• 2017年上半期ベスト

    2017-07-13 22:302


    今年も早いもので恒例の上半期ベストの時期がやってまいりました。見ての通り去年の作品の記事化すら半分くらい残っている現状で、当然今年の作品なんか一枚も書けてない(数年前の未記事を今更出してる場合じゃない...)わけですが、今年のもそれなりに買ったり聴いたりはしてたのでひとまずここにまとめておきます。年間じゃないんで個人的に気に入っているものをパパッと並べて最後に簡単な感想を書くだけに留めます。ちなみに予定より二週間くらい遅れたのは、元々遅筆なのもあるけど単に6月ギリギリまでリリースラッシュが続いていたので一通り聴き終えてからにしようと思っていたらズルズルと長引いてしまってですねぇ(言い訳)。ではどうぞ。




    [メタル]

    1. Soen/Lykaia


    2. White Ward/Futility Report


    3. Elder/Reflections of a Floating World


    4. Pain of Salvation/In The Passing Light Of Day


    5. Nightbringer/Terra Damnata


    6. Bathsheba/Servus


    7. Nokturnal Mortum/Істина



    8. Ulsect/Ulsect



    9. The Great Old Ones/EOD: A Tale Of Dark Legacy


    10. Rosk/Miasma


    11. Cranial/Dark Towers, Bright Lights
    12. Dying Fetus/Wrong One To Fuck With
    13. Wolfbrigade/Run With The Hunter
    14. SikTh/The Future in Whose Eyes?
    15. Avatarium/Hurricanes and Halos
    16. Veio/Infinite Light // Desperate Shadows
    17. Benighted/Necrobreed
    18. Pure Wrath/Ascetic Eventide

    19. Kreator/Gods of Violence
    20. Sorrow Plagues/Homecoming

    メタルの暫定トップは元OpethのドラマーMartin Lopez率いるSoenの3rdアルバム。前作「Tellurian」の時点でもOpethやToolのフォロワー枠に留まらないオリジナリティを探求しているように思えましたが、ヴィンテージな音の作りからくるオーガニックな味わいも格別ながらジワリジワリと良さが沁みてくる上質な哀愁メロディと心地よいモダンへヴィネスがクロスオーヴァーした芸術作品は間違いなく現時点での彼らの最高傑作だし、メタル作品でのヘビロテ率も断トツだったと思います。とりあえず下半期8月リリース予定のLeprousとの一騎打ちに目が離せないかんじですかね。尚、新曲を聴くに近2作のようなダークオルタナ路線ではなくて、リズミカルなノリとアヴァンギャルド性を意識した3rd「Bilateral」寄りっぽかったんでそれなりに変化があるかもしれない。続いて2位はウクライナ南部オデッサから現れた超新星White Wardの1stフル作。アトモスブラックを主軸にSolefaldやIhsahn風の渋みのあるアヴァンギャルド/ジャズ要素やデプレ系の哀メロを添えたエピック度の高いエクストリームメタルを展開、流石にコレ系のトップに君臨するNe Obliviscarisが出てきたときのような衝撃はありませんが、私好みの要素全部乗せなごった煮系プログレブラック作は挙げないわけにはいかないでしょ。実を言うと約8年ぶりとなる待望の新作をリリースした同郷のNokturnal Mortumがこの位置に入ってくるものだと思っていましたが、名盤「Голос сталi (The Voice of Steel)」ほどの迸るような高揚感やEnslaved級の凄みは控えめで、鬱蒼と茂る大森林を表現したような神秘性を重視したペイガンメタルライクな路線でありましたので少しランクが下がってしまったかんじ。3位はUSストーナー/ドゥームメタルバンドElderの2年ぶりとなる新作で、その年のベストにも入れた前作「Lore」をもっとプログレ/ポストメタル方面に推し進めた快作に仕上がっていて、トータルでの出来だけで見ればトップにしても良かったと思えるくらいにぐうの音も出ないほどの圧倒的な完成度を誇ります。とりあえずへヴィなのかポップなのか良く分かんなかったMastodonの新作なんか聴くぐらいだったら私は断然Elderを推します。あとは、ミクスチャー期~70'sハードロックなど軸が定まらず迷走していた奇才Daniel Gildenlöw率いるPain of Salvationの新作が中期あたりの全盛期を思い起こさせるような原点回帰っぷりには堪らずニンマリ。中でも中盤のキーである「Full Throttle Tribe」は早次に繰り出される凄まじいグルーヴの波に打ちのめされてしまうぐう名曲で、北欧プログレメタル界のトップは以前PoSであると後続のLeprousやSoenにマジマジと見せつけてるかのようだった。というかこんなの聴かせられたら丁度同じ時期にプログレオタク拗らせちゃったお隣スウェーデンの暗黒神Opethがメタルシーンに帰ってくるかもとか変な期待をしちゃうじゃないか(するとはいってない)。

