「本屋のワラシさま」(霜月りつ)
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「本屋のワラシさま」(霜月りつ)

2020-08-04 00:00

    水戸黄門が人気なのは、予定調和の世界であるからだといわれているが、この作品も予定調和の世界であるという安心感が面白さにつながっている。

    決して悲話にならず、それぞれの登場人物がみな幸せになって終わる世界。悩みや苦労、困難はあるのだろうが、最後には必ず解決する。勧善懲悪であり、努力は最後に報われるという世界であるのだが、この普遍的な価値観こそが、人情物に最も重要なものだと思うのだ。

    これがある種のノスタルジーをもって読まれるというのは、結局、これと異なる価値観が世間に流布しているからだ。

    現代でこそほとんどすべての人がサラリーマンであるが、高度経済成長期前まではそうではなく、商売をやっている人も多かったという。だからこそ、効率化による一人勝ちよりも、皆、努力に応じた分だけ収益を上げ、必ずしも一人勝ちにならないような持続性を重要視したのであろう。もう一度ここに立ち返ってもよいのではないだろうか。


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