声優・山下大輝さんとライトノベル作家・駱駝先生がお送りするトークバラエティ番組「山下駱駝」。
8月14日に生放送された第9回では、山下さんと同じアーツビジョン所属の声優・安田陸矢さんをゲストとしてお招きいたしました。
その様子は【こちらからアーカイブ】にて配信しています!
 
ここでは山下さん、駱駝先生、安田さんへのインタビューの後編をお届けします。
3人のバイト経験や、声優なら誰しも(?)が見る怖い夢の話など、他では聞けない本音がてんこ盛りですよ。
 
(取材・文:かーずSP

 
 
■安田さんのバイト経験はカフェ店員。接客が上手すぎて全国コンテストにも出場!?
 
───本番で「バイト」ってワードがチラッと出てきましたので、3人のバイト経験を伺いたいです。
 
駱駝「俺は最初、派遣のアルバイトやってました。あちこちの工場の手伝いとか、めちゃくちゃ力仕事で大変なのに8時間やって6000円とかだった」
 
山下「安いね」
 
駱駝「それが嫌で、大学時代はずっとコンビニで働いていた。コミュニティ・ストア、ファミリーマート、ミニストップ。
ミニストップが良かったな、一生分のソフトクリームを食べたから(笑)」
 
山下「ハロハロ食えちゃうんだ? いいなー、ミニストップのアイス大好き」
 
駱駝「あとミニストップはオープニングスタッフ(開店の立ち上げ時からのスタッフ)だったから、 職場の空気もすごい良くて一番長く続いたな」
 
───安田さんはどうでしょうか?
 
安田「僕は上京してからベックスコーヒーショップのカフェ店員として働いてました。
スタバとかのお洒落なカフェをイメージして入ってみたら、客層が庶民的で、おじいちゃんおばあちゃんがたくさんいらっしゃってました(笑)」
 
───そこで何か大きな出来事はありましたか?
 
安田「まだ働いて半年くらいなのに、ベックスグループの店員が参加する、全国コンテストに出させられて、3回戦まで行きました(笑)。」
 
山下「なにそれ!?(笑)接客を競うって、具体的にどういう審査をしたの?」
 
安田「審査員が客として入店してくるんです。そこにも設定があって、小さい子供連れとか、妊婦さんとか、骨折している人とかを想定して。
その中からランダムで一つ選ばれて、接客態度やメニューを提供するスピードを競って、グループ内でナンバーワンを決める大会でした」
 
山下「コンテストで『普段通りに接客しろ』って言われたって、難しくなかった?」
 
安田「そうですね、無理でした。めっちゃ不自然な作り笑顔で対応したり(笑)」
 
駱駝「おじいさんが妊婦役だったりしたら、絶対吹いちゃうじゃん」
 
山下「もうおじいちゃん、嘘じゃーん!って(笑)」 
 
安田「それはそれで気に入られそうじゃないですか(笑)」
 
山下「『面白いな君は』って気に入られるか、『失礼だな君は』って怒られるかもしれない(笑)」
 
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駱駝「それが初めてのバイト経験?」
 
安田「初めてです。バイトはそれだけをずっとやってました。仕事に慣れたことと、時給がすごく良かったので」
 
駱駝「その話がしたかった! 俺とかかーずさんの時代と今って、時給が全然違うよね? 今は都内だと1000円以上だよね?」
 
安田「いきますね」
 
駱駝「東京で当時1000円なんて奇跡的なもんでしたよ。パチンコ屋じゃなきゃ見つからない時給だった」
 
───飲食店とかスーパーとか、確かに1000円超える時給はありませんでしたね。
 
駱駝「でも今は1000円以上がデフォルトになっている。まあ東京はバイト代が高いけど、家賃も高いんだよ」
 
───バイト代が高くても、それ以上に家賃が高いから相殺されちゃいますよね。
 
駱駝「そうそうそう」
 
───山下さんはバイトされていましたか?
 
山下「居酒屋でバイトしていました。疲れているお客さんがたくさん来るお店だったんですよ。 
馴染みの人とか、名物の人とか、『東京ってすげー街だな』って世間の広さを感じました」
 
───疲れている人相手の接客は苦労しそうです。
 
山下「大変でしたけど、途中からは『この人には、どう対応したら気に入られるんだろう』って、ゲーム感覚というと言葉は悪いんですけど、色々と工夫していました。
高圧的な人には、めちゃ低姿勢で向かっていったら優しくなったり、一見厳しそうな人が、懐に入ってみると意外と優しかったり。
店員を見下す人が、実は怖がりの裏返しだったりとか。人間って意外と表面的な部分だけじゃないんだなっていう……人間観察の場所でしたね」
 
───それが今の役者人生に影響を与えていたり……?
 
山下「そうですね。役がきた時に、その役柄の心理を考えるコツに繋がっていると思います」
 

■声優の人たちならみんな見る、ホラーな悪夢とは!?
 
