『ビタータイムマシンブルース』制作話
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『ビタータイムマシンブルース』制作話

2017-06-19 21:44
  • 6
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未来は白紙でも過去は黒歴史だらけですわ

そんなことより、今回投稿した動画について。



ビタータイムマシンブルース

あ、実は何作か前から、他者による転載防止のためにyoutubeにも上げてます。一応そちらもご紹介(内容は全く同じです)。




以下、本動画のネタバレ……の他に、実は【バック・トゥ・ザ・レイキューシャー】のネタバレも含みますので、気になる方は視聴してからお読みいただけると……助かります。







さて、久々のニコニ小噺シリーズについての解説記事でございます。しばらくぶりの解説となりましたのは、ずっと面倒だったから今作、自分の中で色々と超えなきゃならない壁を設定したためです。

その壁というのが

・キャラクター造形をちょっと凝る
・背景もちょっと凝る
・これまでの動画と世界観を共有する
・漫画的な表現を盛り込む
・AviUtlの拡張編集を積極的に用いる
・女性を登場させる

以上の6つ。
……いやまあ、正直1~5番目はさじ加減でどうとでもなるので壁ってほどでもないんですが、問題は6番目『女性を登場させる』です。

これまでずーっとワタクシ一人で収録作業をしてきたため、基本的に女性キャラが出せず、
そのぶん展開の幅が狭まっていたんですね(一言二言くらいの女性キャラなら裏声でなんとか誤魔化してきました)。
それを超えようと奮闘したのが今回の話なんですが……

つれえよ!! あの量の裏声録るのも! それ聞きながら編集するのも!!

これが今回、バレンタインネタでありながらこんな変な時期に投稿するに至った大きな理由です。
喉のコンディションがよっぽど良くないと出せませんし、出せてもアレですし、そのアレを編集作業で浴びるほど聞くんですよ! モチベは死ぬ! もう気が狂う!

「いや女性を登場させるのになんで裏声なんだよ!」
「そのSAN値削れる声を視聴者に聞かせるのかよ!」
という尤もなツッコミも聞こえてきそうですが、そりゃあ僕だってねぇ?
男女問わず誰かに演(や)ってもらえるなら演(や)ってもらいたいッスよ?
でもギャラは出せないし、頼める友達もいないし(ここ超重要)、指導はめんどいし(ここも超重要)……一人で完遂させる為のこの動画スタイルなんですよ。

今後の解決策としては、落語や紙芝居のように「変に裏声を使わず演技でしなを作る」辺りが良い落とし所かと思います。

しかし……落語・漫談チックな話の作りならそれで十分だと思うんですが、今回のように、キャラを立てたドラマCD寄りな作風だとどうしても“浮く”んですよねえ。
うーん……どうしたもんか……

何らかの手段で平行世界を移動して、
同じように動画投稿活動をしているであろう女性の自分を連れてくるしかないのでは……?

あっ。あとはもっとスムーズに女性っぽい声を出せるように努力するという手もありますね。平行世界からFemale The-U.JINEを連れてくるよりよっぽど現実的だと思います。
女性役の女性を用意するよりも現実的です(お察しください)。
が、がんばるぞい!

突如、Female The-U.JINEが次元を超えてやってきて
「お前暇だろ知ってんだぞ。ちょっと動画で男役やれよ」と言われるくらい
ありえないことですが、何かの間違いでプロの声優さんに声をあててもらえるなら

少年:蒼井翔太
博士:杉田智和
F(Female)博士:戸松遥
(敬称略)

辺りだと個人的にしっくり来ます。声優に詳しくないのがバレそうなラインナップですかね。
以下、台本を記載しますので、皆々様も各自脳内CVで読み上げてみてくださいね!



―台本―

少年「博士! 博士ー!」

博士「ああ、今日は随分早かったな」

少年「タイムマシン貸して!!」

博士「……どうした、藪から棒に。何があった?」

少年「何もなかったんだよ!」

博士「は?」

少年「今日! バレンタインデーだろ! バレンタインだってのに何もなかったんだ!」

博士「……それがどうタイムマシンに繋がる?」

少年「決まってるだろ! タイムマシンで歴史を変えるんだ! バレンタインデーの存在を抹消するんだよ!」


【ビタータイムマシンブルース】


博士「……ふう。前にも言ったが、君は少し衝動的すぎる。タイムマシンは私のひいひいひい爺さんの偉大な発明なんだ。そう易々とは貸せない」

少年「わかってるわかってる。実家の蔵を壊すときに出てきたんでしょ? オーパーツとか、よく人目に触れなかったとか、大戦中に被害に合わなかったもんだ、とかなんとかもう何度も聞いたよそれ!」

