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記事 3件
  • 石破茂氏:石破政権を展望する

    2017-07-26 20:00  
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    マル激!メールマガジン 2017年7月26日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第850回(2017年7月22日)石破政権を展望するゲスト:石破茂氏(衆議院議員)────────────────────────────────────── 安倍政権の支持率が危険水域と言われる30%を割り込む中、自民党の石破茂衆院議員の去就に注目が集まっている。 ポスト安倍候補の中にあって、政権で枢要な役職に就いている他の候補たちが身動きが取れずにいる中、昨年の内閣改造で入閣を固辞して無役の道を選んだ石破氏だけが、明確に反安倍色を打ち出しているからだ。 実際、今、石破氏の下には、多くの報道機関から安倍政権への批判的なコメントを求める取材依頼が殺到しているそうだ。 しかし、石破氏はそのような安易な挑発には乗らないよう気をつけているという。安倍政権の支持率が高かった時は、石破氏がどんなに政権の問題点を指摘しても、それがメディアに取り上げられることはほとんどなかった。それが、支持率が下がり政権が苦境に陥ったかと見ると、手のひらを返したように容赦ない政権批判を繰り広げるメディアの姿勢には疑問を感じるからだという。 しかし、かといって石破氏が安倍政権と一線を画した路線を提唱していることに変わりはない。 石破氏は1項2項を残したまま自衛隊を明記するという安倍政権の弥縫策的な憲法9条の改正案には、あくまで批判的だ。憲法を改正するのであれば、世界でも有数の軍事力を誇る自衛隊を日本防衛のための軍隊と規定し、その権利と義務を明確にすべきだと石破氏は主張する。 その一方で、日本がアメリカの軍事力に全面的に依存する形になっている日米同盟の現状も、より双務的なものに修正していく必要があることを認める。 しかし、首相の座を狙っているのかと問われれば、石破氏ははっきりとそれを否定する。新人議員の時分に田中角栄元首相から、総理の座は自分から狙って取れるものではないと教えられたからだ。いつ天命が下ってもいいように準備はしておくが、自分から地位を取りに行くような真似はすべきではないというのが石破の美学なのだという。 ポスト安倍のキーマン石破氏に、憲法観や政策的な主張、今後の展望などについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・石破茂は首相を「狙っている」のか・石破氏が安倍氏に総裁選で負けた理由・憲法改正と日米地位協定をどう考えるか・安倍政権の強権的な体質に対する、石破氏の思いとは+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
    ■石破茂は首相を「狙っている」のか
    神保: 今年のマル激は「何百回」という記念がなく、そういう意味では今回の850回が最もきりのいい数字。それに相応しいゲストをお呼びしていると思います。宮台さん、最初に一言あれば。
    宮台: 政治家の言葉の重さ、あるいは軽さ、それが話題になっています。ただの言い逃れの言葉、あるいは世界的に展開しているポストトゥルース的な言葉、「真実、正義、それは知っている。でも、だから何だ?」という言葉。そして、機を見るや、流れに応じて、勝ち馬に乗って言説の方向性を変えるマスメディア――これは日本だけでなく、世界中で見られるものです。
    神保: 今のメディアの政権批判みたいな感じですね。
    宮台: そう。ここでもやはり言葉の重みが問われていますが、今回は、与野党を通じて、言葉の重みが最も感じられる政治家さんに来ていただいたということになります。
    神保: 早速ご紹介します。本日のゲストは石破茂衆議院議員です。最近、メディアで石破さんの顔を見ない日がないという状況ですが、ご本人としてはいかがですか。
    石破: 世の中はこんなに変わるんだな、という感じですが、人の興に乗ずるようなことは一番主義に合わないので、面白おかしいようなつくり方をする番組はほとんどお断りしています。
    神保: つまり、今の状況に便乗しているようにとられてしまうから、政権に対する異論がかえって言いにくくなっていると。
    石破: そうそう、ずっと言っていきたのに取り上げられず、今になって「さあ、もっと言え」と。まあ、世の中というのはこんなものでしょうね。
    神保: やはり意識して控えているんですか?
     

