• 進化する道路網、しかし・・・使いこなせるか?

    2017-01-22 21:04
    旅や交通について、言いたい放題やっていくこのブロマガ。今回は国土の大動脈たる国道や高速道路について語っていきます。

    自分の国道走行の経験は、特に「川を辿る旅 RiverTrace」において培ったところが大きいです。川をただ辿って源流がどうなり、どのような過程をたどり、どのように人とかかわり、海に流れていくか・・・だけではありません。学校などで教わったものの、それが何故存在するのかを理解するのに役に立つのです。
    特に自分はそうだったのですが、地理など自分で考えて旅して空気に触れることで自ずと理解できる例が多いのです。逆に覚えられることが多いらしい北関東の群馬や栃木、山陰の鳥取や島根、東北の秋田や岩手・・・といったところもです。地図とにらめっこし、自分で計画を立てて実行に移すことでどんどん手に取るように判ってきます。
    その際、やはり国土を理解するときに意外と役に立つのが時刻表です。こんなマニアック向けの人間しか使わないもの・・・と言われたこともありますが、時間や距離を見誤っていい加減な日程を組むよりしっかり活用することが重要です。

    しかし、鉄道だけが交通の基軸ではありません。もうひとつ、高速道路とそれを支える国道です(高速道路のほうが後ですが現時点では高速道路のほうが幹線といえます)。そして、鉄道は様々な理由で距離が合わなかったり時間が変だったりするわけです。国道と鉄道の時間・距離が比例しない事例は枚挙に暇がありませんが、いくつか例を挙げると・・・

    1.芸備線・中国道 備後庄原・東城~広島市内
    芸備線は所要時間だけで見ると遠く見えるが、実際には保守費用節約のためにありえないぐらい徐行している。逆に芸備線に慣れすぎると、広島電鉄・備北交通の高速バスがとんでもなく速く見える。
    2.気仙沼線 一ノ関~気仙沼
    本来まっすぐ結んで人の往来に使われるはずの鉄道を政治のおもちゃにしたために、まったく最短ルートとはかけ離れたルートを走ることになった。陸中門崎~千厩が大回り。
    3.肥薩線 人吉~吉松
    高速道路ですら長大トンネルを掘らなければならないようなところを通した結果。スイッチバックやループ線は観光要素としてはもちろん面白いが、物流の基軸となりえるわけでは当然なく、むしろ山は邪魔物。事実、貨物は肥薩おれんじ鉄道を通り、九州新幹線もそっちのルートを通った。
    4.北陸本線 南今庄~敦賀
    こちらは鉄道がよくやった例。高速道路でもカーブが多く事故が多い区間であるが、北陸トンネル1本で越前の険しい山をぶち抜くことで130km/h特急が行き交う一大高速交通路へと成長した。
    5.中央本線 大月~八王子~新宿
    甲府方面からの特急が特快の影響などで八王子以降速度が落ちてしまうのはよく言われるが、高速道路渋滞時には相対的に早くなりやすい区間。小田急の新松田~新宿も同じ。

    もちろんこれらは氷山の一角。こうした理由で、鉄道の移動時間と自動車の移動時間が比例しない区間もあるものです。そうした区間をしっかりと頭に入れた上で、旅行に使う手段の選定を含めて旅行日程を組んでいくことになるのです。