    この次あたりからはどれも同並びくらいの作品群で→アルバム後半で勢いが落ちたりはするものの、前半パートの息つく暇も与えない怒涛の進撃がとにかくカッコエグかったUSBMのNightbringer、女性Vo版Pallbearerとでも言うべき渋み成分強めのトラディショナルドゥームを展開していたベルギーからの新人バンドBathsheba、Dodecahedronのメンバーや初期のTextures(今年解散)に在籍していたJasper Barendregt(Ba)による新バンドUlsectによるUlcerete系(字に起こすとややこしいなw)暗黒ブラッケンドデス/スラッジ作、クトゥルフ神話的な神秘性をブラックメタルの過激さや禍禍しい不穏さで表現するフランスのThe Great Old Onesの3rd、同郷のBlindeadフォロワーな悲しみに暮れる系壮絶ポストメタル作品だったRoskのデビュー盤、元Omega MassifのギタリストMichael Melchersによる新バンドCranialのCoL直系ポストメタル作、肉付きの良いグル―ヴがヤミツキだった前作からバンドロゴもジャケも内容も全てにおいてブルータル度マシマシになったUS産デスメタル重鎮Dying Fetusの最新作、即効性の高いエネルギッシュな快速ナンバーを立て続けに繰り出し、聴き手を嫌でも滾らせるスウェディッシュクラスト/D-Beats界の名バンドWolfbrigadeの6th、以前のような破天荒なマスコア/キッズメタル感は抜けてしまった(だから気に入ったと思ったのはワイ含め少数派な模様...)みたいけど、GojiraやMeshuggahのような豪快なグル―ヴ系プログレメタルとして聴けばすこぶるカッコよく聴こえたSikThの復活作、ラウパにも出てたんで復活したと思われるCandlemassのLeif Edling率いる魔女系ドゥームメタラーAvatariumの安心クオリティな3rd、USオレゴン州ポートランドから現れたモダンオルタナ風(Dead Letter Circus系)プログレメタルバンドVeioの1st、前作もそこそこ気に入ってたけど、唯一のタル味要素だったミクスチャーパートをほぼ撤廃して苛烈なエグ味成分が増量していたフレンチデスグラインダーBenightedの最新作、同郷のVallendusk級のエピック度に惚れ惚れすること請け合いなアトモスブラックの新人バンドPure Wrathの1st、バンド史上最もメロディアスな傑作に仕上がった前作「Phantom Antichrist」に引き続きJens Bogrenをエンジニアに迎えたジャーマンスラッシュ三羽鴉Kreatorの盤石過ぎるメロデスラッシュ作、去年リリースのデビュー作のようなチリチリとしたB級音質が改善されてグッとクオリティを向上させてきたUKポストブラックSorrow Plaguesの2ndなどが順に並びます。傾向としてはここ数年通りブラック/デス・グラインド/プログレ/ドゥーム・スラッジ/ポスト系が大半を占めていて、好きなものは聴いてるしそうじゃないのはスルーしてるんだなってのがハッキリ出てる並びになったと思います。他にも良作ラインは多数ありまして、Darkest Hour/Evadne/Igorrr/Junius/Loss/Mutoid Man/Until Rain/Wolfheartあたりが入れるか否か迷っていた次点作品。全然聴けるけど期待してたほどじゃなかった枠だとArchivist/David Maxim Micic/God Dethroned/Mastodon/Mors Principium Est/Novembers Doom/Pallbearer/Persefone/Progenie Terrestre Pura/Sólstafir/Uneven Structure、コレは厳しいなってなったのはポップ化が進んで2ndとはえらく変わってしまったBattle Beast、第二の全盛期を突っ走っていてはずがヘビメタ/おじさん化して勢いが削がれてしまっていたOverkill、Opeth/Porcupine Treeという宣伝文句に釣られて買ったら全然違う代物だったMoonloop、アコースティック/アンビエント路線になったLes Disecrets、一応疾走もするけどほとんどブラックじゃないというか音軽すぎるし、ジャケがLantlôsの2014年作と被る時点でネタ盤だったGhost Bath、ハードロック化するのはいいけど近年ソナタ化するのはNGなSecret Sphereら辺。というか今年のメタル最大手Nuclear Blastリリースものは余所からの引き抜き組とかも含めて無駄に出る数が多めでしたが、どうも各バンド良さを生かしきれてないかんじが少し前のRoadrunnerを見てるようでした。やっぱ大手と契約するとある程度音を変えないといけない宿命なのでしょうか。あとPallbearerに代わって今年のピッチメタル枠と思われたクロスオーヴァースラッシュメタルバンドPower Tripの新作はあんまりピンときてないかんじです。


    [メタル以外の洋楽]

