• Swallow The Sun/Songs From The North

    2016-06-27 02:5910時間前



    [Disc-1/Gloom]
    1. With You Came The Whole Of The World's Tears
    2. 10 Silver Bullets
    4. Heartstrings Shattering
    5. Silhouettes
    6. The Memory Of Light
    7. Lost & Catatonic
    8. From Happiness To Dust

    [Disc-2/Beauty]
    1. The Womb Of Winter
    2. The Heart Of A Cold White Land
    3. Away
    4. Pray For The Winds To Come
    5. Songs From The North
    6. 66°50´N,28°40´E
    7. Autumn Fire
    8. Before The Summer Dies

    [Disc-3/Despair]
    1. The Gathering Of Black Moths
    2. 7 Hours Late
    3. Empires Of Loneliness
    4. Abandoned By The Light
    5. The Clouds Prepare For Battle

    フィンランドは中央スオミ県ユヴァスキュラ出身のゴシック/デスドゥームメタルバンドの6th。隣国スウェーデンのDraconianや同郷のShape Of Despairと共にゴシック/メロドゥーム界を牽引するMikko Kotamaki率いる6人組Swallow The Sunの最新作。上記のバンド同様に私のフェイバリットバンドの一つで、先日公開した「私を構成する9(0)枚」でも4th「New Moon」を挙げさせて頂いております。その4thは有名エンジニアとして名を馳せるJens Bogrenを早くも起用し、北欧的な哀愁メランコリーと美醜入り混じる暗黒デスドゥームを徹底的に極めたメロドゥーム界屈指の傑作アルバムでありました。続く前作「Emerald Forest And The Blackbird」では再び初期のフィンランド陣営によるバック体制の元、アコギによるフォーキーな音色を大胆に取り入れたり、ゲストにNightwishのAnette Olzonを迎えたりと彼らなりの変化を加えた意欲的な作品で、流石のSTSとだけあって過去作同様高い質をキープしてはいましたが、持ち前のメランコリーや泣きのメロディはやや控えめであったり、似たり寄ったりの曲が目立つなど本来の良さが生かし切れていない中途半端な印象を覚えて、それなりに気に入っていても然程ヘビロテにはならなかったのが正直なところでした。それに続く本作「Songs From The North」が「Gloom(陰鬱)/Beauty(美)/Despair(絶望)」の異なるテーマを掲げた三枚組編成の超大作だと知ったときは今の彼らでイケるのだろうかという不安もありました。しかし、総勢17人によるフィンランド人脈のエンジニアとDaylight DiesのヴォーカリストNathan Ellisを含む5人のゲストを迎えた豪華絢爛なバック体制を揃えた本作は、北欧フィンランドの極寒の大地を体現したかのような音像を映画さながらのスケールと二時間を超える途方もないトータルタイムで描き出す見事な大作に仕上がりました。

    そのオープニングを飾る[Disc-1/Gloom]では、前作で魅せたような枯れたアコギの音色のイントロを始めに鬱々しくも儚げなメロディに乗せてドゥームメタルらしくどっしりと、時には情緒的なフォークパートを交えながら進行していく1. With You Came The Whole Of The World's Tearsを始め、ホロリ煌めくメランコリックな美と慟哭系デスドゥームの醜による静と動のコントラストをMikkoが表現豊かに味わい深く歌い上げるこれぞSTSの十八番とも言えるリードトラック3. Rooms And Shadows、過去作でもお馴染みのTrees of EternityのAleahをフューチャーした4. Heartstrings Shatteringや6. The Memory Of Light~7. Lost & Catatonicといった女性Voとデュエットした楽曲はメロドゥーム特有の泣きメロと雪景色のようなシンフォニーな演出に限りなく特化したような美しさで終始魅了し、ラストの8. From Happiness To Dustでは、まるで天上が如し光のメロディが降り注いでくる神聖なオーラ出まくりのフィナーレを迎える。簡単に言えば、Draconianにも負けず劣らぬのメロドゥーマーっぷりを披露するいつものSTSらしいゴシック/デスドゥームを展開するのが一枚目。[Disc-2/Beauty]では、Disc-1とはうって変わって非メタルなフォークミュージックをベースにオーロラのような冷気が覆う幻想的な情景を描き出す今までにない(前作でその予兆はあったかもしれないが)STSの姿を拝む事が出来る。要はKatatoniaやAnathemaが近年挑戦していたアコースティック集、AlcestやLes Discretsに代表されるシューゲイザーブラック勢の癒し要素に特化したような作品、あとはOpethの「Damnation」のようなディスクがわりかし近いと思う。ポストロックのような優美で温かなメロディを擁した穏やかなアコギソング2. The Heart Of A Cold White Land、透明感のある夢心地なサウンドスケープに揺さぶられる3. Away、土着性のある民謡フォーク/トラッド譲りの牧歌的な雰囲気はAlcest級の癒しをもたらしてくれるタイトルナンバー5. Songs From The North、枯れたアコギの爪弾きとポストロックのような美麗なトレモロが荒涼とした雪景色を演出する7. Autumn Fire、懐メロ的なベタなアプローチや飾り気のない自然体の哀愁クリーンを聴かせるMikkoの歌い回しに惚れ惚れしてしまう8. Before The Summer Diesなど冬のフィンランドを彩るアコースティックフォークソング集を難なくやってのけてしまう。Disc-2での癒しのフォークソングから急転して一気に絶望の破滅デスドゥームへと転がり落ちていく[Disc-3/Desapir]は、初期のSTSもびっくりなほどの陰鬱な感情渦巻く埋葬ドゥームっぷりで、苦悶に満ちたようなデスいグロウルを放つMikkoにも妙な貫録が漂う。Shape Of Despairのようなシンセを効果的に使ったフューネラルドゥームをズルズルと引きずり込むように展開する2. 7 Hours Late、荘厳なデスドゥーム路線ながら語りパートを超えてからの壮絶なドラマ性に打ちひしがれる3. Empires Of Loneliness、息が詰まりそうなほどの禍禍しいへヴィネスの炎を吹き出しながらゆっくりと神秘性を高める5. The Clouds Prepare For Battleまで徹底した終末感漂う埋葬サウンドが展開されていきます。

