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シアさん のコメント

丸投げ久瀬君w
No.1
119ヶ月前
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 そろそろ久瀬くんがくる時間だ。 「いきましょっか」  とベートーヴェンが言って、扉を開ける。  私もおそるおそるホールに出た。  ちょうど同じタイミングで、向かい――あの、表に数字だけが書かれたパネルがあった部屋の扉が開いた。  そちらから姿を現したのは、ファーブルとニールだ。 「もう見張りはいいんですか?」  とベートーヴェンが言う。 「センセイの部屋に入るには、どうせホールを通らなければけいません。どちらにいようと同じ事です」  とファーブルが答える。  頭をかきながら、ニールがぼやいた。 「ならオレまで巻き込むなよ」 「誰も貴方にまでドアを見張れとはいっていないはずですが?」 「うるせぇ。オレの勝手だろうが」  さて、と呟いて、ファーブルがこちらに歩み寄ってくる。 「そろそろ白状する気になりましたか?」  彼は鋭い目つきでこちらの顔を睨みつけている。  私は生れてはじめて殺意というものを感じたような気がした。どうしてこんなことになってしまったのだろう。本当に、わけがわからなかった。 「ねぇ、こんなリンチみたいなことしてても仕方ないでしょ? やっぱり警察を呼びましょうよ」  そう言ったのはベートーヴェンだ。彼女の感覚が、いちばん一般的――というか、私に近いように思う。  だがニールが首を振る。 「センセイが死んだってのは、考えづらい」 「どうして。あれだけの出血よ? それに昨夜の時点では間違いなく脈が止まってたんでしょ」 「だがセンセイの遺体は消えちまった。オレが馬鹿な飼い犬みてぇにこのドアを見張ってたのに、だ」 「つまり密室から死体が消えたっていうんでしょ? でもそれで、どうして死体が生き返ったことになるのよ?」 「そんなことができるのはセイセイだけだからだよ」 「なによそれ? 密室トリックは被害者じゃなくて犯人の領分でしょ」 「お前は本当にセンセイのことがなんにもわかってないんだな。オレは、センセイが死んだふりをしたのさえ、あの人の悪ふざけだって可能性を疑ってるんだぜ」  彼は鋭い目つきでこちらをみる。 「なあ、山本。あんたはセンセイに頼まれて、あの人を刺した振りをした、なんてことはないのか?」  頷いてしまえばいいのではないか、と一瞬だけ思った。  実は殺人事件なんてなくて、ただ「センセイ」と呼ばれる人がいたずらですべて演じていただけで、私はその協力者で。  ぜんぶ趣味の悪いフィクションなら、それでよかった。  ――でも、違う。  昨日、確かにひとりが死んだのなら、それを勝手に嘘にしてしまっていいはずがない。  私は首を振る。 「何度も言ってるでしょ。私はあの部屋で気を失っていただけなの」  嘘は嫌いだ。それで、誰かが傷つくかもしれないから。  私は、私の知っている真実を信じる。 「さっさと警察を呼んで、それではっきりさせましょうよ」  ファーブルが首を振る。 「センセイのご意向がわからない以上、迂闊なことはできません」 「ただ、普通に、殺されただけかもしれないじゃない」  思わず答えながら、何を言っているんだ私は、と思った。  人が死んだことが、誰かに殺されたことが、「ただ普通」なんて状況なわけがなかった。いついかなる時でも、どんな理由があろうとも。 「ただ普通に死ぬなんてことはあり得ないんだよ、あの人に限ればな」  とニールが言った。  ファーブルは、どこか悲しげな、もっといえば不安げな笑みを浮かべる。 「今回の件に関しては、珍しく私と貴方の意見が共通しているようですね」  はっ、とニールは笑う。 「気持ち悪いこと言ってんじゃねぇよ。オレはさっさと帰りたいんだ。つまらない脇道に時間をとられていたくないんだよ。結局、このガキがセンセイの指示を受けていなかったんなら、未遂だとしてもこいつが犯人なんだろ。それで決まりだ」 「ですが、センセイの行方は未だわかりません」 「それこそセンセイの勝手だろ。会いたきゃ向こうから出てくるさ」  ほら、解散、解散――と、ニールは手を振る。 「いいえ。今日はクリスマスだ。どんな奇跡が起こっても不思議ではありません」  妙に芝居がかった口調で、ファーブルは首を振る。 