    1. Barock Project/Detachment


    2. Slowdive/Slowdive


    3. Ulver/The Assassination of Julius Caesar


    4. Jens Lekman/Life Will See You Now


    5. Perfume Genius/No Shape


    6. Fleet Foxes/Crack-Up


    7. Blanck Mass/World Eater


    8. Cigarettes After Sex/Cigarettes After Sex


    9. Exquirla/Para Quienes Aún Viven


    10. Blood Command/Cult Drugs


    11. Sorority Noise/You're Not As _____ As You Think
    12. The Caretaker/Everywhere At The End Of Time: Stage 2
    13. Victim Of Illusion/Invisible Light
    14. Knight Area/Heaven and Beyond
    15. Magenta/We Are Legend
    16. Gas/Narkopop
    17. Lionville/A World of Fools
    18. Vince Staples/Big Fish Theory
    19. Idles/Brutalism
    20. Inward Oceans/Weather the Storm

    メタル以外の洋楽暫定トップは先月スウェーデンのMoon Safariと一緒に来日していたBarock Projectの最新作。現代イタリアンシンフォ筆頭バンドで前作もベスト入りしていた本バンド、元々高いポテンシャルを秘めていましたがココにきて決定打となる傑作を作り上げた。往年のプログレバンドから受け継がれる由緒正しきヨーロピアンなテイストはキープしつつ、現代的でアートな感覚/モダンさを上手くブレンド、日頃プログレを聴かない層にでもオススメ出来てしまうくらいにキャッチーなサウンドへと生まれ変わり、非の付けどころのないほどの完成度や来日公演に行けない反動でリリースされてからというものガッツリヘビロテしておりました。それに続くはシューゲイザー四天王の一角Slowdiveの22年ぶりとなる復活作がランクイン。私にとってシューゲイザーの代名詞というとMy Bloody ValentineやRideよりもSlowdive派(Alcest「Shelter」に卒倒してたのもたぶん原点がココだから)なだけに新作が聴けるというだけでこれ以上ない幸せを感じていたのですが、淡く儚げで薄暗いあの頃のSlowdiveを現代風にアップデートしたかのような内容は、仮に復活して新作が出るならこういう方向でやってほしいという私の妄想がまんまで最初に聴いたときはちょいと驚いた。というのもジャンルのレジェンド的なバンドが何十年ぶりかに復活作を出して大コケという様式美を何度も目にしてきてるし、どうあがいても過去作を超えられない(今作も決して超えてはいないのだけど)のは分かっているから、思っていた以上に善戦してることが素直に嬉しかった。なんで往年のファンは安心して手に取って貰いたいです(とっくに聴いてると思うケド)。あと国内盤ボートラの出来がソコソコに良いので、普段は値段差から輸入盤推奨な私も余裕があるなら国内をオススメしたいですね(二度買いマン)。尚、同時期に同じく四天王の一角を担うRideも新作をドロップしましたが、両方聴き比べるとどうしてここまで差が付いたのかというくらいにアレな内容でしたね。割と同じような境遇でのリリース対決は当然Slowdiveに軍配が上がったかなと思っております。更に続きますは、北欧ノルウェーが生んだ奇才Kristoffer Rygg率いる実験音楽集団Ulverの最新作。脱メタル後のエレクトロ・ホップな傑作「Perdition City」や夕暮れダークアンビエントの「Shadows of the Sun」、Kscope入りしてからのポスト/クラシカル寄りの音源ともまたベクトルが異なるニューウェイブ路線のUlverも実に味わい深く独創的な音を鳴らしていて、何やらせても自己流に料理出来ちゃうのね、すごーい!とか感心しながらアホ面でじっくり浸らせて頂いた一枚。ちなみに三月初めに1349と共に来日していたArcturusが成功した場合、もしかしたらUlverもワンチャンとかなんとかEVPさんがおっしゃっていたけど、赤字だったみたく白紙に。あとは子供の落書きのようなクソジャケと裏腹に爽やかな北欧の風に乗って洗練されたポップチューンの数々を聴かせてくれたスウェーデン出身のSSWJens Lekmanの4thやPVでのゲイネタも然る事ながら、彼(彼女)の唯一無二の個性が開花し輝きを見せていたMike HadreasによるPerfume Geniusの最新作にして最高作、そしてメンバーのソロ活動等を挟んで約6年ぶりに新作をリリースしたシアトルのインディフォークバンドFleet Foxesによる美しく壮大なフォークロック作は、名盤1st「Fleet Foxes」(2008)に匹敵するほど素晴らしい内容。このあたりまではどれをトップにしてもよかったと思えている作品達だからきっと年間の方にも名前が挙がってくるはず。

