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なぜ永野恵をMVPに選んだのか〜DMMアーカイブ実況(チームK『RESET』公演)
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なぜ永野恵をMVPに選んだのか〜DMMアーカイブ実況(チームK『RESET』公演)

2019-11-19 16:01
    10月に放送した『5夜連続・DMMアーカイブ実況』が好評だったので、単発番組として定期的に行うことにしました。その第一回を、チームKの『RESET』公演で、昨夜放送しました。

    実況番組の定期化には、好評だったからという理由だけでなく、劇場公演は、いまこそきちんと押さえておかなければならないAKB48の「原点」である、というコンセプトもあります。その思いを強くしてくれたのは、『歌唱力No. 1決定戦』の門脇実優菜のパフォーマンスであり、博多座で観た『レビュー48』でした。(その辺の詳しい話は11/11の『週刊48NEX』でお話ししたので割愛します)

    歌唱力だけをピックアップしたイベント(番組)に、ことさら異論を唱えるつもりはありません。ただ、あくまでもイシューのひとつであることをしっかりと認識しておかないと、AKB本来の独自性を見失ってしまいかねない…という提言は、再起動の時期にある今、何度してもし過ぎることはないと思っています。

    客席とは隔絶されたステージで、プロの音楽家がランク付けするイベント。ファンはそれをただ見届けているだけ。「上手く歌うための選曲」には自ずと偏りが生じ、AKBが保証してきたはずの「なんでもあり=多様性の受容」も、そこではほぼ消滅しています。

    何度も言いますが、ぼくは『歌唱力No. 1決定戦』を批判する気などさらさらありません。というか、反対するほど興味がありません。
    現在のAKB48は、世の中での知名度がほぼ無いと言っていいメンバーが大半です。しかし、AKB48という固有のエンターテインメントは、14年という長い歳月の中で築き上げられた、かなり盤石なコンテンツとして成熟しています。端的に言えば、いまのAKB48(いわゆる本店)の劇場公演は、どれを観ても一定の水準に達しています。そしてその「水準」とは、もちろんプロのお膳立てによるショーとは異なる、あくまで私たち観客の多様な期待を満たすという意味での「水準」です。それを日々支えているメンバーたちにこそ時間を割きたい。なにより劇場公演実況は、やはり楽しい。

    AKB48の劇場公演を観るとき私たちは、どんな権威的な基準にも従うことなく、自由にメンバーを発見し、楽しむことが出来ます。しかも現在のAKB48は、期生、ドラフト期生、チーム8といった雑多な異文化コミュニティになっており、特に当初融合が懸念されていたチーム8などは、チーム公演に立体感をもたらし、公演の楽しさを広げてくれています。その「楽しさ」とは何か?と聞かれても、それは観る人の価値観の数だけある、としか言いようがありません。「盛り上がってるだけ」と世間には言いつつ、実は身体パーツにフェティッシュに注視していたり、個人的な思いを投影していたり……、それぞれの見方をしているという実相は、『ドルオタ新思想大系』シリーズでも毎回明らかになっています。

    ぼくは以前このコラムで、「歌唱力決定戦の審査を茶番と疑うのは、プロ野球の審判に文句を言うようなものだ」という意味のこと書きました。ここまで読んでいただければ大方予想がつくとは思いますが、そのこと自体がAKB的には詰まらないことだと思うのです。つまりそれは「提供されたものをただ観客として見ているだけにすぎないという点で、全くAKBオタクらしくない」ということです。タイムラインで見かけた歌唱への寸評も、どれも手垢のついた言葉ばかり。ペナントレースがAKBでは成立しなかったように、そもそも定規で測ったAKBに、AKBらしい楽しさなどあろうはずがないと、ぼくは思います。

    そんな中、AKB48劇場の文化は、次世代のメンバーたちによって、しっかりと守られてる様子が見て取れます。上手く踊るよりも、自分らしく踊る。楽しく踊る。どのメンバーを見ても、必ずどこかに見せ場がある。そこに権威の定規など存在しません。

    ぼくはアイドル=AKBを考えるとき、ときどき思い出す、あるメンバーの発言があります。加入して間もない頃のHKT48 田中美久のこんなひと言です。
    「私は将来、歌手になりたいです」
    何気ないひと言ですが、これは「アイドルは歌手ではない」ということを示唆しています。
    アイドル=歌手というのは世間にありがちな誤解で、『歌唱力決定戦』がAKB活動の基幹要素の延長線上にあるものと錯覚する要因でもあると思います。でも、アイドルは(ことにAKBは)歌を歌うことを主たる活動としながら、それが目的のエンターテインメントではない…なんてことは、ふだんAKB48グループを楽しんでる方々には明白なことだと思います。
    「アイドルとは何か?」という問いは愚問です。物事にはひとつの正解があると信じていた20世紀の遺物的発想に過ぎません。常に新しい発見を楽しむ……それこそが、ポストモダン的コンテンツの代表格とも言えるAKB48の醍醐味のひとつではないでしょうか。

    しかし、です。
    劇場公演とて、長年観続けていると、日常化するが故に、新しい発見への注力も怠惰になってきます。観たいものを、観たいようにしか観なくなります。しかも、ある程度の完成度を持続しているチームK公演ともなると、MVPを選ぶとき、ありがちな選択をしてしまう可能性が高い。ぼくは、今回の実況が「安心安全な『RESET』公演」に決まったとき、「まずそこをぶっ壊さないと、番組をやる意味がない」と直感しました。

    とは言え、無理矢理にMVPメンバーを選んでも、それは嘘になります。どうでもいいような実況トークをしながら、DMMカメラが切り取るモンタージュを丹念にチェックしました。その結果、「安心安全なKのRESET」において、予想をはみ出して目立っていたメンバーがいました。それが永野恵です。

    番組終了後、帰宅してから実況を再チェックしたのですが、わりと冒頭から永野の名前が出ていました。その後も永野の登場場面に合わせて、彼女の分析を度々語っています。NEXの番組には台本など一切存在しませんし、実況用公演の予習もあえてしていません。そして、倉野尾成美市川愛美安田叶といった、ぼくの贔屓のメンバーへの偏重的チェックは完全に封印し(笑)、感覚が揺らぐままに公演を観たその結果、「永野恵を多めに気にしてしまった」ということだったわけです。しかも年齢が15歳ということもあり、まだまだ時間はたっぷりある。無風から突如立ち昇った西川怜の前例もありますから、いつ永野が覚醒するか分かりません。少なくとも永野の、風を感じる佇まいと絶え間ない笑顔に、それなりのエネルギーを感じたのは事実です。そこに期待を込めて「本日のMVP」ということに、独断で決定させていただきました。あとは本人さえ頑張ってくれれば、「だから言ったじゃないか」と、後々になってぼくが威張れるという寸法です(笑)。

    劇場公演も、日常化しすぎると、観たいものしか見えなくなる。でも、「誰が乗ってもドライブしていくシステム」であるAKBに最も欠かせないのは鮮度です。期待通りのものを、いつもの作法だけで見ていると、ファンサイドからAKBが壊死していきかねません。(もっとも、卒業という宿命によって、一定の鮮度は確保されるわけですが)
    なので次回の実況番組は、より新しい視聴体験を生みそうな公演を選びたいと思います。
    (了)
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