「新釈 走れメロス他四編」(森見登美彦)
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「新釈 走れメロス他四編」(森見登美彦)

2020-08-12 00:00

    久々に森見節を見たような気がする。この密室に籠って妄想を膨らませていく感じが読んでいてとても面白い。

    各短編それぞれ原典があり、それを換骨奪胎しているのだが、どこか幻想的な感じがするところは、この作者が日本ファンタジー大賞を受賞していたことを思い出させる。有頂天家族ほど振り切ってしまうと食傷気味になってしまうが、このぐらいのスパイスになる程度の幻想だと、それも妄想の一部のような感じがして、作品の味わいが深まると思うのだ。

    それぞれの登場人物に微妙なつながりがあり、それが繋がって最後に全員登場するスターシステムも森見らしさである。基本ずっと京都の作品を書き続けているので、いつか、全ての作品の登場人物が総登場する作品を読んでみたい。

    それぞれの原点をもう一度探して読み比べてみるというのも面白いのだろうが、原典のことなど何も考えず読み耽って満足して書を閉じるという読了感も捨てがたいものだと思うのだ。


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