    続きはほぼ横並びで→UK産EDM/インダス系ユニットFuck ButtonsのメンバーであるBlanck MassによるOPNばりのバキバキに割れた暴力的なノイズ嵐と冷徹なまでのマシーナリーなビートが頭の中をズンズンと鳴らす非常に高い中毒性を孕んだ3rd、スロウコア化したRhyeみたいなかんじのアンニュイな酩酊サウンドに終始うっとり気味だったCigarettes After Sexの2nd、本家のToundraほどのメタリックな轟音感はないけれど、熱いメッセージ性が込められたスパニッシュな叫びやポストロックの典型を往く丁寧な構築センスに良さを感じていた新バンドExquirlaのデビュー盤、ノルウェー出身の女性Vo破天荒ポストハードコアバンドBlood Commandの3rd、エモリバイバル勢ではSorority Noiseぼそぼそとノイズ混じりの古めかしいターンテーブルミュージックに異様なまでのノスタルジーを感じずにはいられなかったLeyland Kirbyの別名義によるThe Caretakerの前作からの続きもの第二弾、同郷のNovembreがプログレ/オルタナロック寄りになったような叙情/マイルドな音像が中々にツボだったVictim Of Illusionの2ndシンフォ/モダンプログレ良作請負人ことオランダのKnight Areaの6th、傑作だった前作ほどの感動はありませんが、Christina Boothのヴォーカルワークは相変わらず上質だしラストの「Legend」は普通にいい曲だしでこの辺には入ってくるUKネオプログレバンドMagentaの3曲構成大作、鬱蒼と茂る森の中を彷徨うような壮麗な世界観は作業BGMとして大いに役立ってたドイツ人アーティストWolfgang Voigtによるアンビエント/環境音楽プロジェクトGasの17年ぶりとなる復活作、Work Of Artのメンバーも絡むイタリアのAOR/メロハ―プロジェクトLionvilleの安定感抜群の3rd、Kendrick LamarやDanny Brownなどと共に新世代ラッパーとして人気急上昇中Vince StaplesのDef Jamからの金魚ジャケ2作目、タイトルどおりの若さに任せた勢い爆発のUK産ポストパンク新人Idlesカナダはバンクーバーの美麗系アンビエント/ポストロックバンドInward Oceansの2ndなど去年にも増して良作揃いだった印象。去年の年間ベストでインディ周辺、ロック系全般がここ数年停滞気味だったとか書いたような気がしますが、その反動か今年は妙に元気があるというかいい作品が続いているので私としては嬉しい限りです。とか言ってもダンサブルなEDMになってたBonobo、初期のローファイ期に回帰する一方で、ここ二作のようなハードコアテイストの牙は抜け落ちてしまっていたCloud Nothings、某サチなんとかみたいなスタイリッシュオサレなダンス系になってたというかJamie xxのソロの延長だったthe XX、メンバーチェンジの影響か流行りのオルタナR&B/グリッチポップの二番煎じみたいだったDirty Projectors、The ShinsやSun Kil Moon、Gorillazも悪くはない程度の感想しか出てこなかったり一定数外れが出てくるのも恒例ということで。Mount Eerie/Arca/Samphaら辺も海外サイトの高評価ほどには良さを感じなかったんでランク外。それとKendrick LamarとかTundercatあたりを筆頭とするブラックミュージックというかオルタナティブR&B周辺のオサレ枠の流行にもそろそろ飽きを感じてきてる頃なんで、先ほども書いた通りロック勢には引き続き頑張って貰いたいところ。下半期のラッシュでインディ復権の年となるか?あといつも半数くらいを占めてるプログレ系があんまり入ってないのは単に前作と比べるとね~ってのばっかりだったからという理由。トップのBPはお見事だったで置いといて、かろうじて入ったKnight AreaとMagenta、Bent Knee/Big Big Trainの二作/Blackfield/FreddeGredde/Galahad/Lonely Robot/Mike Oldfieldの名盤「Ommadawn」の続編/Mostly Autumn/Nova Collective/Steve Hackett先生/White Willowなど期待してた盤の数は結構あったのですがね。ちなみに日頃あれだけ推してるAnathemaが入っていないのかというのは記事で出すときにでもダラダラと書くと思うけどいつになることやら(2./6.に限っては○)。にしても共に二年前に来日してたAnathemaとSólstafirが上半期にすら入ってこないなんて思いもしてなかった(何てことだ)。その雪辱は我らが総帥Steven Wilson先生の新作「To the Bone」晴らしてくれるだろうとか思ってたけど、Kscopeからのリリースじゃなかったり先行曲が妙にポップだったりと不安要素は所々ありますが追っていきたい次第。


    [邦楽]

