近代文学入門
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近代文学入門

2013-12-06 10:32

    近代文学入門です

    今でこそ俺は講談速記本などの明治大正B級作品ばかり調べているんですけども、もともとは日本の近代文学からこの道に入りましたので、近代文学の入門法を書いておくことにしておきます。

    ただし面倒くさくい上に回りくどくて、時間がかかる方法ですから、暇な人しか実行できないかもしれません。

    教材は漱石全集がよろしい

    まずは教材ですけど、平成以降に出された岩波書店の漱石全集を使います。

    なぜ漱石全集なのか、理由は次の三点です。

    1. 入手しやすい
    2. 漱石がすごい
    3. 明治の雰囲気がわかる
    まず岩波の漱石全集というのは、売れてるだけあって入手がしやすい。図書館に行けばありますし、購入しても全29巻で2万円ちょいです。買うなら月報と別巻が付いてるのを選びましょう。

    次に漱石というのが、とにかくすごい作家だというのもおすすめポイントです。

    一例を挙げますと、吾輩は猫であるや坊ちゃんというのは、明治の三八年という時代に、言文一致文で書かれているんですけども、この時点でわりとすごい。

    なぜならこの時代の知識人は、言文一致の文章というのが下等で恥ずかしいと考えていたからです。読みやすい言文一致文というのは、文壇で評価されにくい存在だったわけですね。

    ところが漱石は、そういう事情を度外視し、今後は言文一致文だよなという感じで小説を書いてしまう。こういうことはちょっと聞くとなんでもないように思えますけど、馬鹿にされても正しく合理的な方法を選ぶというのは、なかなかできることではありません。

    そういう人ですから、考えていることもなかなか面白い。おまけに国民作家と呼ばれるだけあって、小説としても優れた作品ばかりです。漱石自体が全集を読破するに値する作家だと俺は思います。

    最後、明治の雰囲気がわかるという意味でもおすすめでです。

    漱石全集は脚注が異常に充実しており、明治のミニ知識であふれています。脚注だけ読んでいても楽しいくらいです。

    また漱石全集には日記や手紙も収録されていますから、そういうのを読むと明治後半から大正時代の雰囲気がなんとなく分かってきます。もっともこれは漱石が感じた明治大正なんですけどね。

    ちなみに漱石全集というのは、昔から何度も改良されているので、全集としての性能も良いです。活字やら空白やら本の大きさや重量やら工夫されていて、物理的にも読みやすい。索引も充実していますし、平成以降の全集は常用漢字で読みやすい。文句なしの全集だといえます。

    平成の大改訂への批判について

    実は平成になされた漱石全集の大改訂には、批判がわりとありました。ですからこんな問題だらけの全集を勧めやがって、素人がとか怒る人もいそうですけど、実は全集なんて多かれ少なかれ適当に作られています。総合的に見て漱石全集よりもよく出来た個人全集を探すのは、かなり難しい。

    話は少し変ってしまいますけど、今後お金をかけて編集する個人全集自体が少なくなっていく事は確実ですから、漱石全集よりも質の良い個人全集は日本では発生しないかもしれないですね。

    あと常用漢字が使われているのにも怒る人がいるっぽいんでしょうけど、こちらも無問題です。近代文学が好きになり、実際に古い本を手に入れて読もうと思う頃には、どんなアホでも正字で読めるようになっています。全く気にする必要はありません。

    漱石全集を読破してしまいましょう

    漱石全集を具体的にどういう風に使うのかというと、一巻からずっと読んでいけばそれでよろしい。全集を読み終わるころには、入門は終っています。

    入門が終わるとどうなるかというと、まず古い文章が普通に読めるようになっています。

    これは体験したことがない人には分かりにくいと思うんですけど、基本的な読書力とは別に時代力みたいなのがあります。明治大正の本ばかり読んでいると、その時代の作品は早く深く読めるようになる。江戸時代のものばかり読んでると、江戸時代の作品が読みやすい。不思議なことに、古語で書かれている江戸時代の作品を読んだからといって、古語で書かれている源氏物語が読みやすくはならない。自転車だとかの練習に近い感じかもしれない。

    さらに脚注経由で、明治大正文学の基本的な知識が付いています。時代の感覚がよく分からないから作品が理解できないといった状況は、かなり減っていると思います。

    漱石というのは弟子がわりといますから、明治大正文学の作家地図みたいなものが頭の中に出来ていると思います。つまり漱石経由で、その他の作家が書いた面白い作品を、たくさん発見することが出来るというわけですね。

    多分ですけどこの段階から適当に3年くらい、明治大正時代の諸作品を読み続けていると、サブカル文学糞野郎みたいな人たちが、いかに基本的な知識なしに物をしゃべってるかとかが分かるようになると思います。

    他の方法はどうなのというお話し

    近代文学体系みたいなの書物があって、これには近代文学の重要とされている作品が集められています。順番に読んでいけば入門にピッタリじゃないのみたいに思う人もいるんだろうけど、あれってビックりするほど面白くないのも収録されている。だから読まないほうが良いと思います。というか自分で良さそうな小説を選んで、自分だけの体系を作った方が楽しい。その後で近代文学体系的なものを読んでみると、この作家なら他に良いのあるのになんでこれを選んでるんだろうとか、おおこの作家こんなのも書いていたのかとか思うことが出来て楽しいですよ。

    それじゃ近代文学史みたいなのを読んで済ましてしまうのはっていうと、俺はあんまりお勧めしない。なんでかというとある程度まで知識がないと、全然面白くないからです。

    ただし近代文学史みたいな書籍っていうのは、基本的には正しいとされていることが書かれています。(残念ながら正しいとは限らない)

    だから正しいとされていることを、人と話すのには役に立ちますけど、趣味って基本的に一人でするもんですから、あんま意味ねぇよなとか僕は思うんですけどどうでしょうか?

    というわけで本日は近代文学入門みたいなことを書いてみました。

    近代文学に限らず、素人研究については以前にこんなことも書いていますので、よろしければどうぞ。

    素人研究の方法
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