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  • 三木由希子氏:『森友、加計問題』の本質は情報公開と公文書管理にアリ

    2017-07-19 22:00  
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    マル激!メールマガジン 2017年7月19日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第849回(2017年7月15日)『森友、加計問題』の本質は情報公開と公文書管理にアリゲスト:三木由希子氏(情報公開クリアリングハウス理事長)────────────────────────────────────── 政治の意思決定を速めるために首相の権限を強化したまではよかったが、それをチェックするための情報公開や公文書管理の制度がまったくそれについてこれなかった。それが今回のモリカケ問題の本質だったのではないか。 真相解明に後ろ向きな安倍政権の姿勢に対しては、世論も不満を募らせていると見え、確かに内閣支持率は急落している。しかし、これは安倍政権だけの問題ではない。権力が行使され国民の税金が使われた時、その妥当性を国民が確認できないまま見過ごされてしまうようでは、仮に安倍内閣が退陣したとしても、同様の問題が起きることは目に見えている。 そもそも今回の森友・加計問題は、通常とは異なる権力の行使が行われ、その結果として普通では降りないはずの許認可が降りたと同時に相当額の税金が投入されているにもかかわらず、その権力行使の正当性を裏付ける記録が何も残っていないところに問題の核心がある。もし安倍政権が、森友にしても加計にしても、一切不当な政治介入はなかったと主張するのであれば、一連の手続きが適正だったことを示す文書を公開すればいいだけの話だ。しかし、安倍首相やその周辺は、当時の記録は既に「廃棄」され、交渉担当者たちも当時の「記憶」がないの一点張りで逃げ切ろうとしている。それはそれで政治的には大きな問題だが、そもそもその記録が残っていないことや、その保存や情報公開が義務付けられていないことの方がより大きな問題なのだ。 「都合が悪いことがあれば、その証拠を捨ててしまった者勝ちになるようなことを許してはならない」、情報公開問題に長年取り組んできた情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は語る。三木氏は特に森友学園と近畿財務局の交渉記録が「契約締結後に破棄した」とされる国会答弁に疑問を呈する。森友学園の土地売却は10年分割払いになっているため、少なくともその間は交渉記録を残しておかなければ、もし分割払いの途中で何か問題が生じた時、説明がつかなくなってしまう。後任者に事細かく引き継ぎを行う慣例のある官僚が、10年先まで続く取引の記録を残していないなどということは常識では考えられない。 三木氏は国有地の払い下げをめぐる森友学園と近畿財務局などの交渉記録の情報公開請求訴訟の提起に踏み切り、その第一回目の弁論が7月19日に予定されている。 この問題の主犯が官邸なのか財務省の本省なのか、はたまた出先の近畿財務局なのかはわからないが、彼らにとってよほど都合の悪い、つまり国民に対して正当化できないようなやり取りが記録に残っているのだろう。だからこそその記録は何があっても出せないと判断されたか、意図的に廃棄されたかのいずれかに違いないというのが、三木氏の見立てだ。恐らく同じことが加計学園への獣医学部新設を巡り内閣府についても言えるだろう。 確かに日本の現行の公文書管理法にも情報公開法には抜け穴が多く、それを埋めていく地道な作業は必要だ。しかし、どんな法にも必ず抜け穴は残る。今回のモリカケ問題は法の抜け穴の有無以前に、そもそも今の日本の政府の中で、公文書管理法や情報公開法の精神が全く蔑ろにされているところに問題がある。そして、その責任の一端はそれを許しているマスコミ、そして国民の側にもある。それを正さない限り、第三、第四のモリカケ問題は必ず起こるだろう。いや恐らく、既に同様の問題は無数に起きており、モリカケ問題はその氷山の一角が顔をのぞかせたものだったに違いない。 情報公開問題に長年取り組み、今も政府を相手取り数多の情報公開訴訟を抱える三木氏とともに、情報公開と公文書管理の観点からモリカケ問題をジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
    ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・森友問題、文書「不存在」の欺瞞・裁判所はなぜ、開示請求を棄却するのか・行政機関や職員の“正直さ”に依存する、行政文書の定義・誰が誰のために何をするか――公文書管理法、情報公開法の諸問題+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
     