    鉄道と比較して道路はある程度勾配があっても通せることや、道路さえ整備すれば車両は通る人が準備し自分で運転するわけですから、整備費用は安めに出るわけです。また、鉄道車両は普通の一般自動車に比べても高価で、鉄道廃止→バス転換が多いのはそういうことなのです。また、駆動部品が大掛かりで保守費用もかかりますし、なんといっても重量の違いからくる燃費の違いが大きいのです。さらに言えば、道路工事は確かに通行する上で迷惑ではありますが、鉄道においても軌道の保守は絶対欠かせないものです。それを車両が通らない夜間にやっているっていうだけです。
    しかし、高価な鉄道車両を次々に新製して投入し、それに見合った利益を上げる場所・・・東海道新幹線や東海道本線(ほぼ全線)、東急電鉄、阪急電鉄のような場所は、裏を返せば鉄道がないとパンクする・・・ということなのです。事実、行楽期のみならず、普通の休日朝夕や平日の通勤時間帯に渋滞する関越や東名のような道はたくさんあるわけで、そんなに需要のあるような区間を、高速道路2路線程度で支えようって言ったって、そんなものははっきり言って破綻しているわけです。
    かつて、高速道路・どこまで行っても1000円というものがあり、確かに行楽需要を掘り起こしました。しかし、道路の容量をまったく増やさないで需要だけを増やした結果、ありえないぐらいの渋滞を引き起こしました。せめてこういうのは鉄道も極端な遠距離逓減を導入するなど、並行してやらないとどこかで破綻するわけです。そして東名や中央道のようなメジャー区間だけではなく、東京湾アクアラインや神淡鳴道など鉄道では替えが利かない区間でとんでもない渋滞を引き起こしました。そして、一隻あたりのコストがものすごく高いフェリーが一気に窮地に陥ったりしたのです。

    では、高速道路の渋滞は何故引き起こされるか。
    理由はいくつか考えられますが、それらを1つ1つ潰していきましょう。

    1.そもそも道路が足りない
    これはどちらかというと、「高規格道路・高制限速度道路が足りない」ということです。一番具体的な区間が関越道の藤岡~大泉です。目立った並行道路が国道254号線・国道17号線ぐらいしかなく、しかも両方とも一部信号が多い区間があって意図的に停められたりロードサイド店舗が多かったりして代替とはなりえません。愛知県三河地方の国道23号や静岡県内の国道1号ぐらいの規格でもってようやく代替になるぐらいです。しかしこの関越道の区間は北関東道の全通に伴い、川口~佐野~前橋が代替路として機能しています。ただ花園や東松山も利用が多いICなので、そこへの代替は未だにないですが・・・。
    ただし、これは既にあるにもかかわず「周知不足」もありそうです。東名阪道が大渋滞のときは天候が良いときに八日市ICまで抜けられる国道421号線が代替として使えますが、現在は長大トンネルが掘られているにもかかわず「酷道」の石樽峠のイメージが付きまとっているようで、あまり使われていないように感じます。この区間は新名神を作って全区間ダブルネットワークとすることで解決する見込みです。

    2.観光地やカーナビの案内が高速道路偏重な例が多い
    これも関越道などにいえることです。花園ICの利用が多い理由のひとつが、秩父方面の車が多いことです(もちろん熊谷方面の利用も多いです)。花園ICからよく起こる渋滞の理由は、荒川の橋があるので谷間になっており両方向とも坂道になっているからですが、そもそもそんなに花園付近を通らなくてもいいような理由もあります。特に秩父方面は、少し時間を足すと長野・高崎方面からは県道経由で藤岡~神川~皆野・長瀞に出られますし、鶴ヶ島からは圏央道狭山日高ICから国道299号線を抜けるルートがあります(秩父までだったらこっちのほうが近道)。つまり、必ずしも通らなくてもいいところで余計な渋滞に引っかかっているってことです。
    要約すると、「目的地までは他人の案内に頼るな、地図を読め」ってことです。カーナビは過信しすぎると本質を見誤りやすいです。やはり紙の地図が強い。

    3.最高速度・巡航速度が違う車の混在走行・「走るシケイン」
    主要高速道路のどの路線でも言えることです。大型貨物自動車の最高速度は80km/h、一方普通自動車は100km/hと法令で定められています。しかし、中央道の大部分の区間では2車線しかなく、そこで75km/hのトラックを80km/hのトラックが追い越すだけで後が一気に詰まるのです。また登坂車線がない峠越えの道でもこれは発生し、国道161号線敦賀~高島にある国境峠においては敦賀港発のトレーラーが30km/hぐらいで走行し、後ろが詰まり、しかもマキノを過ぎると速度はある程度回復するものの高島バイパスまで抜きどころがないのでロスタイムが大きいのです。この区間に慣れると国道20号線小坂田公園~塩尻峠が神にも思えてきます(上り区間ほぼ全線に登坂車線完備)。

