「落下する緑」(田中啓文)
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「落下する緑」(田中啓文)

2020-08-15 00:00

    田中啓文に最初に触れた作品が「蹴りたい田中」であったため、しばらくギャグ作家だと思っていた。そのあと「銀河帝国の弘法も筆の誤り」等SF系が続いたせいというのもあるのだが。

    そんなわけでデビュー作がミステリーだというのを本作で初めて知った次第。こんなに落ち着いた作品を書く作家だとは思わなかった。というか本格派のタイプの作家だったのね。

    趣味が幅広い作家らしく、ジャズに関する蘊蓄やその演奏家に対する描写は流石である。落語もそうであるが、こういう特定のジャンルをきっちりと描くところが田中啓文のすごいところだと思う。短編の連作だが、ミステリーはこのぐらいの長さがちょうどいいような気もする。まあ、トリックを考える方からしたら労力が見合わないのであろうが。

    田中啓文特有のめちゃくちゃな人物もほとんどおらず、比較的落ち着いた筆致でもするすると読み進めることが出来、愉しい時間を過ごすことが出来る作品だ。


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