イプシロンロケット打上げ中止はある意味成功
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イプシロンロケット打上げ中止はある意味成功

2013-08-28 03:06


    Courtesy of JAXA

    楽しみにしていた新型ロケットイプシロンの打上げ、残念ながら今回は中止となってしまいました。
    残念と言えば少しだけ残念ですが、不満や文句は全くありません。

    中止になったのは、機体を安全に打上げるための機構が正しく作動したから。
    なので「失敗」ではありません。まだこのあと打上げられますからね。
    試験機(1号機)なので、慎重に慎重を機するのは仕方のないことです。

    マスコミの報道は「中止」「延期」をすごく責めてる記事が多そうですが、宇宙ファンでJAXAに対して怒ってる人は皆無です。(残念には思ってます。)
    むしろ、失敗ではないのに揶揄して、前向きな捉え方をしない報道に対しては、若干怒っている人もいます。
    ※追記 "部分的失敗"ではあるのにそれを認めないのは原発のリスクを認めなかった歴史と同じ、という宇宙ファンの方もいました。確かにその通りです。反省。

    今回打上げが中止になった原因は「姿勢を感知する機器の値について、ロケット本体と地上管制部のあいだに齟齬があったから」です。
    これは打上げ20秒前に検査が始まり、19秒前に発覚して即時自動停止されました。
    もちろん人間ではこんなこと出来ないので、コンピュータによる自動判断です。

    一部の報道では"初めて採用された新しいシステムが"異常を検知したとされていますが、これは誤報に近いです。
    イプシロンは新型ロケットのため、全てのシステムが新しいのでそうとも言えますが、目玉となっている「人工知能(AI)による自動診断システム(ROSE)」とは別の部分で、以前からあった機構が異常を検知しています。

    また、なぜ事前のリハーサルで発覚しなかったかというと、打上げのシステムの中には1度きりしか実行できない仕組み(使い捨ての熱電池)が組み込まれており、打上げのリハーサルはその直前(18秒前)までしかテストしません。
    今回の中止はそのギリギリのラインで判断されました。
    また、1度しか使えない熱電池は15秒前で起動予定だったので、今回19秒前に自動停止されたおかげで、そのまま次回の打上げに使えることになりました。

    そもそもこのイプシロンロケットは「固体燃料ロケット」という仕組みになっており、対する「液体燃料ロケット」に比べて点火後の中止が非常に難しい(ほぼ無理)という特性があります。
    「固体燃料」は手持ち花火のようなもので、一度火をつけるとそのまま燃え続け、調節や中止はほとんど出来ません。
    一方の「液体燃料」の場合、車のアクセルと同じで、強めたり弱めたり止めたりの調節が可能であり、点火後でも離床(リフトオフ=地上を離れる)前なら中止も可能です。

    Courtesy of JAXA

    そんな特性を持つ固体燃料ロケットのイプシロンが、直前にきちんと異常を検知して中止したことは、安全面においても、成功の確実性においても、とても好ましいことであると言えます。

    記者会見ではJAXAトップの理事長が陳謝していましたが、今回の中止をきちんと評価出来る人間(例えば衛星打上げの依頼主が居た場合のその視点)から見れば、ほとんど問題ではなく、確実に打上げるためなら必要な中止だった、と分かるでしょう。

    ツイッターでこんなつぶやきを見つけました。

    「トラブルがあり打ち上げは中止、延期となったが惨事免れる」とか「モバイル管制・自律診断システムお手柄、省力化だがエラー検知により最悪を回避」とかにすればもっと活力を感じる紙面になると思うんだけどなあ?

    https://twitter.com/kicl_/status/372270787828273152

    自分もそう思います。
    願わくば日本国民の多くがこういった視点を持ち、宇宙開発にかぎらず、全ての先進的な挑戦に対して、あたたかい眼差しで見つめられるようになることを願って止みません。

    さて、イオンシネマはもう一回パブリックビューイングやってくれないかなぁ。
    是非駆けつけたいんだけどなぁ。
    大画面大音響でロケットの打上げ見たーい!
    o(><)o

    そういえばニコ生公式番組では、カウントダウン後の状況説明が全然無かったらしいですね。

    一方、有志によって運営されているNVSチャンネルの放送では、中止後の状況を逐次説明していました。

    「エマスト(=エマージェンシーストップ=緊急停止)」というテロップもカウントゼロからわずか24秒で出ており、状況説明が的確でした。
    また、予想とはいえ5分以内に今日の打上げは無いであろうと理由付きで述べていますし、現場の様子がよく分かる生々しい中継をしており、なかなか見応えがあります。
    JAXAは公式なので「しばらくお待ちください」としか案内出来ませんでしたが、こちらは公式ではない、という長所が存分に発揮されていて、より臨場感のある番組になっています。
    さらにNVSチャンネルでは、公式が配信しない記者会見の模様も生中継してくれます。

    あくまで有志による中継なので手作り感はありますが、より深く宇宙について踏み込みたい想いがあれば、こちらの番組のほうがオススメです。

    延期後の中継予定はまだ分かりませんが、決まり次第NVSチャンネルで案内されると思いますので気になる方はぜひお気に入り登録しておきましょう。

    ※情報ソース
    "No.1698 :27日午後4時からのイプシロン打ち上げ中止を受けての記者会見"
    "No.1699 :27日イプシロン初号機打ち上げ中止、森田プロマネ記者会見"
    宇宙作家クラブ ニュース掲示板 より - http://www.sacj.org/openbbs/
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