• Astronoid/Air

    2017-02-14 00:30



    1. Incandescent
    2. Up and Atom
    3. Resin
    4. Violence
    5. Homesick
    6. Tin Foil Hats
    7. Air
    8. Obsolete
    9. Trail of Sulfur

    USはマサチューセッツ州グローヴランド出身のドリームポップ/シューゲイザー/ポストロック/ポストブラックメタルバンドの1st。Vattnet ViskarのCasey Aylward(Gt)も在籍する2012年に結成された若手5人組バンドで、影響元の一つであろうMy Bloody Valentineの「Only Shallow」をカバー、そしてEP「Stargazer」収録のタイトル曲ではVauraやVattnet Viskarの最新作を彷彿とさせるほんのりと陰りを帯びたまろやかなメロディをシューゲイザー特有のトレモロリフに乗せて、クラスト風のブラストビートに合わせて軽快に駆け抜けるブラックゲイズのお手本とでも言うべき見事なキラーチューンを生み出していた。当時Deafheaven旋風真っ盛りの時期だったからこの手のバンドは余計に印象に残り易かったというのもあるけど、程よい起伏アレンジや清涼感のある疾走パートに心底惹かれ、次世代ブラックメタルバンドとして台頭してくるのを密かに期待していたバンドであります。フィンランドを拠点とするBlood Musicからリリースされた1stフル「Air」はEP作の延長ながらドリームポップやパワーメタル、プログレなど普段は相反するジャンルであろうものまで臆することなく貪欲に取り入れ、最早ジャンルの壁なんてないと言わんばかりの革新的でエネルギッシュな一枚を届けてくれました。

    そのリードトラックである2. Up and Atomからして、リズミカルなドラミング/リフによるアップテンポかつスポーティな幕明け~天に突き抜けるようなファルセットVoを乗せて華麗に疾走を開始、ドコドコ系ブラストビートやProtest The Heroが如く目まぐるしい演奏パート(メロスピのようなソロパートも)を交えて抑揚を付けながらドリームポップ顔負けの圧倒的多幸感を放出する。ここまで来るとAlcestとか以上にブラックメタルじゃないと思えてきたりもするわけですが、後味すっきりな清涼感と凄まじいエネルギーが駆け巡る爆走ナンバーの気持ち良さを知ったら不思議とポジティブな気分になってくるし、幻想的なサウンドスケープと疾走パートのキレ味の鋭さ/アグレッション→自らの音楽性を「Dream Thrash」と称しているのも何となしに納得出来てしまう。続く3. Resinでも涙腺を刺激するほどの美トレモロの洪水を段階的に緩急付けて放出する抜群の爽快感があるし、メタルらしい激しさサウンドにまろやかなクリーンVoやポップなメロディという優しい要素が上手く絡み合った6. Tin Foil HatsやEP期のような突き抜けるような爽快感と爆走でエンディングに向けて一気に加速する9. Trail of Sulfurあたりも実に秀逸。終始聴き手に希望を抱かせるような激しくも美しいハーモニーで魅了、多幸感を伴うドリーミングなサウンドにはもう浄化されそうなくらい。明瞭かつポップな光メロディを擁した上で(パワー)メタルの熱さも忘れない絶妙なバランス感覚は既存のポストブラック系のバンドであっても中々ないはずで、EP作品から追っていた身としてもその斜め上を行く成長っぷりには軽く衝撃を受ける内容でありました。ちなみにBlood MusicのBandcampページでNYP公開されているので気になった方は是非。



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  • If These Trees Could Talk/The Bones of a Dying World

    2017-02-12 01:302



    1. Solstice
    2. Swallowing Teeth
    3. Earth Crawler
    4. After the Smoke Clears
    5. The Here and Hereafter
    6. Iron Glacier
    7. The Giving Tree
    8. Berlin
    9. One Sky Above Us

