【初心者のためのDTM作曲教室 番外編】 キーオブG♭問題
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【初心者のためのDTM作曲教室 番外編】 キーオブG♭問題

2016-02-19 15:00
    AIR です。

    ある曲の楽譜を作成するとき、調号を「G♭」と表記するのか「F♯」と表記するのか、
    音楽理論に明確な定義がなく、答えを出した人もいませんので、考えてみます。

    スケールの視点から比較してみます。
     G♭:ソ♭、ラ♭、シ♭、ド♭、レ♭ミ♭、ファ
     F♯:ファ♯、ソ♯、ラ♯、シ、ド♯、レ♯、ミ♯
    このように両方ともに「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ」が1回ずつ順番に並ぶため、
    スケールのルールに従ってしまい、どちらを使っても良いことがわかります。
    厄介な問題です。

    たとえば、Fと平行調のDmはシに♭がついたスケールです。これを♯系にしてみます。
     F:ファ、ソ、ラ、ラ♯、ド、レ、ミ
     Dm:レ、ミ、ファ、ソ、ラ、ラ♯、ド
    Gと平行調のEmはファに♯がついたスケールです。これを♭系にしてみます。
     G:ソ、ラ、シ、ド、レ、ミ、ソ♭
     Em:ミ、ソ♭、ソ、ラ、シ、ド、レ
    それぞれ、欠落したノートと重複するノートがでてくるため、ルールから破綻しています。
    このため、キーオブFまたはキーオブDmはフラット系のスケールと証明されます。
     F:ファ、ソ、ファ、シ♭、ド、レ、ミ
     Dm:レ、ミ、ファ、ソ、ファ、シ♭、ド
    このため、キーオブGまたはキーオブEmはシャープ系のスケールと証明されます。
     G:ソ、ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ♯
     Em:ミ、ファ♯、ソ、ラ、シ、ド、レ
    五度圏を眺めることで、時計回りが♯系、反時計回りが♭系とわかります。

    それでは五度圏でキーオブCまたはAmの裏側にある調号は、
    「キーオブG♭とE♭m」と「キーオブF♯とD♯m」のどちらを使えば良いのでしょう?


    前述しましたように、両方ともにスケールのルールに従い、構成音も同一です。
    しかし時間をかけて楽譜における採用率を調査しましたところ、
    「D♯mよりE♭mが、より多く使われている」という結果がでました。
    何かを決めるときは、何かの基準が必要です。
    音楽だけが例外とはいきません。
    マイナー調号が「E♭m」と決まれば、リラティブメジャーは同じ♭系となり、
    「G♭」が有力になります。しかしまだ、論拠が薄弱ですので続けます。


    なおコードネームに使う場合においては、♯と♭の混用は認められます。
    今回は調号のお話ですので軽く触れる程度にしますが、
    キーオブGのときはシャープ系のスケールですので、基本的にF♯を用います。
    臨時記号も同様です。調号で宣言された系列を用います。
    しかしHMP5B(Harmonic Minor Perfect 5th Below)といったスケールがあります。
    スケールに♭と♯が混用されますため、
    「臨時記号は♭か♯、いずれかに統一する」のルールは成り立たず、否定されます。


    話を戻します。「どちらでもいいからこそ、どちらかに決めてしまいたい。」、
    これが「キーオブG♭問題」です。
    たとえば身近なスケールから、構成音を比較してみます。いわゆるナチュラルマイナーです。
     C♯m:ド、レ、ミ♭、ファ、ソ、ラ♭、シ♭
     D♭m:レ♭、ミ♭、ファ♭、ソ♭、ラ♭、シ♭♭
    両方ともにスケールのルールに従いますが、ダブルフラットが出現してしまうため、
    キーオブEのリラティブマイナーは「C♯m」が現場的に望ましいとされます。
    「五線譜の並びがきれいではない」は理由になりません。可視化は楽譜化の都合だからです。
    ダブルフラットがいけないというわけではありませんが、演奏者に優しくないのは事実です。

    DTMではPCにインストールしてあるソフト音源が演奏を行って曲を再生してしまうため、
    ミュージシャンの都合なんて考えずに作曲をしてしまいがちです。そこに配慮はありません。
    しかし気に入った曲だから演奏してみたいというミュージシャンの気持ちを尊重して
    スコア作成の作業を見直してみますと、読みやすい楽譜が良いのは明白です。
    それは、「作曲者から演奏者への心遣い」といえるものです。

    そもそも「音楽とは、楽器の演奏によって人間に知覚されるコンテンツ」です。
    「楽譜とは、演奏する内容を演奏者に伝える情報を記した媒体」です。
    演奏者は演奏前に必ず調律(チューニング)作業を行います。
    そして調律は「原則的に♭方向」に行います。楽器の経験があればピンとくるところです。
    クロマティックのスケールで比較してみましょう。
     キーオブC:ド、ド♯、レ、レ♯、ミ、ファ、ファ♯、ソ、ソ♯、ラ、ラ♯、シ
     キーオブC:ド、レ♭、レ、ミ♭、ミ、ファ、ソ♭、ソ、ラ♭、ラ、シ♭、シ
    ミュージシャンの耳では、下段の♭方向で調律をします。これが2つ目の論拠となります。

    DTMで用いるピアノロール画面では平行調の表記が等価になるため「どちらでもよい」と
    思ってしまいます。ソフトウェア音源を使っている限り、調律の作業も必要としません。
    それでも、ノーテーションソフトを使う手間を差し引いても、
    「スコアを作成してみることで、自作曲の性質を知る」ことができます。

    まとめます。以上の考察から以下の二つの論拠が示されました。
     ・マイナー側の使用率が高いキーオブE♭mのリラティブメジャーであるのはキーオブG♭
     ・音楽とは演奏者が演奏するもので、楽器は原則的に♭方向に調律が行われるものである
    これらの考えに基づき、「調号はキーオブG♭が優勢である」を結論とします。

    【DTM作曲教室の目次】⇒ http://ch.nicovideo.jp/article/ar526451


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