• Deerhunter/Fading Frontier

    2016-05-19 22:13



    1. All The Same
    2. Living My Life
    3. Breaker
    4. Duplex Planet
    5. Take Care
    6. Leather And Wood
    7. Snakeskin
    8. Ad Astra
    9. Carrion

    USはジョージア州北西部アトランタ出身のサイケ/ドリームポップ/インディロックバンドの6th。インディロックを代表するバンドの一つにも数えられるBradford Cox率いる鹿狩りことDeerhunterと言えば、ノイジーなガレージロック、シューゲイザーをかき鳴らしていた初期から白昼日のような蕩けるようなネオサイケデリアなサウンドへと進化した名作「Microcastle」、そして救いのないアングラな虚無感やサイケによる酩酊感を深めて孤高の存在へと上り詰めた最高傑作「Halcyon Digest」にて大きく成長し本格的なブレイクを果たしました。その後はAtlas SoundやLotus Plazaと言った個々の活動を開始。その飽くなき活動意欲と本バンドでは難しかった実験的な試みをソロで披露しながらも、続く前作「Monomania」ではパンク・ガレージの色濃い初期回帰を匂わせました。でも、個人的には3rd以降の作品に惹かれていて然程リピートに至らなかったのが正直なところで、この一連の流れからして鹿狩りのピークは既に過ぎ去った感は否めず、新作「Fading Frontier」に関してもそんなに期待はしていませんでした。そんな本作のリードトラックとなっていた2. Living My Lifeや3. Breakerを聴くに、正統派チルウェイブ勢のような穏やかな音色やドリーミングなサイケデリアは彼らの全盛期を思わせるサウンドで、後に「Halcyon Digest」を手掛けたBen Allenがプロデュースを手掛けていると知って大いに納得した次第だ。しかし、単に回帰しているというわけでもなく、あの頃のような負の感情や前作での妙な窮屈さは皆無と言っていい。そして、まるでKurt Vileを彷彿とさせるフォーキーで牧歌的な味わいやより音を絞ったシンプルな楽曲の数々からしても何処か吹っ切れた感があり、非常にスムーズに聴ける作品になっています。そのシンプルさが光る本作中でも、4th収録の「Memory Boy」ライクな1. All The Sameやシンセを用いて煌びやかなエレクトロニカや浮遊感を持たせた4. Duplex Planetのような従来の鹿狩りサウンドからアンビエント方面の6. Leather And Wood、Mac DeMarcoのようなあっけらかんとした緩いポップ感がヤミツキの7. Snakeskin、まるでプログレッシブロックのような奥行きのあるサウンドスケープが広がっていく8. Ad Astraなどバランスの取れた構成で、即効性は無くとも今まで追ってきたファンであれば概ね納得出来る内容には違いないでしょう。言うて3rd~4thに匹敵するかと問われるとアレなんだけど...


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  • I Am the Manic Whale/Everything Beautiful in Time

    2016-05-19 03:32



    1. Open Your Eyes
    2. Pages
    3. Princess Strange
    4. Circles (Show Love)
    5. Clock Of The Long Now
    6. The Mess
    7. Derelict

    UKはバークシャー州南部レディング出身のシンフォニック/プログレッシブロックバンドの
    1st。Michael Whiteman(Ba,Vo,Key)/David Addis(Gt,Vo)/Ben Hartley(Dr)を中心に2015年に結成されたばかりの英国シンフォプログレ界隈の新鋭バンドで、そんな彼らのデビュー1stフル「Everything Beautiful in Time」がプログレ界5大バンドの一角Genesisの影響下にある王道のブリティッシュサウンドを継承しながらも、90年代以降のシンフォプログレの先輩バンドがやってのけたように現代的なモダンでスタイリッシュな感性を溶け込ませてアップデートさせた叙情シンフォ節を披露していて、私がGenesis厨であることやメロディ派を唸らせるほどのグッドメロディの充実もあってか去年のベストにも選出したほどの年末の魔物なのです。その完成度はベテラン勢にも勝るとも劣らずと言ったレベルでそれだけでも推したくなるものですが、本バンドの魅力の一つと言える日本人好みの懐メロもA.C.TやMoon Safariを思い出してしまうほどにベッタベタでギターワークも泣きに泣いている。しかし人懐っこくポップな聴き易さだけに特化しているわけでもなくて、多彩なコーラスワークやテクニカルなアンサンブルが織り成すプログレらしいサウンド構築/ソングライティング能力もしかと見せつけたりと現代英国シンフォ筆頭格Big Big Trainに並ぶセンスの良さに只々驚くばかりであります。