    USはオハイオ州の都市アクロン出身のポストロックバンドの3rd。2005年に結成された5人組If These Trees Could Talkの最新作。Red SparowesやRussian Circlesを彷彿とさせるメタリックな轟音サウンドにふんわりとした浮遊感をイメージさせる淡めの静パートをナチュラルに組み込んだ、繊細かつダイナミックなポストロックに定評のあるバンドで、セルフタイトルのEP作から一貫して良作を生み出し続けている。前作から約4年ぶりとなる本作「The Bones of a Dying World」は名門Metal Blade Records移籍(過去作も再発)第一弾となる作品であるためか、よりメタル寄りの轟音サウンドへの進化を期待させます。でも実際のところはその間逆へと進んでおり、地鳴りのようなけたたましい轟音は抑え気味に、静と動のコントラストを生かした構成をベースに幾重にも積み重ねられた美メロをバーストさせていく、Explosions in the Sky直系教科書通りのポストロックを情感豊かにかき鳴らします。以前取り上げたGatesの新作のように持ち前の美しいメロディセンスに焦点を定め、よりストレートに作り上げたかんじで、ほんのりと哀の感情を込めたセンチメンタルなフレーズと優美な美メロを織り交ぜ、悠然と広がる自然の景色が如く程々に抑揚を付けながらスムーズに切り替えて展開するドラマティックな音像はやはり魅力的で、このバンドは安心感あるなぁと改めて確信。特にラスト3曲の胸を打つような儚げな美メロの報酬には高まりを覚えずにはいられないですね。過去作のような攻撃的な重低音は控えめであるため初聴のインパクトでは幾分劣って聴こえてしまいますが、彼らのメロディセンスの質の高さを知っていればおのずと本作にも入っていけるはずかと。


  • 2016年間ベスト -メタル以外の洋楽編-

    2017-02-10 01:30



    突如メンテナンスに入っていたせいで書いた記事が一瞬で全て飛ぶという例のアレが起きたので少し遅れてしまいましたね(勘弁してくれよ...)。気を取り直して、メタル作品を除いた洋楽作品のベストとなります。サクッと見ていきましょう。







    1. Radiohead/A Moon Shaped Pool


    Best Track: Daydreaming

    2. Haken/Affinity


    Best Track: 1985

    3. Different Light/The Burden of Paradise


    Best Track: In the Grand Scheme of Things (Happiness)

    4. Anderson/Stolt/Invention Of Knowledge


    Best Track: Knowing

    5. Höstsonaten/Symphony#1: Cupid & Psyche


    Best Track: The Ascension

    6. Touché Amoré/Stage Four


    Best Track: Palm Dreams

    7. Denzel Curry/Imperial


    Best Track: Sick And Tired

    8. Kansas/The Prelude Implicit


    Best Track: Summer

    9. Run The Jewels/RTJ3


    Best Track: Hey Kids (Bumaye) (feat. Danny Brown)

    10. Niechęć/Niechęć


    Best Track: Koniec

    11. Ştiu Nu Ştiu/Fake End


    Best Track: Curse All Maps

    12. Nothing/Tired of Tomorrow


    Best Track: A.C.D. (Abcessive Compulsive Disorder)

    13. Car Seat Headrest/Teens Of Denial


    Best Track: Cosmic Hero

    14. The Jezabels/Synthia


    Best Track: Smile

    15. Thank You Scientist/Stranger Heads Prevail


    Best Track: A Wolf in Cheap Clothing

    16. Yndi Halda/Under Summer


    Best Track: Golden Threads From The Sun

    17. Tiny Moving Parts/Celebrate


    Best Track: Headache

    18. Big Big Train/Folklore


    Best Track: The Transit Of Venus Across The Sun

    19. Nosound/Scintilla


    Best Track: The Perfect Wife

    20. Darkher/Realms


    Best Track: Foregone

    21. Mitski/Puberty 2


    Best Track: Your Best American Girl

    22. The Mercury Tree/Permutations


    Best Track: Symptoms

    23. Karmakanic/Dot


    Best Track: God the Universe and Everything Else No One Really Cares About, Pt. I

