• 【Evanescence / Evanescence】じっくり聴かせながらも高揚感に浸れる一枚

    2017-08-05 19:00
    だんだん暑くなってきました。暑いとヘッドフォンも億劫になるので自然と視聴環境はイヤフォンになります。あと聴く音楽も涼しげな方へと、って訳ではないですが、最近書いてきたアルバムはスピード感のある作風が多かった気がするので、ちょっと抑え目な方でいってみましょう。

     基本的に丁寧に作曲編曲された楽曲に上手なヴォーカルが乗れば、そりゃあ良い一枚になる。書いてて何ですが、当たり前だなっ! と思います。
     だけど、どれほどのアルバムがこの当たり前を実践できているか。それに作り込むと衝動性やアーティスティックな発露など、鋭利な部分も消えてしまったりと難しいところかもしれません。しかしこれは良い。丹念なヴォーカルラインにハーモニーをエモーショナルに歌い上げて心を動かされます。それが Evanescence はセルフタイトルで Evanescence です。





                                 (2011年10月頃リリース)

     アルバムアートが暗いですがが、内容もやや落ち着いてダークっぽさがある気がします。しかし聴いてみてどうかと言えば、厳かでシリアスな面持ちの中で、分かりやすいメロディセンスと丹念に装飾されたヴォーカルハーモニーが素晴らしい。徐々に浮遊感に浸りながらある一点で突き抜ける高揚感が実に良い。雰囲気作りとメロディの相乗効果もセンスの賜物。
     
    ストレートに言えば高品質。だけど真剣味のある、一種の矜持のような物を感じさせるのはアーティスト的。大衆向けとか侮ると良い意味で裏切られる、この音楽性との両立はお見事。本当に心地良い一枚です。暑い日にも落ち着いて聴ける、冬に聴いても浸れると問題なしこと請け合い。

     特にアンテナはってるわけではありませんが、次回作の音沙汰が聞こえないのは少し心配です。実を言えば、私はEvanescenceをこの一枚しか聴いたことがないので、是非とも次回作を聴いてみたい。ここは是非とも過去作でなくて最新作を。
     理由は上手く言えませんが、そんな感じなのがこのアルバムにはあると思います。

     ではでは。
  • 広告
  • 【The Crown / Crowned in Terror】世界に一つだけの激怒と悲哀と感動の高次元融合アルバム

    2017-05-06 19:00
    今回もKreatorを軸にして語るのですが、だから何でThe Crownなの? と思う諸氏も多いかと思います。でも前回のPretty Maidsよりは近い方向性ですよね。
     で、今回の共通点ですがそもそもスラッシュメタルの範疇で語ってよいと思いますし、結構どちらもベテラン、活動低迷または停滞、休止時期がある、だけど今回は再開後のアルバムがどうもいまひとつ宜しくないのが、私がThe Crownに持つ印象です。それもこれもこのアルバム、Crowned in Terrorの所為かもしれないです。




                               (2002年リリース)


     正直このアルバムはすごいと思います。端的に言って傑作の類ではないかと思うほどです。
    ジャンルとして言うなればスラッシュメタルにデスメタルでロックンロールも加えてるけど北欧的な哀愁美もある感じです。なにそれ? ですけど、これらを全てひっくるめてThe Crownで煮詰めることが可能と言う時点で、このバンドのすごさがあると思います。
     ベースはスラッシュメタルでもデスメタルでもあるようで、ロックンロールもあるんで、デスラッシュ’n・ロールとか言われてた気もします。くどいですね、すみません。だけどこんなバンド、アーティストは他にいない気がしますので。

     デスメタリックなデスやスラッシュ、メロディ主軸のメロデスなら他でも有るでしょう。しかしこのアルバムは単純なようでいながら割り切れない、有機的に結合したものを感じます。
     滾々湧き出る悲哀を基調とする北欧の流麗な哀愁美(メロディ)、それに慟哭とともに叩き付ける狂気(デス、スラッシュ)、そして戦車のごとき踏み潰しては進む重厚さ(メタル)、最後に高トルク超スピードで唸りを上げ回転し全てを巻き込む力(ロックンロール)、それら全てが非常に高いレベルで融合し実を結んだのが、このCrowed in Terrorだと思います。