    4.慢心
    早い話が坂に対する認識の甘さ、そしてクルーズコントロールの概念です。速度が落ちたらアクセルを踏み込んで速度を回復することが基本ですが、それをやらない車が多いと関越や東北道であんな渋滞が起きるわけです。踏み込む力が弱いと軽乗用車ではロクに加速しませんし。
    ただし、カーブをゆるく作らなければならない高速道路ではある程度仕方ないですが、主要国道を自転車で走っていても感じることは、もともとの地形に道路が逆らいすぎている感じもします。川沿いを走っていて本来なら下り一辺倒なのに、無駄に登り下りがあると疲れるのです。

    本来は各路線の特徴をしっかり頭に入れて、ドライブルートを組むべきなのですが、見通しが甘いと変な道に迷い込んだり、思い通りに到着時刻を予測できなかったりするのです。自分の周囲でも福井~京都という自分としては短い部類の区間においてもルートを聞いてきた・・・なんてこともあったりします。やはりしっかり地理を学び、地図を読み、そこからある程度読み取れる路線の特徴を生かして行程を組まないと、満足したドライブツアーはやりにくいということです。逆に、到達時刻をぴたりと当て続けると結構楽しいです。

    これらを踏まえ、次回は北陸・琵琶湖周辺の各路線の特徴を記していきます。
  • 広告
  • JR・私鉄にみる、特急券の価値

    2017-01-18 05:42
    交通や旅について言いたい放題やるこのブロマガ、今回は特急券の話です。

    特急券といえば、普通乗車券に料金を上乗せすることで上級列車に乗ることができるというものであることは周知の事実であると思います。
    しかし、この特急券は使い方を間違えると旅費全体を左右するのです。
    北陸-東京間で主役になりつつある北陸新幹線の特急料金が高いことは前にも解説しましたが、改めてそのあたりを含めて解説します。

    まず、大手の鉄道会社においては、運賃と同じように特急料金も距離制をとっていますが、その区切りはかなり大雑把なものです。そして、高い需要の区間には高めに、低い需要の区間には安めに・・・とはなっていない区間も多いです(ただし特定特急料金で値下げして需要増加促進策を打っているところもある)。ただし、JRの場合は繁忙期・閑散期の区別があり、普通車指定席は料金変動があります。
    まず論ずる点は、この座席指定料金です。特に近距離のA特急料金区間で顕著に出るのですが、先に話題に上げた、普通列車では往来しにくい昼間の敦賀~米原においては50km以下ですから、自由席特急料金は750円です。そして指定席特急料金は繁忙期だと1470円。倍額近い差が出ます。
    もちろん、座席指定というものの性格上、全区間同じ座席を確保せねばならない以上、遠距離の移動需要に対しては特急料金そのものに対して座席指定料金を安くし、逆に近距離には相対的に高くすることで分散を図ろうとするわけです。近距離の場合は、自由席に乗せて駅ごとに区間客の入換を行うことで稼働率を上げるわけです。

    ところが、この通常期520円・繁忙期720円は微妙に高くみえる上に、自由席に座っても指定席に座っても同じ座席のグレードである場合が多いです。そうすると指定席を忌避するユーザーも当然ながら出てくるわけです。これに対策を施したのが山陽新幹線やJR四国の電車特急で、自由席の座席と指定席の座席に差をつける場合もあります。
    北陸特急の場合、特に「しらさぎ」においては福井にて乗客の入換が多いためか、指定席が使える割引乗車券でもなければ大体自由席に座ってしまいます。「サンダーバード」の場合は需要が多い区間なので自由席では立席になることもしばしばあるため指定席も使いますが・・・。
    でも、座ってしまえば同じ椅子なのに520円の差があるとなると、ちょっとな・・・と思うことは多いです。昼飯代がガッツリ浮くわけですから。
    車両が同じなのにのぞみ・ひかり・こだまで自由席の数が変動する東海道新幹線でも事情は同じで、こちらは「のぞみ」の指定料金が若干高いこともあいまって自由席の稼働率がとにかく高いです。ただ便数と提供座席が多いのでよっぽど混まないと「のぞみ」は満席にならないのですが・・・(豊橋停車の上り「ひかり」などでは立席が出ることもある)