    北欧叙情センスが爆発したいつもどおりのSTSなら一枚目、フォークミュージックに目覚めた新感覚STSなら二枚目、絶望の底へと引きずり込まれる闇堕ちしたSTSなら三枚目といったかんじで、独立してリリースされていたとしても問題なく評価されそうなくらいの否の付けどころのない完成度。お気に入りとしては耳馴染みしてるせいかやはり一枚目なのですが、二枚目(特に後半)にも心底癒されるし、徹底的に打ちのめされる三枚目も捨てがたい。各ディスクそれぞれバラエティに富んでいるのは言うまでもないが、彼らの歩んできた道筋が凝縮されているような密度の高さからくる圧倒的な聴き応えもポイントの一つであるが、明確に一枚一枚テーマ別で構成されているおかげで、三枚組であっても思った以上にすんなりと聴き通せるのは非常に有難い仕様。そして本作の成功の理由としては、Mikkoが片手間でやってたBarren EarthをSTSに本腰を入れるために脱退したことや前作でのアコースティックフォークへのアプローチを違う方向性で開花させたことなど色々考えられる。しかし、そんなこと以前にゴシック/デスドゥームの代表バンドにしてそれなりの作品を生み出していけば安泰という立場にありながらも3枚組大作というコケるかもしれない危険を冒してまで本作を生み出した彼らの飽くなき探求心を称賛しないでどうするといったかんじで、当然去年のベストにも選出した傑作アルバムです。


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  • Plastic Tree/剥製

    2016-06-25 01:282



    1. ◯生物
    2. フラスコ
    3. マイム
    4. ハシエンダ
    5. 告白
    6. インソムニアブルース
    7. float
    8. 落花
    9. スラッシングパンプキン•デスマーチ
    10. スロウ
    11. 剥製
    12. ●静物

    日本のV系ロック/シューゲイザー/オルタナティブロックバンドの13th。結成から20年を超えるキャリアを誇るベテランV系ロックバンドとしてPlastic Treeの最新作。東京酒吐座に元ドラマーが在籍していたことでそういえばシューゲイザーから影響受けてるバンドなんだっけ、そのうち聴かなきゃなぁと思っていて...結局アルバム単位で聴くのは本作が初めてになりました(この後過去作を揃えるほどハマるとはたまげたなぁ)。彼らの魅力/個性と言えば、文学的でどこか憂鬱感のある歌詞世界や独創的でメランコリックな世界観の持つ高い中毒性、そしてヴォーカリスト有村竜太朗の憂いを持ったぼやけ気味の儚げな歌声等挙げればキリがない。だが、それ以上にとてもV系界隈に籍を置くバンドとは思えないほどの多彩なアプローチからなるロックサウンドは洋楽リスナーにすらアピール出来そうなくらいの代物で、私自身も知らぬ間にプラのサウンドの虜になっていました。ちなみに数年前に刊行されたシューゲイザーディスクガイドにもしっかり名前が載っています。そして通算13作目となる本作「剥製」は各メンバーが作詞/作曲を手掛けたとあって王道シューゲイザー/オルタナティブロックから電子サウンドを散りばめたパンキッシュな弾けたナンバーに数珠のバラードまで網羅した多種多様なアプローチ満載の一枚に仕上がっている。