     この前作Deathrace Kingもとても良い作品で、この盤に至っては更に完成度を誇れるほどの出来と来て、もう何も心配はないと思ってたのですが……。次回作は少し首を捻る出来でその後は活動休止?(分裂?)状態が続き、合流して再起動後の二枚は、個人的にはあまり宜しくない出来と思ってます。あくまで個人的には、ですが。
     正直私は、前回語ったKreatorPretty Maidsのように(復活、再開後は)出せば良作の域に達してくれてると思ってたので、何だか残念でなりません。普通にありふれたアーティストならそれほど悔やむ事は無かったと思いますが、このCrowed in Terrorの燦然と輝く充実作っぶりに当てられた今は、残念無念の一言です。

     しかし、活動を続けることが肝要なのは言うまでもありません。これからもアルバムを発表し、ライブを重ね、いつかまた、今のThe Crownが最高と言える日を楽しみに待ってます。そしてそれを影ながら応援いたす所存です。

     ではでは。

  • 【Pretty Maids / Kingmaker】円熟味あふれるメロディ、意気軒昂なアグレッション

    2017-05-02 19:00
    もう四月が終わる、終わった今、今年は二ヶ月に一枚書いていこうかな、とか思ってたのがさっそく破られてますが、皆さんお元気でしょうか。

     最近何を聴いてるかと言うと、KreatorDark TranquillitySerenity in Murder の新譜を聴いてます。聴きまくってます。ぶっちゃけ、どれも素晴らしすぎて全然飽きません。ここまで素晴らしい作品が連発で出されるってすごいと思います。そんなこんなしてたらあれもこれも発表されてるじゃん、とか知ってても追いかける必要を感じないくらい、この三作は素晴らしい。
     そしてこのお三方、皆前作から良い。特にKreatorは色んな意味で驚いたので、今回と次回の軸としてピックアップしたいと思います。



     (2016年11月頃リリース)



     と言うわけで今回のお題のPretty MaidsKingmakerです。これも上に記した三バンドに食い込むほど聴いてます。
     何でこの前置きでPretty Maids? と思った方は多いと思いますが、
    Kreatorと共通点が多いと思います。デビュー時期が近くてベテランの域、活動低迷時期または休止期間がある、その後の特に近三作の出来が良い。すごくゆるい共通点ですね!!)  

     最後はとても重要だと思いませんか? 私は重要だと思います。
    安定感が抜群なのですが、だからと言って勢いは衰えを知らず。いえ、ますます盛んと言って良い。作品自体は己の手法を確立した確固たるものが有りながら、そこに胡坐をかくこと無く立派に進歩した新たな一枚一枚を生み続ける姿には少々感動を覚えました。
     
    言葉を飾って見ましたが、単純に言って新作の出来栄えが見事の一言に尽きる。
    最新作が最高作、これが、この域が、歴史有るバンドでありながら昨今の三作で成される意義はとても大きいと思います。

     そう考えつつ思い出したのが、村上春樹氏が小説家として自分の中で鉱脈のようなものを見つけたという風にエッセイか何かで述懐してた気がします。(文脈の前後は忘れましたが)
     分野は違えど、彼らももはやそういう境地に近いのではないでしょうか。それこそがベテランの強みでしょうが、作風の安定感とクオリティの安定感はまた別物だからこそ、ここは称賛、降参、大絶賛です。

     作品についての言及がまだでしたが、メロディックなメタル、ハードロックです。メタル度はそれほど強くありません。情緒あるメロディに上乗せされるロックの勢いもしっかりしたもので、力の入れ所と抜き所が分かってる感があります。やはり曲作りが熟練かつ秀逸、だけど変に老成してないのはすごいなあと思います。例えば8曲目のHeavens Little Devilなんて感動しましたが、こういうメロディ、リズム、ボーカル、ギターの波状とリフレインは素晴らしいし、これを後半戦始まりに置くアルバム構成が上手いなあとも。それ以外でもパワーもメロディもある良い曲目白押しで捨て曲無し。デンマークと言うお国柄なのか、北欧と南欧ともドイツにUKとも違う味わい深いセンスがまた面白いところ。いやあ感服。

     あと結構ギターがスラッシーだと思いますが、多分そんな風に思ってるのは私だけです。

     今回はいつもの趣旨とは違い、結構最近のアルバムを選びましたが、Pandemonium(2010年)、Motherland(2013年)と続けて良作という意味も込めてのものですので、よろしくお願いします。

     ではでは。