• 鉄道の維持と価値 ローカル路線の存廃問題を考える

    2017-05-07 17:29

    旅や交通について言いたい放題やるこのブロマガ、今回は公共交通を運営側から・・・というか、お金の視点で見てみようと思います。

    日本でも1987年までそうであったように、海外では国が鉄道を持っていたり、フラッグ・キャリアとなる航空会社を持っていたり・・・ということはよくある話です。その理由は、やはり鉄道はインフラの一部であるという位置づけであることがいえる・・・と同時に、鉄道は一定水準を保とうとすると、莫大なお金がかかることへの裏返しでもあります。
    新設するならなおさらで、車両だけでも数億円単位(費用の回収に1年数万円落とす定期利用客が1万人必要という計算にすらなってしまう)、しかもそれは導入費用だけであって、車両の整備にもお金がかかります。当然、電気設備にも費用がかかるし、安全対策なんかはなおさらお金が必要。電気設備を使うとお金がかかるからと、貨物用にしか残していない第3セクター(肥薩おれんじ鉄道など)もあるぐらいです。
    そして、そのお金を投資するだけのリターンを地域は果たして得られるのか。
    赤字を垂れ流し、存廃問題になると税金が入ることがありますが、結局収支改善できず廃止になるケースもあるようです。

    さて、鉄道の利点とはどこにあるのか。バスと比較して明らかに違うところはどこか。
    まず増発は車両が必要になるためお金がかかりやすいです。しかしそれに見合うだけの乗客増加が得られるのであれば当然する価値はあります。バスもこの例に漏れませんが、車両価格が大幅に違うことと、数年に一度ある全般検査(解体検査)みたいなものがバスには無いことが違います(車検はあるもののもう少し下級の重要部検査に近い?)。また、列車運行そのものではなく、途中停車駅などでもこれは当てはまります。需要があるところには積極的に停めるべきであり、応えていくことはよいことであると考えられます。ただし、列車は停車駅ひとつとっても加速に大電力がかかったり所要時間が延びたりするのでそう気軽に停め難い事情もあります。便利さと速さの板ばさみ状態でもあります。
    そして鉄道とバスを比較すると、都市部では鉄道のほうが速いパターンが多いです。京阪神地区なんかはこのパターンが多く、関西空港や伊丹空港に行くリムジンバスや有馬-宝塚線などの一部路線を除くと、だいたい鉄道が所要時間では圧勝、費用トントン、時間の正確性でも圧勝、輸送可能人員でも圧勝・・・となるわけです。
    しかし、ローカル線に多い、昼間に乗客が数人しか乗っていない単行列車となると話は別です。レールバスという単語ができるぐらいの路線というものがありますが、そういうところだと「バスでいいのでは?」と思うところがあります。速度もそこまで出ないため、バスのほうが速いなんてことも少なからずあります(芸備線備後庄原-備中神代など)。
    また、ある程度以上の田舎になると渋滞も少ないため、時間の正確性は高まります。
    この部分が、昔は道路状況が悪い区間が多く、「鉄道が無いと時間がかかるし不便」なんてところが多かったですが、道路整備によってこれが改善しつつあるのが現在の日本です。つまり地域によっては、道路を整備するか鉄道を維持するかの選択に迫られ、車社会であることもあいまって道路に振った場所もあるかもしれません。
    北海道の場合はかつて沢山の盲腸線がありましたが、現在では収入が見込める都市間輸送以外の路線は切り捨てざるを得ない状況となっているところが多いです。まだ残っている盲腸線と言ったら・・・
    ・宗谷本線(都市間輸送も担う)
    ・根室本線(東釧路-根室、都市間輸送の側面あり、鹿の事故が多い)
    ・石勝線(新夕張-夕張の夕張支線、2019年に廃止?)
    ・札沼線(桑園-新十津川、このうち非電化の北海道医療大学以北がヤバイ)
    ・留萌本線(深川-留萌、以前増毛-留萌が廃線、それ以外も高規格道路開通で危ない)
    ・日高本線(苫小牧-様似、長期運休区間アリ、国道が並行している)
    さらに盲腸線ではないもののJR北海道が廃止したがってる?路線(プレスリリースより)
    ・根室本線(富良野-新得、いわゆる狩勝峠区間、山間部が多く駅の前には国道が通る)

