歌舞伎初心者の私が超歌舞伎の素晴らしさを語ってみた
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歌舞伎初心者の私が超歌舞伎の素晴らしさを語ってみた

2016-05-04 00:25

    私は超会議2016の超歌舞伎が初めての歌舞伎でしたが、生とタイムシフトで計4回も視聴し、千秋楽にいたっては男ながらに泣いてしまったので、超歌舞伎の素晴らしさについて語りたいと思います。

    私が超歌舞伎で感泣した理由は、ひとえに『本当の傾き《かぶき》が見られたから』だと思います。それでは具体的な理由を語っていきましょう。

    まず、根本の歌舞伎ですが、私を含めた歌舞伎初心者が見ることを想定されていることもあって、見所をこれでもかと詰め込んでいた所が非常に良かったです。覚えていて調べられただけでも以下の様な魅力的な見所がありました。他にも、忠信の狐の遠吠えや「かっかっかっかかかかか…」などもかなり印象に残る所でした。

    • ミクの口上の「隅から隅までずずいーっと
    • 忠信が真の姿白狐となる時の「ぶっ返り」
    • 忠信の「狐六法」
    • ミクと青龍による、さあさあさあの「繰り上げ」
    • 忠信の「梯子乗り」
    • 青龍の「毛振り」
    • 勿論、「見得を切る」

    私でもこれだけの気付きがあるのだから、本当に大盤振る舞いしたのだと思います。

    次に、歌舞伎の魅力をさらに強化したのが、NTTさんの技術です。初音ミクが透明なスクリーン上に投影されるだけでも十分凄いのですが、私が特に好きなのは、

    • 美玖姫と忠信の舞での次元を超えた扇渡し
    • 青龍と美玖姫の闘いの中での青龍の火炎攻撃
    • 最終決戦での忠信の分身(忠信の動きをリアルタイムでキャプチャし、透明なスクリーン三面に映して歌舞伎を進行させるというもの)

    です。どれも、ニ次元と三次元が融合して初めて魅力を発揮するもので、単純に「初音ミクを共演させときゃいいや」では済まない作り手側の熱意が感じられました。特に、この次元を超えた共演は合わせるのが難しいのもあって、どの公演でも若干の失敗があったりしたのですが、それを感じさせない役者陣の持ち直しが見られたのも良かったです。

    初音ミクもまた歌舞伎の魅力を高めた一つの要素でした。重要な場面で流れる「千本桜」はどれも心を揺すぶるために効果的に使われていたように思います。

    • 物語が始まる OP としての千本桜
    • 忠信が美玖姫に数多の言の葉で桜を咲かせることを願う場面の千本桜
    • 忠信復活時に流れる千本桜
    • カーテンコールでの千本桜

    アレンジが違うとはいえ同じ曲が何度も流れているのにも関わらず、一々心を打ってくるんです。正直、千本桜はボカロ曲の中ではそこまで好きな方ではありませんでした。しかし、超歌舞伎の中で千本桜のイントロが流れると、一気に心を動かされるんですよね。素直にすごいと思います。

    また、初音ミクの調教も素晴らしいの一言でした。テロップが用意されていましたが、テロップがなくてもきちんと台詞は聞き取れましたし、歌舞伎らしい口調になっていたと思います。特に、青龍との掛け合いは非常に引き込まれるものでした。声だけでなく、勘十郎さんがあてられたモーションが合わさることで、本当に美玖姫の一つ一つの所作が女性らしいんです。

    最後に、今回の超歌舞伎で一番の傾きの源泉になったと思われるのが、ネットとリアルの観客です。友人から聞き、見比べてみて自分もハッとしたのですが、初日の初公演と二日目の千秋楽だと、観客の盛り上がりが全く違うんです。初公演では、大向うの声も小さくまばらで、誰が出ても「萬屋!」と言っている状態でした。また、ネットの観客は歌舞伎に見とれてしまってコメントが打てず、リアルの観客も中村獅童さんの煽りがあっても見ているだけでした。それが、最後の公演になると、「萬屋・紀伊國屋・初音屋」を使い分け、大向うも皆が適当なタイミング(それと付随するタイミング)で叫び、コメントも通常は small 進行で、最後の数多の言の葉を送る場面には normal pink で花吹雪を送り続ける。千本桜が流れたら、サイリウムを振り上げ「おいっ!おいっ!」の掛け声を上げる。

    私は、この、千秋楽で歌舞伎、技術、初音ミク、観客の全ての本気が合わさって一つのコンテンツになった瞬間を見て、思わず感動して泣いてしまったのでした。この今昔饗宴千本桜は、このどれが欠けてもいけない。全部の最大が合わさってできている。そう思ったのです。

    長くなりましたが、今回の共演は、本当に素晴らしいものだったと思います。

    加えて嬉しかったのは、この共演を歌舞伎ファンにも喜んでもらえているということです。『超歌舞伎(ニコニコ超会議2016)『今昔饗宴千本桜』で号泣した歌舞伎ヲタの感想』では、歌舞伎ファンの方が青龍役の澤村國矢さんがコメントで評価されていた(私も一目見ただけで素晴らしい演技だと思いました)ことや同じ演目を見て楽しむ(私も結局4回見ました)ことを非常に喜んでおられました。歌舞伎ファンの全員が全員、手放しで喜んでいるとまでは思いませんが、このような感想が上がってくれるのは、一ニコ厨、一ボカロ好きからすると非常に嬉しいです。

    反対に、一ニコ厨、一ボカロ好きの自分も、歌舞伎とコラボしたことを喜んでいます。カーテンコールの際、中村獅童さんは、初音ミクに必ずスッと一礼するんですよね。この一礼がどれだけ素晴らしいことかと。歌舞伎の大スターが初音ミクをただのソフトではなく、これまでのボカロPとユーザの集積からなる一人の個として見てくれ、同じ主演として敬意を表してくれている。これを感じられるだけで、どれだけ嬉しいか。私は、そこまでのミク厨ではないですが、それでもありがとうと言わずにはいられません。

    次があるのかも分かりませんが、是非、今回の共演がお互いにとってよりよいものになることを願うとともに、まだ観ていない方は、是非一度観てみて欲しいと思うのでした。


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