    24. The Dear Hunter/Act V: Hymns With The Devil In Confessional


    Best Track: Gloria

    25. The Neal Morse Band/The Similitude Of A Dream


    Best Track: The Ways Of A Fool

    26. Danny Brown/Atrocity Exhibition


    Best Track: When It Rain

    27. Klimt 1918/Sentimentale Jugend


    Best Track: Ciudad Lineal

    28. Dark Suns/Everchild


    Best Track: Spiders

    29. Treat/Ghost of Graceland


    Best Track: Endangered

    30. Gates/Parallel Lives


    Best Track: Shiver



    ・Badbadnotgood/IV


    ・Dream the Electric Sleep/Beneath the Dark Wide Sky


    ・Emma Ruth Rundle/Marked for Death


    ・Viva Belgrado/Ulises


    ・65DaysOfStatic/No Man's Sky: Music For An Infinite Universe






    以上になります。まずは見てのとおり洋楽枠はいつからプログレ枠に代わったんだって言いたくなるくらいにプログレ推しが強い並びなのが確認出来て、Jens Bogrenとタッグを組んだ新進気鋭のプログレ集団Hakenのレトロフューチャーなモダン/アート作「Affinity」から始まり、マルタ共和国出身のネオプログレバンドDifferent Lightの7年ぶりとなる新作、5大プログレバンドYesの全盛期を築き上げた名ヴォーカリストJon AndersonとThe Flower Kingsの中心にして北欧シンフォプログレの重要人物Roine Stoltによる奇跡のコラボレーションアルバム、四季をテーマにした作品に一区切り付けて上品極まりないクラシカルシンフォ作を届けてくれたFabio ZuffantiによるソロプロジェクトHöstsonaten、USプログレハードの最古参Kansasの復活作、ジャジーなブラスセッションとテクニカルな演奏技術で魅了するThank You Scientist、ダイナミックでポップなドラマサウンドに定評のあるBig Big Train、Kscope枠でイタリアからNosound、アヴァンギャルドな不敵さとスリリングなテクニカル演奏に痺れたThe Mercury Tree、Roine Stolt人脈によるサイドバンドの一つKarmakanic、Actシリーズ第5弾も非常に手堅い内容だったThe Dear Hunter、Neal Morse爺やMike Portonyといった擬似TransatranticなプロジェクトThe Neal Morse Band、ゴシックメタル風→アート/ポストロック風へと進化したDark Suns等、新旧揃って非常に充実していたと思います。それらを差し置き堂々の一位に輝いたレディへの最新作は駄作だった前作「The King of Limbs」のようなFlying Lotus影響下の踊らせ系ニカではなく崇高なポストクラシカル路線を歩んでいて、「Kid A」や「In Rainbows」大好きマンな私は心底喜びましたし、David Bowieの遺作も敢えてランキングには入れなかったけどよく聴きました。

    その他だと、ミックステープ世代の急羨望にしてふんわりとしたクラウドラップ風の緩さとインパクトのある歌い回しが非常にドープで中毒性が高かったDenzel Curryやチリチリの天然アフロの欠けた前歯というコミカルなルックスがニクいDanny Brownの最新作、El-P&Killer Mikeによる最強のハードコアヒップホップユニットRun The Jewelsの三作目など数こそ多くなくとも印象に残る作品が多かったラップ周辺。ボウイと同じくベストには入れなかった枠だとレジェンドグループの一つでもあるA Tribe Called Questのラスト作も独特の緩いグル―ヴやサイケなトリップ感はヤミツキで長く愛聴出来そうなかんじでいい最期を飾ったと思う。ポストロック/シューゲイザー/ハードコア/インディ系だと、元デフヘのメンバー在籍のNothingや来日公演が素晴らしかったYndi Halda、オルタナ/エモへ焦点を絞り洗練を重ねたGates、ジェレミーの母の死因からタイトルを取ったTouché Amoré渾身のエネルギッシュな新作、現代版Pavementな懐かしのローファイサウンドに和んだCar Seat Headrest、イタリアンポストロック/エモバンドKlimt 1918による二枚同時リリース大作、身を焦がすような90'sエモの精神を継承したTiny Moving Partsあたりはよくヘビロテしてました。それでもインディロック系統は上半期に引き続き不作な印象が拭えなかったのが正直なところで、カニエ作品でのコラボがきっかけなのか知らないが実験的な煮え切らない作風になってしまったBon Iver、約20年ぶりのリリース作も出す必要性すらイマイチ感じられなかったAmerican Football、その他Bat For Lashes/Wilco/Warpaint/Phantogram/The Radio Dept.は期待値の高さもあってか余計にガッカリしました。海外のベストをいくつか眺めてみても、少し前のThe Weekndみたいな洗練されたアートなオルタナティブR&Bやソウル、ヒップホップ、電子系なんかが流行りみたくインディはおろかロック全体が元気ないみたいだからしょうがないね。他にも色々出したい作品はあるけど追々個別で書いてくってことでベスト記事はこの辺で終わらせておきます。3記事とも手抜きばっかでしたがお付き合いのほどありがとうございました。