• さよならポニーテール/円盤ゆ~とぴあ

    2016-07-06 02:57



    [Disc-1 ~A面集で恋をして~]
    1. この恋の色は
    2. すーぱーすたー
    3. 放課後えすけいぷ
    4. 悲しいうわさ
    5. 夏の魔法feat.曽我部恵一+ザ・なつやすみバンド
    6. きみに恋したんだ
    7. 季節のクリシェ
    8. かわいいあのコ
    9. 光になって
    10. ななめライン急行
    11. 大事なコトバ
    12. 光る街へ

    [Disc-2 ~さよポニ・カレンダー~]
    1. ニューなイヤー
    2. どぎ☆まぎバレンタイン
    3. いろはにほへと
    4. えいぷりるふ~る
    5. ふわふわふ~る
    6. 天気予報の恋人
    7. 星たちのアバンチュ~ル
    8. さよポニの湯けむり音頭 Part1
    9. ふたりぼっち with 岸田メル
    10. ダンスフロアとカボチャのおばけ
    11. 勤労と感謝
    12. 冬物語
    13. ぼくたちの卒業

    [Disc-3 ~思春期の光と影~]
    1. ヘールシャム
    2. サムウェアインタイム
    3. ねこねころんだ
    4. エラーメッセージ
    5. 少し泣けたんだ
    6. さよなら、ありがとぉ
    7. アンジー
    8. ひとりぼっち

    国産サブカル系ポップス/アイドルユニットによる3rd。みぃな、あゆみん、なっちゃん、ゆゆ、しゅかの5人のヴォーカル率いる大所帯ポップスグループさよならポニーテール通称さよポニによる最新作。相変わらずアートワーク等のイラストのみでの登場と神秘性を守り抜いているさよポニですが、彼女らがタワレコのアイドル専門レーベルT-Paletteに移籍したと聞いたときはさぞ驚いた。しかもSwallow The Sunの最新作に対抗してかは知らないが、3枚組33曲のコンセプト作だと知った時は一流のアーティストであっても難しいこの難題を今の彼女らでどう表現するのかと不安が過った。当然、5人組になって楽曲のスケールやバラエティを増した2nd「青春ファンタジア」やアニメ「キルラキル」のEDシングル「新世界交響曲」でストリングスを用いたポストロックっぽいアプローチがあったりと、いつになく爽快でアップテンポな新たなさよポニの姿が確認出来ていた。もしかしたら次作凄いことになるかもしれないなんて予想すらしてた人なので、仮に従来のサウンドでなくとも多少の振れ幅くらい軽く許容出来るぜくらいに待ち構えていたら、その謎の大きな期待に日和ったのか良くも悪くもT-Paletteらしいアイドルポップセンスが前面に押し出されたような至って大衆的な作風であり、まだ3人ヴォーカル体制だった頃の「モミュの木の向こう側」や名盤「魔法のメロディ」のような胸焦がすほどにピュアであの甘酸っぱいノスタルジックなサウンドはもうココにはなかった。言い換えるなら僕らが送りたかった青春像を体現したような非モテオタク向けのワイらのためのポップ音楽→ド田舎から出てきた大学生的な空回り感を持った単なるサブカル野郎向けのポップ音楽への変化はマジでツラい。つうか、他のユニット活動やイラスト集なんて出してる場合かよって話。