    1. heaven in her arms/白暈


    2. Serenity In Murder/The Eclipse


    3. Endon/Through The Mirror


    4. Gyze/Northern Hell Song


    5. ヤなことそっとミュート/BUBBLE


    6. Sex Virgin Killer/VAZINISM

    7. 湯川潮音/ode
    8. TVアニメ「けものフレンズ」ドラマ&キャラクターソングアルバム「Japari Cafe」
    9. 集団行動/集団行動

    10. さよならポニーテール/夢見る惑星

    邦楽トップはenvyと共に激情ハードコアの最高峰として世界にも名を轟かせるheaven in her armsの久々のフルアルバム作。押し寄せるようなブラックゲイズ風の激流のような轟音の凄まじさも然る事ながら、スッと入り込んでくる繊細で儚げな静寂パートがグッと美しさを際立てており、聴く度に心の底から熱く悶絶させられてしまう恐ろしい一枚。3年前のDeafheaven来日ツアーの前座で終盤だけしか観れなかったものの、その覇気迫る演奏に圧倒されて全身から鳥肌が立ったのを今でも覚えていますが、本作では更なる成長っぷりを拝む事が出来ます。激情ハードコア版Monoをやってのける「月虹と深潭」やCOHOLとのスプリットに収録されていた名曲「終焉の眩しさ」の新ヴァージョン、美トレモロをじっくり丁寧に積み上げてラストへと向かう「幻霧」もすこぶるドラマ性が高くてホント良さしか詰まっていない音源です。なんで余程の作品が出てこない限りはたぶん年間ベストもhihaで確定しそうな予感。2位は国産メロデスシーンきっての実力派Serenity In Murderの3rd。国産メタルらしいクサ味成分は程々にシンフォニックな演出でドカンとスケールを表現することに長けたバンドで、前二作でも海外クオリティどころかソレすら超えんとする気概を感じさせていましたが、最新作では前に出過ぎていたKeyや音質面など惜しいと思っていた課題を全て克服、名実ともに現行国産メロデスシーンのトップに躍り出ました。尚、彼ら主催のメロデスフェスではフィンランドのShade EmpireとロシアのSunless Riseを招集するらしく、とてつもなく観たい(特に後者)のですがIDRの時とは違い飛ばされてしまったんで、誰か知り合いに物販のおつかいを頼む程度で終わりかな。3位はトップのhihaと同じくDaymareリリースとなった国産ノイズ/ハードコアバンドEndonの最新作。同レーベル主催のイベントを中心によく前座を務めており、名前くらいは存じていたものの、ノイズとか全く好きじゃないしライブもとにかくエグいと評判だったのでスルーしようかと思っていましたが、評判の良さとエンジニアにKurt Ballou参加という餌に釣られて視聴してみたらグラインドコアやブラックメタルといったエクストリーム系メタルの美味しいとこを抽出してノイズ加工したような得体の知れない音像で、化け物染みてるとか何とか言いつつもヘビロテしてる間にコレ凄くカッコ良いじゃないと思えてきて、苦手意識のあったノイズにもすっかり慣れてきたんでまぁそういうことです(過去作の方がノイズ成分強いらしいけどね)。4位は北海道出身のメロデスバンドGyzeの3rd。2013年に超ド級新人バンドとして衝撃的なデビューを果たしてからというもの、二年に一枚ペースで着々と枚数を重ねているイケメンメロデサーな彼らですが、今回は地元北海道/アイヌ民族をテーマにしたコンセプト作でして、クサメロを強調したお得意の慟哭ナンバーから雄大な大地をイメージしたようなヴァイキングメタルばりの勇ましいものまでキラーチューンがずらりと並びます。過去作の課題であった音質もムンディ周辺ではなくフィンランドメロデス御用達のエンジニアを迎えることで見事に克服しております。でもクオリティ面ではSIMの方がほんの少し上なかんじだったんでこのような位置に。