    これを全部残せというのはいくらなんでも無理でしょう。北海道の場合、鉄道もよっぽど速い列車でない限り、道路のバスと大差ない速度での運行となります。そして一つ重要な視点として、道路整備するならマイカーや他方から来る自家用車およびレンタカー、貨物自動車にも恩恵がありますが、鉄道の軌道整備は鉄道車両(と時間短縮で利用客に多少)にしか恩恵がありません。お金の出所も、税金か運賃収入かといった違いがあります。
    東北でも同様の例があり、盛岡-宮古間の「106急行」が鉄道並行ながら速いほか、鉄道が大回りな盛岡-久慈や山形-鶴岡・酒田などにも特急バスがあるので鉄道の存在意義が薄い区間も沢山在ります。
    ローカルな輸送では各停バス便でもできそうな区間はいくつか(106急行など)あります。その一方、輸送人員そのものは少なくても、渋滞を無視できたりマイカー駐車場がいらないところを評価されるケースも多いです。郊外大型店に押されても市街地の空洞化があまりないことが前提とはなりますが、つくばエクスプレスなどがこれに該当するようです。
    また、地方都市の中心部が郊外大型店の登場で必ずしも生活に必須ではなくなってきたところも大きいようです。これに対応し、軌道を作らなくても路線が開設できるバスの強みを生かして、市街地や最寄り駅からショッピングセンターなどに向かうバスを運行しているところもあります(福井や福山などが該当)。
    鉄道は簡単に路線変更できませんが、バスは災害があると迂回運行をしたり、ライフスタイルの変化に応じて路線を変えたりできるところも大きいです。

    ところが、鉄道にこだわるところはこだわります。その理由を考えると・・・なんとなくわかってきます。
    それは、時刻表です。
    時刻表には鉄道路線が載りますが、バスは特筆するところ以外載りません。
    そして全国時刻表以外は各社がバラバラに出しています。これではわかりにくい。
    さらに地域の交通手段としてバスではショボ過ぎるというのもあるでしょう。簡単に路線休止できますし。
    このあたりは、一考の余地はあると思います。それはまた別のときに。

    そもそも、鉄道など様々な交通手段の閑散路線に言えることですが・・・
    運転手と自分1人しか乗っていない乗り物が維持できる・・・とは思えますか?
    その乗り物に、自分は維持できるだけの対価を支払っていますか?
    そういう話です。
    本来は、自分1人や数人のために運行となると、タクシーで割り勘ぐらいの運賃がかかるのです。
    それをわざわざ安価な運賃で、小型車ではなく、費用がかかる大型車や鉄道車両、場合によってはもっと費用がかかる航空機・船舶で運行しているのです(最近ではコミュニティバスでも閑散路線ではハイエース程度の車での運行もあります)。
    いくら便利なものであっても、それが運航・維持・管理費が高額では全員にとっていいものとは言えないのです。人が一杯載れても燃料代が高すぎた「テクノスーパーライナー」がそれを証明しているようです。

    しかし、鉄道でなければできないことがあります。それは、旺盛な移動需要に応えることです。北海道でも札幌近く(特に新千歳空港-札幌-小樽)では満席近い乗車率がある列車も多く、この区間は列車がないと交通渋滞を招いてしまいます。空港連絡の鉄道やリムジンバスが整備されやすいのにはそういった理由がある訳で、運営側にも安定した収入源になり、利用側にも安定した移動手段として利用されるので、双方にメリットがあると言えます。
    また、鉄道がなくなって交通渋滞を起こした場合もあり、福井がこれに該当します(京福廃止で交通渋滞頻発、えちぜん鉄道として再出発、黒字化)。郊外から市街地に向かう場合も、市街地手前で渋滞しやすい都市(立川など)や駐車場があまりない都市(京都など)、一大集客地を抱える都市(横浜など)は鉄道の利便性が物凄く高いことが多いです。このような場所では鉄道は一つのライフラインとして機能する場合もあります。渋滞が酷いけど鉄道を敷くほどの移動はないかな・・・という都市では、バス専用道が整備されることもあります(新潟など)。