博士「そうだ。それにタイムトラベルは危険だ。危ない橋を渡るなら、異性を連れて実在の危ない橋を渡るといい。吊り橋効果というものを知ってるか?」


少年「博士。何専門に研究してるんだっけ?」

博士「主に水生生物だ」

少年「趣味は?」

博士「ウオノエの飼育・観察」

少年「人生のパートナーは?」

博士「昔、ある昆虫博士に師事したこともあったが、今はフリーだ」

少年「じゃ恋人は?」

博士「研究が恋人だ」

少年「んんーっ! タイムトラベルにも恋愛にも疎いじゃーん!!」


少年「そんなヤツにアドバイスされたくねぇ! 特に恋愛の方!」

少年「ましてや平成も30年に近いのに吊り橋効果なんかでドヤるヤツなんかに!」

博士「別にドヤってはいないが……少なくとも、タイムトラベルが危険なのは間違いない。それも歴史改変となれば尚更だ」

博士「私も何度かタイムトラベルをしたが、歴史上の謎をこの目で確かめることを目的とし、極力歴史に影響を与えないようにしてきた」

博士「知っているか? 実は井伊直虎の本当の性別は……」

少年「どうでもいいよそんなん!」

博士「大河にもなってるのにか……?」


少年「とにかくもう我慢の限界なんだよ!」

少年「研究なんて可愛らしい恋人のいる博士にゃわかんねーだろうけど、チョコが貰えない思春期の男子は毎年心がズタボロボンボンになるんだよ!? んで、バレンタインの傷が癒えたころにホワイトデーでもっかい傷を抉られるんスよ! お返しってなんだよ! 受け取ってないヤツは何を返すんだよ! 苦笑いかよ!」

博士「……いや、その気持ち、私にもわからなくはない。私も男だからな。幼いころから研究一筋だったが、青春と呼ばれる時代に、愛や恋に浮かれて過ごせばよかったという後悔の念もある。この手のイベントに無縁だったことも、最近コンプレックスを抱くようになった」

少年「あれ、そういうセンチメントがあるのはちょっと意外」

博士「そうわけで、君にあれを送ろうと思う」

少年「は? 何?」

博士「もちろん、チョコレートだ」


少年「……いらねえーっ!!!」

博士「おっと、勘違いはしてくれるなよ」

少年「わかってるよ!! 女の子に言われたかったよそういうヤツ!」


少年「ああくそう……アラサー野郎からのチョコで余計惨めになってきた……涙でしょっぱいバレンタインなんてもうヤなんだ……」

博士「……ふう。そこの鏡を見たらどうだ」

少年「あん?」

博士「どうだ? そこに映っている君の姿は?」

少年「そりゃ俺はイケメンじゃないけど!」

博士「いや見た目の美醜の話じゃない。心の話だ」

少年「……心が醜いからチョコが貰えないんだって話にしたいんだろうけど、心が醜くてもイケメンってだけでチョコ貰ってるヤツいっぱいいるよね?」

博士「……」

少年「論破されてんなよ! もうちょっと粘れよ!!」


博士「……わかったよ。私の負けだ。君の執念は本物らしい」

少年「え? マジで? タイムマシン貸してくれんの!?」

博士「ああ。実のところ、規模の大きい歴史改変には興味があった。私も科学者だからな。しかし責任と大罪は自分では背負いたくないと思っていたところなんだ。私以外の人間がやってくれるならとても助かる」