    残りは上同様にほぼ横並びで、オルタナ風やメロディアスなギターサウンドが光るロックテイストな楽曲はSkyharborの2ndジャケそっくりだなとかアイドルだから云々とか関係なくツボだったヤナミューことヤなことそっとミュートの1stフル、古参リスナーの推しで買ってみたらJapanが付く前のXリスペクトな尖ったルックスとメロスピ/スラッシュ魂炸裂のスピーディな楽曲が素直にカッコよかったSex Virgin Killerの1stにして総集盤(BorisのAtsuoプロデュース)、リピート率では断トツだったはずのアニメ「けものフレンズ」のキャラソンとドラマが一緒になったアルバム「Japari Cafe」(オリコン一位おめでとう)、World's End Girlfriendの最新作「LAST WALTZ」にもゲスト参加していた縁なのか、 Virgin Babylonから湯川潮音ではなくsione名義で放つアンビエント/ヒーリング/クラシカル風の最新作、元相対性理論のキーにして何故かVampilliaにも飛び入り参加してる真部脩一が新たに結成(タルトタタンどこいった)したバンド集団行動の初音源、アルバムトータルだと前作の延長でそんなでもなかったけど、先行曲「虹」のオルタナ/シューゲ路線でノスタルジーなメロディにはズキュンとくるものがあってやっぱいいよなってなったんで一応入れとこう的な位置でさよならポニーテールの4thといった並び。次点で迷ってたのだと上半期ギリギリにリリースされたGyzeリスペクトな哀愁激クサ独りメロデスプロジェクトZemethのデビュー盤で、先輩GyzeやVersaillesすら凌駕するほどの凄まじいクサメロのオンパレードは好き者が悶絶してガッツポーズすること間違いなしの内容だったが、頭2~3曲聴いただけでもう十分堪能したよ...と胃もたれ起こしそうなくらいの詰め込みようなのにではまだ堪能して頂きましょうとクサメロの乱舞だし、音のバランスが悪くてヴォーカルが埋もれ気味だったり、同人メタルの延長っぽいかんじを覚えたりたぶん年間には入ってこないのでこの辺で名前だけでも挙げておきます。あとはパスピエとか小松未可子とか村川梨衣ら辺の声優/ガールズポップもそれなりでした。sukekiyoはある程度聴き込みしないと容貌が見えてこなさそうな内容(「IMMORTALIS」とはなんか違うかんじ)だったんで今回は除外。

    [シングルとかEP]
    ・Ariabl'eyeS/涙想オートマタ
    ・Imy/Last words
    ・Plastic Tree/雨中遊泳
    ・Rides In ReVellion/リインカーネーション
    ・Sithu Aye/Senpai EP II: The Noticing
    ・TrySail/オリジナル。
    ・Yurika/Shiny Ray
    ・Yurika/MIND CONDUCTOR
    ・イヤホンズ/一件落着ゴ用心
    ・イヤホンズ/サンキトウセン!
    ・みゆはん/ぼくのフレンド
    ・ゆるめるモ!/ディスコサイケデリカ
    ・内田真礼/+INTERSECT+/魔女になりたい姫と姫になりたい魔女のラプソディー feat.上坂すみれ
    ・林原めぐみ/今際の死神
    ・妖精帝國/flamma idola
    ・城ヶ崎莉嘉(CV.山本希望)、緒方智絵里(CV.大空直美)、北条加蓮(CV.渕上舞)、川島瑞樹(CV.東山奈央)、大槻唯(CV.山下七海)/BEYOND THE STARLIGHT (M@STER VERSION)
    ・ガヴリール(CV.富田美憂)、ヴィーネ(CV.大西沙織)、サターニャ(CV.大空直美)、ラフィエル(CV.花澤香菜)/ガヴリールドロップキック
    ・どうぶつビスケッツ×PPP/ようこそジャパリパークへ

    見てのとおりアニソン8割くらい占めてますが、ホントにこの辺くらいしか聴いてなかったんでしょうがない。ようやく現行のアニメに追いついたのでまったりと視聴してる今日この頃ですが、上半期の覇権といったらもう間違いなく「けものフレンズ」一強だったと思います。話題になってたんでタイムシフトでボケっと観てたかんじ一話の時点では何この朝7時半くらいからやってそうな小学校低学年向け低予算アニメはと途中切りしてやるつもり満々でしたが、トキとかアルパカが出てくる3話くらいまでくると早く次の話をよこすのです、とすっかり虜になってしまっていた。動物らしく自由奔放だったり善し悪し関係なく個性を褒めるような優しい世界観が現実に疲れ切ったオタクのオアシスになったのでしょうね。今ではEDの「ぼくのフレンド」を聴き返す度に涙出そうになるくらいの信者になってしまって、学校行事以来となる動物園にボッチで何度も行ったりするくらいにはハマっていた。とりあえずレゴランドの10分の1以下の入場料でブラつけるんで興味を持ったら是非行ってみて欲しい。尚、カップル&子供連れ&けもフレの影響で来たオタクで溢れかえってるから込み合ってるときは中々のカオスっぷりなんで最初は意外とハードルが高いかもしれません。あと時期的に動物が暑さでバテ気味なんで一部を除いて活発に動き回ってるのを期待しちゃ駄目ですな。特有の匂いは次第に慣れるからそれまでは耐えるんだ。あとは「キルラキル」でも知られるTRIGGER制作の「リトルウィッチアカデミア」がアニメとはこう有るべきなお手本のような作品で毎話楽しみにしていました。ヌルヌル動く作画と魅力的なキャラクターを追っているだけでも楽しいアニメ版ハリーポッターのようなかんじで、希望に満ち溢れたメッセージを魔法に乗せて教えてくれる真の意味で質アニメはクソみたいな日常やメタル疲れを忘れさせてくれました。毎期10本程度は飽きもせず観てる私ですが、音楽にしてもそうだけどこういう出会いがあるからこそやめられないのですよね。意外なダークホースだと「Akiba's Trip」のアニメ版も良かった。一昔前のクソアニメ枠には違いないんだろうけど、オーディオオタク回、遊戯王回、ワタミ回と一々オタクが反応しそうなネタが尽きないアニメで、各パロネタも某絶望みたく胡散臭いだけで終わってなかったのがスゲ―好印象でした。イヤホンズとやけに暑苦しいオッサンの掛け声によるOPもいい電波飛んでて中毒性ありましたね。他にも「アマガミ」チームによる新作アニメ「セイレン」もトキメキ度やフェチズムはだいぶ下がってたけど安定感はあった(裏表のない素敵な絢辻さんのようなキャラがいない時点でやっぱ勝てない)し、うまるの劣化であってもノリと勢いでやりきった「ガヴリール」、普通に良作以外言葉が出てこないけど丁寧な作りだった「亜人ちゃん」、世代を超えて形を変えながら落語が引き継がれていく様や心情描写が見事だった「昭和元禄落語心中」の続編など1~3月期は非常に豊作でした。糞枠だと「Chaos Child」、「このすば」二期、「クズの本懐」、「風夏」の4つ。4月以降はけもフレが終わってしまった世界線を彷徨っていたせいか本数は絞り気味で、「有頂天家族」の2期と「サクラクエスト」のPAワークス組、観てるだけで辛くなってくる新海系青春アニメ「月がきれい」、「つぐもも」くらいしか追えてません。ソシャゲ原作グラブルのアニメ版、駄目な方のサクラは切りました。