    しかし、こういうのは指定席・自由席の区別があり、しかも料金差があるから面倒なんだと割り切り、自由席のシステムをなくしたのが近鉄や東武、JR東日本の常磐線(座席未指定券)などです。近鉄は特急の速達性が快速急行のせいで潰されている区間があり、宇治山田~大阪上本町直通急行もあるのでゆったり寝て帰れるため、特急料金がやや割高にも見えますが・・・。

    さらに、特急の価値そのものが同類の列車やバスによって低く抑えられてしまった例もあります。特急「南紀」がいい例で、名古屋~多気間で同区間を走り停車駅もほぼ同じの快速「みえ」が該当します。本数が少ない多気~紀伊勝浦では利用率も多そうですが、多気で乗り換えることで20分程度の落ちで伊勢鉄道の特急料金などが節約できてしまうことになるわけです。
    あるいは名古屋まで乗りとおすことで新幹線乗継割引によって安く抑えるか。
    そもそも熊野市までは三重交通の南紀特急バスがあるので特急料金の高さが目立つのです。

    そんな中、特定の駅で新幹線と在来線特急を乗り継ぐと特急料金が半額になる新幹線乗継割引がありますが、これを使うと変な事態が発生します。
    乗継駅の隣(一部駅は2駅先)の新幹線駅から乗り、乗継駅から遠い(だいたい100km以上)特急停車駅まで乗る場合、新幹線駅から乗継駅までを普通列車で乗るより新幹線を使ったほうが安くなるのです。
    例として豊橋~松本・長野があり、豊橋~名古屋を新快速を使うより「こだま」を使ったほうが安くなるのです。さらに極端なのが京都~福井で、「サンダーバード」で通しで乗るよりも米原で「ひかり」「こだま」と「しらさぎ」を乗り継いだほうが安くて終電も遅いのです。
    高岡市内~大阪も同様で、高岡発倶利伽羅経由で金沢まで3セクよりも、新高岡発で金沢で乗り継ぐほうが安かったり・・・結構こういった事例が多いのです。
    なおこの割引は座席指定料金ごと引かれるので、これを使う場合の在来線特急区間では指定席を取ろうかなという気にもなります(特に閑散期)。四国特急は途中に快速列車を挟んでも割引になるのでちょっとお得感が出ます。
    この変化球が広島方面~東京で、岡山で「みずほ」から「サンライズ瀬戸」に乗り継ぐという方法もあります。
    昔はこのさらに変化球で、渋川~金沢の移動において、金沢~越後湯沢で特急「はくたか」を使い、上毛高原まで「たにがわ」、後閑駅まで歩いて(下り坂3km)、渋川へ向かうといったこともやったことがあります。今は北陸新幹線ができたことでできなくなり、高崎経由にせざるを得ないのですがまたこれが高いんだ・・・。
    こうした同種の乗り継ぎは現在、新横浜~新下関の各駅、金沢・上越妙高・長岡・新潟・長野・新青森・新函館北斗で使えます。富山での「ひだ」に使えないのは微妙に痛いですが・・・

    私鉄においては特急料金がいる列車、いらない列車がわかりにくく、阪急・京阪などの料金不要列車ばかり走っているもの、京急・名鉄など料金がいる設備が混ざっているもの、東武や近鉄のように全列車指定席特急であるもの、智頭急行や伊勢鉄道のようにJRに準ずるもの・・・
    何パターンかありますが、同じ線区を走る準速達列車に速達列車の価値を若干奪われることも多いようです。(「南紀」⇔「みえ」・「きぬ」⇔東武快速・「はこね」⇔小田急急行)
    着席を目的としたホームライナー的な特急(「きりしま」「きらめき」「あかぎ」など)や九州などに多い観光を売りにした特急(「しまかぜ」「A列車で行こう」「はやとの風」)はある程度存在価値が認められますが・・・。