少年「よっしゃあ! 倫理観が完全にマッドサイエンティストのそれだけど、今はそれに感謝するよ!」

博士「しかし、バレンタインデーの改変か。歴史のどこに手を入れる?」

少年「んー、海外は言葉通じないし危ないし、日本国内かなー。チョコレートを渡すって悪しき習慣を断つのが目標で」

博士「ふむ。日本に的を絞っても、wikipediaを見るとその起源は諸説あるようだ……一体どれが真実なのか」

少年「いいよいいよ、諸説全部ぶっ潰してくるから」

博士「頼もしい限りだ。その熱意を自身の魅力を磨く方向に向ければよいものを、と思ったが言わないでおこう」

少年「モノローグ全部漏れ出てるんだけど」

博士「さあ、これがタイムマシンの起動キーだ。操作方法は以前見せたな?」

少年「大丈夫。じゃ、行ってくる!」

博士「ああ、健闘を祈る」


【タイムスリップ後】


少年「たっだいまー!」

博士「おかえり」

少年「どうよ!? なんか変わりあった?」

博士「いや? 特にはないが……」

少年「え? ウソ!? あ! まだそこにチョコがある! ってことは、バレンタインの風習はなくなってないってことか!」

少年「なんだよもう、あやうく全国紙に顔写真が載るところだったんだぞ! 俺の苦労は何だったんだよ」

博士「一体どんな手段を講じたんだ君は」

少年「あ! でもこれ、wikipediaの記述が変わってる! 諸説あったのが、伊勢丹が起源ってハッキリ」

博士「? 何を言う。バレンタインが伊勢丹発信というのは有名な話だろう?」

少年「え? え? ……あ、そっか。歴史改変自体は成功してるんだ。それで、歴史が変わる前の記憶があるのは、直接かかわった俺だけなのか」

博士「ふむ? なるほど。そうか、そういうことか。まあこれは予測範囲内だ。貴重なデータゆえ後で細かくレポートにまとめてくれるか」

少年「いやまあそれはいいんだけどさ! くそう、ちょっともう一回行ってくる! 今度は伊勢丹一つ潰せばいいんだな!」

博士「ちょっと待て。行く前にWikipediaのスクリーンショットをとっておくといい。私の推測が正しければ、現代の情報を記録したものを過去に持ち込めば、未来の改変をその場で観測できるはずだ。

バレンタインデーの歴史を改変すれば、その記事のスクリーンショットも変化があるはず」

少年「なるほど! あったまいい!」

博士「なに、有名なタイムトラベル映画でもやっていたことだよ」

(スクショ撮る音)

少年「おし! じゃ、もう一回行ってくる!」


【タイムトラベル】


少年「くそう……だめだ……何回やっても起源が微妙に変わるだけで、バレンタインの普及自体は止められない……政治家一人ムショにぶちこんだ俺の苦労はなんだったんだ……」

博士「タイムマシンがあるとはいえ、一体どうしたら政治家まで陥れることができるんだ…」

少年「なんでだ!? なにがダメなんだ!?」


博士「ふむ。ちょっと手を出してくれ」

少年「ん?」

博士「ん」

(指を切る)

少年「いってえ!! なな、何すんだよ!」

博士「少し指を切ったくらいで大袈裟だな」

少年「いや血、血出てんスけど!」

博士「その程度の傷ならすぐに塞がるだろう」

少年「そうだけど、何で……」

博士「恐らく、歴史にも生物のような自然治癒能力があると見た。」

少年「ああ!?」

博士「歴史に大きな損傷を与えたとしても、時間の経過により、その傷は埋まってしまうのではないかな。もちろん損傷前と全く同じようには埋まらないが、機能に異常をきたさないレベルまで回復をする」

少年「あ、ああ? なるほどね。そういう話ね」

博士「でも実際に出血させる必要なくない!? ナチュラルに頭おっかしいんだよなこの人……」

博士「そして歴史上重大なインシデントであるほど、その治癒能力は高いように思える」

少年「聞いちゃいねえよ」

博士「恐竜の絶滅、人類の繁栄、world war。タイムマシンのような偉大な発明も、重要なインシデントと呼べるだろうな」

博士「過去に戻り、私のひいひいひい爺さんをどうにかした程度では無かったことにはならず、紆余曲折を経てこの時間この場所に存在することになるだろう」

少年「ってことは、バレンタインもタイムマシンレベルに重要なことだっての!?」

博士「恐らく君や私の想像以上にな」

博士「人と人の結びつきの力はバカにできない。つがいの成立は繁殖、種の繁栄にも繋がる重要なインシデントだ」

少年「えーっと、ってことは? 思いの外バレンタインでカップルが成立してるから、歴史上重要だってこと?」

博士「その可能性は高い」

少年「クソァ!!」

博士「いかに人間が知的文明を築いても、繁殖なくして繁栄はない。世の中を回しているのは優秀な個ではなく、社会的活動に精力的で繁殖に優位性を持つ雌雄のつがい達だ」

少年「社会的活動に精力的で繁殖に優位性をもつ雌雄のつがいを縮めて言うと?」

博士「リア充」

少年「ファック!!」

少年「あークソ! バレンタイン関連でなんか他に変わった歴史ないかな!? そこをもう一回叩けばまた変化が……」

博士「変化はあるだろうが、また同じように起源の変動に終わるだろう」

博士「君がどれだけ歴史にダメージを与えたのかは知らないが、この治癒能力の高さはプラナリア並みだな。だとすれば、真っ二つに切断するような大きな傷を負わせれば二つに分断されるようなことが起こるかもしれない」

