「日本酒度」の誤解
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「日本酒度」の誤解

2013-02-04 07:49
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ども、主任でございます。
 実は前回収録していた動画データが破損しており、読み込みが出来ないためにボツとなってしまいました。
 私としましても重要なお話をさせて頂いたにも関わらず、このままではもったいない。かといって同じお酒をまた買って飲むのもどうかと思うし、何より酒屋のおっ母さんに何を言われるかわからないので、ブロマガで解説しますね。


またまた飲んでるにごり酒

 さて、この日に飲んだお酒は竹の露の「白露垂珠」(はくろすいしゅ)純米酒超にごりです。
『またにごり酒飲んでるの?』って話なのですが、何しろにごり酒はこの時期限定ですし、新酒でもあるし、今買わないと売り切れてしまうし、そうなると今年の「嫁コンプリート(?)」は達成できません。
 そしてコメント頂いた質問にお答えするのにも、このお酒が「教材」としてうってつけだった訳であります。

 まずはプレ公開にて『にごり酒は基本甘口?』というコメントを頂きました。ありがとうございます。
 そうですね、おそらく大抵は甘口のにごり酒が多いと思います。その方がクリーミーな酒質と合いますからね。

 しかしながら今回の超にごり、こちらはなかなかに濃いにごり酒なのですが、見かけによらずスッキリとした淡麗辛口のお酒なんです。
 このお酒の日本酒度は-3。『あれ、-3なのに辛口なの?』と、地酒通の方は不思議に思う事でしょう。去年なんてこのお酒の日本酒度は-6だったんですよ。それでも同じく辛口のにごり酒でした。
『-6?ウソでしょ?』嘘でも何でもありません。そんなお酒もあるんです。
 それではまずはそもそも「日本酒度」とは何か?今回はこちらを説明していきましょう。


「日本酒度」とは、甘さ辛さの数値ではない

「日本酒度」ってなぁに?日本酒を飲み慣れている方は、きっとこう答えるでしょう。
『日本酒度?あれでしょ、日本酒の甘さ辛さの数字でしょ?マイナスが大きいと甘口、プラスが大きいと辛口だよね。』
 今までそう思っていたアナタ、実はその考え間違っていますよ。まずは結論から申し上げます。日本酒度は甘さ辛さを数値化したものではありません(断言)。
『えっ?だってそう教わったし、ずっとそうやって甘さ辛さの基準にしてきたのに。』
 たしかに皆さん基準にしていますね。まぁ半分はあながち間違いではないんですけれどね。
 ところがギッチョン、前述の通り、日本酒度-3の辛口のお酒もあるんですねぇ。なんでそんなお酒が存在しているんでしょ?
 それでは、まずは日本酒度とは一体どうやって計測して数値化しているのか?そちらを説明しますね。


水を基準に±0

 まずはこちらの図をご覧下さい。何だか理科の実験みたいですね。まぁほとんど理科の実験と何ら変わりはありません。ここで行っているのは、15℃のお酒に「日本酒度計」というものが釣りの棒ウキよろしくプカプカ浮いている訳です。
 日本酒度計には目盛りが刻まれていて、液面と同じ高さのの数字を読み取り、4℃の純水との比重を計測しています。
 4℃の水が1番重い状態であるのは、皆さんもご存知ですね。日本酒が15℃であるのは、私の憶測に過ぎませんが、伝統的な日本家屋の平均的な室温であると思います。室内で安置されたお酒の温度だと思って下さい。
 難しい話はさておき、水と同じ重さなら日本酒度は±0。水より重ければ日本酒度はマイナス、軽ければプラスと計測される訳です。
 つまり日本酒度とは、「その日本酒が水より重いか軽いかを計測した値」なんです。

『な、なんだってー!甘さ辛さと全然関係ないじゃん!』という話ですよね。
 先ほど「半分はあながち間違いではない」と申し上げましたので、おつぎは日本酒の重さは何によって決まるのかについてお話ししましょう。


アルコール、水、糖分 日本酒の重さの3要因

 日本酒の主成分について考えてみましょう。お酒ですのでもちろんアルコール(エタノール)が入っていますよね。それから一番分量的に多いのは水。そしてその他は全部まとめてエキス分としましょう。
 カクテルをご自身で作られる方は、様々なリキュールを取り扱うと思いますが、リキュールの成分表示を見ると「エキス分」というものがあると思います。これはお酒を加熱して蒸発しない成分、つまりアルコールと水以外のその他成分だと思ってください。この「その他成分」の大半は糖類が占めますので、エキス分の高いリキュールはそれだけ甘口のお酒になります。