「もうしばらく、あの方の帰還を待とうではありませんか」  いや警察――とベートーヴェンがつぶやく。  でもニールもファーブルも、そんなこと聞いてはいないようだった。 「どうでしょう、ニール。私は少々、観察眼に自信があります。余興に昨夜、なにがあったのか解き明かそうではありませんか」 「興味ねぇよ。勝手にやってな」 「そういわずに。考えてみれば、いかにもセンセイらしい趣向だとは思いませんか? 密室に消えた死体。その死体自身がセンセイというのも、あの人の遊び心のように感じます」 「お前がセンセイのなにを知ってるってんだよ」 「おやおや。貴方が古参だということを鼻にかけるのも珍しい」 「うるせぇ。オレの前で笑うんじゃねぇ。お前の笑顔はぶん殴りたくなる」  どうやら話が奇妙な方向に進んでいるようだった。 「まあ、犯人はこの少女で決まりでしょうがね」 「ちっ。その点だけは、同意してやるよ」  しかも私には都合の悪いところだけで仲がいい。 「そんなことよりも――」  はやく警察に、と、また言おうとしたときだった。 「いいですね」  若い青年の声が聞こえた。        ※  ドアが開いていた。  なぜだか、ひとめでわかった。  そこに立っているのは、彼だ。  あのころとまったく違う。でも、なにも変わっていない。  安心して、気が抜けて、涙が滲んだ。  ――久瀬くん。  本当に来てくれたんだ。 「やっときたのね」  とベートーヴェンが言った。 「すみません、宮野さ――」 「黙りなさい私はベートーヴェンよ」 「なんですかそのまんまな名前」 「うるさいわねいいでしょ。こっちも色々大変なのよ」 「お手数をおかけしましたよ。貴女がここにいて助かりました」  彼は息を吐き出して、それから、こちらに向かって歩いてきた。 「本当に山本がいた」  どきりとする。  もともと、彼を捜してここに来たはずなのに、急に再会するなんて考えてもいなかった。 「ええ、はい」  と口ごもりながら頷いた。 「久しぶり。10年ぶりくらいかな?」 「うん。だいたいそう」 「なんかへんな感じだな。意外とわかるもんだよな」 「うん。わかる」 「元気にしてた?」 「そこそこ。普通に大学生だよ。久瀬くんは?」 「オレもそう――じゃないかな、たぶん。なんかころころ状況が変わるんだ」  久瀬くんは困ったような、どちらかというと恰好悪い顔で笑う。  彼がなにを言っているのかはよくわからないけれど、その笑顔がみえてよかった、と素直に思う。 「なんにせよ、今は容疑者なんだろ?」 「うん。よくわからないんだけど、なんかそんなことになってます」 「たぶんオレが巻き込んじまったんだろうな。悪い。でも、きっともう大丈夫だ」  久瀬くんはポケットから、スマートフォンを取り出す。 「名探偵に事件の真相を解き明かしてもらおう」 ほうな@bellアカ @houna_bell 宮野さんwwwwwwwwwwwwww  chronos @chronos9603 久瀬君推理丸投げやないかーいwwwwwwwwwww みゆ@ソル見守り班 @yazima_miyuki ほんと久瀬くんの登場かっこいい のにか@富山sol @nyooo0207 電波きたー!! ※Twitter上の、文章中に「3D小説」を含むツイートを転載させていただいております。 お気に召さない場合は「転載元のアカウント」から「3D小説『bell』運営アカウント( @superoresama )」にコメントをくださいましたら幸いです。早急に対処いたします。 なお、ツイート文からは、読みやすさを考慮してハッシュタグ「#3D小説」と「ツイートしてからどれくらいの時間がたったか」の表記を削除させていただいております。
3D小説「bell」本編
3D小説の楽しみ方



1.これは、「読者たち」が「絶望の中にいる少女」を救う物語です。少女を救う意志と情熱を持つ読者=あなたの参加をお待ちしております。



2.現実と作中の時間はリンクしています。たとえば主人公が8月1日にピンチを迎えるなら、読者のみなさんは8月1日までにその問題を解決しなければなりません。



3.ひとりの読者=あなたが、物語を変えます。作中のすべての問題を、あなたひとりが解決しなければいけないわけではありません。読者のうち、たったひとりでも問題を解決すれば、物語は先へと進んでいきます。



4.ルールは明示されません。物語を読み、想像し、自ら方法を見つけ出さなければならないのです。