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鈴木初日『13期生公演はいかにして実現したのか』第1回
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鈴木初日『13期生公演はいかにして実現したのか』第1回

2017-06-26 19:00

    鈴木初日『13期生公演はいかにして実現したのか sideB(ヲタクside)のぶちかまし方』
    AKB48 13期生公演in TDC ~今やるしかねぇんだよ!~をめぐるヲタクたちの証言
    第1回・2017.6.26

    はじめに

     本稿は、2017年1月16日に行われた「AKB48 13期生公演in TDC ~今やるしかねぇんだよ!~」がいかに企画され、実現に至ったのかを、当事者であるヲタクたちへのインタビューによって明らかにしようとするものである。

     インタビューにこたえてくださったのは次の4氏である(本文での登場順)

    ・茂木忍ヲタ・ありさ氏
    ・村山彩希ヲタ・たっちゃん氏
    ・篠崎彩奈ヲタ・りょー氏
    ・岡田彩花ヲタ・taro氏

     茂木忍ヲタ・ありさ氏へのインタビューは2017年1月18日に行い、他3氏へのインタビューは1月20日に行った。インタビュアーは鈴木初日と三溝似弄の2名である。

     一部当事者の証言に基づいて構成した事実は一面的であることをまぬがれない。本稿に描かれる事実関係などに誤りがあればすべて筆者・鈴木初日の責任であることを明記するとともに、もし事実と異なる点があればご指摘をいただけるよう、関係者と読者の皆様に心からお願い申し上げる。

     本稿の目的は、「48Gの未来のための記録」である。
     遠い未来、あるいは近い未来に48Gに何らかの危機が訪れたとしても、劇場があり、舞台に立つメンバーがおり、それを支えるスタッフがいる限り、奇蹟は起こせる。その時、ファンにできることは何か、考えるヒントを未来のヲタクたちに残したい。
     取材対象の4氏は、筆者のこうした勝手な思いを汲み取ってインタビューに応じてくださったのであり、決してヲタクの力や成功を誇るために発言しているわけではないことをご理解いただきたい。発言の意図が誤って伝わるとすれば、それもまた書き手の問題である。




    AKB48劇場御中

     その企画書は、「AKB48劇場御中」と宛名書きされている。

     表題は「AKB48 13期生公演実施願い企画書」。A4版2枚に簡潔にまとめられた文面だ。

     かねてから13期メンバー、ファンが望んでいる13期生公演の実施を検討してほしい。劇場公演がむずかしければ、「握手会などのイベントにて数曲の演目でも、13期のメンバーに演じる機会を与えて」ほしい。実施時期については、休養中の篠崎彩奈(あやなん)の復帰を待って、「13期9人が揃う公演を希望いたします」。
     これらいくつかの要望に、「13期メンバー生誕祭実行委員会一同」の代表として、9人の生誕祭実行委員長の氏名と連絡先が添えられている。

     「お願い申し上げます」が全部で3回登場する、低姿勢な企画書の最後は、こう締めくくられている。

    《13期メンバーの願い、私達ファンの願いと共に、劇場公演の素晴らしさを改めて広める切掛けになる公演と信じております。 難しい事だとは思いますが、ご検討の上、この企画を実施頂けますよう、委員一同心よりお願い申し上げます。》

     そもそもなぜ、13期ヲタたちは13期生公演の実現をめざしたのか。

     その経緯は、「多分、みなさんが思ってる時系列とちょっとちがうんですよ」と茂木忍(もぎちゃん)ヲタ・ありさ氏は言う。

     「みなさんが思ってる時系列」とは、たとえば次の日刊スポーツの記事に書かれているような経緯だ。

    《AKB48の13期生9人が16日、東京ドームシティホールで、単独公演を行った。

     11年12月に加入も、CDシングルの選抜常連メンバーはおらず、秋葉原のAKB48劇場を中心に活動してきた。相笠萌(18)梅田綾乃(17)が3月の卒業を発表したこともあり、花道を飾ろうと、ファンが単独公演開催の声を上げ、運営側に企画書も提出し実現した。》

    ( http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/1766235.html )

     つまり、相笠萌(もえちゃん)と梅田綾乃(うめたん)が卒業を発表し、ファンが企画を提案し、公演が実現した、という流れである。

     実際には、13期ヲタたちが運営側に企画書を提出したのは13期生公演の4ヵ月前、2016年8月。相笠・梅田が卒業を発表する前のことだった。


    ――企画書を出したのはその1回なんですか?

