戦争と動物の物語
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戦争と動物の物語

2017-09-14 16:33
    1・フォークランドの歴史
     フォークランド諸島といえば、英国VSアルゼンチンの領土紛争から戦争に発展した場所である。
     南米大陸と南極大陸を結ぶ要衝地であり、捕鯨基地として入植活動が行われるまでは無人地域であった。面積は北アイルランド・長野に相当し、100近くの島を有する諸島地域であるが捕鯨産業が衰退する一方で地下原油資源埋蔵情報から国際紛争地域化してしまう。
     歴史的には19世紀初頭に英国・アルゼンチン両国は一定の占有の物証を残している。
    フォークランド紛争の結果、政治的には英国の勝利と呼ばれている。
    しかし、実相からすれば、フォークランド諸島は 『ペンギンの楽園』になる。
    2.ニホンアシカとの対比で 
     以前紹介したニホンアシカは日本人の乱獲から逃れついた竹島でついに韓国にとどめを打たれる悲しい歴史であったが、このフォークランド諸島では逆説的な皮肉が起こる。
     フォークランド諸島は世界有数のペンギンの生息地であるが、それは英国民が捕鯨基地としてフォークランドを占有し羊毛産業を地場産業化する前までの話である。
     その後、フォークランド紛争でペンギン達はその生息地域を追いやられることになるが、領土紛争の傍らでペンギン達は強かに生き残ることに成功し、楽園を作るのである。

    3、フォークランド紛争の地雷原を楽園化したペンギン達
     フォークランド紛争の置き土産は、大量の地雷が埋設された小さな島々であった。
    当時敷設された地雷はペンギンの重さを感知できず、結果、ヒトの踏み込むことが出来ないペンギン達の楽園となったのである。
     もっともフォークランド諸島には動物の怨念のようなものは漂う地域である。
    入植前にはペンギンのみならず様々な種類の動植物が豊かな生態系を保持していたと考えられており、人類入植によって棲む世界を奪われた。その後、捕鯨基地として多くの海獣類を狩猟する拠点として活躍する。同地のペンギンはヒトを恐れるのではなく近づく海獣類が多く狩猟者達は苦労せずに狩猟できたと言われている。薪が不足してもペンギンを射殺しその脂を燃料としていたほどである。低い樹木しか生育できない地域において重要な燃料だったのである。
    1000万のペンギンの95%が人類の入植で死に追いやられた、と考えられている。
    4.ウェーククイナと日本軍 
     ウェーククイナはウェーク島固有の鳥類で太平洋戦争の日本軍によって絶滅に至らしめられた絶滅動物である。 
     ウェーク島は20世紀初頭にアメリカが領有宣言した当時は無人島であった。
    太平洋上の戦略の要衝であってウェーク島は太平洋戦争開戦当初日本軍が占有するに至る。
    絶海の孤島に近いウェーク島の戦略価値は戦況悪化と共に軽視され兵站封鎖もあり凄絶な食糧不足に陥る。
     その結果、ウェーククイナは日本軍兵士の重要な食糧として絶滅するに至る。現在ウェーク島は観光資源もなく航空航路の安全確保として緊急時の着陸拠点が設けられているに過ぎない。悲しいことにPCBなどの有害物質の保管所として米軍管理となっている。
     太平洋戦争によって絶滅に至った動物としてはレイサン島のレイサンクイナにも同じことが言える。レイサンクイナの場合は食糧化ではなく基地整備によって生息域を奪われた結果である。

    5.クイナに関して
     クイナとはツル科動物で様々な地域に生息観察されているが、一方で分類学的見地での研究が進捗してない。移動性鳥類ではなく生息域から離れない鳥類は稀有なのだが、ヒトの進出域と共存できず離島などに生息域を移すことから長く観測されることがなかった。
     世界中にクイナは生息し、独自の進化体系を持つことから鳥類でも種類は多い。
    多くのクイナは絶滅に瀕しており、人知れず絶滅した種も多いと推測されている。
    沖縄のヤンバルクイナが有名だが、クイナは日本全国で見ることは出来る。もっとも夜行性でヒトの目に触れる機会はまずない。
    6.人類は戦争を越えられないのか? 
     フォークランドを楽園化できたペンギン、食糧として食べつくされたウェーククイナ、領土紛争に巻き込まれたニホンアシカ
     戦争と動物が教えてくれるものを顧慮するに切ない。
    人類悪・人類害などの陳腐な感情論もあるだろうが、人類の戦争に動物たちを巻き込んでいる人類の正義について再考してもらえれば幸いである。

    7、「白人が悪い!」という幼稚な評論
     しばしば巷説に「白人害悪論」がある。白人が大航海時代を経て様々な動物を絶滅に追いやった事実の数だけでそのように評論される。
     では、白人だけが大量絶滅させたと断言できるのだろうか?
    グローバル化する世界を縦横無尽に移動した大航海時代の白人達は自らの行動を文献として残すと同時に省みて現在に至っている。
     一方で白人から遅れてきた有色人種は彼らの野蛮さを省みて自重しただろうか?遅れてきたが故に加害者にならなかっただけ、としか思えないのである。
     ニホンアシカの事例のように動物学が未熟な地域では希少動物の価値など知る由もない。白人に限らず「知りえない」限りは保護など考える余地もないのである。
    五十歩百歩の自覚もない人間の「白人が悪い」という言説の深淵には、”無罪”でありたい人間のエゴがあるのではないだろうか?
     中国で”揚子江カワイルカ”という固有種が絶滅した様子である。日本はトキを絶滅させているにも関わらず、自らを省みず他国を批判している事実もある。しかも、トキの復活で中国のトキを借用しているにも関わらずである。
     とかく動物に関する評論では悪人探しを政治的に行う日本人の感覚は所詮は「言い逃れ」「アイツよりはマシ」という次元であろう。
    そんな日本が 自然と共存する文化性 などと自称しているのを冷淡に俯瞰している世界を日本人は知ったほうがいいように思う。
    ニホンアシカの事案でいえば、1000個ミニアイスの999個を食べておきながら、最後の1個を食べた人に対して、 「おまえが全部食べたんだろ!」と開き直っているような話であろう。

     







     
     




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