    さて、東海道新幹線では新横浜-名古屋間ノンストップの「のぞみ」が10分おきに東京や新大阪を出ていきます。少し立ち止まって考えると、東海道新幹線がどういう役割を果たしているかが見えてきます。
    それは、東京-名古屋-大阪の移動需要を満たそうとすると、鉄道以外ありえないぐらい多いからです。
    この区間が、仮に新幹線がなく、在来線特急の高速化(東京-大阪を6時間程度)だけで済ませようとするとどうなるか。
    そうすると、所要時間で大きく勝る航空機では、伊丹空港や羽田空港はパンク、500席仕様のボーイング747どころかオールモノクラス仕様のエアバスA380でも捌ききれないぐらいになってしまいます。なにしろ、新幹線8両の提供座席数よりもボーイング747-100SRの提供座席数のほうが少なく、計算上、ボーイング777を3機、10分ごとに飛ばさないといけないわけです。しかも、これは片道の話。往復ではこれが2倍になるので、まあパンクします。しかもここに同様の事情を抱える東北方面や信越方面が混じると・・・さあ大変。羽田・成田だけではなく、調布・横田・厚木・茨城も総動員しないと捌けないレベルです。
    現在ですら東名高速や中央道も連休になると渋滞する(東名阪道に至ってはほぼ毎日渋滞している)のに、新幹線が無かったら・・・まあ大変です。
    移動需要があまりにも旺盛なので、多少値段が吊りあがっていても混みますし、営業係数は50前後、JR東海の在来線に多数新車を入れても特に問題が無い・・・といったぐらいです。

    さらにその一方、一旦廃止になった東京大阪発着の夜行列車(上りだけ「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」が使えるが)ですが、高速バスでは夜行の勢いが凄く、東京-大阪間には1日何十往復も走っています。
    そしてあまり速くない飯田線沿線では路線バス的なポジションを飯田線各駅停車が、特急列車的なポジションを伊那バスや信南交通の高速バスが担うという逆転現象が起きたり、上越-新潟間移動も高速バスが優位に立ったり(列車の老朽化もあるにはある)、高速バスが在来線の鉄道輸送に風穴を開ける事例も発生しています。あの黒字第3セクター・智頭急行も日本交通高速バス(鳥取-大阪線)と勝負していたり、年々輸送の体系というものは劇的に変化しています。

    近年における航空機もただのワープの手段ではなく、LCCのような新しいビジネスモデルを打ち出したり、高速鉄道との競合に晒されたりする場合もあります。区間によっては船舶との競合もあります(東京-大島や福岡-対馬・壱岐など)。

    つまり何が言いたいかというと、「適材適所」「驕れる人も久しからず」という言葉は、交通機関の勢力図にもそっくりそのまま当てはまるということです。

    次回は、時刻表について考えていきます。


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  • 旅行における前提を疑ってみよう

    2017-02-24 06:07
    旅や交通に関して言いたい放題やるこのブロマガ、今回は「旅の前提を疑う」ことがテーマです。旅の下敷きには何があるのか、どうする必要があるのか。これは利用者だけではなく、運行事業者も抑えておかなければならない、基本の部分です。
    ここを今回はそれなりに突っ込んで解説します。

    まず、ある人がとある駅からある駅まで向かい、そこからバスに乗換えてショッピングセンターに向かい、買物をして帰る・・・というシチュエーションを考えてみましょう。
    (北陸だったら小松-金沢-小矢部プレミアムアウトレットがこれに近い)

    まず、鉄道に乗るには切符が必要です。しかし、この切符は買うのに慣れている自分はいいですが、不慣れな人にはいきなり買い方からわからん・・・なんてことがないわけではありません。有人駅や自動券売機がある駅から乗るなら、運賃表を見て、その運賃に合った駅のボタンを押す・・・というのが当たり前となっています。
    切符の買い方を教わるなんて小学生かって話ですが、都会の人間が意外とこの罠にはまりやすいのです。それは、無人駅での話。本州などのワンマン運転を行う路線では、1両目の後ろのドアから乗り、整理券を取り、下車駅で運転士後ろの運賃箱に運賃と整理券を入れる・・・というものです。
    都会の人間だと、全駅で全部のドアが開くと思っている人もいるようで、「入口」の表示を見落とす・・・なんてこともよくあります。これはまさしく、前提がその路線と違うから起こることです。さらに北海道のローカル駅ではドアは一番前しか開きません。乗降共に前の扉でやるので本州のワンマンに慣れた人でも間違えます。
    それはそうとして、運賃表を見て→券売機で当該運賃のボタンを探し→押すというこのシークエンス、意外と無駄が多いと思います。目が悪かったり疲れていたりすると尚更大変。何故、ボタンの横に該当する駅の表記がなかったり、そもそも路線図をそのまま券売機の画面に落としこんで直感的に押させるようになっていないのかがとても不思議なのです。
    実際高速バスの券売機がこれに近く、予約が必要だからそうなっているとはいえ、路線(行く方向)を選び、乗降バス停が系統図で出て、バス停を選んで、最後に金額が出るようになっています。JRのみどりの券売機も近いといえば近いですが駅名が図ではなく羅列でしか出てこないので初見では判りにくく、まだまだ改善できそうです。文字が大きいのはいいと思いますが・・・。