『おや、ということは日本酒におけるその他成分も、もしかして糖類なの?』
 はい、正解です。良く出来ました。
 小学校の理科の実験で、角砂糖や氷砂糖を水に溶かしませんでしたか?溶けた砂糖がモヤモヤ~と、だんだんビーカーの底に溜まっていくのを思い出しましたでしょうか。
 そう、糖類は水より重いので水に沈んで底に溜まっていくのです。これがお酒が水より重くなる正体です。

 一方、アルコールは水より軽いですね。ウイスキーがお好きな方は、水やソーダ水にウイスキーを静かに注ぐと液面の上の方に溜まって2層に分かれるのをご存知かと思います。フロートスタイルとか呼びますね。この混ざらずに分離する原理を利用した7色のお酒を層にしたレインボーなんてカクテルもありましたね。
 このアルコールが、お酒が水より軽くなる正体なんです。

 もうお分かりでしょうか?つまり残糖分が多くアルコールの少ないお酒は水より重いので、日本酒度はマイナスになります。
 反対に発酵が進んで残糖分が少なくアルコールの多いお酒は水より軽くなりますから、日本酒度はプラスとなります。

 おそらく本来はワインにおける発酵段階を測定する糖時計と同様の目的で計測されていたのでしょう。つまり日本酒がどの程度発酵が進んでいるか、比重によって調べていたのだと思います。
 発酵とは、酵母がブドウ糖をエタノールに分解する行程ですから、この行程が進めば進むほど糖分は減少しエタノールが増加する訳であります。

 つまり日本酒度がマイナスすなわち水より重いお酒は糖分が多いので、甘口であるというのはほぼ間違いありません。まぁ例外もあるのですが。
 では日本酒度がプラスのお酒はアルコールが高いから辛口になるのか?
 これは「辛口とは一体何を指して言うのか?」という問題であります。唐辛子のホットな辛口、ワサビの清涼感ある辛口、胡椒などのスパイシーな辛口…、塩辛さなんてものもあります。
 日本酒においては辛さの要因としては酸やアミノ酸といったものも含まれますし、何より主任は味覚学の専門分野ではないので、詳しく説明できません。おそらく蔵人さんにも難しい分野かとは思います。『我こそは』という方がいましたなら、是非コメント下さい。
 ひとつだけ言えるのは、「舌に刺激を感じるものは辛いとして認識される」というところでしょうか。

 日本酒度の値は「甘いか甘くないか」については参考になる値と言えるかもしれません。
 私が「あながち間違いではない」と言った所以であります。
 では酒蔵さんでは日本酒度はどのようにとらえているのかと言いますと、やはりこれらの説明が難しいので、甘さ辛さの目安として見てもらいたいとしています。


日本酒度は行程で変わるもの

 ところが日本酒ではここで特殊な事態が発生します。「アルコール添加」と「加水」です。
 前回「日本酒はぶっちゃけ純米とアル添の2種類」なんて言いました。本当にぶっちゃけなので、真に受けないで下さいね。
 アルコール添加したお酒は、その分アルコール量が高くなりますので、日本酒度はプラスに傾きます。
 そして大半のお酒は、アルコール度数18〜19%の原酒から加水して15〜16%程度に調整しますので、日本酒度がプラスのお酒もマイナスのお酒も、±0の値に近づきます。
 同じ造りのお酒でも、行程によって日本酒度は変わっていくものなんです。
「アルコール添加」については、その目的や歴史について別の機会にお話しさせて頂きますね。

 一番良いのは、同じ日本酒度のお酒を3〜5種類ほど買ってきて比べ飲みしてみる事です。全部甘さ辛さが違う事に驚くかと思います。
『そんなにいっぺんに買えないよ、我々は主任とは違うんだよ。』
 ごもっともで。いずれそういう試飲も実践してみたいと思います。