    さて、この特急券、それほどの価値を持って乗れるものなのか・・・という議論も大事です。
    よっぽど急ぐ用が無ければ、特に近距離では使う事例が少ないのです。
    例えば、北陸方面でいえば、敦賀~京都においてはほぼ乗りません。新快速が強すぎる。
    でも、データイムの武生以北~米原・長浜においては乗ります。普通列車の接続が悪すぎる。
    九州方面では普通列車がほとんどない佐伯~延岡や使いにくい別府~行橋では特急に価値が十分ありますが、肥前山口~鳥栖ぐらいだったら別に普通でいいかな・・・と思ったりします。
    (急いでいたために諫早~長崎で特急を使ったりしたことはありますが・・・)
    その一方、遠距離になると特急による時間短縮の価値は大きく上がり、相対的に特急料金も安く見えます。短距離でも大きな時間短縮を得られる(ただし高い)新幹線は、遠距離になると相対的に「3000円そこそこ足して何時間も削れる」という感じで考えられるのです。
    東海道・山陽新幹線においては200kmまで、300kmまで、400kmまでの特急料金が自由席の場合で2480円、3340円、4100円と上がり方が運賃と比べて小さいことから、遠距離になるほど東海道・山陽新幹線の価値は高くなるということになるわけです。
    例えば豊橋~東京は293.6kmで、普通列車の運賃に3340円足して普通列車と新幹線の時間差(だいたい4時間ぐらい)を買うわけです。あとは目的によってその投資が見合うか・・・というところでお財布とスケジュール帳と相談なのです。
    (自分は東京ー豊橋では「豊橋にその日に着けば良い」と考えることが多いので特急料金をケチることが多いです。乗継最終は東京発18時半で、既に目的地の施設やら観光地は日没だったり閉まっていたりしますし。)

    北陸新幹線は在来線や第3セクターと比較すると時間短縮効果が大きいぶん、費用も高いのです。特に時間を気にしない移動の場合、金沢~泊が乗換なしあるいは1回、直江津まで1・2回で行けてしまう上に、特急料金の割にあまり時間短縮できてない例もあるのです。
    高岡市内に行きたいときに、新高岡に行ってから城端線やバスに乗るより高岡まで富山・金沢から第3セクターでアクセスしてしまえばよい(東京-富山と東京-新高岡では特急料金に470円の差がある)と考える人が多いせいか、富山-高岡間の乗車率が高いのです。
    それ以外にも、始発列車で福井~長岡を移動しようとすると、第3セクター経由で12:26、直江津まで普通列車、直江津から特急「しらゆき3号」で11:38、北陸新幹線を使って10:26。2時間の差で特急料金の2590円(金沢~上越妙高)の価値はあるのか。

    これを投資するだけの観光や仕事ができるのか。そう考えたとき、特急の価値をいうものが見えてくるのではないかということです。





  • ちょっとセコい?けどルールに則ってうまく使うJR乗車券

    2017-01-12 05:55
    旅や交通について言いたい放題やるこのブロマガ、今回はJRのきっぷについてです。

    JRの乗車券は、ご存知の方が多いと思いますが、対距離制運賃となっています。
    この運賃、あまり近距離すぎなかったり遠すぎたり特定区間じゃなかったりしなければ実は結構簡単に覚えられます。
    それは、30km=500円です。
    26-30km=500円、51-60km=970円、101-120km=1940円、221-240km=4000円といった具合です。420km(6800円)より600km(9290円)までの中遠距離では見積もり側が若干高めに出てしまいますが、だいたいの距離さえわかれば運賃表など見なくてもだいたいの運賃が出せるのです。

    そして、ここからが少し難しいですが、この比例線よりも高く実際の運賃が出る部分(30km以下と160km~320km)と下に出る部分(40km~160kmと360km以上)があります。
    つまり、距離に対して80kmあたりや500kmは安く、逆に240kmぐらいでは高く出るのです。つまり、240kmぐらいのところなら、100kmごとなどに乗車券を区切ったほうが安いのです。