    まず3枚組のメインとなっている[Disc-1 ~A面集で恋をして~]から→一枚目はポップソング集を意識して作られた円盤で、パーカッションによる緩やかなスタートを切る1. この恋の色はともかくとして、只々アップテンポに進行する2. すーぱーすたー、そして中華的なアプローチや如何にもな現代的歌詞を用いた3. 放課後えすけいぷにしても思いのほかあっさりと通り過ぎていく。少なくとも序盤の掴みは決していいとは言えず、同じ中華ライクなナンバーでも前作収録の「放課後れっすん」やモ!の「1!2!かんふー!」とはえらい違いだなと落胆した。更に、ピアノの優しい音色をバックにみぃなと曽我部恵一がゆったりとデュエットする5. 夏の魔法を聴いて、みぃなメインだからか初期の雰囲気を醸し出す楽曲にある種の懐かしさを感じながら、同時に渋谷系にまで手を染めるなんてと泣き崩れそうになった。その後は、ポップネスを弾けさせながら恥ずかし可愛い初々しさ満載の歌詞を歌い上げる6. きみに恋したんだ~7. 季節のクリシェの中盤の流れ、エレクトロ風味の4つ打ちリズムに緩めのラップリレーを乗せた10. ななめライン急行は従来のさよポニらしさが詰め込まれた良楽曲でそれなりには盛り上げてくれる。11. 大事なコトバも既聴感アリアリのバラードですが、前半パートに比べればまだ聴けるかなといったかんじで幕を閉じる。続く[Disc-2 ~さよポニ・カレンダー~]は1月~12月までの季節ソングとして月1でYoutubeにて公開されていた楽曲+1を集めた半ベスト的な内容。尺がないので気に入ったものだけ挙げると、ひな祭りをテーマにした3. いろはにほへと、エイプリルフールをテーマに爽快なアニソンライクなメロディで駆けていく4. えいぷりるふ~る、「恋愛サーキュレーション」のような可愛い電波飛びまくりな5. ふわふわふ~る、「放課後せれな~で」に続くイラストレーター岸田メルとのコラボ楽曲9. ふたりぼっち、ハロウィンをテーマにしたアップテンポな10. ダンスフロアとカボチャのおばけ、季節ソングから離れて卒業をテーマにした13. ぼくたちの卒業など幅広い楽曲が収められている。コレに関しては先んじて聴いてたリスナーにとっては今更感はあるかもしれませんが、私自身ほとんどチェックしてなかったことと制作時期が2ndからすぐなので新作として新鮮に聴けました。[Disc-3 ~思春期の光と影~]はみぃなオンリーの歌唱とアコースティックサウンドによる至ってシンプルな弾き語りソング集で、初期のような素朴さが確認出来たりで微笑ましいが、まぁ一回聴けばいいかな程度の内容。当然オススメはDisc-2ね。

    楽曲の話はさて置き、ここ数年でCDからストリーミングで音楽を聴く時代へと一気に加速したことで、気軽に音楽を楽しめるようになった。その半面、円盤の売上が伸びないといった問題もよく指摘されていますが、ちなみに私の意見としては年間ベスト邦楽の記事でも述べたとおり、聴きやすいスタイルを各自選択していけばいいと。つまり賛成派でして身内でもApple Musicに卒倒していくものが後を絶たないのを見てやはり流れがキテルなと思っている次第。しかし、歌詞カードやパッケージング、解説等フィジカルだからこそ楽しめる旨みもあるわけで、むしろ若者の円盤離れが顕著なこの時代によくこのテーマを提示してきたなとその勇気には称賛したい。それと同時に、そのテーマと本編の内容がかみ合っているかは正直微妙なところだが、改めて円盤ならではの良さについて考える機会をくれたことに対しては素直に感謝したいところ。



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  • Chouchou/Alexandrite

    2016-07-05 03:14



    1. fjord
    2. Cloud 9
    3. LUNARIA
    4. CATASTROPHE
    5. Absolute zero
    6. spira
    7. landscape
    8. anemone
    9. eden
    10. SUPERNOVA
    11. snowdrop
    12. Innocence

    国産エレクトロニカ/アンビエント系ユニットの4th。インターネット上に存在する仮想世界「Second Life」にて結成されるという異色の経歴を持ったヴォーカリストJuliet HeberleとコンポーザーArabesque Chocheの二人組からなる音楽ユニットChouchouの最新作。ちなみに「Second Life」ってなんぞやと思ってググってみると、自らのアバターを作って現実世界とは異なる生活を送る~とかなんとか出てきたので、要は今で言うところのネトゲの先駆けみたいな存在なのかね?(適当)。光の色/温度によって変色効果があるという鉱石アレキサンドライトをコンセプトにした本作「Alexandrite」は、鉱石のカラーチェンジのように儚くも美しい癒しをもたらす本編と無限に広がるヴァーチャル世界だからこその無機質な雰囲気に包み込まれた実験的な電子系リミックスCDの二枚を対にして異なる世界をリスナーに味あわせてくれる色彩感覚溢れる作品になっています。「Chouchouとしてのポップ」を意識して原点回帰を狙った本編をベースに各曲解説していくと、ピアノの音色と僅かに入ってくる電子音のアンビエントにJulietによる透き通るようなウィスパーヴォイスを乗せた癒しナンバー1. fjordを始め、非現実的なひんやりとした無機質さを包容したエレクトロニカの2. Cloud 9、Pianaを彷彿とさせる優しく繊細なタッチで描かれる3. LUNARIA、元気ロケッツのような爽快なテクノ/ハウスポップ路線の4. CATASTROPHE、内省的な薄暗さとクラシカルな美しさが同居した5. Absolute zeroといった前半パート→歌モノの楽曲を挟むことで非現実と現実の間を交差するような構成になっている後半パートでは、聴き手の感情をより一層揺さぶってくる。蕩けるようなヴォーカルに儚げな哀愁メロディとフォーキーなアコギがそっと寄り添う8. anemoneや虚しさや憂鬱といったダークな感情と癒しの感情が入り混じった、まるで思春期のような虚ろでノスタルジックなメロディが織り成す12. InnocenceはLily Chou-Chou時代や1st「Landmark」までの全盛期Salyuを思い出したりでマジで心打たれます。徹底した拘りを感じるPVも必見。本作の理解をより深めたいのであれば是非二枚組仕様をオススメします。2015年ベスト作品。

