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『桜trick』6話、アニメファンは親になりたいのです!
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『桜trick』6話、アニメファンは親になりたいのです!

2014-03-04 15:00
    AIR です。

    2014年冬アニメで僕がはまっている『桜trick』の6話で、
    このアニメに対して大きな誤解をしていたことがわかりました。
    アニメの内容は高校生の女の子同士がキスをする日常もので、
    ジャンルとしては「百合」になります。
    毎回のお話が「とにかくキスシーンに持って行く展開」でしたので、
    主な登場人物たちは全員百合です。
    ですから
    「今回はどのようにキスシーンに持って行くのか」
    「今回はどのように美しくキスシーンを見せるのか」
    が脚本と演出の注目ポイントでした。
    6話は、文化祭がテーマのお話です。
    ここで僕が驚いたのは、舞台が想定外の「共学の高校」だったことです。
    百合のキスシーンが中心に描かれるアニメでしたから、今まで見落としていたのですが、
    「共学の設定」を頭に入れて見直すことによって
    誠に奥深いアニメであることがわかります。
    共学でありながら「文化祭の準備のために、学校でのお泊まりが許可される校風」
    のため、この学校は前提として
    「男子が、絶対に女子に手を出さない」
    と教師と保護者の間で合意されているのです。
    また、視聴者もそのような恋愛関係を求めていません。
    「主人公が異性と結ばれてハッピーエンドの時代は終わった」のです。
    ドラマを見るときは
    登場人物に感情移入をすることで、心理描写を理解しやすくなります。
    それでは『桜trick』というアニメでは、誰に感情移入を行えば良いのでしょうか。
    登場人物も行為も全て鑑賞の対象です。
    ですから、
    『桜trick』は画面に映っていない「親」の立場に感情移入をするアニメなのです。


    6話を見て本当に驚いたのは舞台が共学の学校だったことです。
    女の子同士のキスシーンがあまりに衝撃的すぎるため男子の存在感がなかったからですが、
    見直してみると以前から画面に男子が存在しています。
    6話の文化祭では体育館で行われる漫才が男子のコンビであったり、
    男子が屋台の出し物をやっていたりと、
    「この高校には男子がいます。女子校と思って見られている方に、
    あえて共学であることを伝えておきます」という制作者の意図が感じられました。
    しかしあくまでもアニメの内容は百合です。
    男子が存在するからといって異性間の恋愛ドラマに発展することは
    まったくないのです。
    それでは、どうして意図的に共学であることを視聴者に伝える必要があったのでしょうか。
    それは女子校であるなら、
    同性間のキスを万が一にも他生徒に見られたところで、
    見逃してもらえるという「緩さ」があります。
    しかし共学である設定を頭に入れた上で、同性間のキスを行うとなると、
    緊張感がまるで違ってきます。
    高校生の年齢の男子は、デリカシーがなくて、
    『桜trick』の美しい世界観にふさわしくありません。
    『桜trick』における男子の存在は、
    同性同士のキスという背徳的な行為を楽しんでいる女の子たちに
    「異性に目撃されるかも知れないという緊張感を背中にピリピリと感じさせる演出」
    として描かれている意図をはっきりとさせてくれました。
    6話の文化祭では、
    まさか舞台の上で朗読劇を演じているメインの登場人物たち全員が百合カップルである
    とは体育館の観客席の人々も驚きの事実です。
    男子が付けいる隙はありません。
    だからこそ『桜trick』というアニメは、
    アニメファンが安心してみることができるものになっているのです。


    タイトルについて考えてみました。
    英和辞典によりますと「trick」とは
    「悪意のないいたずらや悪ふざけ」といった意味の日本語に訳されます。
    「桜」は「春」を表す季語ですから、
    『桜trick』とは「悪ふざけの春」といった意味なのでしょう。
    内容に沿った適切な造語だと思います。
    「園田優」さんを好きでたまらない「高山春香」さんが6話で描いた将来の妄想シーンでは、
    既に子供が存在しているショットがあります。
    友達というより恋人として夫婦として友達を見ていることがわかる描写でした。
    二人きりになった教室で、
    キスをしたまま、床の上をごろごろと転がって愛し合うシーンも
    長い時間をかけて親密に描かれています。
    しかしまったくいやらしさを感じません。下品な感じもいたしません。
    6話の最後のあたりの、
    体育館二階の暗がりでステージ上の軽音部のライブを見ながら
    「園田優」さんが「高山春香」さんに向けて言った
    「今だけ好きにしていいよ」のセリフから始まりライブが終わっても止まない
    無限のキスシーンで6話はエンディング曲につながりますが、
    『桜trick』とはこういうアニメなのだと確認するばかりで、
    不快感を抱く間がありませんでした。
    その理由はこのアニメの中に憎らしく思うキャラクターがいないからです。
    それは
    仲が良い女の子同士が特別な友情を確かめ合うために行うキスシーンに抵抗がなければ、
    『桜trick』が安心して見ることができるアニメとして作られているからです。


    今作はおそらく1クールアニメでしょうから、12話から13話目で最終回を迎えます。
    第1話から幾度となく繰り返される同性同士のキスシーンは、6話の
    折り返し地点で視聴者に与えられる「共学という情報の付け足し(再確認)」によって、
    「より緊張感のある行為に発展」いたしました。
    共学でありながら男子と女子が関わることはまったくなく、
    今後も会話すら行われないものと想像ができます。
    同性同士の関係が描かれたアニメだからこそ、このアニメは悲劇に発展しないのです。
    かつて『カードキャプターさくら』という名作アニメがありました。
    たいへん仲が良い同性の友達といつもいっしょにいたにも関わらず、
    残念なことに「特別な異性」が登場し、
    主人公に「恋愛感情」を抱かせるドラマになってしまいました。
    視聴者は「とても大切な娘を嫁に出す気持ちで、我慢して見続けるしかない」という、
    アニメファンにとっては苦行のような展開でした。
    しかし今回は違います。
    「異性との恋愛が健全である」という意見は現在の日本では正しいのですが、
    アニメファンはアニメの登場人物を愛してしまう性質を持っています。
    悲しいことに、その愛はとても深いのです。
    だから『桜trick』のように、
    「どこまで関係が発展しても安全」である同性同士の関係のアニメであれば
    気楽に見られるのです。
    ですから、視聴者は登場人物の「親」の立場に感情移入をして見れば良いのです。
    そうすれば「どこまで発展しても良いんだよ!」「もっともっと幸せになってね!」と
    おおらかな気持ちで彼女たちの日常の活動を応援できるようになります。
    『桜trick』は登場人物同士の百合の関係だけでなく、視聴者も
    「優しい気持ちにさせる優れたアニメ」なのです。


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