    一例を挙げましょう。かなりメジャーな区間でこのトリックができます。
    なんと名古屋-福井でこれが成立するのです。しかも切る駅が米原
    これは、名古屋-米原間が79.9km、米原-福井間が99.9kmという絶妙な距離なのです。
    運賃計算上では小数点以下のキロ数は切り上げるので80km,100kmとなります。
    71-80kmの運賃は1320円、91-100kmの運賃は1660円、161-180kmの運賃は3020円です。米原で分割すると合計2980円で、40円安くなるのです。分割と言ってもそんな変なことをやるわけではなく、名古屋で米原までの切符を買い、米原で改札を出て切符売り場で福井までの切符を買ってまた改札を通るだけです。乗換時間がある場合は基本的にこれをやります。
    なお、2駅先のメジャー区間・金山-福井間なら・・・
    米原-金山(83.2km)は1490円。米原-福井(99.9km)は1660円。
    福井-金山(183.1km)は3350円。
    名古屋だけで分割すると3210円(-140円)ですが、米原だけで区切ると合計3150円で200円のプライスダウン。ペットボトル飲料が1本タダになったようなものです。値下げ率にすると約6%OFF。これはセントレアに行くときなどによくやる手です。
    もちろん、分ける駅を間違えると逆に高くなることもあります。

    さらに、運賃が上がるタイミングを知ることも重要です。
    10kmまで約3kmごと(3,6,10km)、50kmまで5kmごと、100kmまで10kmごと、600kmまで20kmごと、以降40kmごとです。
    つまり、41kmと60kmでは運賃は違いますが、141kmと160kmでは運賃が同じなのです。
    そして、ほぼ比例関係を維持するためには、5kmごと区間の運賃の上がり額と20kmごと区間の運賃の上がり額はだいぶ違います。
    そして、これを極端な例として使うのが乗車券の尻尾切りです。
    例として、福井-上越妙高間があります。実は、福井の隣の森田で切ると安くなるのです。
    福井-上越妙高間は4430円(245.3km)。
    森田-上越妙高間は4000円(239.4km)。
    福井-森田間は190円(5.9km)。
    分けたことで240円得してしまう計算なのです。
    同じように、次の駅に行くと運賃が上がる駅を目的地の手前に探し出し、そこで区切ることで
    安くすることができます。特に240kmと241kmの差額430円は、なんと21km-25kmの運賃410円よりも高いので、240-260kmのところに目的地があって、235-240kmのところに分割できる駅があれば、その駅で分けることによって必ず安くすることができるのです。
    この例を有効活用できる区間は大阪発着の場合、使えそうな区間があります。
    それは大阪市内-備後赤坂~尾道・横尾~府中です。
    分割する駅はなんと、新幹線「のぞみ」停車駅・福山。
    尾道~福山間が20.1kmと微妙な距離ですが、一応安くなります。尾道へサイクリングや聖地巡礼したい方はぜひどうぞ。
    なお、出発は大阪市内なので、大阪市内の駅から201km以上離れた福山までの運賃は大阪駅からの距離で運賃を計算するので天王寺だろうが京橋だろうが鶴橋だろうがこの技は使えます。
    さらに、福山発着で見た場合、新大阪分割で吹田~山崎が安くなるほか、放出分割ではなんと放出から20km圏内の四条畷・松井山手のほか、放出-北新地間のキロ数ほぼチャラになるため京田辺・祝園も安くなります。堺市方面も安くなると思いますが調べるのが大変なのでこのへんで。
    出発駅から201km以上離れている大都市圏から微妙に外れている駅は近隣の大都市圏内の駅で切ることで安くできる例もあるようです。名古屋市内からなら、市川までの乗車券を小岩で切ると80円安くなります(6480円→6260円+140円)。

