アニメ「SHIROBAKO」第20話の補足 アニメを読み解くリテラシー
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アニメ「SHIROBAKO」第20話の補足 アニメを読み解くリテラシー

2015-03-14 15:00
    AIR です。

    アニメ「SHIROBAKO」の第20話、「#20 がんばりマスタング!」の補足をします。
    19分目あたりの17秒程度の会話「脚本会議のシーンの台詞」を引用します。

    今井みどり「でも、けんかしてもけんかしたとお互い認めないようにして、
    うま~く関係修復にもってく感じですー」
    脚本家「対人スキル、高いな~!!」
    今井みどり「蒸しパン、食べる? うん……。 黒いですかね?」
    宮森あおい「いや、そこはドーナツで! それが仲直りの合図!」
    脚本家「リアル世界でそのメタファー、高度すぎだろう(笑)」


    私はこの会話が抵抗なく体のなかに入ってきて楽しめた人ですが、少し不安があり、
    確認のため、知人にきいてみました。やっぱり、と懸念した通りの返事でした。
    「わからない!」というのです。
    意地悪は私の性格ではありませんので、解説してみたことを今回は記します。
    でも、気になりました。
    なお、これは本作の伏線の回収といった面倒なものではありません。
    普通にきいて、普通に「おもしろい」、と聞き流して良い会話シーンです。


    説明します。
    なぜ、人間関係を修復するために蒸しパンを送る行為を「黒いですかね?」
    と聞き返すのか。
    「蒸しパン=蒸す=けんかの話を蒸し返す」の暗喩、メタファーです。
    そこに間髪を入れず、対人関係スキルの高い宮森さんが
    「そこはドーナツで!」
    と発言します。
    「ドーナツ=断絶のない丸い輪」は円満解決の暗喩、メタファーです。
    さらに「甘いもの」「みんなが好きなもの(という設定のアニメの劇中)」
    ですから、友達の前言である
    「けんかしてもけんかしたとお互い認めないように」
    に引っかけて、
    「甘いものでみんなが幸せになれる円満解決の小道具」、ガジェットを
    渡すことが女子校における「仲直りの合図」になるわけです。そして
    ドーナツを渡す行為は「合図」ですから、
    仲直り確定とは言っていません。
    あくまで「うま~く関係修復にもってく感じ」の女子校の雰囲気を表したものです。

    さらに注目のポイントは、このシーンのこの会話の掛け合いをまとめたのが、
    アニメ2クール目にて制作進行のデスクを務めるようになった
    主人公「宮森あおい(声:木村珠莉)」さんであることです。
    彼女の成長を2クール目でも、さりげなく見せているのです。
    このあたりの話では、仕事上の対人関係でもめごとが多いため、
    何気ないシーンに過ぎませんが、主人公のみゃーもりさんが
    対人関係スキルの高さを見せているのが演出です。


    アニメ「SHIROBAKO」はアニメを作る会社の人たちの日常を描いたアニメです。
    「SHIROBAKO」の前半の1~12話は、アニメ『えくそだすっ!』の制作の話です。
    新人制作進行として入った主人公の宮森さんが成長していく姿の描写が主でした。
    アニメ制作の大変さを視聴者に伝えながらも『個人の成長の物語』です。
    それに対して「SHIROBAKO」の後半の13~24話は、
    アニメ『第三飛行少女隊』の制作の話です。こちらも劇中アニメのタイトルです。
    アニメ「SHIROBAKO」が放送途中であることもありますが、おそらく本作品は
    アニメ制作者が自らの行為の意味を自覚するための『集団の成長の物語』です。
    そして作り手である人々の成長を見せるとともに、
    業界用語の説明回があったことを伏線とみることで、
    アニメの良き理解者である視聴者を育成するためのリアルな
    『視聴者の成長の物語』でもあるのです。

    アニメは計画的に作られるものです。フレームに描かれているものには必ず
    演出的な意味がこめられています。脚本と声優さんの演技により表現される
    台詞もそうです。今回、私がおもしろいと感じてピックアップした場面でも、
    「台詞の発言者」「会話の参加者の人格と人間関係」「メタファーの意図」を
    きちんと読み取れるリテラシーが視聴者になくては
    「わかりません!」
    になってしまい、聞き逃して読み飛ばしてしまう場面になるのです。


    そのようなことを考えますと、視聴者である私たちがアニメのリテラシーを
    身につける努力を惜しんではならないと思うのです。
    DVDやブルーレイディスク、サウンドトラックCDなど、円盤を買うことも
    大好きなアニメ業界を支える直接的な支援です。
    しかし「良き理解者になる」ことも、間接的な支援として外せません。
    この両輪のバランスがとれて、日本のアニメの未来は明るいものになります。


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