【リーディングノート】脚本/演出:AIR『課金制カノジョ、東京に現ル。』   リーディングシナリオ全文/歌詞完全掲載
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【リーディングノート】脚本/演出:AIR『課金制カノジョ、東京に現ル。』   リーディングシナリオ全文/歌詞完全掲載

2015-08-29 15:00
    AIR です。

    リーディングノート『課金制カノジョ、東京に現ル。』について、お話をします。
    ノートに記したポエムから書き起こしたお話と歌をひとつに融合した朗読劇です。
     チャプター1.音節から舞い降りる、不確かなエゴのフィクション
     チャプター2.私の彼はATM ~二人のイーブン~
    お話を朗読してくれたのは、「VOICEROID+ 民安ともえ」さんです。元気よく歌を
    歌ってくれたのは、「VOCALOID3 初音ミク V3」さんです。IT技術の進化により
    2015年では電子の人工声帯を使ってこのような企画が実現可能になりました。

     オリジナルの音源はこちらのページから再生できます
     シングルカット版はこちらのページから再生できます

    「創作とは何か?」という、作家がいずれ対峙しなければならない問いから逃亡
    するのをやめて真正面から回答して取り組んだ成果物がリーディングノートです。
    企画立案から5ヶ月の試行錯誤を経て作品の第一弾を発表することができました。
    とても幸福な創作の活動でした。少しのお時間をいただきありがとうございます。


    子供のころから「言葉」というものに関心がありました。日本語は思考の道具で
    ありながらも表現の素材にもなるため極めて情緒的です。ボーカロイドを使った
    音楽活動を続けるなかで、本来「私」が取り組みたかった「お話を伝えたい」の
    欲求を満たす表現として「お話と歌という組み合わせ」をずっと温めてきました。
    リーディングノートとは、表現方法それ自体に向き合って開発した「様式」です。
    しかしながら物書きは「講演会」や「朗読会」で聞き手に語ることを前提として
    います。「reading Note(ノートを読む)」は私の造語ですが、デジタル技術に
    より果たされることができた原点回帰です。目を閉じて聞いていただきたいです。



    【あとがき】
    男の子と女の子の恋愛の物語です。成功者になってしまったことから心の弱みに
    つけ込まれてしまいますが、心はすれ違わないほうが異常事態でないのか? と
    考えますと「男なんか勝手に苦しんでろ」との冷酷さが現代社会の有り様の一つ
    です。極論からは「女という性の認定も声も体も改造人間の手術によってお金の
    問題として通過できてしまう現実」があります。それでは課金制カノジョである
    のは「彼女の人」なのか、「課金することで誰かの彼女」に落ち着いて気持ちの
    平穏を獲得する「彼」であるのか、人間の心と未来は誰にもわからないものです。



    【リーディング用脚本全文/歌詞完全掲載】

    チャプター1.音節から舞い降りる、不確かなエゴのフィクション

    日常生活をおくるなかで、人間が、自分の性別を意識することは、
    ほとんどなかった。
    それは、ときどき書類上の性別の欄に、
    管理の都合で二つに分類されるくらいの、
    軽度の認識で済ませられる、個人情報に過ぎないからだ。
    僕も今まで、不都合を感じることなく、毎日を生きてきた。
    だけど、その認識は、一人でいるときに限られる。
    僕は仕事が恋人で、恋愛に興味がなかったけれど、
    仕事と生活は、二者択一の、選択ではなかった。
    彼女の人との、約束のデートのなかで、初めての、
    身体を通した愛を交換した夜、
    男子という性別と立場が、確定的なものに、なってしまった。
    体験しなければ良かったと、後悔をしたけれど、
    行為の反応が、男らしさの自覚を、僕に、要求する。
    どうして、こちら側で、うなだれていなくては、いけなかったのだろう。
    どうして、僕は、あちらの側では、なかったのだろうか。
    部屋を俯瞰する心が、胸の底で、静かに自分へ問いかける。
    残酷な設問だ。
    性の倒錯。
    自我に深刻なエラーが生じた。
    退けられない、自己嫌悪。
    何かが壊れた、喪失感。
    僕は、彼氏でいることが、厭になった。
    こうした関係を、続けたい、と、思えなくなっていた。
    いっしょにいられた時間は、
    二人の間に、何かしらのいきちがいがあったから、
    幸せを感じることができたのは、理解できる。
    彼女の人にも、彼女の人にしかわからない理由があって、
    成り行きではあったけれど、楽しそうな表情で告白を受けて、
    僕たちは、付き合うようになった。
    そして、この夜を迎えた。
    そして、この、
    気持ちの、悪さ。
    だから、僕は、早く独りになりたかった。
    立ちあがり、シャツを着る。
    ごめんね、
    ごめんなさい、と謝って、
    タクシーで家に帰って、ベッドにふさぎ込んで、
    落ち込んで、朝まで泣いて過ごしたけれど、
    傷ついて、穢れた体では、中性的な子供には、
    戻ることが、できなかった。
    もしも、女の子として生まれていれば、
    僕は男子で最低だって、思わなくて済んでいた。
    それは救いになる。
    だけど、僕に、子宮は与えられなかった。
    生まれ方を、間違えたのだと思う。
    だからこそ、死にものぐるいで働いて、今の地位と、働き方をつかんだ。
    男子は、男らしくあることを、常に、周囲から求められる。
    弱音を吐くな。
    泣くな、我慢しろ。
    おまえは、男だろう。
    世間的で後天的な教育方針に抑圧されて、素直に、
    優しくしてください、
    と、言えなくなったのも、
    ぎゅってしてほしい、
    寂しいの、
    と、心細い気持ちを、打ち明けられなくなったのも、
    日本の社会が、体と心の性を、一致させようとしてきたからだ。
    平均寿命が短く、自殺者の数も男性のほうが、
    圧倒的に多いという、社会的に不都合なデータは無視されて、
    甘えるな、
    と、厳しく怒られる。
    その厳しさが、今の立場を得るための、教育だったともいえるけれど、
    誰にでも納得ができる、
    理屈には、なっていない。
    精神に、後天的な性別なんて、生じるわけがないし、
    そう自分に言い聞かせても
    心の向きと、常識と、節度の縛りが、気持ちに、ブレを生じさせる。
    だから話す言葉のすべてが、言い訳じみてしまう。
    信用の象徴である背広姿は、男装をしている感じがして、
    嘘をついているかのような、罪悪感が、とてもつらい。
    だけどずっと、違和感を抱えて、これからも、
    生きていくしか、ないのだろう。
    それは、きっと、困難な人生を、予感させる。
    僕って何者なのかな――。


    チャプター2.私の彼はATM ~二人のイーブン~

    東京生まれの勝ち組で
    学生時代に起業した
    彼の恋人はビジネスで
    アドレス調べて
    声かけた
    どこが好きなの?とか
    どうでもいいことばかりで
    出逢う運命なの
    答えはひとつ
    お金持ち!
    私の彼はATM
    資産以外に魅力なし!
    私の彼はATM
    顔と性格は
    おまけ!
    ATM!ATM!
    ATM!ATM!
    ATM!ATM!
    彼氏の価値は・・・
    ATM!


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    最後まで見てくれて、ありがとうございます。

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