    曲の話じゃなくて良かったアニメの話になってきてるんで各アニメ主題歌等は除いて書いてくと、ホモビ界の某先輩ではなくアニメオタクの先輩ことSithu Ayeの曰く付きの「Senpai EP」シリーズ第二弾、プラのダウナーシューゲなシングル、Xのカバーも良かったけど、スピード感溢れる某オペラのような一曲目が素晴らしかったRIR、4人組編成になってからのモ!EP二作目、内田真礼×上坂すみれの化学反応によって生まれたアッパーな電波ソング、同人メルヘンゴシックな方々、そして妖精帝國のシングルの同人厨二デカダンスメタル感はB!誌の陰謀なのか変にメタル化してしまったここ二作や今年出たデンカレの2ndにピンときてない身にもこれだよこれと頷かずにはいられなかったです。あとは「Japari Cafe」と一緒にリリースされてたサントラやゲームはやってないけど話題のNierのサントラもそれなりに聴いてましたね。

    各作品の記事が出せてない分せめてコレだけは早めに出したいとかなんとか言ってたけど、ギリギリまでリリースを追ってたことと書ける時間が少なかったこともあって二週間近く遅れてしまいました。更新されてるリンク先の方々には申し訳なさしか。最後に下半期個人的に期待してるリリースだけメモ程度に残しておきます。

    メタル→Wintersun/Septic Flesh/Eluveitie/Der Weg einer Freiheit/Akercocke/The Haunted/Leprous/Orden Ogan/Paradise Lost/Adagio/Nocturnal Rites/Incantation/In Vain/Belphegor/Panopticon/Wolves In The Throne Room/Xanthochroid

    それ以外の洋楽→Caligula's Horse/Steven Wilson/Arcade Fire/The National/Grizzly Bear/The Pains of Being Pure at Heart/Oneohtrix Point Never/Susanne Sundfør/Iron and Wine/Mogwai/Chelsea Wolfe/MGMT/The War on Drugs

    邦楽はもう出てると思われるBorisの新作くらいしかパッと浮かびませんでした。すいません。

    [リンク先の上半期ベスト]

    あっきーさん 「The 15 Best Albums Of 2017(So Far)

    和男さん 「2017年上半期ランキング(アニソンアルバム)