第4の重さの要因

 さて話は最初に戻りまして、白露垂珠の超にごり。こちらは辛口なのに、なぜ日本酒度が−3なのでしょう?
 おさらいしてみましょう。日本酒度は水より重いか軽いかの数値でしたね。では何が重さの要素となっているのか?
 ズバリ「にごり」の部分です。このお酒は安置しておくとだんだんとにごりが底に沈んで溜まります。場合によっては、ちょっとやそっと瓶を振った位では、にごりが酒中に混ざらない位に固まっている事もあります。
 日本酒の重さの第4の要因といっても良いかもしれませんね。


 さて、今回の日本酒度の話はこれでおしまいであります。
 あまり日本酒度から甘口だ辛口だと判断しないで、いろいろと飲んでみて経験値を高めてくださいね。


お酒は20歳になってから





 山形県では日本酒度−20程度の東北銘醸「初孫 雪恋花」という微発泡にごり酒があります。
 アルコール度数も9%と控えめ。味はやはり甘めで、生酛(きもと)造り独特の乳酸菌飲料のようなやさしい味わいが女性にも人気ですよ。

 500mlで693円。お値段もリーズナブル。ひなまつりでお子様には甘酒を、ご自身ではこのようなにごり酒というのもお洒落かもしれませんね。






 画像が小さくて恐縮ですが、こちらの亀の井「ばくれん」は、日本酒度が+20の超辛口。
 甘さの要素が全くなく完全発酵酒といったところでしょうか。
 ある程度温度が上がってきますと、口に入れた瞬間、カーッと刺激が来るツンツンな嫁であります。

 一升瓶で2,205円とこちらもリーズナブルなお酒。通年商品なので、ご興味のある方は探してみてください。
 2月には限定「黒ばくれん」も出ますねぇ。
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「日本酒度」は以前は気にしていましたが、今は全く気にしなくなっていました。
それは、日本酒度では味は全く想像出来ないと経験上思っていたからです。
今回の内容は自分の中で謎に包まれていた日本酒度の説明でしたが、そのように測定するのですね。教えて頂いてありがとうございます。
しかし、日本酒度を気にしていなかった自分のスタンスが間違っていなかったことが今回のブログで分かりましたね。
(間違っている、いないではないですけどね)
結局は飲んでみないと分からない、ということですからね。目安にはなりそうですが。

個人的には、にごり酒はもったりした感じが好きではないのです。すみません。
日本酒は食事に合わせて楽しみたいので(日本酒だけでなくワインやその他のお酒も食事と合わせてナンボという価値観があります)、あのもったりが食事と合わない感じがするのです。主任様はどうお思いですか?

長々申し訳ありません。m(__)m
またコメントさせて頂きたいと思っておりますので、宜しくお願い致します。
59ヶ月前
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>>1
 コメントありがとうございます。
 日本酒度に限らず、お酒の様々な数値はあまり気にしないというスタンスで間違いありませんよ。私もたいして気にしていません。後で参考までに成分表の値を確認するだけです。その時に思うのは、「日本酒度の数値はあまり当てにならないなぁ。」という1点であります。
 あまり先入観を持たないでお酒を楽しんでいただくのがよろしいかと思います。
 にごり酒は好みが分かれるお酒です。あやまる必要はありませんよ。確かに料理とは合わせ難いですよね。まぁ、酒粕をふんだんに使った料理とか乳酸の香りの強いお漬け物あたりでしょうか。
 古くはお酒もにごり酒が主流だった時代もあったので、何かしら料理との相性は研究されていたのだと思います。これらを調べてみるのも面白いですね。
59ヶ月前
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はじめてコメントさせていただきます。

お店の方には何回か訪問させていただいております。

自分も日本酒大好きでワクワクして呑んでおりますー

とてもためになるお話、これからもブログ拝見させていただきます。
見たあと飲みたくなり黒ばくれん買いましたw

この季節にごり最高ですよね。
冬のお酒も美味しくて冷蔵庫に入りきれなくて困るくらい買ってしまいます。(現在10本くらい)
雅山流も好きなお酒なので動画嬉しかったです。

これからもお酒のお話等楽しみにしてます。
58ヶ月前
×
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130226-00000005-mai-soci

この記事に2回目の書き込みお許し下さい。
上記のような事件が起こってしまいました。日本酒の信頼を揺るがす事件です。
しかも、「醸造アルコール」が得体の知れないもののように書かれています。