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  • 伊勢崎賢治氏:地位協定で主権を制限された日本に独自の憲法は書けない

    2017-07-12 23:00  
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    マル激!メールマガジン 2017年7月12日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第848回(2017年7月8日)シリーズ・憲法改正を考える1地位協定で主権を制限された日本に独自の憲法は書けないゲスト:伊勢崎賢治氏(東京外国語大学大学院教授)────────────────────────────────────── 安倍首相が憲法改正の意志を明確に示して以降、改憲問題が具体的な政治日程に上っている。森友・加計問題や相次ぐ閣僚や議員の失言や不祥事、そして都議選の惨敗と、安倍政権を取り巻く政治状況は不透明になってきているが、安倍首相にとって祖父の遺志でもある憲法改正は最大の政治的野望だ。辞任に追い込まれない限り首相は万難を排しても、憲法改正を仕掛けてくるだろう。 憲法改正については、まだ議論が生煮えの部分も多い。しかも、首相が憲法9条に関して、現行の条文を残したまま「自衛隊を明記する」などという珍妙な考えを示してしまったため、論理的な整合性も含め、今後更なる議論が必要となることは論を俟たない。 しかし、その前に日本にはもう一つクリアしなければならない重大な課題がある。それが日米地位協定だ。日米地位協定は日本における米軍兵士やその家族(軍属)、軍関連業者などの法的な地位を定めた日米両国間の協定だが、敗戦後間もない1952年に締結された日米行政協定から実質的に一度も改正されていないこともあり、いかにも戦勝国が敗戦国に要求する無理難題が羅列された条文がそのまま残っている。 端的に言えば、日本は第二次大戦の敗戦とその後の占領政策で失った主権国家としての最低限の権利を取り戻せていないのだ。驚いたことに日米地位協定の不平等さは、同じく第二次大戦の敗戦国だったイタリアやドイツの地位協定はもとより、フィリピンやイラクやアフガニスタンと米軍との間の地位協定よりも遥かに酷いと、東京外大大学院教授の伊勢崎賢治氏は指摘する。 ところが、日本では地位協定の改正は政治の争点にものぼらない。そのため、これまで地位協定は一度も改正されていないし、改正を主張する政治家もほとんどいない。これから日本は、実質的に何の意味があるとも思えない、「自衛隊を書き込む」だけの憲法改正に血眼になって突き進むようだが、その間もこれだけ不平等で理不尽な地位協定は全く放置されたままになるようだ。日米合同委員会なる秘密委員会で地位協定の運用は話し合われるのに、どうしても地位協定の改正だけはできないのだ。 そもそも武力の保持を放棄した憲法9条は日米安保条約と対になった車の両輪だった。日米安保の根幹を成す地位協定の不平等性をそのままにしておいて、もう一方の9条だけをいじり、自衛隊を合法化した時、そこにどのような矛盾や問題が生じるのかは、十分に検討しておく必要があるだろう。 なぜ日本は地位協定を改正できないのか。いや、それを言い出すことも、議論することも、改正の可能性を考えることもできないのはなぜなのか。地位協定で主権が制限されたままの状態で憲法が改正されると、何が起きるのか。主権なき憲法改正の危険性に警鐘を鳴らす伊勢崎氏と、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
    ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・矛盾だらけの安倍加憲は、何の冗談か・平時の協定としてあり得ない、日米地位協定・護憲派リベラルはなぜ動かない・メディアの怠慢 パンドラの箱は、もう開いている+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
     

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