    切符を買ったら次に改札を通ります。
    しかし、ここで個人的に一つ不便があります。ただの愚痴なのですが、改札が総じて通りにくいのです。これは利き手の問題で、自動改札がある駅に限り切符投入口が全部右にあるからです。しょっちゅう左ポケットに切符をしまう自分にとって不便この上ないわけですが、まぁ右利きが多いこの世界、仕方ないか。

    改札を通ってホームに上がる・・・という手順はまぁ案内を見ればいいですが、電光掲示板を見てもなんじゃこりゃ・・・となる例もないわけではありません。東京メトロ各路線や大都市圏を突っ切る系統の列車がコレに当たり、行き先&経由地がさっぱりわからん・・・なんてことがあります。これをそのまま放置すると、「この列車はこの駅に止まりますか」ならまだしも「この列車はこの駅に行くんですか」という質問が飛び出すわけです。
    個人的に鉄道マニアや地理をよっぽどよく知る以外で初見の人が理解できないだろといえる行き先は以下の通り。自治体の名前を一通り覚えていても名前の響きからもどこにあるか予測できない駅達。
    (個人の感想と知り合いから聞いた感想)
    1.3~4社またいで走る直通列車だいたい全部(終点はだいたいわかるがどこ通るか判りにくい、地下鉄が間に挟まっていると尚更)
    2.湘南新宿ライン・上野東京ラインにおける、「籠原」「小金井」「国府津」行
    3.JR神戸線・JR宝塚線における、「松井山手」「同志社前」行
    4.IRいしかわ鉄道線内における「泊」行
    ・・・など。
    これらを意識しているのかしてないのか、対策として最近のE233系などに出てきた「普通 熱海」の下に「次は 辻堂」といった表示を出す、「新快速」「網干」の間に「京都・大阪方面」の文言が入る、新大阪駅の新幹線コンコースやちょっと前の京急線ホームに見られる停車駅だけ光る路線図などがあります。
    高速道路では既に渋滞箇所が赤く光る路線電光掲示板があるので、それを鉄道にも応用して直感的に乗りたい列車がわかる・・・そういう表示板がもっと普及すればよいと思います。

    列車に乗って乗り換え駅に着く際にも問題があります。バスとの乗換がわかりにくい駅が多いのです。特に、方面別に北口・南口や西口・東口でバスのりばがわかれている駅があまりにも多く、駅と目的地の位置関係をはっきり覚えていないと詰むわけです。しかも時々南に行くのに北口から発車するみたいなフェイントがあるから始末に終えない。(松本駅東(お城)口にある松本バスターミナルから南西にある信州まつもと空港行が出るなど多数あり)
    こういうのはややこしいから「←西口 路線バス」「路線バス 東口→」みたいな表示じゃなくて、目立つように「路線バス案内↓」とデカデカと書かれていたほうが使いやすいと思います。ただこの案内もやっぱり直感的にわからないといけない気がします。このへんは前述と同じ論理です。バスは特にどこを通っているのかが重要なので地図に運行経路と発車時刻が順繰りに出て、地図をタッチするとそこまで行く系統に切り替わる・・・みたいなインターフェースがあるとわかりやすくなると思います。
    電子機器を導入するのは高くつくな・・・と思うバス事業者も、乗場単位でなく路線・方向単位での時刻や乗り方、乗場への行き方、その路線の沿線にあるものをまとめた案内冊子・ボードを置いておくことで使いやすくなると思います。またその冊子を公共閲覧用に置くだけでなく個人向けに売ることで利益にもちょっとは足しになるかもしれませんし。

    そして、バス最大の弱点。それは乗り方のわかりにくさです。バス会社や都市によって乗り方がまちまちであるため、乗り方がわからない・・・なんて声がよく聞かれます。
    全国的には中後扉乗り・前降り・後払いが多い路線バスですが、高速バスになると事前購入、でも高速道路上に乗降バス停がある都市間路線(北九州-天神線や松本-長野線など)だと普通に整理券取ったり、均一運賃区間なので前払いだったり、路線によっては運賃箱自体がかなり質素で両替すらほとんどできない・・・などなど。
    神奈川中央交通のように、同じバス会社でも異なる乗車方法が混在していることもあるので、なんとかならんのかと思わざるを得ない状態も多いです。
    特に、下車時もさることながら、乗車時に整理券を取る路線なのか取らない路線なのか運賃を支払う路線なのかわかりにくいので、目立つように書いて欲しいと思います。

