• Hypno5e/Shores of the Abstract Line

    2017-01-07 02:00



    1. East Shore: Landscape in the Mist
    2. East Shore: In Our Deaf Lands
    3. West Shore: Where We Lost the Ones
    4. West Shore: Memories
    5. Central Shore: Tio
    6. North Shore: The Abstract Line
    7. North Shore: Sea Made of Crosses
    8. South Shore: Blind Man's Eye

    フランスの南部エロー県モンペリエ出身のポストロック/プログレッシブ/グル―ヴメタルバンドの3rd。今作と一緒に過去作も入手。2003年結成、Emmanuel Jessua(Vo/Gt)を中心とするバンドで、フランス語で催眠術という意味を持つそうです。音楽性としては、Meshuggah由来の豪快なグル―ヴネスとプログレッシブメタルの複雑な要素を巧みに使い分けながら、アトモス系の浮遊空間でもってスケール感を演出する大作志向な作風で、彼ら自身がシネマティックメタルと称しているのも頷けてしまうほど壮大なもの。それだけでなく、ポストロック/アンビエント風のアプローチや多言語による感情的な語りをガツガツとキレの良いメタルサウンドの間に上手く挟み込み、静と動の対比でもって表現することによって、映画顔負けの世界観が出来上がるのだと思います。近いタイプのバンドだと、シネマティックな~と以前紹介したことのあるプログレッシブメタルの新鋭EarthsideやNative Constructあたりが即座に浮かびましたが、希望に満ち触れた煌びやかな光のメロディやポジティブな感情とは間逆に位置するダークで独特な空気が漂うエクスペリメンタルとも言うべき音像であり、モダンでへヴィなグル―ヴネスやリフ使いは同郷のGojiraやHacrideを彷彿とさせます。

    約4年ぶりとなる3rd「Shores of the Abstract Line」は、5つの「Shores」という構成からなるコンセプトアルバムで、前半の「East」と「West」ではフランス語、アルバムの中間地点となる「Central」ではスペイン語が起用されています。激しいグル―ヴネスと侘しさを感じさせるようなアンビエントパートが交互に入り混じる複雑かつ混沌とした孤高の世界観であっても、多言語による激情的なスクリームや語りは聴き進めるに連れて感情が沸き上がるようなメッセージ性を秘めているのが本作の特徴で、所々でカットインされるアコースティックな弾き語りや哀愁的な旋律のお陰で、複雑な構成であれど言うほど聴き辛い印象はありません。中でも、アコギの切なげな弾き語りにスペイン語の歌唱を乗せた5. Central Shore: Tioはエスニックな香りを放つ一層哀愁性の高い楽曲で、メリハリや対比といった表現において最も効果的と言ってもいいでしょう。アルバム後半では、縦横無尽に駆け回るテクニカル/プログレデス風の構成から感傷的なムード醸し出すシーンなど劇的な曲展開やスケールの大きさが増していきます。特に15分にも及ぶラストの大曲8. South Shore: Blind Man's Eyeはシネマティックメタルと自称するに相応しい楽曲で、一瞬たりとも気が抜けない気合いの入り様。若干通好みな面がありながらも、静と動の対比や美しいメロディでアクセントを付けるような作風を好むのであればチェックして損はない作品だと思います。


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  • Draugnim/Vulturine

    2017-01-05 02:30



    1. That Name Is Hate
    2. As In Hunger, So In Demise
    3. A Passage In Fire
    4. Grief Unsung
    5. Drums Of Black Death
    6. Serpent Stone

    フィンランド南部ウーシマー県の都市エスポー出身のメロディック/ペイガンブラック/ヴァイキングメタルバンドの3rd。1999年結成、同郷のフォーク/メロデスバンドCrimfallのフロントマンであるMikko Häkkinen(Vo)を中心とした3ピース編成のバンドで、2008年リリースの1stのプロデュース/エンジニアに携わったHenri Sorvali(Moonsorrow/Finntrollの現メンバー)を再びマスタリングに迎え、ソングライティング兼ギター/キーボーディスト担当のMoriorが自らエンジニアを担当した最新作「Vulturine」も過去2作同様にエピックで勇壮な力強さとほんのりと叙情性を滲ませた土着的メロディセンス、時に壮麗なシンフォ要素で壮大な味付けを加えながら、ミドルテンポでじっくりと歩みを進めていく、硬派なヴァイキングメタルといった武骨なスタイルは、約6年という長めのスパンが空いても未だ健在。どっしりと厚みのあるバンドサウンドをバックにシンフォアレンジや漢クサいクワイヤを交えながら壮大に展開していきます。音楽性が近いバンドだと、同郷のMoonsorrow、近年のFinsterforstやThyrfingあたりで7~8分という聴き応え十分な尺の長さも同様であるが、3. A Passage In Fireのようにメロディックブラックのようなトレモロを吹かせる疾走パートを主軸とした楽曲や仄暗くダークな質感とドラマティックな哀愁性が同居したエピック・ヴァイキングメタルとでも言うべき仕上がりを見せる1. That Name Is Hateや5. Drums Of Black Deathなど思いのほかメロウで味わい深いスタイルで、多少篭り気味とも言える音質も作風にマッチしており、メロディの良さをより際立たせます。迫力のあるペイガン/ヴァイキングメタルをじっくりと味わいたい方にはオススメの一枚です。


  • Andy Shauf/The Party

    2017-01-04 23:30



    1. The Magician
    2. Early to the Party
    3. Twist Your Ankle
    4. Quite Like You
    5. Begin Again
    6. The Worst in You
    7. To You
    8. Eyes of Them All
    9. Alexander All Alone
    10. Martha Sways

    カナダはサスカチュワン州エステバン出身のインディロック/チェンバーポップ系SSWの3rd。WilcoのフロントマンJeff Tweedyが絶賛したことで話題になったらしいアーティストで、Joanna Newsom等の作品に携わるNoah Georgesonがミックスを手掛けた本作「The Party」は、繊細でナイーブな歌声とノスタルジー溢れる人懐っこいメロディセンスによる、美しくも至ってシンプルなオーケストラルポップを聴かせてくれます。ちなみにクレジットによるとストリングス以外の楽器は全てAndyによる演奏のようでマルチな才能を持っていることが分かります。ホーンやストリングスによるオーケストラルな入りから始まり、ゆったりと哀愁掛かったポップナンバーを展開する1. The Magicianから穏やかで気持ちの良い旋律を聴かせ、その流れのままアコースティカルな弾き語りをメインにぐんわりと押し引きされるストリングスの演出でハッと魅了される2. Early to the Party、Jens Lekman風の軽やかでリズミカルなノリでとことんキャッチーに仕上げた4. Quite Like You、ピアノの音色と緩やかなビートによる進行~リバーブ掛かったシンセポップ調のサビメロで爽快に弾ける5. Begin Again、持ち前のメロディセンスを生かしたほのぼのと暖かいポップナンバー6. The Worst in You等、メロディの素晴らしさが際立つ楽曲は、時間の経過を忘れてしまうほどで、ふんわりと心地よい余韻を残しながらあっという間に聴き終えてしまいます。変な捻りもなく純粋なグッドメロディとシンプルな演奏で成り立っているため、言ってしまえば凄く地味な作品なのですが、Jens LekmanやThe Antlersといったチェンバーポップ風のインディバンドが好きならきっと気に入るはずだと思います。