博士「しかし、巨大な歴史にちっぽけな人間が挑むなど、そもそもが無謀だったのかもな」

少年「あ。刑務所にぶち込んだ政治家の代わりに、別の女性政治家が同じような活躍してる」

博士「歴史の治癒による穴埋めだな」

少年「男性政治家から女性政治家になったのは別にいいの?」

博士「それによって世の中が変わったか?」

少年「いや、多分、覚えてる限りではそんなに……結局コイツがバレンタイン成立に関わってるっぽいし……」

博士「ということは、歴史上性別の差などは些末な差ということだ。少なくともバレンタインの成立にはな」

博士「過去に戻りその女性政治家を失脚させたところで、歴史は同じようにバレンタインを成立させるだろう」


少年「……はあ……」

博士「そう落ち込むことはない。まだ検証の余地はあるが、君の一連の活躍によるこの歴史治癒能力の発見は偉大だ。それこそ、歴史改変が不可能なほどのインシデントだろう」

博士「しかし、度重なる歴史改変にもかかわらず君と私の縁に影響がないのは面白いな。これも歴史上重要なインシデントなのだろうか。タイムマシンという要素が大きく影響しているのかもしれないが」

少年「……」


少年「……あ」

少年「……あ!」

少年「ああああ!」

博士「?」

少年「あ、あ、わかった! これだ! これしかない!」

博士「どうした?」

少年「博士博士! はい、チーズ」

博士「?」 (カメラのシャッター音)

少年「それじゃ、ちょ、ちょっと行ってくる!」

博士「何? どこへ行くんだ」

少年「……ホワイトデーにスイートなお返しができる世界さ!」


【タイムトラベル】


少年「フフフフ……髪型良し、服装良し、目のクマ仕方なし! んんっ!」

少年「ただいま!」


F博士「おかえり。どうだ。今度は成功したか?」


少年「……大成功」

少年「実際に動いて喋ってるの見ると、写真とまた印象が違って……いい……!」

F博士「何を言ってるんだ君は」

F博士「おかしなヤツだな。それより、成功と言ったが、まだバレンタインの風習は残っているぞ?」

少年「あっ、いーのいーの! ま、バレンタイン廃止自体は難しいみたいだし? タイムトラベルで歴史に触れて? 考えが変わったというか? 環境が変わった? 的な?」

F博士「環境?」

少年「あっ、そうだ……博士! 何専門に研究してるんだっけ?」

F博士「主に水生生物だ」

少年「趣味は?」

F博士「ウオノエの飼育・観察」

少年「人生のパートナーは?」

F博士「昔、ある昆虫博士に師事したこともあったが、今はフリーだ」

少年「じゃ恋人は?」

F博士「研究が恋人だ」

少年「イエスッ! 間違いない! 本人だ!」

F博士「?」


少年「フフ……男女の産み分けなんて胡散臭いと思ってたけど、効果あるもんだなあ。2017年最新の情報をまとめたテキストを、博士が生まれる前の両親に届けて、女の子が欲しくなるようにアレコレ仕向けた甲斐があった」

少年「歴史上性別の差は些末な差説は正しかった。これによって……」


F博士「ずいぶん疲れているな。私にとっては数分のことだが、君は過去で長い時間歴史干渉を続けてきたと見える」

少年「まあね。こういう疲れた時ってアレだなー? なんかあのう、甘いものが欲しくなるなー?」

F博士「それならちょうどいい。チョコレート食べるか?」

少年「待ってました大統領!!」

F博士「驚異的な心変わりだな。君自身が歴史改変の影響を受けていないか?」

少年「いやいや、目的のためなら手段を選ばないマッドサイエンティストの気持ちが、少しわかっただけだよ」

少年「えー、ではどれどれ……」

(ガサガサ)

