スティーブ・ライヒについて大いに語る
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スティーブ・ライヒについて大いに語る

2015-07-19 02:57

    先日のニコ生にてライヒファンの方から
    ライヒの何が凄いのかという事に関して語っていただいきました

    自分もライヒは好きなんだけど
    何がいいのかイマイチ言語化出来ない部分があり
    備忘録的にこの日のログを残しておきます


    以下、地の文はライヒに詳しいリスナーさんのコメントをまとめたものです


    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    (ライヒの音楽は)ジャンルとしては現代音楽といわれるもので
    では現代音楽の宿命とは、となるのですが
    われわれが普段耳にしている音楽は12平均律といわれるもので
    バッハの時代に誕生した旋律の捉え方です
    われわれは長い間この12平均律から成る音楽ルールに従って音楽を作り、楽しんでいます

    音楽は自由と思いがちですが、ガチガチの禁則事項だらけの芸術なのです。ここが重要
    限られた制約の中で可能性をみつけ、美を追求してきました
    ロック、ジャズ、などといった音楽はその可能性の派生です

    現代音楽はその五線譜上のルールを崩すことなく、その可能性の限界を探る特性があります
    つまり、全てに意味を持たせています(それが偶然性であっても)。

    現代音楽の作曲家としてはそれはもうたくさんいるわけです
    そのうちの一人がライヒ、とんでもなく有名な人ですね。
    ジョンケージに並びます

    ケージはアンビエントを提唱しました。ライヒはミニマルの提唱者です

    ここでミニマルについて説明が必要になってきます


    ○質問者『途中ですいません 我々が普段聞く音楽と違うルールがあるんですよね この曲(Come Out)には』

    われわれがふだん聞いている音楽はそのルールを簡略化したものです
    主にポピュラーミュージック(大衆音楽)ですね
    大衆音楽は音楽のルール(楽典)を簡略化して、知識教養がない人でも楽しめるようにしたものです

    音楽は5つのジャンルから成っています
    いろいろジャンルがあるけども、最終的には5つ。もちょっと絞って4つです
    ちなみに今の所ですが、音楽の12平均律を基に作曲された音楽で最も完成されたと認識されているのが
    ケージの In a landscapeという曲です

    これが今の所もっとも完成された音楽です

    ケージのランドスケープは数学のオイラーの公式のようなもので
    …、この話は関係ないので割愛します


    ライヒの手法としてはミニマル
    ミニマルという芸術表現は音楽だけでなく美術の世界でもつかわれます
    ミニマルアートというやつです
    たとえばマークロスコ
    マークロスコを画像検索してみるとわかります


    ミニマルは足し算的な追求ではなくて引き算です

    最小公約数がテーマです
    最小公約数的に限られた制約の中での美の追求です

    先に言っておきます。この手の芸術にはある程度の予備知識と経験と学が必要になってきます(ないことが悪いことだとは言っていない)


    ○質問者『ちなみにこのケン・イシイの曲(ライヒMIXのCDからケン・イシイのCome Outをかけている)が 法則増えてて聴きやすくなってるのはわかります』

    それは大衆音楽に落とし込んでいるからです


    音楽には3つの約束事があります

    ○他リスナ『リズム、メロディー、ハーモニー! だっけ・・・』

    正解です

    楽典理論第1条一項、音楽の三大原則
    この曲にはそれの全ての要素が含まれていて、なおかつ最小公約数で結ばれていて、無駄なものがなく
    そして12平均律から成る和声のすべての規則性が存在しています


    地球外生命体に音楽のルールを教える場合
    この曲(ケージのランドスケープ)を聴かせることで全ての説明がつきます

    ライヒの全体を通したテーマはフェイズです
    波形ですね

    人間の耳はそこまで精巧にできてはいません
    実際にピアノのドの音を鳴らしてもそこにが倍音が含まれます

    C3のドを鳴らしたら
    第二倍音、C4
    第4C5、第5E5
    といったように倍音が含まれます


    ○私『それはピアノの音の場合の話か?』
    そうです


    基本的には含まれますが、発音原理によって強調される音が変わってきます
    ギターの音にディストーションでもかけて歪ませたとする
    あれは音を攻撃的にしてるわけではなく
    腐る程の倍音を強調させて音の輪郭をまるくしています
    歪んだギターの音、シャウト、これらはイメージから脳が攻撃的な音に錯覚していますが
    音学的には非常に輪郭の丸いふくよかなサウンドです

    あとハモンドオルガンですね
    あれは人為的に倍音を操れます
    ドローバーというのがついてる

    波形の歪みは第三次倍音を生成します
    簡単にいうと、同じメロディーを二人でちょっとだけズラしながら演奏すると
    フェイズが歪むので
    楽譜に書かれていない音を認識してしまいます
    今聴いてる曲だとちょっとわかりにくいですが
    (注・Mallet Quartet)

    ライヒの場合は0.1秒ずらすとかじゃなくて
    bpm120とbpm121で演奏するみたいな感じです
    どっちも同じテンポでズラして演奏するのとは違います
    だんだんズレていって、いつかまたすれ違う
    ポリリズムの原理に似ています
    ポリリズムの理屈は割愛します

    さっきの曲(編注・たぶんCome outの事)とかだとわかりやすいんだけど
    同じメロディくりかえしてるだけなのに
    何か宙に舞うように違った音が聞こえてきます
    その音もまた認識したと同時にどこかに消えます
    無情とういうか、刹那的な

    ライヒの音楽は聴くべき音は楽譜に書かれているドレミではありません
    それらが及ぼす脳の錯覚です
    つまり、それを生み出せれば音はなんでもいいです
    演奏者の手によって生み出されている旋律にはそこまでの重大な意味はありません
    そこにあるんだけどそこにないもの
    紙と鉛筆で目の前にあるコップのデッザンすることは簡単ですが

    空気をデッサンすることはとても難儀ですね
    空気をデッサンするためには、その空気を認識させるための何かが必要です

    煙、風、それでもいいですね
    しかし、伝えたいものはそこに確かに存在した空気なわけであって
    煙や風はそれを認識させる材料でしかないわけです
    風に揺れる木の葉の美しさを言いたくて書いているわけではありません
    なんていうか、そんな感じです


    『音を巧妙に配置することにより、鳴っている音以外の物を見せようとしている?』

    そんな感じですね。


    試しにひとついいですか
    30秒くらい無言でこの曲を聴きましょう

    そしたら好きなタイミングでいいです
    曲を止めてください
    好きなタイミングでいいです
    止めたらそのまま20秒くらい無音を継続させてください

    では、どうぞ。

    【Dance Patterns】




    いまあなたの心に音楽が鳴っていますか?
    なにか、ぞくっとする感覚だったり
    孤独感を感じた人もいるかもしれません
    音楽が伝えるべきことはドレミだけではなく
    そこにあってそこにないもの、でもあります
    映画が終わった後の余韻だったり
    まぁ、そんな感じです

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    難解と思われている現代音楽のシュールと言うか意味不明な部分を
    解き明かす何かのが垣間見えたような気がします

    そして、お酒を飲んで音楽を掛けているだけの自分の放送に
    このような語りたいことを思う存分語れる人がいることに
    本当に感謝しています
    (いつもは変態ミュージック特集で盛り上がりガチな集まりですが)


    そしてまとめて気づきましたが
    相当な文章量を書いて頂いたライヒファンの方にも
    大感謝です。

    寧ろ、無理強いした感があって申し訳なかった
    非常に為になりました
    ありがとう!!


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