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記事 2件
  • “α-Synodos” vol.254(2018/10/15) 公共性と社会

    2018-10-15 10:12  
    262pt
    ○はじめに
    1.長谷川陽子「知の巨人たち――ハンナ・アーレント」
    2.岸本聡子「公共サービスを取り戻す」
    3.斉藤賢爾「ブロックチェーンってなあに?」
    4.山岸倫子「貪欲なまでに豊かさを追いかける」
    ○はじめに
    みなさま、こんにちは。すっかり秋、というよりも秋を飛ばして冬になるんじゃないか、というような肌寒い天候ですがいかがお過ごしでしょうか? αシノドス最新号をお届けいたします。
    最初の記事は法思想史・法哲学を専門とする長谷川陽子氏による「知の巨人たち」。今回はハンナ・アーレントを取り上げます。ハンナ・アーレントというと「アーレント産業」と呼ばれるほど、さまざまな分野からその業績が多角的に研究されています。日本でもたくさんのアーレント本が刊行されています。長谷川氏のエッセイは、そのいずれとも異なる独自なものとなっています。アーレントの初期著作『ラーエル・ファルンハーゲン』を取り上げ、この著作からアーレントの思想のエッセンスを紹介します。「昼と夜」とユダヤ性をめぐる思索は、アーレントの最重要概念である政治的公共性にまっすぐにつながっています。
    ついで、世界の水道事業に関する調査を行い、『Reclaiming Public Water(公共の水道を取り戻す)』を発行した岸本聡子氏へのインタビューです。水道やごみ処理、電気、鉄道、教育、医療などの公共的なサービスをどのように運営していくかは、社会政策を考えるうえできわめて重要です。民営化の問題点や、再公営化する際の動機、再公営化してどう変化するのかなど、公と民とのあいだで公共サービスを考えるためのヒントにしていただけると幸いです。
    最近、「ブロックチェーン」という言葉を耳にする機会が増えました。一種のバズワードだといってもよいと思います。しかしこの言葉、いったい何を意味しているのか? と問われて、きっちりとした答えを返せる人はあまりいないのではないでしょうか。そこで株式会社ブロックチェーンハブのCSOである斉藤賢爾氏にご解説いただきました。ブロックチェーンの説明の際に「金属の鎖」の比喩が出てきたら、その説明は怪しい可能性が高いとのことです。しっかりとした知識をぜひインプットしてください。
    最後は「今月のポジだし」。今回はソーシャルワーカーの山岸倫子氏にお願いしました。マスメディアでもネットでも、どうも社会というか、人間関係がぎすぎすするばかりのような気がします。他人のちょっとした瑕疵、あるいは違いを取り上げて、正義を掲げ、これ見よがしに叩こうとする振る舞いを見ていると、市民を巻き込んだ道徳的な警察化が進んでいるような感覚に陥ります。なぜこのような事態が生じているのでしょうか? そして、そのような不毛な事態から脱却するにはどうすればよいのでしょうか?  大切なのは「ねぎらいの言葉」ではないかと山岸氏は説きます。
    次号は11月1日配信です。どうぞお楽しみに!
     

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  • “α-Synodos”  vol.253(2018/10/1) 動物と人間

    2018-10-01 19:18  
    262pt
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     “α-Synodos” 
    vol.253(2018/10/1)
    動物と人間
    ━━━━━━━━━
    ○はじめに
    1.久保田さゆり「動物にたいする倫理的配慮と動物理解」
    2.迫田さやか「学びなおしの5冊〈格差〉」
    3.牧野久美子「マンデラ生誕100周年を迎えた南アフリカ」
    4.吉川浩満「人間は「非合理なロボット」である」
    ○はじめに
    ものすごい台風が日本を通り過ぎていきましたが、みなさまご無事でしょうか? 
    「αシノドス」vol.253、最初の記事は動物倫理を専門とする久保田さゆり氏による『動物にたいする倫理的配慮と動物理解』です。犬や猫などのコンパニオン・アニマル(伴侶動物)、動物園や水族館で飼育・展示されているさまざまな種類の野生動物、実験動物や、豚や牛や鶏といった畜産動物。われわれはさまざまなシーンで動物に関わって生きています。しかしこうした動物のことを「真剣」に考える機会はそうないのではないでしょうか? 本稿では倫理学の立場から、動物の問題についてどう論じられてるのかをまとめていただきました。
    ついで、「学び直しの5冊」、今月のテーマは「格差」です。経済学が格差をどう議論しているのかを中心に、迫田さやか氏に選書いただきました。格差や貧困の問題を前に、「世界が違っていたらそれは私だったかも」と思った瞬間があるならば、ぜひここであげられている本を紐解いてみてください。そしてそのような問題をなくすためにはどうすればよいのかを、ともに考えてみてください。この問題は、結局はわれわれがどのような社会に生きたいのか、つまりはわれわれ一人ひとりの社会的な想像力にかかっていると思います。
    今年はネルソン・マンデラ生誕100周年です。そこでジェトロ・アジア経済研究所研究員の牧田久美子氏に、マンデラの事績を振り返る記事をご寄稿いただきました。アパルトヘイトの廃止によって、法律による人種差別はなくなりましたが、人種、階級、ジェンダーが複雑に交差する南アフリカの不平等構造は、いまも厳然と存在しているといわれています。そのような状況でマンデラが理想としたビジョンを想起することは、とても重要なことだと思います。
    最後に、各所で話題の『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』の著者、吉川浩満さんにお話を伺いました。20世紀半ば以降に発展した「認知と進化」の科学によって、近代を支えてきた「人間観」が根底から刷新されようとしています。この分野はきわめてエキサイティングなのですが、人文・社会科学系の読者にはまだまだ不案内な領域だと思います。ぜひこのインタビューを通して、議論の一端に触れていただければと思います。みなさんは、4枚カード問題、解けるでしょうか?
    次号は10月15日配信予定です!
     

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