しかし、マスコミは目立とうと情報を過激に伝える傾向がありますね。日本酒を知らない人から見たら訳の分からないものを混ぜていたという誤解を生むニュースだと思います。

もちろん、純米酒では無いものを純米として売っていたのですからこの醸造元は糾弾されるべきですが、このことで日本酒離れが更に進むことは避けたいと思っているのですが・・・。
マスコミには真実を伝えることを望みます。

主任さんはどうお考えですか?ご意見を伺いたいと思います。
58ヶ月前
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>>3
 コメントありがとうございます。あれま、ご来店ありがとうございます。これからもよろしくです。
 黒ばくれん買いましたか。2月限定酒ですからね。私もお店で仕入れたものを試飲しましたよ。
 あと定番の赤ばくれんの新酒生酒も出てまして、こちらも初々しく軽快な造りで良いお酒でした。

 私も冷蔵庫に10本程度日本酒が入っております。以前ならどんどん飲んじゃうのですが、最近は「収録まで開封しないでとっておこう」と自制心が働き、溜まる一方です。
 今日も5〜7本ほど買う予定です。

 何か紹介してほしいお酒がありましたなら、リクエストしてくださいね。
58ヶ月前
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>>4
 コメントと情報提供ありがとうございます。これは最近の記事ですね。私も読みましたよ。
 醸造アルコールについて、当店にいらっしゃるお客様の中でもあまり歓迎されていない事は重々承知しています。
 アルコール添加の本来の意味については、少し調べればわかる事なのですが、インターネット上でもまるで悪事のごとく書かれている事も多いですね。
 こちらについてもいずれブロマガ上で解説させていただく予定です。

 ニュース記事の内容の賛否については控えさせていただきますが、文章から読み取れる本質としては、
  ※ 酒税法の内、特定名称酒の表記と中の日本酒の内容が異なっていた。
 この1点につきますね。
 純米酒に醸造アルコールが入っているのは、さすがに表記に問題がありますが、お酒に醸造アルコールを添加すること事態は問題ないので、これは表記が本醸造でなければならなかっただけですね。
 規定以上の醸造アルコールの添加も、特定名称酒ではなく普通酒の名称でなくてはならなかっただけです。

 古酒を混ぜていた件も特に問題はないかと思います。味を保つために複数のお酒をブレンドするというのは、よくあります。
 個人的には「何時でも、何処でも、何度でも」買っても同じ味というのは、ある意味メーカーの消費者に対する公平なサービスの現れだと認識しています。
 ただ日本酒に関しては、出来の良いお酒はそのまま出荷して欲しいなぁ、と思いますけれどね。

 記事のブレンド行為で問題と感じるのは、「糖類の入ったお酒=普通酒」をブレンド(それ自体は悪くない)してあるのに「吟醸酒=特定名称酒」として出荷した点で、これもまた酒税法上の表記の問題です。

 結論は表記問題であって、消費者に誤解を与えたけれども、醸造アルコールも古酒も別種のお酒も混ぜた事自体は決して違法行為ではないという事であります。
 記事の文章に問題があるのか、読み手の理解力に問題があるのかは論じませんが、書き手、読み手双方が共通の正しい日本酒知識を得る事も大切な事かと存じます。
 その点に関しては、私のブロマガもひとつ重要な使命かと思いますので、なるべく正しく、かといって難解にならないよう努めていきます。

 まぁ、読んでいただいて楽しんでもらって、皆さんのお酒の席でうんちくのネタでも提供できれば、私としては万々歳なんですけれどね。
 長々となりましたが、こんな感じであります。
58ヶ月前
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昨日偶然このブロマガと実況試飲動画と出会いました。
日本酒好きの私としてはとても魅力的でたまりません。
今はある願掛けのため、好きなお酒を断っているのですが・・・正直揺らぎましたw
「成就したら自分へのご褒美に、大好きな雅山流を飲んで幸せな気持ちになりたい!」と思いました。
56ヶ月前
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>>7
コメントと、当ブロマガおよび動画をご覧頂きありがとうございます。
山形の地酒を飲みながら紹介しているだけなのですが、何かしら楽しんで頂ければと思います。
願掛けが成就すること、お祈りしてますね。
成就の際は同じ雅山流を私も飲ませて頂きますので、ぜひ銘柄を教えてくださいませ。
56ヶ月前
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