーなイビキを!

     あまりの大イビキにルミ思った。

    萌っ娘は食用ガエルと鳴き競っているのか? カエルの方がまだお上品で静かだぞ。
    幸せそうに大きく口を開けて眠ってるなあ。
    その大口径スピーカーに何か詰め込んでやろ
    うか …… そんな度胸はないけど


    ルミエリカはテントにリンを独り置き去りにして、リビングで寝ることにした。
    ふかふかの絨毯の上に寝袋でくるまっているルミが、カウチソファに
    寝転んでいるエリカに話しかける。

    エリカさん、さっきリンちゃんが言ってたよ。
     お風呂でエリカさんに大事なところをまさぐられて、誘われているって

    ああ、男の子かどうか確かめてたこと 

    エリカさん、リンちゃんの『生牡蠣ちゃん』に指まで入れたの?

    『生牡蠣ちゃん』? 指?

     やや遅れて『生牡蠣』の意味が解ったエリカは、カウチソファから寝袋に入ったまま
    転がり降りてきて、腕を伸ばし、ルミの頭に手刀を打ちこんだ。

    このすけべ!

    痛いなあ、もう。冗談だって

    あんたの『生牡蠣』を裏返しにするわよ

    そんなプレイはイヤです

     口の減らないルミに、エリカは寝袋の足の方をドンとルミの寝袋に乗せた。

    グヘッ、リンちゃんはわたしとエリカさんが百合だと勘違いしてるよ

    あら、違ったの?

    ええっ、……逆にからかれただけかあ

     

     外では相変らず、リンのイビキと食用ガエルの鳴き声が協奏している。

     ルミは翌朝のことを考えつつ眠りについた。
    リビングに寝袋を二つ並べて寝ている光景をリンが見たら、
    また、ふたりの関係を勘違いするに違いない。
    それにテントにリン独りを置き去りにした事も怒るだろう。
    何しろ、リン自身は、イビキをかいている自覚など全くないのだから。

                     (つづく)
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    本年、最後のうpとなりましたが、いかがでしたでしょうか?
    来年はバトル中心でリンがメインの章に突入、お楽しみに。(SonicVoice)
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    ★初めて読まれた方は、1頁目からどうぞ
    http://ch.nicovideo.jp/sonicvoice/blomaga/ar858417

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