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  • Void Omnia/Dying Light

    2017-03-01 00:30



    1. Remnance of a Ghost Haunt
    2. Fallowed Remembrance
    3. Singularity
    4. Of Time
    5. Emptied Heartless

    USはカリフォルニア州オークランド出身のアトモスフェリック/ブラックメタルバンドの1st。2013年に結成された5人組バンドで、メンバーには元TombsのJustin Ennis(本バンドではBa)が在籍している。音楽性としてはアトモスフェリック/カスカディアン系統のUSBMを軸としていますが、ふんわりとした幻想的な雰囲気はアートワークのような宇宙規模の壮大なスケールの広がりを補助的に演出するに留まっており、Krallice程ではないにせよ直情的で激しいトレモロリフやブラストの猛威が嵐のように吹き荒れる、それこそメロブラの延長上でも聴けるであろう高品質なブラックメタル作品に仕上がっています。ほんのりとメロウさを帯びた豪快なトレモロでスピーディに攻め立てるアグレッションの高い1. Remnance of a Ghost Hauntから始まり、哀愁フレーズを交えてちょっぴりデプレッシブ気味になるミドルパートを挟みつつも、爆発的なトレモロ地獄へスムーズに切り替えて猛然と突き進んでいく2. Fallowed Remembrance~あざとく感じないギリギリのラインをキープしながらメロデス~メロブラの中間地点くらいの路線で疾走を重ねる3. Singularityなど微妙に変化は付けつつも絶え間なく爆走し続けていきます。どんよりとダークな入りからアルバム前半とは別の印象を持たせてくれる4. Of Timeも、いざ爆走が始まってしまえば上記とほとんど同じような展開になってくるので、聴くに連れて一本調子に思えてしまう感もあり。ですが、34分ちょいという短めのトータルタイムのお陰で然程ダレずに聴き通せるので苦になるレベルではないです。攻撃性とメロディアスさとのバランスがマッチしていて、かつ壮大な広がりが感じられるような作風が好みなら聴いてみてほしい一枚。特に宇宙をテーマにしたと思われるアトモス系ブラックメタルという点で類似するUSのMare Congnitiumあたりがお好きなら尚オススメです。


  • HIZAKI/Rosario

    2017-02-28 22:30



    1. Grace and Dignity
    2. Dark Classical
    3. SILENT KNIGHT
    4. Desert Apple
    5. fly through the air
    6. Eien no Tomoshibi
    7. Church Candle
    8. Race Wish
    9. Elizabeth
    10. Presto
    11. Beating the sky
    12. Rose Quartz
    13. A ray of light
    14. Rosario

    ヴィジュアル系シンフォニックメタルバンドVersaillesの女形ギタリストHIZAKIによるソロ1st。過去にはHIZAKI grace project名義で作品をリリースしていますが、全面インストゥルメンタルによる作品は初となります。現行のV系界屈指の実力派シンフォニックメタルバンドVersaillesのツインギターの片割れとして華麗なギターサウンドを弾き鳴らし、本家休止後は残ったメンバーでJupitarを立ち上げるなど精力的に音楽活動に邁進。本作はソロ/バンド両方で発表していた過去の楽曲を総ざらいしつつ、更に新曲を加えて一つの作品にまとめた云わばソロ活動の集大成とも言える作品である。それと同時にVersailles復活に先駆けたファンへのご褒美的な一枚でもあると思われる。ゲストにはJupitarの面子やレーベルメイトになった国産嬢メタルバンドCross Veinなどシンフォ系リスナーからしたらそれだけで惹かれるかもな面々が作品に彩りを加えます。私はギターインスト作品を好んで聴く方ではないので、V系バンドで最も好きなバンドであるVersaillesのギターのソロといえどそこまで過剰な期待はしていなかったのですが、本作のリードトラックである1. Grace and Dignityを先行して聴いたときは、全く出し惜しみせず、むしろ本家よりも生き生きとやりすぎなほどに琴線に触れるフレーズ弾きまくりじゃないですかと。それは大仰なイントロの入りから始まって、本家でも惜しみなく披露していた流麗なネオクラシカルギターによるスリリングな技巧プレイが炸裂、そのフレーズ一つ一つに悶絶しつつも、スピーディな曲進行と前に突き進むようなポジティブなメロディがグイグイと引っ張ってくれる非常に爽快度の高い楽曲で、いつ本家が復活しても問題なくいけますよとアピールしているのと思わせるほどにギターが冴えまくっています。続く2. Dark Classical~3. SILENT KNIGHTは冒頭曲以上にメタリックな演奏/疾走パートが前面に押し出されているので、ヴォーカルレスVerのVersaillesと捉えて聴くのは間違いではないはず。その後は疾走曲だけでなく、正統派メタル風やバラード、プログレメタルのような入り組んだものなど多様なタイプの楽曲を披露(特に慟哭メロデスライクなフレーズを絡めていく12. Rose Quartzやゴシカルな耽美性や荘厳な雰囲気を漂わせながらも、様式美を意識したような劇的な爆走パートが終始リードしてくれるラストのタイトルトラックRosarioはかなりの力の入り様でお見事としか)、しんみりとした泣きメロや聴き手の心を揺さぶるようなエモ―ショナルなギターなど表現方法も多彩で彼女(彼)のギタースキルの高さを改めて再確認させてくれるが、新境地を開拓するほどのものかと言われればそうではなく、あくまでファンが求める音の範囲内で伸び伸びと演っているかんじ。その上、計14曲/65分というやや長めのトータルタイムもあり、聴く人によってはダレてしまうのもしょうがないかなとは思ってしまいますが、彼女(彼)の持ち味である様式美/クラシカル調のギターフレーズに目がないなんて末裔の方々ならマストな一枚です。