    そして支払いのときに大きいお札しか持っていなかったり、両替が必要だったりすることがあるわけですが、普段店で会計するときにお釣をぴったりにしようとして小銭を少なく抑えようとするからバスに乗るときに困るんじゃ・・・といつも思うのです。

    こう見ると、ちょっと隣県までお出かけするだけでも意外と突っ込みどころがあったりするものです。専門用語がやたら使われる傾向が強いコンピュータ関連でもそうですが、慣れている人に向けて案内表示を作るのではなく、たまには全然慣れていない、初見の人にも優しい公共交通を作り上げて欲しいと願います。
  • 2017年3月4日ダイヤ改正 北日本の鉄道はこう変わる

    2017-02-05 21:14
    旅や交通について言いたい放題やるこのブロマガ、今回はダイヤ改正2017シリーズの第3回で、北日本の話題です。青函特急の車両転属や特急愛称の復活など、話題が多いエリアなので1つ1つ解説していきます。

    ◆JR北海道 特急列車
    ○「サロベツ」が旭川発着に変更、「宗谷」は「スーパー」の称号を外す
    従来から宗谷本線特急は「スーパー宗谷」が朝夕2往復と「サロベツ」が昼間1往復運行されていたものの、運行区間が同じ(札幌~稚内)で、列車名の違いがそのまま車両と編成の違いになっていた両列車。ところが実は「?」が付く運用だったのです。
    従来はキハ261系気動車の2編成が、「スーパー宗谷1号」として正午頃札幌から稚内に到着、南稚内に回送し整備、夕方発車の「スーパー宗谷4号」で札幌に帰る運用と、朝発車する「スーパー宗谷2号」で札幌に向かい「スーパー宗谷3号」で稚内に帰ってくる運用があるところまでは納得できるのですが、「サロベツ」のキハ183系気動車は夕方に稚内着後、南稚内で18時間も遊んで昼過ぎに出発する運用なので、必然的にどこか(現在は美深-音威子府間で唯一交換可能である豊清水)ですれ違うのです。つまり、「サロベツ」のために1日2編成用意しなければならないのです。非効率的にも程がある・・・。
    今回の改正では「サロベツ」「宗谷」の車両をキハ261系に統一、共通運用を組ませて「サロベツ」を旭川止にするのですが、これはキハ183系の老朽化取替えというよりも効率化のほうが恩恵が大きい気がします。
    というのは、時刻表の上ではキハ261系気動車の編成数はそのままに本数を維持できるからです。改正後は時刻表を素直に読めば下記の運行体系になると思われます。
    編成1
    「宗谷」(札幌7:30/稚内12:40)
    「サロベツ4号」(稚内13:01/旭川16:48)
    「サロベツ3号」(旭川20:06/稚内23:47)
    編成2
    「サロベツ2号」(稚内6:36/旭川10:19)
    「サロベツ1号」(旭川13:35/稚内17:21)
    「宗谷」(稚内17:46/札幌22:57)
    旭川の折り返しが長いので北旭川の旭川運転所に引き上げて南稚内でやっていたような整備をやると思われます。その代わり稚内の折り返しは20分程度と短いため、昼の南稚内引き上げはなくなるかもれません(夜間は引き上げるかも)。折り返し時間が比較的短い理由は南稚内-稚内間が1編成しか入れないからかと思われます。稚内は特急終着駅ですが、函館とは違い線路が1本しかないのです。こう見ると札幌乗り入れは入出庫的な性格が強くなりますが、どうせ同じ編成数がいるしキハ261系は旭川以南の電車特急の邪魔をあまりしないのでそのまま乗り入れても差し支えないのでしょう。
    上記のことが、旭川止まりが2往復である理由であり、3往復でも1往復でもない理由だと思われます。
    さてこの特急の価値ですが・・・これも対札幌では使い方次第です。というのはバスが安いしあまり遅くないのです。かつての夜行「利尻」の役割は宗谷バス・北都交通「わっかない号」「はまなす号」の夜行便が継いでいますし、昼便でも5往復、所要時間も1時間落ち程度です。それでいて運賃は乗車券だけよりも安いです。
    しかし、JR北海道も負けていません。指定席往復割引を使うと、片道あたりの料金はバスとほぼ同額となり、これは時間差分だけ得かなと思います。
    旭川ー稚内はバスがないのでJRの独壇場ですが、割引がなく札幌ー稚内より高いのです。そりゃ札幌一極集中するわ・・・
    なお途中駅からでも「はぼろ号」「なよろ号」などがあるので宗谷線沿線からの札幌アクセスは意外とよかったりします。