    しかし、先述の技が使えるのは中距離(300kmぐらい)まで。往復割引が効く600km以上になると、運賃が上がる間隔が20kmごとから40kmごとになりますが、上がる額がほとんど変わらない(むしろちょっと下がる)ので、キロ当たりの単価がどんどん下がっていき、乗車券を切ることは悪手となります。
    581-600kmでは9290円に対し、1161-1200kmになると13820円。距離が倍になっているのに運賃は1.5倍にもなっていません。
    これをうまく使うのが、「大回り乗車券」「一筆書き乗車券」です。複雑な経路をとってルートが重ならないように進めば、単純往復より安く旅できたり、ちょっと離れた観光地に足を伸ばしたりできるというシロモノです。
    北陸の人間だと東京往復においてこれを良く使います。
    経路は各駅-金沢-北陸新幹線-東京-東海道新幹線(東海道本線)-米原-北陸本線-各駅です。
    途中下車もできるので、高崎や大宮、熱海、静岡、名古屋で観光ができるわけです。
    経路をちょっといじくるだけでわずかな追加料金だけで寄り道もできる場所もあります。
    考えられるオプションルート
    高崎~大宮を小山経由
    大宮~小田原を湘南新宿ライン経由
    国府津~沼津を御殿場線経由
    東京~金山を中央本線経由
    東京~富士を身延線経由
    米原~近江塩津を山科経由(途中下車しなければ特急で京都乗換も可能)
    大宮・高崎~上越妙高を越後湯沢or会津若松・郡山経由(えちごトキめき鉄道連絡運輸)

    大阪発着の場合、東京への往復で金沢に寄り道しても大して費用を上乗せしなくてもよいようになるようです。ただし大阪-東京-金沢-山科までのラケット型経路になります。

    自分が使ったことがあるカオス乗車券をいくつかご紹介しましょう。
    ちゃんと全部「安かったから」こうしたんです。

    1.福井→福井(ゆき)・福井→福井(かえり)
    ゆきもかえりもないだろと言いたくなるこの乗車券。
    これは先述の北陸-首都圏1周ルートの大回り乗車券で、さらに往復割引を効かせてさらにお安くした乗車券です。もちろん経路は逆まわり。
    有効期間は14日でしたが、2週連続で首都圏に行く用事があったので普通に使いました。
    (なお2週目の用事は秩父札所巡りのことです、sm30199159参照)

    2.松本→松本
    駅員を困惑させた1枚。かなり昔のものですが、類似ルートは今でもできます。
    経路は篠ノ井線・中央本線・東北新幹線・秋田新幹線・羽越本線・白新線・信越本線・篠ノ井線(松本→新宿→東京→盛岡→秋田→新潟→直江津→長野→松本)。
    現在は信越本線宮内-長野間を上越線・飯山線・北陸新幹線に変えることで実現できます(連絡運輸があるので実際には別ルートもある)。
    こんなん長野県内で見せられたら困るわな。

    3.福井→福井(ver.2)
    マルスがオーバーフローしそうになった幻の1枚。
    予定経路は北陸本線・北陸新幹線・えちごトキめき鉄道・信越本線・上越線・飯山線・北陸新幹線・篠ノ井線・中央本線・飯田線・東海道本線・北陸本線。
    あまりにも複雑なので時間がかかりすぎたため、上越妙高-飯山間を北陸新幹線で短絡させて発行してもらいました。
    実際の発行経路:福井→金沢→上越妙高→長野→塩尻→岡谷→飯田→豊橋→米原→福井。
    削った経路:上越妙高→直江津→宮内→越後川口→飯山→長野

    4.新函館北斗→福井
    経路はシンプルで、北海道新幹線・東海道新幹線・北陸本線。
    しかし青森で丸一日レンタカー、三島で駿豆線に寄り道、豊橋でも寄り道。途中下車を楽しみまくった切符。

    5.宇都宮→京都
    駅員困惑その2。
    経路は東北本線・東海道新幹線・山陰本線・舞鶴線・KTR・山陰本線・因美線・山陽新幹線(宇都宮→東京→京都→綾部→西舞鶴→天橋立→豊岡→鳥取→津山→岡山→京都)。
    京都までの乗車券を見せられて困ってた山陰地区の駅員さんすみませんでした。

    6.福山・福井→長野
    ダイナミックにリゾート満喫な大回り乗車。
    経路は新大阪までは普通のルート、新大阪から大阪環状線・阪和線・紀勢本線・伊勢鉄道・紀勢本線・関西本線・中央本線・篠ノ井線(福井→大阪→天王寺→紀伊田辺→紀伊勝浦→名古屋→長野)。紀伊半島一周して長野へ。途中紀伊勝浦で那智山観光を堪能。

    大回り乗車は旅の浪漫ともいえるもの。上手に使うと安く満足できる旅ができるので活用してみるといいでしょう。
    次回は、特急券について書いていこうと思います。