少年「おっ! すごーい! 手作りじゃん!」

F博士「まあな。慣れないことをしたせいで少々形はいびつだが」

少年「この不器用さが逆にいじらしい! 改変前もこうだったと考えるとすげー気持ち悪いけど!」

F博士「チョコの形状を変えるのは、改変ではなく成型が適正だと思うが」

少年「ああ気にしないで! じゃ、いっただきまーす! むぐ……むぐ……」


少年「……うん? うまい……けど……これ、酒入ってる?」

F博士「いや。酒は入ってない」

少年「そう? なんか……変な風味だし……体が、熱くなってきたんだけど」

F博士「なるほど。ここまではマウス実験と同じだな」

少年「んえ? 今なんて――」



少年?「……ん、うう……」

F博士「気が付いたか」

少年?「……ん? あれ? なんか声が高く……」

少年?「え? え? は? ほ? ……はっ!?」


少女「あれぇ!? 肌が、すべすべ! 腕が、ほっそり! 胸が、こう……心なしかふっくら……」

F博士「実験は成功のようだな」

少女「は、博士!? どういうことだよこれ!」

F博士「私の発明だ。君が食べたチョコレートに、ヒトを女性化させる薬をまぜた」

少女「は!? な、なんだそりゃ! なん、なんでそんなこと!」

F博士「直接薬を手渡しても、口にしてはくれないだろう?」

少女「そういうことじゃねえよ! なんか……なんでそういう薬を作ったとか、なんで俺にとか、そういう諸々だよ!」


F博士「……ふむ。私も女だからな。青春と呼ばれる時代に、愛や恋に浮かれて過ごせばよかったという後悔の念もある」

少女「あれ、なんかすげーデジャヴ」

F博士「しかし、研究を恋人としてきた私に、今更普通の恋愛ができるとは思わない。普通の人間に私は理解できないし、私に普通の人間は理解できない。そこで考えたんだ」

F博士「新たに理解者を得るより、既に得ている理解者をパートナーにすればよいと」

少女「……似た者同士かよ!!」

F博士「そうだな。そういう言い方もできる。君と私は似た者同士だ」

F博士「思えば幼少の頃、スーパーの鮮魚コーナーでウオノエと出会ったのは運命だったのかもしれない。君との出会いと同じようにようにな」

F博士「あの出会いがなければ、水生生物に興味を持つこともなく、今日(こんにち)水生生物由来の性転換特性についての見識もなかっただろう」

少女「そこ! そこだよ! 性転換!」

少女「えーと、いやっ、あのー、ほら、その、なんて言ったらいいのかわかんないけど、私、いや俺! 俺だ! 俺は男のままじゃダメだったの!? あーほらほら、男女の差なんて歴史上些末なことだって言ってたじゃん?」

F博士「歴史上些末なことでも、個人の愛には重要なことだ」

少女「ああっ! なんかロマンチックなセリフ! 乙女歴2分の乙女心にキュンと来た!」

F博士「良好な経過だ。水生生物に比べて組成が複雑な人間では、心身ともに完全に性転換するには最低でも二か月はかかる計算なのだが、君は順応性が高いらしい」

少女「う……そ、そうだ! タイムマシンで戻って、この一連の流れをなかったコトに」

少女「ああでも、これ間違いなく凄い発明だよな。歴史上重要なインシデントだよな。ってことは改変は難しいのか!?」

少女「え!? 俺の女体化って歴史上避けられないインシデントなの!?」

少女「いやだあああああ!!」

F博士「……ふう。落ち着きなさい」

少女「これが落ち着いてられるか!」

F博士「そこの鏡を見たらどうだ」

少女「あん?」

F博士「どうだ? そこに映っている君の姿は?」

少女「そりゃ……あー……うん……」

少女「思ったよりは……悪くないけど……! 元々どっちも男だって考えると……」

少女「あれっ!? 待てよ……それじゃ、改変前の歴史の、男の博士もこうするつもりで……?」

(改変前の歴史のイメージ映像)

少女「……ああ! せっかくのすべすべお肌がぶつぶつ鳥肌に!」

F博士「……すまない。こういうやり方にはなってしまったが、君と一緒にいたいという気持ちは本物なんだ」

少女「いや、うーん……思ってた結末とは違うけど……」

F博士「私の本命は受け入れてもらえるか? スイートなお返しは期待できるか?」

少女「……ギリでビターってところかな」


色々盛り込んだ割には15
分程度に収めることができました。

タイトルの【ビタータイムマシンブルース】は
サマータイムマシン・ブルースが元ネタです。ハリキリスタジアムとかヴィダルサスーンとかBTTFとか夏にオススメのタイムトラベル邦画ですので、未視聴の方はぜひ一度。

