• ぴーちゃんを思い出して書く

    2018-05-01 00:01

    ちょうど1年前、コザクラインコのぴーちゃんが旅立ちました。

    もともと職場で保護した迷子で、警察に届け出たりしたものの結局飼い主が現れず私が引き取って一緒に暮らし始めた子でした。うちに来て12年半、引き取ったときには成鳥らしい姿になっていたので、実際の年齢はもう少し上なのだと思います。
    ぴーちゃん、というありふれた名前は「そのうち飼い主のひとが名乗り出るだろう。本当の名前は別にあるのだと思う。私が凝った名前をつけるのは何か違うよね」と思い、仮の呼び名としてつけたものです。

    本当に人懐っこい、賢くて温和な子でした。
    会社から私が帰ってくる時間になると自転車の音を聞き分けて待ち構えたり、「当然来るべきものが期待通りに来た、それを早くちょうだい」と「期待以上、うれしい、ありがとう」の微妙なニュアンスの違いを使い分けていたり。


    目を開いているときは正面を向き、いつも通りまっすぐ飛べるのに、眠るとじわじわと首が真上を向く。
    なんか変だよね、予約をとってお医者さんに連れて行こうということになりました。
    予約を入れた日の午前、ぴーちゃんは激しい痙攣に襲われました。
    病院に連絡したら、急遽予約より早い時間に診てもらえることになりました。
    来院してすぐ、先生の見事な手さばきで鎮静剤を打たれ、痙攣は収まりました。
    痙攣している子をレントゲンにかけるわけにはいかないので問診から推定するんだけど、腎臓や肝臓が原因じゃなくて脳に原因がある可能性が高いですね、とのこと。

    家に帰ってきたぴーちゃんは力なくべったりと平べったくなって眠り続けました。
    目を覚ますとちょっとだけシード食を食べ、私の手に乗りたいと要求してきたり、次は妻の手に乗りたいと身振りで伝えてきたり。

    あるとき、私の手に乗せていたら突然手の上で這い始め、手から飛び立とうとして落ちました。
    ごめん、痛くなかった?何がしたかったの?…と言いながら手に載せ直したとき、ふと思いました。
    ああ、この子は飛びたいんだ。
    両手に載せて、家の中を一周しました。リビングを、キッチンを、寝室を。
    ぴーちゃんは目を輝かせて前を向き、家を一周したところで満足したのか、再び眠りにつきました。

    5月1日の朝。この日は診察予約が入っています。
    私は出勤し、妻が朝9時の予約に合わせてぴーちゃんを連れて行くことになっていました。
    出勤前、ぴーちゃんは好物だった小粒ひまわりを一粒食べました。
    ちゃんと殻も割れるんだね。上手い上手い。
    …それがぴーちゃんの最後の食事になりました。

    結局病院には生きてたどり着くことはできませんでした。
    キャリーケースに入れ、妻が運転する車で病院に向かっていました。
    運転中にわき見するわけにはいかないけれど、せめて自分がそばにいることをぴーちゃんに伝えたい。そこで日頃キッチンでぴーちゃんに聞かせていた歌を全部ひと通り歌っていたそうです。


    病院にたどり着いて、妻はぴーちゃんを先生に見せました。

    いまちょっと動きましたが、これは死後硬直が始まった段階なんです。
    (目を軽く撫でて閉じさせ)この子を今から少し預からせてもらえませんか?
    拭き清めてあげたいと思うのですが。

    ぴーちゃんは美しく毛並みを整えられて戻ってきました。
    今日は診察をしなかったので、診療費はいただきません、と。

    会社から帰ってきたら、ぴーちゃんはテーブルの上に敷かれたハンカチの上に横たわっていました。

    その周りは、小さくて可愛い花が飾られていました。
    きっとこの子は、こんな可愛い花がいっぱい咲く美しい安らかな場所に行けるのだろう、そう願い信じました。


    ぴーちゃんは、このたわいもない日常を心底愛し、喜んでいたのでしょう。
    いつもなんだか嬉しそうにしている姿が心に残っています。
    そして最後の3日間、ひとつひとつ噛みしめるように、この世の思い出を作るように、不自由なりに自分が好きだった習慣を繰り返そうとしていました。
    この日常生活は大切にする価値があるよ、そう教えてくれたような気がします。


    今でも思います。
    あの子はどこに行ってしまったのだろう、って。
    物理的制約から解き放たれて自由自在な夢をみているのでしょうか、それとも夢さえ見ないほどの深い熟睡に身をゆだねているのでしょうか。どちらにしても、ぴーちゃんが安らかな境地にあるようにと、今でも案じています。


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  • オムロンの温度調節器を使ってみた

    2018-01-21 23:49
    こんな動画を投稿しました。


    この動画ではコザクラインコのおうちを保温する用途に使いましたが、制御対象が発酵器でも燻製器でもオーブントースターリフロー炉でも、温度調節器はいろいろ応用が効く機器だと思います。

    今回はリニア出力タイプの温度調節器を購入したので、電流伝送→PWM変換回路→ゼロクロスSSR駆動なんて基板を追加制作していますが、最初からSSR駆動用電圧出力を備えた温度調節器を買えば基板まるごと1枚不要になります。
    オムロンで言えば、品番に「Q」のつく奴がSSRを駆動できるタイプになります。
    (リレー出力は「R」、リニア電流出力は「C」)

