「ブラック・ティー」(山本文緒)
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「ブラック・ティー」(山本文緒)

2020-08-06 00:00

    山本文緒は日常の些細なボタンの掛け違いから、錯誤がだんだん大きくなることを描くのが本当に上手な作家である。恋愛中毒しかり、あなたには帰る家があるしかり。日常の誰にでもあるような本当にちょっとした落とし穴から、だんだん加速するように転落していき、最後には大きな破綻を迎える。この作品は短編集なので、短くきれいにまとまってはいるが、それぞれの短編の主人公はそれぞれ他人とは異質な欠損を抱え、異様な行動をしているが、一方でその原因をたどってみればほんと些細な、誰にでも思い当たるようなことばかりである。

    普段何気ない躓きにも大きな転落が待っていて、気を付けなければと思うのか、大きな転落というのは普段何気ない所にもぽっかりと開いており、気をつけようもなく襲い掛かるもので、今は運よく生き残れているだけと考えてしまうのか。この考え方の違いが、人生の幸福度を左右するのだろうなあ、と最近しみじみ考えてしまった。


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