『対象の両親の過去に干渉して性別を変える』ってネタはSteins;Gateにもありましたね。
データしか送れないあっちより、直接過去に出向いて成功するまで試行できるこっちのほうが確実性は高いです。少年の執念により成功しました。


それと、実はオチの後にまるまる削ったくだりがあります。
それがこちら。

 こうして元少年は博士のパートナーとなり、後に同性間でも子供を成すことができる全く新しい技術を発見しノーベル賞を受賞することとなる。

 その際、彼、いや彼女はこう語った。

「このような歴史上重要なインシデントは、個人というより歴史によって成されるものです。たとえ私がいなくとも、私以外の誰かが発見していたことでしょう」

これはあくまで登場人物たちの救済であって、小話としてはいかにも蛇足だなあ、と思ったのでバッサリ行きました。

チャップリンも「人生は近くで見れば悲劇だが、遠くから見れば喜劇である」と言ってますし、ビタータイムマシンブルースで描かれた部分だけ見ればビターでも、終生通して見ればばスイートだったんでしょうネ。



―登場人物紹介―

【博士】


水生生物が専門のクールなアラサー研究者。
ボーダー服(クマノミ柄)とスリッパ(プラナリアモチーフ)はかつての師の影響。
紹介の便宜上、ウオノエ博士と命名。

【少年】


モテない中学生。愛があれば年の差なんて、という
度量の大きさはあるがモテない。紹介の便宜上、バレンタイン少年と命名。

F博士】


Female博士。パンツルックなのは研究室だからで、普段はスカートも履く。

【少女】


元少年。

【ウオノエ博士のかつての師】
昆虫博士。ウオノエ博士はあまり馬が合わなかったらしい。

【ウオノエ博士の曾々々祖父】
100年以上前にタイムマシンを作った大天才。


……さて。
冒頭に述べましたように、今回はこれまで作ってきた動画と世界観の共有を図っています。
……なんで? ってね……こういう設定大好きなんですよ……!
ボクもやりたかったんスよこういうの……!

ウオノエ博士がかつて師事していた昆虫博士は
『萌えイナゴの恐怖』の【アバドン博士】です。

【アバドン博士】


萌え文化が嫌いなマッドサイエンティスト。
流行りのコンテンツを食い潰しては次へ移り行くオタクの集団行動を見て、
文字通り萌えを喰らうバイオ生物『萌えイナゴ』を作り出した。

詳しくは『萌えイナゴの恐怖』本編で!







そして、ウオノエ博士の曾々々祖父は
『バック・トゥ・ザ・レイキューシャー』に登場する
《霊柩車型タイムマシン》の発明者です。

【霊柩車型タイムマシンの発明者】

(人物の画像がないので霊柩車型タイムマシンそのものを掲載)

バック・トゥ・ザ・フューチャーに影響を受けて車型タイムマシンを作った男。
BTTFのドクに憧れ、息子の成人を機に1885年で暮らし始める。
(便宜上『茶野博士』と命名しました)


ビタータイムマシンブルースに登場するタイムマシンは、過去で暮らし始めた茶野博士が
1890年頃に制作して直系子孫に託してきた形ですね。

主に自分で確認するために時系列みたいなものも作りました。
こんな感じです。


(クリックで拡大)

……つ、伝わりますかね?


―音声について―
F博士の声が録音編集共々ツラかったのは記事冒頭の通りですが、通常博士の声もツラかったです。感情的なキャラならオーバーにやればまあ棒読みには聞こえないのに対し、博士みたいな冷静なキャラは棒になるわマイクが拾ってくれないわで。
(多分今までで一番楽だった&楽しかったのはアバドン博士です)



―動画について―
最近私用でAviUtlの拡張編集プラグインをいじる機会があり、ちょうどいいやと小話でも使ってみました。そんな難しいことはしてません。

ちょっと凝った背景は友人のBOMBくんに頼みました。
自然派な感じと雑多な感じがよく出てます。ホワイトボードがあるの羨ましい。

多分、ガレージを改装して研究スペースにしてるんだと思います。


タイムマシンそのものはビジュアルを考えるのが面倒だったので登場しませんが、そのぶんタイムトラベル時のビジュアルに少しだけ力を入れました。



ここに力を注ぎ、なおかつ音声収録後一番最初に作り始めることで、
「これだけ頑張ったからには完成させなきゃならんな……」
とモチベーション維持に繋げています。そういう意味でも重要なシーンです。