───ペンネーム・しょーちゃんさんから
「皆さんは夢をみることは多い方ですか? また、怖い夢を見た時に心を落ち着かせる自分なりの方法があったら教えてほしいです」
 
山下「夢って覚えてる?」
 
安田「怖い夢、見ますよ。同じ悪夢を何度も見ているので覚えています。
何かにずっと追いかけられているんだけど、身体がゆっくりとしか動かなくて、それでも逃げ続けて走っているうちに目が覚めるという……起きたら怖くて汗びっしょりみたいな」
 
駱駝「そうそう、強烈な内容は覚えている」
 
山下「僕は強烈な夢も『強烈だ』としか覚えていなくて、 内容はぜんぜん覚えていないです」
 
安田「最近見る夢は、全く見覚えのない台本を持って、知らない映像を見ながら現場に立っている夢を……」
 
山下「こわっ! 恐怖じゃん!」
 
安田「台本のページと映像が全然違っていて、『どこどこどこどこ』ってめちゃ焦っていて。
声優に聞くと、みんなあるあるネタらしいです(笑)」
 
山下「似たような夢、あった。
夢の中でイベントの朗読劇に立ってるんだけど、台本が初見で『内容知らないけどやらなきゃいけない』って。もう何か、精神的に追い詰められている時に見る夢だと思う(笑)」
 
駱駝「俺は高校の学園祭で、ドミノ倒しの企画をやったんだよ。その時はドミノの夢を見たね。並べてる途中に、ドンって自分が倒しちゃうの(笑)」
 
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───3人に共通して、失敗する恐怖が夢の形で現れる感じなんでしょうか。
声優として困ったり、苦労したことはどんなことでしょうか?
 
安田「僕は決まった時間に寝ないと、次の日に少し声が締まるというか、声が出づらくなるんです。
でも、そういう時に限って次の日が大事なオーディションだったりして……早く寝ようとしても寝れなくなっちゃって、悩むことが結構あります」
 
山下「そうだよなぁ、睡眠は戦いだよね」
 
安田「寝る前に靴を磨く動画なんか見てるんじゃねえって思うんですが(笑)」
 
駱駝「あはは(笑)。寝る前にスマホを見るのは良くないって言うよね」
 
山下「無理無理無理! どうしても見ちゃうよね。スマホを見てもぐっすり眠れるシステムを誰か開発してくれないかな(笑)」
 
───山下さんにとって、声優のお仕事で大変なことはありますか?
 
山下「例えば歌、ダンス、イベント、バラエティなど、声優はいろんな現場に駆り出されて、いろんなことを求められます。
毎回チャレンジでヘビィではあるんですけど、終わったら『あー楽しかった』って思えることが多いですね」
 
───いろんな能力を求められるのは、しんどいことと楽しいことの両面あるんですね。
 
山下「活動の幅が広がることで、自分のキャパシティを増やしていかなきゃいけなくて大変です。でも、やった分だけ楽しくなる、楽しくなればいいな、なんて思いながらやってますね」
 
───後輩の安田さんへ、声優として生きていくための術(すべ)やアドバイスをぜひご教授ください。
 
山下「マジで安田君は本当にしっかりしてるし、ちゃんと受け答えもできて、むしろ僕が持っていない部分をたくさん持っているから……逆に、僕なんか参考にしない方がいいです(笑)」
 
安田「いやいやそんな(笑)」
 
駱駝「山下が声優をはじめて4、5年目とかで、『これをやっといて良かった』『あれをやっておけばよかったと後悔している』ことは?」
 
安田「メモります」
 
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すかさずメモを取り出す安田さん。
 

山下「とりあえず、怖がらずに何でもやっとけばよかったかな。
昔の僕には『声優をメインにやらなきゃいけない、自分にはこれしかできない』勝手に決めつけていた時期がありました。
でも、初挑戦してみたら意外と自分に合うかもしれないし、新しい自分が見つかるかもしれないって、今は思ってます。
仮に失敗したとしても、失敗したって経験が身になります。失敗してもいいからトライしてみるのもよかったんじゃないかなって、振り返ると思います」
 
駱駝「仕事の線引きって難しいけど、食わず嫌いはしない方がいいよね。あとは信念の割合。
例えば『顔出しをしない』と決めて顔出しの仕事を全部断ると、仕事の総量が減ってしまう。
5年後10年後になって、顔出しの仕事がないことで、本当に声優の仕事だけで食っていけるのか、とか……」
 
山下「そこまで考えるとムズいんだよね。
自分が楽しいと思えるものは、ブレーキを掛けずに追求していけばいいと思います。
それと同時に『今はこれがしんどいな』って思うところを今後どうしていくのか……これは、僕の課題でもあります」
 
安田「心に刻みました!」
 
メモを取り続ける安田さん。やはり真摯で真面目な方で、しっかりしてらっしゃる!
『厨病激発ボーイ』に続いて、また山下さんとアニメで共演してほしいですね。そしてもちろん、『山下駱駝』にも再びゲスト出演、お待ちしていますよ!
 
(取材・文:かーずSP