  • Deafheaven/New Bermuda

    2016-07-04 03:04



    1. Brought To The Water
    2. Luna
    3. Baby Blue
    4. Come Back
    5. Gifts For The Earth

    USはカリフォルニア州サンフランシスコ出身のブラックゲイズ/ポストブラックメタルバンドの3rd。近年メタルシーンに大きな衝撃を与えた作品と言えば、PitchfolkやStereogumを始めとした大手海外メディアで大絶賛されただけでなくメタル~インディまで幅広いリスナーの耳に衝撃を与えたお洒落なピンクのアートワークでお馴染みのDeafheavenの2ndアルバム「Sunbather」で間違いないだろう。私もそのドリーミーな心地よさを備えた甘美なるシューゲイザーブラック=光の轟音世界から溢れ出る黄金のシャワーに心トキメキ魅了されたポスト野郎の一人で、その鮮烈な音像は凝り固まったメタルシーンの未来を切り開く可能性すら感じた2013年屈指の傑作アルバムでありました。その年のベストにも当然の如くランクインしましたし、3年前に勢いで適当に書き殴ったレビューがえげつない閲覧数を稼いだのもその影響力や注目度からしても明らかでした(やめちくり~)。その反面、B!勢から総スルーされてたり、ガチメタラーといった懐古厨からは否の声が少なくなかったのもある意味印象的でした。彼らは、海外の大型フェスへの参戦や悲願の二度目の来日公演が行ったりと精力的に活動を続けていきます。そしてツアーメンバーだったGt/Ba/Drを正式に迎えて、WilcoやNeko Caseが在籍するEpitaph傘下のAntiへと移籍、前作と同じくJack Shirleyをプロデューサーに迎えてリリースされたのが本作「New Bermuda」である。

