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中国の台頭で日本は得をする?!|THE STANDARD JOURNAL
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中国の台頭で日本は得をする?!|THE STANDARD JOURNAL

2014-07-18 10:54



    おくやまです。


    私が翻訳したルトワック本のタイトルは、

    「自滅する中国」ですが、これをまさにを地で行くかの如く

    中国は対外政策の分野で、見事な自爆っぷりを見せている・・・

    というのが今回のテーマです。


    皆さんも御存知の通り、

    南シナ海での紛争の直近の動きとしては、

    中国側がベトナムの海域に設置した石油の掘削リグを撤収した

    というニュースがありました。


    ▼China withdraws oil rig from waters

     disputed with Vietnam,but warns it could return

     | washingtonpost.com/


    (http://goo.gl/HRirDO)


    中国が興隆はどどまる所を知らず、

    周辺諸国と領土問題で、次々と摩擦を起こしています。


    日本とっては尖閣問題はもちろん

    懸案の歴史問題では、こともあらろうに

    韓国と共同してまでネチネチと責められ、

    国際的な日本のイメージを悪化させるようなことを、

    彼らは平然と仕掛けてきます。


    一見すると、このような状況は

    日本にとってあまり心地の良い状態とは言えませんが、

    実のところ、この一連の騒動の中で、

    日本はしっかり「利」を得えているのです。


    こんなことを言うと、

    「え?おくやまさん、また何を言い出すのですか!?」

    とツッコまれてしまいそうですが、

    たとえば今回の集団的自衛権の行使容認の件など、

    中国(と北朝鮮)という脅威の存在がなければ、

    安倍政権としても、ここまで強力に押し進めることは

    出来なかったはずです。


    日本の集団的自衛権容認については、

    あからさまに警戒感を示したのは中国と韓国だけで

    フィリピンとオーストラリアに至っては諸手を上げての賛成状態。

    それ以外の国々も、中立を装って実は賛成という形になっております。


    中国が大暴れし始めたことによって

    その周辺国では非公式な(反中)同盟が結成されてしまったわけで、

    これは戦略的に言えば、中国が最も避けるべき事態。


    しかし、日本にとっては、むしろ中国に、

    今後もずっと「鬼っ子」でいてもらったほうがいいのです。


    どうしてなのか?言えば、それは、

    堂々と「中国が悪い」という正論を主張できるチャンスがめぐってきた

    ということだからです。

    国際社会で、日本は中国に対して道義的に優位に立てるという

    とても有利な立場を"棚ボタ"的に手に入れたわけです。


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    中国が"傲慢に"増長したことによる、

    日本にとってのメリットはまだあります。


    ここで、読者の皆さんには、

    ほんの20年前ほど前の「冷戦の終結」という、

    世界史的な大事件のことを思い出してもらいたいのです。

    冷戦が終わった時に、何が起こったのでしょうか?


    そうです。ソ連の崩壊です。


    ソ連というのは戦後に「超大国のライバル」として、

    アメリカと世界中で覇権争いを演じておりました。


    ところが実質的には、冷戦期を通じて、

    アメリカのほうがパワーで上回っておりましたから、

    これをパワーの順位で単純に表すと、


    1位、アメリカ

    2位、ソ連

    3位、日本やEUなど


    という状態でした。


    さて、「リアリズム」の考え方の中でも極めて重要なのは、

    この「パワー」の順位を巡ってあらそわれる同盟関係の争い。

    要するに「サル山の論理」ということです。(笑)


    これをより具体的に言うと、


    「1位は常に1位であり続けるために、2位を叩き続ける」


    というものです。

    ボス猿はナンバー2の猿をいじめつづけるわけです。


    では、このときボス猿が何をするかというと、

    3位の他の猿たちと同盟関係を結んで、

    ナンバー2を挟み撃ちするのです。


    冷戦期の「日米同盟」などは、まさしくこの構造であり、

    日本は大きな利益を得ました。


    ところが冷戦が終わった直後から何が起こったかというと、

    ソ連の崩壊とともに順位表が変わってしまい、


    1位、アメリカ

    2位、日本

    3位、中国やEUなど


    という構造になってしまったのです。


    そして「1位は常に1位であり続けるために、2位を叩き続ける」

    というロジックがここでも発動するわけですから、

    実際には「アメリカによるジャパン・バッシング」が起こりました。


    2位である日本は、

    1位であるアメリカに警戒され、

    同盟国であったにも関わらず、痛めつけられたわけです。


    それはもう、"陰に陽に"さんざんイジメぬかれて、

    青息吐息な状況だったのが「失われた20年」。

    しかし2010年頃から

    状況が劇的に変化してきました。

    中国が日本を抜いて、GDPで世界第2位になってきたのです。


    1位、アメリカ

    2位、中国

    3位、日本


    こうなると、セオリー通りに、

    1位のアメリカは2位の中国のほうを警戒するようになり、

    3位の日本は、アメリカにとって

    より「求めらられる存在」になってきたわけです。


    現在の安倍政権は「↑いまここ」状態です。


    1位と(アメリカ)と3位(日本)は、

    2位(中国)を「共通の敵」と想定することになり、

    日本はアメリカの標的にされずに済みます。


    今の中国のような「ナンバー2」という立場は、

    戦略的に視ると、実はとても都合の悪いポジションなのです。


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    1位がダメなら3位になる・・・

    これは消極的な姿勢のようですが、

    「パワー・バランス」という観点から見た場合には、

    生き残りのための「現実的な」示唆を与えてくれるものです。


    日本をめぐる国際環境はますます厳しくなります。


    ある意味で、このようなゲーム的な観点で

    国家としてのポジショニングを考えてみる

    という発想も求められてくるようになるでしょう。


    国際政治という"ゲーム"において、

    国家の舵取りをするリーダーの役目とは何でしょうか?


    国家戦略の最上位階層にあるのは、

    「自国民の安全と財産を守る」ことです。

    リーダーは、他国を利するようなことをしてはならないのです。


    「戦略」を立案する上での「大前提」が3つあります。


    ・冷静であれ

    ・柔軟であれ

    ・常に選択肢をもて


    この前提を踏まえると、中国というのは、

    現在の日本にとって、2位になってくれる

    「ありがたい存在」。


    我が国のリーダーたちは、果たして、

    このような冷酷な考え方ができるでしょうか?


    ( おくやま )


    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
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