    ○特急「ライラック」復活、「カムイ」から「スーパー」が取れる、785系が旭川撤退?
    「スーパー宗谷」「サロベツ」がやっていた体系はこっちに来たようです。
    従来車両の789系1000番台(銀色のやつ)5両編成を全車「カムイ」と名乗り、従来は「スーパー白鳥」を名乗って新青森ー函館間を走っていた789系0番台(緑色のやつ)6両編成を新たに投入して785系を置き換え、「ライラック」と名乗るようです。元ネタの花の色が紫だから色的に逆なんじゃないかと思ってしまいますが葉が緑だからいいのか。
    これに伴い旭川特急にグリーン車が登場、一部列車は指定席が3両と多めになるようです。(従来は指定席がuシート1両だけだった)
    「ライラック」の名称は781系時代に使われて以来10年ぶりの復活となります。
    そして785系は室蘭特急「すずらん」の運用だけになるようです。
    撤退には早くね?と思ったものの、既に運行開始から27年経っている(しかも表定速度が日本最速級)のでだいぶ傷んでいるようです。同時期(4年遅れ)にできたE351系も取替えが始まっていることを考えると納得。

    ○「大雪」特急でまさかの復活
    石北本線でも宗谷本線と同じような動きがありますが、こっちは元々車両が1種類(キハ183系)しかないので単純に気動車を減らしたいだけのようにも見えます。
    運用は以下のとおり。
    編成1
    「オホーツク1号」(札幌6:56/網走12:18)
    「大雪4号」(網走12:35/旭川16:19)
    「大雪3号」(旭川17:05/網走20:49)
    編成2
    「大雪2号」(網走8:06/旭川11:50)
    「大雪1号」(旭川12:41/網走16:35)
    「オホーツク4号」(網走17:05/札幌22:53)
    編成3
    「オホーツク2号」(網走5:56/札幌11:18)
    「オホーツク3号」(札幌17:30/網走23:00)

    元々は1編成ずつ1日1往復で4本という体制でしたが、4往復という本数を維持しようとすると3本必要になってしまうようです。多分2本に減らそうとすると札幌乗り入れをやめなければならないと思われますが、そうすると改正ダイヤでも「オホーツク」のダイヤを大移動しなければならず不便な時間に動かさなければならないと思われるために3本体制になっているようです。それにしてもダイヤ的に「オホーツク2号・3号」が夜行列車の折り返しダイヤにしか見えないのですが、石北線夜行は2008年に廃止されたのでなく、そのため札幌で昼間6時間遊んでいるという不自然なダイヤになってしまっています。
    そして列車名称。北海道最高峰で上川から近い大雪山(最高峰は山系北部の旭岳2291m)から取ったとはいえ、訓読みしたら列車が運行できない状態のことを言うんじゃ・・・と思ってしまいます。1992年に夜行急行「大雪」が「オホーツク」に編入されてから25年ぶりに復活ということで、だいぶ間を置いてからの特急昇格になりそうです。

    ○「北斗」が1往復「スーパー北斗」に進化
    キハ261系を1本増備することでキハ183系総取替え作戦が室蘭本線でも進行。
    1往復だけ6両編成を使用していた「北斗6号」「北斗19号」にスーパーが付き、12分前後時間短縮します。ただここで凄いのは、逆に運行時間4時間弱なのに12分しか詰められないこと。裏を返せば、今までの「北斗」用キハ183系が振り子もないのにぶっ飛ばしすぎているってことです。
    そしてやっぱりこいつも函館の車庫で5時間寝ていたのか・・・(函館12:34着/17:51発)。
    「スーパー北斗」化して他の運用と共通運用を組ませて効率化を図るのでしょうか?

