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  • 「自主防衛のコストは大したことない」小林よしのりライジング Vol.178

    2016-05-31 19:40  
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     11月のアメリカ大統領選挙は、米国メディアも「大統領選史上、最も不人気な候補同士」という、共和党ドナルド・トランプと民主党ヒラリー・クリントンの対決となることがほぼ確実だが、最近の世論調査では、初めてトランプの支持率がヒラリーを上回ったという。
     そして「トランプ大統領」が誕生するという事態を、本気で恐れおののいているのが自称保守派の連中だ。
      トランプが、 「日本は在日米軍の駐留経費を全額負担せよ、さもなければ米軍を日本から撤退させる」 といった発言をしているのが、自称保守派は恐ろしくてたまらないらしい。
     かつて自称保守派は、共和党政権であれば日米関係は盤石で、「親中派」のヒラリーが大統領になることは「最悪の事態」のように認識していたはずだが、今はヒラリーの方がいいと思っているのだろう。
      日本が独立国であれば、他国の大統領が誰になろうが、あくまでもその国の問題だと構えていられるはずで、アメリカ大統領が誰になるかで右往左往する態度こそ、属国根性そのものである。
     ともかく自称保守にとっては「在日米軍撤退」とは想像もしたくない悪夢のようで、 産経新聞は5月24日、25日の2日間にわたり、「日米同盟が消える日」という特集を組んで怯え、こう狼狽しまくっていた。
      米軍が撤退すれば、すぐに中国は尖閣に上陸する。「専守防衛」しかできない自衛隊では、最後には尖閣は中国に取られてしまう。
     在日米軍の撤退は在韓米軍の引き揚げに直結し、朝鮮半島の軍事的均衡も崩れる。
    中国による台湾侵攻が現実味を帯び、南シナ海は完全に「中国の海」と化す。国際情勢は一気に予測不能に陥る――
    http://www.sankei.com/politics/news/160524/plt1605240006-n1.html
    http://www.sankei.com/politics/news/160525/plt1605250003-n1.html
     もう、アメリカ様がいなければ夜も日も明けぬといった有様である。
     自称保守はさんざん「中国恐るるに足らず」みたいなことを言っていたはずだが、結局はそれもアメリカ様が頼りだったようである。
     自衛隊では何もできず、米軍がいなくなったら必ず中国にやられちゃうと怯えながら、空威張りしていたのだ。
     もちろんそんな自称保守の性質はとっくに見抜いていたが、こうも無残な本性をさらしながら、それがみっともないということに気づいてもいない狼狽ぶりには、苦笑するしかない。
     そもそも、在日米軍がいなくなったら、日本は国を守れないのか?
     在日米軍を撤退させ、代わりに自衛隊を置いて自主防衛することはできないのか?
      実を言えば、在日米軍がいようがいまいが、日本の防衛はまず自衛隊がすることになっているのだ。
     昨年4月の日米安全保障協議委員会(「2+2」)会合で勧告された「新ガイドライン(日米防衛協力のための指針)」には、こう明記されている。