    ありさ氏:1回です。他の人は出したのかな?出したって話は聞かないです。

    ――運営への企画書というのは、生誕祭のときなんかにも、生誕委員から出すものですよね。

    ありさ氏:出しますね。界隈によってバラバラだと思うんですけど、(生誕委員の)人数だったり、特別変わったことを公演でやるんだったらその詳細だったり。Tシャツはこんな感じですとか。あまりに過激なものだったりしたらNGが出る。

    ――そのルートというかフォーマットを使って、13期生公演の企画書を出した。

    ありさ氏:そうですね。
     企画書の内容は、でも、「内容に関してはお任せします」みたいな感じでした。あやなんが休養していることもあったので、公演復帰まで行ってなかったので。夏祭りとかの企画でもいいから、何か13期でできるものを、という感じで書きました。

    ――最初はそういう感じだったんですね。

    ありさ氏:そんな感じです。まあ、「あやなん次第だね」とはみんなで話していたんで。

    ――それが最終的にはああなったわけで。そうとう間にいろいろあったわけですよね。

    ありさ氏:いろいろありましたね。いろいろ。いろいろありました。

    ――誰もできるなんて思ってなかったですもんね。

    ありさ氏:思ってなかった。申し訳ないけど思ってなかった。




    野田組

     前述のように、企画書には「劇場公演の素晴らしさを改めて広める」という狙いが明確に打ち出されている。
     単に13期メンバーとそのファンのための企画ではなく、大げさに言えば「劇場公演の復権」「劇場の復興」を目指すための、13期生公演。
     このコンセプトを立案し、企画書をまとめたのが、村山彩希(ゆいりー)ヲタ・たっちゃん氏をはじめとする数人のヲタクたちである。
     千葉県野田市とその近辺に在住する彼らが、夜ごと集まっては話し合い、計画したことが、13期公演の発端だった。

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    ありさ氏:それこそ、”野田組”が飲みながら「あれやりたいね」「これやりたいね」と話してたことを、だんだん横(他の13期ヲタ)に広げていって、実現に向けて動いていったと思います。

     東武野田線・野田市駅に迎えに来てくれたのは篠崎彩奈ヲタ・りょー氏だった。りょー氏の車に乗せてもらい、左右にキッコーマン食品野田工場の外壁が迫る細い県道を抜けていった先に、野田組のアジトはあった。
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     一見して町の中華料理屋然としたたたずまいの小さな店だ。白いのれんに赤く染め抜かれた「朝鮮ラーメン」という謎のメニューが興味をそそるが、入ってみればやはり町の小さな中華屋さんである。
     待っていた村山ヲタ・たっちゃん氏は、冷蔵庫を開けてコーラを出してくれた。常連さんはセルフサービスになるタイプのお店なのだろう。


    ――ここが秘密基地みたいな感じになってるんですか?

    りょー氏:というか、気づいたら……。

    たっちゃん氏:ここでやることが増えたんですよね。

    りょー氏:この二人と、taroさんていう(岡田)彩花のヲタがいるんですけど。taroさんとたっちゃんが地元で、自分が隣町で。偶然です。

     村山彩希の生誕委員長であるたっちゃん氏、篠崎彩奈の生誕委員のりょー氏、そして岡田彩花(あやか)の生誕委員長taro氏。2015年6月、北澤早紀生誕祭の打ち上げで知り合った”野田組”の3人は、以降「ほぼ毎日のように」(たっちゃん氏)ここで会って話している。
     野田組メンバーが頻繁にチェックインするこの店に興味を持つヲタクも増え、最近では首都圏のあちこちから野田を訪れる13期ヲタも少なくないという。
     AKB48劇場が本拠地だとすれば、この店は13期ヲタの第二の拠点と言えそうだ。
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     野田組のヲタたちが、13期生公演を意識しはじめたのはいつ頃のことだったのか。
     2016年2月に「高橋みなみプロデュース公演」のひとつとして行われた15期生公演=「いちごちゃんず公演」以来、メンバーは「13期生公演をやりたい」とSNSなどでしばしば口にしてはいた。それが「現実味を帯びてきたのは、去年(2016年)の6月」(たっちゃん氏)頃だった。

     5月18日、NOTTV「AKB48のあんた、誰?」で、村山彩希が「やりたいこと」として「やっぱり13期公演でしょ!」と発言。
     6月13日、村山の誕生日前々日の同番組には13期メンバーが総出演。13期公演がトークテーマとなり、実現したらやってみたいユニットなどについて語っている。
     さらに6月15日、誕生日当日の生誕祭で村山彩希は、

    「最後に…13期公演がやりたいです」

     とスピーチを締めくくった。


    たっちゃん氏:ふだん彩希ちゃんって、ファンに対して何々をやりたいとか、何々がほしいってぜんぜん言わない子なんですけど。たまたまその時は彩希ちゃんの誕生日の前々日に「あん誰」があって。生誕祭当日にも13期公演やりたいんですって。
    個別(握手会)とかでも話を聞いてると、「私たちはずっと前からやりたい、やりたいって言ってるけど、それでもできないからファンの人も何か動いてくれないか」みたいな話はたしかにもらって。
    彩希ちゃんからお願いされるっていうのは、正直、今まででも全然なかったことだったので、それもうれしくて。それでりょーさんとかtaroさんとかと「どうにかならないっすかねー」って。

     総選挙に参加せず、「シアターの女神」を目指すという独自の道を選んだ推しのために何ができるか。たっちゃん氏の出した結論は、13期公演を実現させるべく、運営に働きかけることだった。