BTTF好きな方ならひと目でピンと来てもらえますよね? ……よね?
デロリアンのナンバープレートがくるくる回転するシーンのパロディです。
タイムトラベルのビジュアルイメージではなく、タイムマシンに組み込まれた機構の一部のつもりで作りました。

BTTFではプレート上部にCALIFORNIAという文字と太陽(?)の意匠があります。
なのでBTTF大好き茶野博士はそれをパロり、自身が暮らし始めた明治時代初頭、
“東京”が“トウケイ”と呼ばれていたことと、“時計”をかけて『TOKEI』という文字を刻んでいます。そしてEの字に隠れちゃってますが、太陽の意匠の代わりに東京府の府章をデザインしています。



(東京府府章)

これ、昭和6年改定後の府章なので明治時代にデザインするのは矛盾してるんですけど、
TOKEI表記は時代考証に符合するが、府章は矛盾する……いやそもそも明治時代にBTTFパロのタイムマシンを作ってるっておかしいじゃん!」
……という茶野博士なりの茶目っ気だと思います。



―さいごに―
音声は大分不服ですが、それ以外は概ね満足だと自画自賛しております。これだけ好きなもの詰め込んどいて「不満」だなんて言わないですよ、そりゃあ。

「じゃあTSFも好きなんですか? ていうかTS百合とか業深くないですか?」
と聞かれれば、そうでもないッスけど許容範囲内です、くらいのもんです。
アラサーでクールな眼鏡女博士はどツボですけど。
だからこそ「なんでこんなツボが俺の声やねん……」って嘆きもあるんですけど。
書けば書くほど後悔の念が押し寄せてきます。
ホント多少無茶をしてでも女性に声あててもらえばよかったのでは?

動画の漫画的な表現は一度テンプレートを作ってしまえば後でも使いまわせますし、AviUtlの拡張編集も覚えてしまえばかなり楽。あんまり凝った動画を作ろうとすると、天井知らずになって大変なのでこれくらいが丁度いいかなーと思ってます。

色々大変でしたが、完成してみれば楽しかったと思えるもんです。
今回培った経験は確実に次に繋がるハズですので、また頑張りたいと思います。

それでは、また次回。


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毎度毎度面白おかしく動画を拝見させていただいてます。
あんな裏声出してて動画編集までするとかうぷ主はやはり変態か……とおもってたらまともな感性の人で良かったです。
あれ、でもまともな感性ならTS百合なんか書けるわけが、ううん? あれ?

次回作も楽しみにしてます。
1週間前
×
ウオノエ博士が師事していたのがアバドン博士だったとは気づきませんでしたw
面白い世界観で二度楽しめますね。
個人的には女性役の声は今回みたいにThe-U.JINEさんが演じられた方が楽しめると思います。
The-U.JINEさんの動画を見る方はThe-U.JINEさんの絵や編集、(変態的な)演技を見聞きしたいと思いますのでw

次作も待ってまーす
1週間前
×
女性声に関しては編集でフォルマントを変えるという手段もあります。
試してるとは思いますが・・・。

次回作も期待してます。
1週間前
×
皆様コメントありがとうございます
まだまだ色々手探り状態ですが、ネタはあるので頑張って動画にしていきたいと思います

あ、フォルマント編集は音MADで培ったスキルを転用して試したことがあったのですが
恐らく元の声との相性が悪く、男でも女でもないナニかが出来上がるので
そっとなかったことにしました
1週間前
×
あ~やっぱり・・・(;´・ω・)
余計なお世話だとは思いますが動画の音声をちょっといじってみました。
フォルマントとピッチを少しずつあげただけですけど、
”第三者的には”この程度でも十分だと思いますよ。

https://www.rupan.net/uploader/download/1498147515.zip
pass:moe175

可能性に貢献できれば幸いです。
5日前
×
>>6
おお……わざわざありがとうございます!
しかしやっぱり、元々高い裏声に調整かけると『万引き犯の主婦』みたいになりますねえ……
逆に言うと、万引き犯の主婦みたいになるなら
女性っぽさには近づいてる……ということになるのでは……
とにかく自分でもまだまだ研究不足なフシがあるので、色々試してみようと思います!
4日前
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