    時にたおやかな叙情フレーズを挟みながら、軽やかなポップネスとエッジの利いたロックテイストが融合したA.C.Tライクなプログレハードナンバーの1. Open Your Eyesから力強くも美しいハーモニーを響かせ、これ以上ないスタートを切る。続く2. Pagesでは、北欧シンフォ開祖Kaipaを彷彿とさせるコーラスワークが織り成すしっとりとしたシンフォ調のサウンドがメインとなっていて、中盤にはアコースティックギターを用いたフォーキーで幻想的な音色が穏やかな癒しを与えてくれます。再び明瞭なポップ調へと返り咲く3. Princess Strangeでは後半になるに連れて流麗なギタープレイに火が付き、躍動感のあるスリリングな展開で華麗に盛り上げます。そして私的ハイライトとなる4. Circles (Show Love)に入るとスパートを掛けるギターソロから突然の変調やユーモラスなフレーズが飛び出すなど一筋縄ではいかないプログレバンドであることを証明するかのようにテクニカルな技巧が炸裂、秀逸なメロディラインや煌びやかなKeyに導かれるように聴き進めると16分の大曲にも関わらずあっという間に過ぎ去ってしまいます。ピアノやKeyの泣きの美旋律にコーラスを加えた大味の5. Clock Of The Long Now、アコギの爪弾きをメインとした牧歌的な優しい音色に舌鼓を打つ6. The Messといったおとなしめの曲調の二曲を超えて、21分強の本作屈指の大曲7. Derelictへと突入する。前曲のゆったりした流れを引き継いだ序盤~徐々にロックらしいタイトなドラミングやギターパートが牽引していく中盤戦~温もり溢れるフォーキッシュな間奏を挟んでシンフォニックな広がりを強めていく終盤と、起承転結しながらダイナミックにエンディングを迎える様はさながらTransatlantic作品の終曲並の聴き応えと感動が待っている。そのストーリーテイストのような楽曲構成がドラマティックに紡がれていく今作は、プログレッシブロック新人では個人的には断トツの出来で、今後のプログレ界隈を引っ張っていくバンドの一つになるかもしれません。特にメロディ派のリスナーであれば積極的に聴いて頂きたい作品であります。


  • Westkust/Last Forever

    2016-05-17 01:05



    1. Swirl
    2. Dishwasher
    3. Drown
    4. 0700
    5. Weekends
    6. Easy
    7. Jonna
    8. Summer 3D
    9. Another Day

    スウェーデンはヴェストラ・イェータランド県ヨーテボリ出身のインディロック/ドリームポップ/シューゲイザーバンドの1st。ポストパンクバンドMakthaverskanのメンバーであるHugo Randulv (Gt)とGustav Andersson (Gt)が新たに立ち上げたバンドで、かのPitchfolkにもBest New Trackとして取り上げられていた冒頭曲1. Swirlを聴くに、男女ツイン体制でお送りする胸キュンドリーミングなギターポップ/シューゲイザーサウンドは初期The Pains of Being Pure at Heartをモロに思い起こさせる潔さで、今のペインズにはない瑞々しく清涼感を持ったメロディラインと胸焦がすような刹那い疾走パートは僕らモテナイ系オタク男子の淡く繊細なハートに揺さぶりをかけてくる。そのリードトラックに続く2. Dishwasherでは幸福感振り撒くネオアコサウンドを軸にガレージロック的な程よいノイジーな轟音ギターをかき鳴らしたり、3. Drownでのパンキッシュな疾走感も垣間見れたりと前身バンドからの影響も少なからずあるようにも見えたりもするが、あくまでもキャッチーなメロディに特化した疾走曲が占める構成となっているため一気に聴き進めることが出来ます。中盤戦に入ってからも、荒々しくギターノイズをかき鳴らす轟音シューゲナンバー4. 0700や眩くキラキラとした青春ポップ系の6. Easy、DIIVやSmith Westernsを想起させる僕たちが青春するはずだったあの夏へとタイムスリップしたかのようなノスタルジー感満載な真夏のドリームポップナンバー8. Summer 3D等全曲シングルカット出来そうなくらいにキャッチーで即効性を持った王道シューゲポップナンバーが並びます。そんなデビューEPの時点でもシューゲ/インディファンの間で話題になっていたというのも頷けるくらいの素晴らしい一枚です。同系統ですとロシアのPinkshinyultrablastのデビュー盤もそれなりに気に入ってはいましたが、胸キュン度ではコチラに軍配が上がったかんじで、去年のベストにはWestkustを選出しました。