    たっちゃん氏:あの子がようやく、ファンに向けて何々をやりたい、とか何々がほしいとか言ってくれたことだから。それに対して(ヲタクが)結果を残してくれないと、今後の関係もやっぱり、「私が言ったのに、この人たちは動いてくれなかった」とか……。というのもあったから、とりあえず動きだけはメンバーにも見せてあげたい。「俺らも望んでるんだよ」とか「俺らも13期公演に対して動いている」っていうのだけは彩希ちゃんに伝えたかったっていうのはすごいありました。

    りょー氏:(たっちゃん氏から)夜中に電話が来て、「13期公演の企画書出したいんですけど」って。

     りょー氏と、遅れてインタビューに参加してくれた岡田彩花ヲタ・taro氏によると、生誕祭後のたっちゃん氏は「俺たちは彩希ちゃんのために何ができるのか」と「病んで」いたという。

    taro氏:自分たちが言うよりは、やっぱりそれを思ってる彩希ちゃんが(言う方がいい)。彼女はいろんな大きなものを犠牲にして劇場を選んでいるし。あれだけのものをなし得るために、いろいろなものを犠牲にしてる。それを応援しているたっちゃんとかから声が上がった方が、より大きな波になるし。

    たっちゃん氏:あのときのことは思い出しても涙が出てきますよ。正直、僕なんかが(企画を出そうと)言っても……って最初は。でも、りょーさんとtaroさんが乗っかってくれるって。

    taro氏:あとはありささんを動かせばなんとかなるだろうと。

    たっちゃん氏:13期の「幹事」はありささんなんですから(笑)。

     野田組が企てた13期生公演プロジェクトは、早くも6月26日、『翼はいらない』大握手会が開かれていた幕張メッセで13期ヲタ各界隈へと伝えられる。

    たっちゃん氏:知り合いの生誕委員長をやっているような人たちのLINEがあって、そこで「ちょっと集まってもらえませんか」っていうことで話しました。

     この「総会」に集まった、各メンバーの生誕委員たちの反応は早かった。

    りょー氏:5分ですよね。「やりたくないですか?」って言ったら「やりましょう」って。

    たっちゃん氏:言ってみたら一瞬で「やりましょう」と。

     この日、りょー氏は病欠中の篠崎彩奈にプレゼントを贈る企画について相談するため、「支配人部屋」で戸賀崎智信カスタマーセンター長との面会を予約していた。

    りょー氏:ちょうどそのときに13期公演の話があったので、一緒に聞いちゃおうかなって。「企画書とか出してもいいですか」って戸賀崎さんに聞いて、そうしたらもう「全然OKだ」と。「出してくれ出してくれ」って言って。「出すのは自由だし、ただ実現できるかどうかはわからないけれども」っていう話をして。

     13期生公演実現に向けた動きはこの日から本格化する。
     総会で決定された当面の行動は、企画書をまとめて運営に提出すること。ファンの署名を募ってはどうかという話も出たが、「あまり大々的に動くと他の期も同時に動いてくる可能性もある」との判断で見送られた。
    「正直、ずるいやり方だったかもしれないですけど、それでもやっぱり推しを優先的にしたいっていう気持ちもあった」とたっちゃん氏は振り返る。




    佐藤妃星生誕祭

     さっそくたっちゃん氏は、主にtaro氏と相談しながら企画書の文案を練った。運営に悪い印象を与えないように、特に「がめつい」ヲタクの要求という印象を与えないように細心の注意を払ったという。

    たっちゃん氏:本当に「なんとかお願いしますよ運営様」っていう感じの文章でやったんですよ。運営が「そこまで言うんだったら考えてやってもいいか」という感じで。それだけやらないと、たぶん見てもくれないよねっていう話で。

    「劇場公演の素晴らしさを改めて広める」というコンセプトは、ここで生まれた。

    たっちゃん氏:俺らがただ見たいからっていう企画書を出しちゃうと……っていう話になったんです。「他の期もやりたいよね」って。だけど、13期がしたら、下の子とか先輩たちも初心にもどしてくれるようなパフォーマンスをしてくれる。という意味で、最後の文章はつけたしました。

     こうしてできあがった企画書が運営に提出されたのは、2016年8月19日。佐藤妃星生誕祭公演を控えた劇場でのことだった。

    たっちゃん氏:たまたま妃星生誕にけっこう13期ヲタが入っていたので、Gさん(劇場スタッフ)を囲んじゃったんですよ。それでGさんもニヤニヤして「すごい大人数で来るね」って。

     たっちゃん氏とtaro氏が持参した企画書を渡すと、「わかりました。たしかに受け取ります」とG氏はこたえた。実現できる保証はないものの、とりあえず企画書を出してくれたら会議などで話題にすることはできる、と話していたという。

     ちなみにこの日、企画書を持っていったたっちゃん氏とtaro氏は、公演のビンゴ抽選で揃って“優勝”(※最後の入場順になること)した。
     二人は入場順の抽選で最後まで待たされただけだったが、提出された「AKB48 13期生公演実施願い企画書」は、その後3ヵ月にわたって、劇場の扉の前で待たされることになる。




    【関連番組】

    6/28(水) 21:00~ 放送!
    『【特別企画】13期公演はいかにして実現したのか・ニコ生版


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