「ハル、ハル、ハル」(古川日出男)
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「ハル、ハル、ハル」(古川日出男)

2020-10-03 00:00

    純文学とは言葉に強度のこだわりを持った文学のことである。この定義に従うのであれば、古川日出男は完璧な純文学作家である。とにかくエッジの効いた語句をいかに最適なタイミングで並べるかが重要であり、ストーリーは二の次である。というより、この作品に限ってはストーリーなぞほとんど意味をなしていない。事件は起こるが、解決するわけでも謎が解かれるわけでもない。背景が語られるわけでもなく、ただあるがまま、そのときに起きたことが描かれ、唐突に終わる。読者の空想に委ねられる部分が大きいとも、実験的な小説だとも言えるが、そもそも何かを物語ることに作品の主題がないのではないか。ストーリーは紡がれる言葉をより鋭利に際立たせるための装飾に過ぎないと感じる。であれば、ストーリーについて考察することも、描かれていない空白について想像を巡らせることも、それほど重要ではない。ただただ奔流のような文字語句に酔い痴れればよい。


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