    本製作で採用したサイクル制御は、熱しにくく冷めにくい制御対象をニクロムヒータで加熱する用途に適します。しかし熱応答が速い対象物では温度が小刻みに震えるという問題が発生するかもしれませんし、ハロゲンヒーターなど冷えた状態で抵抗値が極端に小さくなる負荷では突入電流が繰り返し襲ってくる状況に陥るためサイクル制御が使えないことがあります。
    そんなときは位相制御を検討した方がよく、それならリニア電流出力の方が使いやすいとは思います。

    筐体内部の結線はこうなっています。



    自作基板の回路図は下記の通りです。



    1個のLM358でPWM変換(三角波発生と入力信号との比較)、フォトトライアックの駆動を賄うことができます。キャリアの発振周波数を2~3Hzくらいの低周波にしておくと、ゼロクロスSSRを駆動したときにサイクル制御としてふるまいます。
    センサとしてLM35を使うことも視野に入れていたので、シャントレギュレータで+5Vを生成する回路も入れておきました。

    温度調節器に接続するセンサですが、熱電対は筐体にコネクタを設けようとすると専用コネクタと補償導線で引き回さなくてはならず、その点では大変気難しいセンサであるといえます。
    白金測温体(Pt100)は幾分その点が改善されますし高精度ですが、それでもやっぱり配線抵抗を意識して引き回す必要があり、センサ自体も安価なものは今ひとつ信用しかねるという問題があります。
    温度調節器が電圧入力に対応している、温度範囲0~100℃程度で浸水しない、特に室温付近で精度を出したいという条件で使うなら、LM35がコストパフォーマンスに優れた選択になると思います。Dグレードでよければ秋月で安く買えますし、Cグレードもマルツで売ってます。

    PID制御と出力連続制御の組み合わせだとヒーター表面温度が極端に上がらないので、長時間接触しても低温やけどの原因にはなりにくく、そこは作ってよかったかなと思います。

    ペット用としては、センサーをかじられても破損しない、もし破損しても強い毒性を有しないということも大切。でも厳重に保護し過ぎるとセンサーの温度応答が悪くなるので結構悩ましいところです。でもやっぱりセンサーかじって健康を害するようなことは絶対防がないといけませんよね。



  • 蛍光管形LEDランプ点灯回路、変更の要点

    2017-06-19 23:25
     さて、LTspiceでシミュレーションしたとされる回路と実際の回路はいろいろと相違があります。シミュレーションや実際の製作であまりよくなかったところを直した結果ですが、忘れないようにここに書いておこうと思います。

    ↓初期段階、LTspiceで検討した回路


    ↓問題を潰しながらたどり着いた回路




    ・定電流電源は出力開放時に電圧が異常上昇する
     定電流出力の電源ってのは負荷電流が流れなくなると厄介で、出力電圧が際限なく上昇します。D2,D3が降伏するような高い電圧に達したときにはNE555にリセットをかけて電圧上昇を止める細工をしておきました。

    ・CONTROL(CV)端子にはコンデンサが必要(C7、3900pF)
     コンデンサがないとこの端子の電圧波形は0V⇔2/3VCCの間で振動する矩形波になります。一応それでもそれっぽく動くといえば動くのですが管電流が想定を下回り、この電流値に決まった経緯が今ひとつよくわからないという現象に見舞われます。
    コンデンサを入れることによってリップル成分を減衰させるとCV端子は比較的リニアに変動するようになり、電流制御が安定します。でもこのコンデンサの静電容量が大きすぎると異常発振を呼び出力電流がフラフラと揺れ始めるのでほどほどに。

    ・インダクタ(L1)を小型にしようとすれば発熱する?
     当たり前といえば当たり前なんですけどね。
     最初はTSL1315RA-680K3R0 (68uH、4.8A/3.0A)を使うつもりでいました。100kHz程度のキャリア周波数でデューティ比は85%以下で駆動する設計。シミュレーションではインダクタ電流1.9±0.6Aとなり、一応問題なさそうな感じです。
    https://product.tdk.com/info/ja/documents/wdcatalog/leaded_inductor_tsl1315_ja.pdf
     それで実際動いたことは動いたのですが、インダクタもMOSFETも発熱します。インダクタの発熱はある程度想定していたので深刻ではないとしても、MOSFETが放熱板なしで触れないくらい熱くなるのは不満です。そこで1~2Wくらい損失が出ているってことですからね。
     NE555ではゲート駆動能力が不足するのかもしれないという仮説を立てて発振周波数を下げる対策をしてみました。L1のインダクタンスを大きくすれば周波数を下げても動作するようになるはず。
     インダクタをボントンで買ってきた330uHのトロイダルコイルに交換しました。詳細はわかりませんがTSL1315よりは図体が大きいので同等以上の電流は流せそうな気はします。
     
     結果。
     インダクタは触ってほんのり温かい程度になりました。
     MOSFETの温度は下がりましたが、未だ無視できないレベルで発熱します。
     NE555単独でも経験的に30kHzくらいは普通に駆動できそうな気がするので、原因は他にあるんじゃないかと思います。

    ・真犯人はダイオードだった
     これだよこれ。
     数十kHz~数百kHzで電流の方向が変化する部分なので高速で動作する必要があります。
     漫然と手持ちのUF2010を入れていたのですが、これがまずかったようです。
     データシート読み返してみたらちっとも速くないし。
     マルツで100V耐圧のSBD、30GHA10を買ってきて入れたらすっきり解決しました。