    ○「はこだてライナー」「スーパーとかち」の時刻見直し
    「はこだてライナー」は東京からのの一番列車「はやぶさ1号」と「はやぶさ5号」の接続を受ける列車で時刻繰り下げをするようです。エスカレーターなどの混雑が理由とのことですが、そもそも乗換改札が狭く、「はこだてライナー」用のホームまで距離があるのが原因な気がします。
    「スーパーとかち」は1号が4分遅くなる代わりに4号が4分、6号が9分速くなるようです。ただ、札幌側の時刻はいじらず、帯広の時刻繰り下げのほうがメインのようです。

    ○L特急の称号廃止・自動販売機廃止・車内販売縮小
    道内の特急にあった自動販売機のサービスがなくなり、石勝線特急の車内販売がなくなり、北斗の車内販売が10往復から7往復に減るようです。最長5時間無補給ということなので最長3時間半の北陸特急よりも結構しんどいです。準備して乗れってことでしょうが、それだと途中に休憩があってサービスエリアで買物ができる高速バスがさらに有利になるんじゃないかと思ってしまいます。
    そして北海道内では指定席多め長距離の特急に対して自由席多めの短距離のL特急が下位種別的な意味合いで使われていたのですが、等間隔運行か微妙な「すずらん」と愛称が割れる「ライラック」「カムイ」では使いにくいようで、なくすようです。
    これによりL特急が残るのは以下の特急。
    「しなの」(名古屋ー長野):長野・名古屋発車が毎時00分発(朝夕例外あり)
    「ひだ」(名古屋ー高山)※:ほぼ1時間ごと運行(抜けている時間がある)
    「しらさぎ」(米原ー金沢)※:停車駅も揃っていて1時間ごと運行
    ※ここに表記が無い、列車本数が少ない区間はこの限りではない

    ○特急券が通し料金に
    旭川乗換であっても特急料金が通し料金で扱われるため、ダイヤ変更による料金変更はないようです。高くなることはないのでありがたいといえばありがたいです。ただし旭川で改札を出ないことが条件です。以前の「リレーつばめ」「つばめ」みたいに特急券も1枚になるようです。

    ◆JR北海道 普通列車など
    ○「ホームライナー」廃止と混雑緩和のための行先変更
    100円とはいえ札幌ー手稲だけ運行では短すぎて使う人があまりいなかったのか、「ホームライナー」がなくなるようです。また、前に14分間隔が空いている小樽行とその直後の手稲行を入れ換えて近距離の客を誘導するようです。また、星置・ほしみまでの客が乗る為に混む前後の小樽行をどうにかするために札幌22:10発の手稲行をほしみ行にするようです。
    ここから見えてくるのは、混雑はダイヤの組み方で結構左右されるということです。ハードが良くてもソフトがダメだといかんってことです。

    ○極端に利用客が少ない駅を廃止
    昨年いわゆる「白滝シリーズ」が粛清されてかなり距離があるはずの上川ー白滝ー丸瀬布(全部特急停車駅で現在「オホーツク7号」が連続停車)が隣駅同士(しかも瀬戸瀬を挟んでスイッチバック特急停車駅・遠軽がある)になったことで話題になりましたが、廃止はまだまだ続くようです。
    個別に見ていくと・・・
    美々・・・そもそも設置理由が千歳線前身の北海道鉄道の社長の牧場・所有地近くに置いた駅なので利用される価値が社長以外にあまりない。普通電車が結構通過していく。Kitacaが使えるのでICカード使用駅としては全国初の廃止。
    島ノ下・・・富良野の滝川方面の次の駅。高速バス「高速ふらの号」の乗降停留所が近くにあり富良野駅に簡単に出られるのが災いしたか。
    五十石・・・茅沼(湿原・湖・温泉などがある)と標茶(SL折り返し駅)の間で中途半端な駅。これより南の各駅は観光に使えるがここは使いにくい。
    上厚内・稲士別・・・「スーパーおおぞら」に全力で通過される駅。国道38号が近くを通るので車のほうが便利か。
    蕨岱・・・JR駅で五十音順に並べると最後の駅が人口流出?で廃止。駅前を国道5号が走る。改正以降は埼玉県の京浜東北線「蕨」駅が五十音順最後の駅となる。私鉄を含めると「割出」駅(北陸鉄道浅野川線)がそのまま。なお先頭はJR・私鉄とも「あいおい」駅。長良川鉄道・山陽本線・東武桐生線・わたらせ渓谷鉄道にある。このうち東武は特急「りょうもう」停車駅、山陽線は新幹線の「こだま」「ひかり」も停車するが特急「スーパーはくと」は通過する。
    北豊津・・・瀬棚方面の分岐である国縫の隣で影が薄い。近くを国道5号線が通りバスもある。そもそもJR化前までここは複線・単線の境界のため信号場だったので駅である意味が薄かった。
    東山・姫川・桂川・・・特急停車駅・森の周囲の駅が一気に消える。いずれも国道5号線沿い。北豊津同様バスがあり、信号場昇格の駅だらけである。これにより、森ー大沼間の駅は森(特急停車駅)ー駒ヶ岳ー赤井川ー大沼公園(特急停車駅)ー大沼となる。

