どうも、執事です。




何と今回は冬コミで頒布されますアンダーバー星オリジナル小説、


ついに始動したアンダーバープロジェクトの本文を少しだけ大公開致します!!!


構想の段階から一年以上の時間をかけてみっちりねっとりと今、紡がれ始める壮大なSF小説でございます。


迫る冬コミへ向けて3週に渡っての公開となりますのでアンダーバー星人の皆様におかれましてはチェックをお忘れなく!!!



執事、頑張って書きました!!!




是非ともチェックをお忘れなく!!!(二度目)



それでは早速、以下本文です。


何と、まずはエピローグから公開!

























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【エピローグ】




 

 高層ビルの屋上で少年少女が浮遊する白い球体上の生き物を見つめている。

 数多の星で飾られた夜空の天蓋の下。バレーボールと同じくらいの大きさをした体に丸っこい手足を生やした奇妙な生物は、少しうさんくさい笑顔を二人へ向けながら口を開いた。

「これはほんの始まりに過ぎない。本当の脅威は……むしろこれからやって来る」

 見た目からは想像も出来なかった真面目な成人男性の声に二人は同時に唾を飲み込む。

「何回聞いてもわたし、その見た目と声のギャップに慣れそうにないんですけど」

少年少女はこの奇妙な生き物が成人男性と変わらない声で話す事を知っていた。つまり彼らの今の反応は奇妙な生き物のちぐはぐさへ向けてではなく、純粋に言葉の深刻さへ対するリアクションだった。

 少女の戸惑いを含んだ発言に続いて少年は大きく深呼吸をする。その息の吸い方は、これから声帯を震わす事になる言葉に自然と緊張感を持たせた。

「前にも言ったけど、地球を守るなんてそんな大それた事、僕にはとても出来ない。でも……家族とか、みんなの笑顔を守るためなら、僕は戦う。アンさんと一緒に」

 覚悟を決めた少年の瞳は強い意志の光を宿していた。彼の決意の輝きに奇妙な生き物――アンさんは、満足気に頷く。

「ああ。一緒に守ろう、集。二人でならきっと銀河系だって守れるさ」

 二人は互いに向かい合うとお互いのこぶしを軽く突き合わせた。アンダーバー星人と地球人が協力を約束した瞬間に立ち会った少女は思わず口元をほころばせる。

「え、花ちゃん今笑って――」

「笑ってない」

「でも今、確かに笑って」

「笑ってない‼ こんなクタクタなのに笑顔なんて出るわけないでしょう?」

「そんな優しい笑顔をしてくれるなんて思ってもみなかった……。ねえ、アンさんも見たよね⁉」

 興奮した様子の少年――集は、憤慨する少女――花の反応にも動じずお構いなしに目の前の奇妙な生き物へ同意を求めた。

「やったな、集。これで君の目的は達成されたじゃないか」

 アンさんの言葉で同時に頬を赤く染める集と花。

「アンさんそれは言っちゃダメなやつ――っ!」

「えっ?」

「テキトーな事を良くも、この変態生物め!」

 幸福と希望に満ちた喧騒が夜の空へと響いては呑み込まれていく。願わくば、この穏やかな時間がいつまでも続いて欲しいと二人と一体はじゃれ合いながら願っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 太陽系元第九惑星『冥王星』近海。

 

 広大な宇宙空間を埋め尽くすかのように何百隻もの巨大木造帆船が真空にも関わらず軽快にどこかへ向けて航行している。その中でもひと際目立つ荘厳華麗な装飾が施された、まるで海賊船のような船の甲板に一人の金髪男性が立っていた。

「ついにこの時が来た……待っててくれパウメア。この戦争が終わったら、必ず君のもとへ帰る」

 遠景に煌めく星々へ向けて覚悟を滲ませる金髪碧眼の男。顔だけを見れば文句なしのイケメン青年といったところだが、何故か彼は長身の身体で武士袴を着こなしている。

 周囲を良く見れば甲板を忙しなく行き来する乗員たちに至っては日本式の甲冑を身に着けており、乗組員の見た目は全員が和風で統一されていた。

「司令! 目的地の変更を全艦隊へ通達完了しました!」

 一人の甲冑兵士が男の前へ跪くと報告を続ける。

「全ての指揮官が司令の命令通りに行動を開始しております」

「そうか、苦労をかけた。持ち場へ戻ってくれ」

 金髪男性から労いの言葉をかけられた甲冑武士は跪いたままで軽く一礼をして再び元の持ち場へと駆けて行った。

 何かを思案するような表情で男はしばらくその場から動かずにいたが、やがて得心がいったように吹っ切れた顔になると巨大帆船の船首へ歩を進めていく。

 すると、彼が船首へと上がる階段へ足をかけた瞬間に、突然甲板と船室を繋ぐ両開きのドアが甲板側へ勢いよく押し開けられた。

「お前も船首へ上がるといい」

 階段で一度立ち止まった金髪男性は驚きもせずに開け放たれたドアの奥へ語りかける。再び階段を登り始めた彼が船首へ上がり切ると船室からは異様な空気が漏れ出し始めた。

 異変に気付き船室の入り口付近から離れる乗組員たち。やがて――――ソレは現れた。

 

 漆黒のヘルメットに金の装飾が施された体躯。そして、はためくたびに裏地の深紅が覗く黒のマント。

 

 物々しい空気を纏い見る者全てに威圧感を与えるその存在は、男の言葉に従って階段を登り司令と呼ばれていた男の隣へと何のためらいもなく並び立つ。だが、漆黒の騎士が自分の隣へ現れようとも金髪の男は一切不快感を見せず、むしろ彼は少しの興奮を露わにしながら口を開いた。

「オレはどんな手を使っても地球を手に入れる。その為に、オレはお前を道具のように扱うだろう」

 物扱い宣言をしたにも関わらず反応を示さない相手へ男は言葉を続ける。

「オレの目的は地球を侵略する事。お前は……」

 促され、それでも無言を貫いていた漆黒の騎士はゆっくりと船首の一番先端へ立った。

そして、瞳の見えない双眸でどこかを確実に見据えながら野太いオカマ口調で宣言する。

 

 

「アタシの目的はアンダーバー星を滅ぼす事。ただ、それだけよ」











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【次回の更新へ続く】