    タイトルにもある「剥製」を司る「○生物」と「●静物」というピアノによるインストナンバーを挟まれた楽曲群はどれも魅力的で、爽やかで解放感のあるギターサウンドがひたすらに眩い光を放つ2. フラスコ、ダンサブルでポップなリズム感と近未来的な世界観がよりアートっぽい印象を植え付ける3. マイム、これぞ王道といったオルタナティブテイストが光る疾走ナンバー4. ハシエンダ、そして感情に訴えるような刹那いメロディと情景描写を表現したセンチメンタルなロックナンバー5. 告白は個人的なハイライトナンバー。気だる気な浮遊サウンドに透明感のある綺麗なメロディが乗っかったミドル調の7. float、スマートで華麗なシューゲイザーサウンドをかき鳴らすこれぞプラといった仕上がりのシングル曲8. 落花、メロコア/パンクらしいノリの良さと電子音導入のパーティーサウンドが融合した異色とも言える9. スラッシングパンプキン•デスマーチ、その軽快さから一転、透明感のあるしんみりとした雰囲気が素敵なバラードナンバー10. スロウや静かにナイーブでメランコリーな旋律を奏でていく実質ラストの11. 剥製と終盤にかけてはしんみり系バラードが続くため聴き終えた後はどうしてもノスタルジックな気分になってしまいますが、プラらしいと言えばらしいですかね。何にせよオルタナ/シューゲイザーの要素が強いハイレベルなロックサウンドはV系だから~といって敬遠するには勿体なさ過ぎるほどの魅力に溢れています。上記の要素にピンとキタなら是非。2015年ベスト作品。


  • Horrendous/Anareta

    2016-06-24 00:10



    1. The Nihilist
    2. Ozymandias
    3. Siderea
    4. Polaris
    5. Acolytes
    6. Sum of All Failures
    7. Stillborn Gods
    8. The Solipsist (Mirrors Gaze)

    USはペンシルベニア州南東部フィラデルフィア出身のデスメタルバンドの3rd。規約に反するか微妙なラインでしたが一応アートワークの下部分を切り取りました。Matt Knox(Gt/Vo), Jamie Knox(Dr)のKnox兄弟とDamian Herring (Gt/ Vo)の三人から構成されたデスメタルバンドHorrendousの最新作。2015年大手海外メディアのベストに軒並みランクインを果たしていた最新鋭のハイブリッドなデスメタルを鳴らすバンドで、オールドスクール/スラッシュ~サイケ/ストーナー~70'sプログレ/クラシックロックと様々な要素を華麗に取り込んだ現代らしいアーティスティックなデスメタルで話題となった前作「Ecdysis」の時点でもFGDを思わせるキメラティックな魅力は十分に披露されていました。その反面、色々な要素に手を付けたせいかあらゆる面で散漫に映ったのか、或いはあざとく感じたのかDeafheavenやPallbearerに続けとばかりに所謂ガチメタラーから批判を受けていたのが案の定過ぎて何だか笑えました。それに続く本作「Anareta」では前作を踏襲する唯一無二な音楽性をひた走りながらもカッチリとしたオールドスクールらしい質感や叙情的なメロディセンス、プログレッシブな展開力の向上が目覚ましい一枚に仕上がっており、約一年という短いスパンながらもしっかりと成長が窺えるってのはホント頼もしい限りですね。テクニカルデスのような器用な一面とデスロール的なやっつけ的な勢いが絶妙にマッチした1. The Nihilistを始め、グル―ヴ感のあるリフによるどっしりとした前半パートから叙情にドラマ性が開花していき、豪快なデスメタルへと流れ込む急転的展開が美味な2. Ozymandias、ソリッドなキレ味を持ったスラッシーな爆走とエピックなギターフレーズに惹かれる4. Polaris~そのアグレッションを生かしたVektorのようなプログレスラッシュへと転身する5. Acolytesあたりの中盤が本作のハイライト。ポストブラック風味の曲終盤もニヤリとさせられます。更にヴィンテージな香りを放つトラディショナル/デスロールといったかんじの7. Stillborn Godsも同じく作風を変化させたTribulationの最新作にリンクするかんじで中々面白い。オールドスクールデスメタルとして薦めるには本作も多様性に富み過ぎていてちとミスマッチなかんじは否めないですが、現在のエクストリームメタルシーンを体現するような見事な力作には違いないでしょう。