    ◆JR東日本 秋田支社・盛岡支社
    ○男鹿線に蓄電池電車登場
    烏山線に導入していたものに続き、今度はその交流バージョンを作って導入。JR九州の若松線に投入するものを耐寒耐雪構造にして導入するようです。路線条件も烏山線に似ていますが、八郎潟沿いを走るので勾配が全線に渡ってほとんどないのが特徴です。
    現在は様子見らしく、1編成入れて1日2往復させるようです。当該列車は烏山線同様列車番号が「M」になっているので見分けることができるようになります。

    ○北上線に快速登場
    北に振るため距離が長い秋田新幹線に対し、意外と抜け道的な感じで使いやすい北上線。快速を下り4本・上り2本設定するとのこと。停車駅は北上から黒沢まで各駅停車、相野々、横手だということですが、通過駅のうち2駅が冬季に全列車が通過するのでただのごまかし&切捨てなんじゃないかと思ってしまいます。

    ○ロングラン普通が増えるよ!
    秋田ー青森間を走破する上り普通列車が1本から2本に。青森7:06発で秋田10:27着。元々は大館で2時間待ちだったのでこの時間に普通が欲しいと要望が多かったのか・・・?
    大館スルー普通の新設はこのほかにもあり、朝の大館7:35発が弘前ー鷹ノ巣が直通になるようです。

    ○奥羽線・田沢湖線でダイヤの微調整・接続改善
    朝一の列車を院内始発として横手から送り込めるようにして、新庄の留置を減らすようです。真室川ー院内間始発列車はそのかわりに「つばさ171号」から接続するダイヤを組むようです。観光にはある程度使いやすくなるけど、地元の需要は大丈夫・・・?
    このほか湯沢始発・院内始発・新庄始発などがいくつか差し替えられています。
    さらに大曲・新青森・秋田・盛岡では細かく接続改善が図られています。

    ○減車・減便をいくつか実施
    花輪線では2往復を3両から2両に、男鹿線では9時前後の東能代ー能代の区間列車が取りやめ。確かに需要としては9時台は中途半端すぎる気がします。
    減車する2往復は朝一下り、昼過ぎの上下、夕暮れの上りと、どれもピークとは言いにくい区間なのでこれもある程度妥当な気がします。とりあえずこれで様子見か。
    東北本線では一ノ関ー盛岡で7:30発を4両にするかわりに7:50発を2両にするというトレードを行うようです。たぶん混雑が酷かったんだな・・・。

    ○青い森鉄道直通関連の小規模改正
    快速「しもきた」が青森ー浅虫温泉で各駅に停まるようになったり(近郊輸送を手伝わせるためか?)、新青森乗り入れを一部やめたり、三戸ー鮫直通列車が30分繰り上がったり。
    正直青い森鉄道は新青森に入るより青森駅で対面乗り換えとかやったほうが便利な気がします。折り返しなどに時間かかりそうだし。

    ◆JR東日本 仙台支社
    ○「はやぶさ」1往復増発
    ビジネス利用が多いらしい下り午前中と上り午後に仙台発着の「はやぶさ」を設定するとのこと。仙台まで、盛岡まで、新函館北斗方面と乗客を振り分けることができればいいような気がしますが・・・難しいか?

    ○仙台空港アクセス線が3往復増発
    仙台空港そのものよりも意外と途中停車駅での乗降が多く郊外路線の性格も持つこの路線。早朝・昼過ぎ・深夜に1往復ずつ増やし、飛行機接続があまりなさそうな最終列車の時刻を10分繰り下げるのがその証左とも言えそうです。

    ○磐越西線がいろいろ進化
    朝に磐梯熱海折り返し列車を設定して近郊輸送を増強したり、E721系が入ってきてワンマン運転を行うようです。そして不自然に距離がぽっかり開いて(7.9km)いた郡山ー喜久田間に郡山富田駅が開業します。場所が国道4号線にわりと近く家も多いので利用客も多そうです。
    下手すると新幹線駅のはずの白石蔵王駅と乗車人員でバトルになるかも。

    つらつらと書いていたらものすごく大変なのでこのへんでやめときます。関東地区は他の方が解説していたりすると思うのでそっちに投げときます。
    次回はダイヤ改正から離れて別の話題を書こうと思います。