九十九折坂の狐さん のコメント
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駅前を歩いていたら、続けて3人に声をかけられた。
ひとり目は少年だった。
小学校の低学年くらいの、野球帽をかぶった少年だ。
「どこにいくの?」
と少年は言った。きっと初対面だと思う。
その子は子犬がなにかみたいな、くりんとした大きな瞳で、じっとオレをみつめていた。オレはつい周囲を見渡して、誰か――少年の友達か母親か誰かがいないことを確認した。
人通りの多い駅前だが、みんなだいたい同じような速度で歩いていく。オレと少年だけが流れに取り残されている。
「どこにいくの?」
とまた少年は言った。
仕方なくオレは答える。
「その辺りで、飯でも食おうと思って」
「どうしてご飯を食べるの?」
「昼がまだなんだよ」
「昼がまだだと、ご飯を食べるの?」
「そりゃ、絶対に食べなきゃならないってこともないけど」
子供ってのは奇妙なことに興味を持つものだな、と思った。
身を屈めて、答える。
「お腹が空くとつらいだろ?」
「うん」
「身体が、そろそろご飯を食べようって言ってるんだ。生き物ってのはそういう風にできてるんだ。無理に逆らうことはないさ」
野球帽の少年は、何度か納得したように頷いて、それからどこかに走っていってしまった。
残されたオレは頭を掻いて、また歩き出した。
ふたり目はホームレスの男だった。
ニット帽をかぶり、ビーチサンダルを履いていた。もちろん髭なんてそっちゃいない。そのせいで年齢はよくわからなかったが、意外と若いような気もした。
「今日はオレの誕生日なんだ」
とその男は言った。大げさな笑顔を浮かべていた。
「祝ってくれないか?」
変わった物乞いだ。つい笑う。
「何か欲しいものがあるのかい?」
「金が欲しい」
「現金は贈らないことに決めてるんだ」
「なら電池と髭剃りが欲しい」
欲しがるものまで変わっている。
「何電池?」
「単一だよ。確か」
「今時、単一なんてあるのか?」
「古いラジカセなんだ。誕生日には音楽が必要だろう?」
オレはコンビニを覗いてみたけれど、やはり単一電池はなかった。
仕方なく一駅ほども歩いて大きな電気屋に行き、単一の電池と髭剃りを手に入れ、コンビニで買っておいたパック入りのショートケーキと一緒に男に渡した。合計1280円。
「ハッピーバースディ」
とオレは言った。
「ありがとう。君に幸福が訪れますように」
と男は言った。
ありがとう、とオレも応えた。
3人目はビラ配りの女性だった。
濃紺色の地味な、でも高級そうなスーツを着た女性だ。反面で目つきはどこかぼんやりとしていて現実味がなくて、なんだか得体が知れない。少なくとも、ビラ配りにはみえなかった。
「ねえ、ちょっといいかしら?」
と彼女は言った。
「なんです?」
「アルバイトを探しているのよ。少し変わった仕事なんだけど」
彼女はぞんざいな手つきで、一枚だけ持っていたビラをこちらに差し出した。思わず受け取る。
「貴方にぴったりだと思うわ」
一体、オレの何を知っているというのか。
「ちゃんと読んでね」
そう言い残して、彼女はこちらに背を向けた。
歩きながら、貰ったビラに視線を落とす。夏の太陽が白い紙に反射して目が痛い。
急募、と大きく書かれてる。聞いたことのない出版社の編集部が、臨時スタッフを募集しているようだ。業務内容は『ベートーヴェン』という雑誌の、取材助手とある。
ベートーヴェン。きっとクラシック音楽系の雑誌なのだろう。よく知らないジャンルだが、知らないなりにピアノは好きだ。どんな取材をするのか少し興味が湧いたし、それに日当もいい。
オレはビラを折りたたんで、ポケットに入れた。
かえ @KaedeMattyalv
ついに3D小説始まった感じ??
みどばち @midobachi3
久瀬君視点の小説キター
リョウゼン シュウ @shuu_ryouzen
しかしなんだか摩訶不思議系だな…。<始まった本編 ホームレスのくだりが不思議すぎる。なぜ久瀬は見ず知らずのホームレスのためあそこまでしたのか。
みどばち @midobachi3
久瀬くん良い青年やないか
ひびき @h62b8kingfivese
佐倉さんを巻き込む事件(?)が起きるのが12時ということなのかな?
冬_寂 @mkmfgmbh
久瀬君も時間軸は我々と同じ。ホームレスの人に渡した単1電池は何本かなぁ……そして、ベートーベンのアルバイトをうけるのか?
アンナ♡ヾノ。ÒㅅÓ)ノシ @anyamix
久瀬くん目線(?)テキスト見たけどそわそわしてくるな( *´艸`)今夜0時から正式スタート。どういう風に進行していくんだろ。楽しみ!
しゅんまお@くま @konkon4696
更新読んだ
ビラ配りの女の人はビラを一枚しか持ってなかったってことは、最初から久瀬くんを狙っていた?
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なお、ツイート文からは、読みやすさを考慮してハッシュタグ「#3D小説」と「ツイートしてからどれくらいの時間がたったか」の表記を削除させていただいております。
3D小説の楽しみ方
1.これは、「読者たち」が「絶望の中にいる少女」を救う物語です。少女を救う意志と情熱を持つ読者=あなたの参加をお待ちしております。
2.現実と作中の時間はリンクしています。たとえば主人公が8月1日にピンチを迎えるなら、読者のみなさんは8月1日までにその問題を解決しなければなりません。
3.ひとりの読者=あなたが、物語を変えます。作中のすべての問題を、あなたひとりが解決しなければいけないわけではありません。読者のうち、たったひとりでも問題を解決すれば、物語は先へと進んでいきます。
4.ルールは明示されません。物語を読み、想像し、自ら方法を見つけ出さなければならないのです。
1.これは、「読者たち」が「絶望の中にいる少女」を救う物語です。少女を救う意志と情熱を持つ読者=あなたの参加をお待ちしております。
2.現実と作中の時間はリンクしています。たとえば主人公が8月1日にピンチを迎えるなら、読者のみなさんは8月1日までにその問題を解決しなければなりません。
3.ひとりの読者=あなたが、物語を変えます。作中のすべての問題を、あなたひとりが解決しなければいけないわけではありません。読者のうち、たったひとりでも問題を解決すれば、物語は先へと進んでいきます。
4.ルールは明示されません。物語を読み、想像し、自ら方法を見つけ出さなければならないのです。
何とか神話ではどれかが世界滅ぼしたはず
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