    本作の作風は、前作「Sunbather」を踏襲した従来のDeafheavenサウンドでありますが、翌年ひっそりと公開されていたシングル曲「From the Kettle Onto the Coil」で見せていたブラックメタラーとしての苛烈なアグレッションやソリッドでダークな質感、ポストメタルにも通ずる轟音感を一層極めて、前作で確立した淡いシューゲイザーブラックの先へと確実に進化した作品に仕上がっております。それは前作の淡いピンクとはうって変わってタイトルにもあるバミューダ海域のような漆黒に限りなく近い群青といった色合いで、まるで対をなしているかのような本作のアートワークを見ても明らかだと思います。その冒頭を飾る1. Brought To The Waterからして不気味な鐘のSE~ドローン系統の無機質な雰囲気や粗暴なブラストビートによって幕を明けて、1st「Roads to Judah」時のようなハードコア/スラッシュメタル由来のキレのある鋭利なリフや怒涛の疾走パートを聴いても前作とは違うなってが分かるはず。そのエクストリームメタル然とした序盤から少々肩透かしを喰らうが、中盤に差し掛かるあたりからポストロック調の淡いトレモロや眩いばかりの光のメロディが降り注ぎ徐々に美味しい展開へとスムーズに繋いでいきます。続く2. Lunaでは、切迫感溢れる暴虐なブラストビートとコールドなトレモロリフ、そしてよりエグ味を増したフロントマンGeorge Clarkeの甲高い絶叫が木霊する激情ブラックゲイズナンバーで、中盤で一旦落ち着いたかと思いきやいきなり急転してグラインダーばりの容赦ない激重音をブチかましてきたりと本曲の起伏に富んだ展開力にも注目したい。後半パートでの感涙もののドラマティックなエンディングも只々眩しいです。AlcestやAmesoeursライクな揺らぎのある美メロから始まる3. Baby Blueは、前二曲のようなメタリックな疾走感は控えめに、ポストロック特有のアトモスフェリックなアンビエント空間を形成、徐々に轟音熱を高めながら持ち前のメロウネスを発揮した泣きのギターでじっくりと刹那的な感情を爆発させていくエモ―ショナル極まりない名曲。そして曲名通り再びブラックメタラーへとカムバックする4. Come Backにて氾濫する大河の如くドス黒い濁流ならぬ激重音が暴風雨のようにリスナーに襲いかかる。後半部分では前作の曲と曲の間に挟まれていた短めのインストナンバーのようなアコースティカルで穏やかな音像を聴かせてくれる。ラストを飾る5. Gifts For The Earthでは、正統派シューゲイザーからポストパンク/インディロックのようなこれもまた今までにないタイプの楽曲で、Georgeの絶叫は乗っていてもメタル度自体は言うほど高くない。それでも前作収録の名曲「The Pecan Tree」やAlcestを彷彿とさせる桃源郷に誘われるかのような牧歌的なエンディングには胸がほっこりしてくるってもんで、やっぱりDeafheaven最高だなってなった次第です。その内容の良さや贔屓具合からして2015年メタル作品で最後に紹介する用にキープしておいたってのでも察して下さいな。

    「Sunbather」から「New Bermuda」の変化を踏まえた上で続きを語っていくと、当初の路線変更予想としては無難に2ndの継続か脱メタル化の二択だと思っていたから、衝撃ってほどではなくともこの攻めの姿勢には驚いた。パイオニアであるAlcestやWITTR、Lantlôsを始め昨今のポスト/アトモスブラック系統のバンドのカースト上位がAlcest「Shelter」に感化されてかは知らないが軒並み脱メタルという選択をしている最中にあって、既にメタル界きっての出世頭としてある程度の地位を確立しているにも関わらず真正面から攻勢を仕掛けるってのは中々出来るもんじゃない。それと同時に、甘美な音色やオサレな要素をほどほどに抑えながらもあくまでらしさは残す、それでもってスラッシュメタル~ブラックメタルまでアリとあらゆるエクストリームミュージックの影響を取り入れる柔軟な変化から見えるのは、既存のファンから賛否両論となった前作を貶したメディアやガチメタラー層まで含めたリスナーに対して真っ向から勝負する彼らの勇気、そして更なるファン層の獲得を狙う貪欲さも垣間見えたりもします。その甘美な美メロにしても常にダダ漏れ状態だったところを細切れにしてここぞという場面で出すようにしたことで、曲にメリハリが生まれてより聴き易くなっているのもリピートが止まない理由だったり。流石に「Sunbather」ほどのセンセーショナルな魅力や大きなインパクトは感じないものの、少なくとも作品トータルの完成度で言えば本作が一番。Pitchforkでも前作を超える9.0/Best New Musicを獲得しているのも大いに納得がいきます。当然、Deafheavenの座を巡って筍のように湧いた後続勢によって繰り広げられた小競り合いを勝ち上がったGhost BathやSo Hideousなど(特に後者は全面衝突を避けて勝負から逃げたかのようにも思えたしw)優良なフォロワー勢ですら、所詮おままごとに過ぎないと思えてしまうほどの説得力が本作にはある。そんなのメタルリスナーにも非メタラーまで広くオススメ出来る本作は、去年のベスト上位に食い込むほどの見事な傑作で、名実ともに今後のメタル界を牽引していく存在として名を上げていくことでしょう。ちなみに、この内容にも関わらず国内盤の予定が無いとか日本のレーベルなにやってんのと思ってたら今年7月にフジで日本にもカムバック予定なのに合わせてかようやく出たらしいです。本作前に公開されていたシングル「From the Kettle Onto the Coil」がボートラ入りしているようなので今から買うなら国内盤って手もアリかもしれませんね。