スプラトゥーンとシオカラーズ アイドルがもたらした新しい価値
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スプラトゥーンとシオカラーズ アイドルがもたらした新しい価値

2016-05-08 23:19

    シオカラアアアアアイブ!(挨拶)



    またしても一年ぶりくらいの記事にして,今回もやっぱりスプラトゥーンの記事である.
    これは,2016年4月29日のニコニコ超会議にて開催された,
    「超音楽祭2016」の一幕.
    スプラトゥーンのゲーム中に登場する二人組のアイドルユニット,
    「シオカラーズ」がイベント会場で歌って踊るというリアルライブイベントである.
    彼女たちの詳しい説明は後ほど.

    過去にニコニコ闘会議2016でもリアルライブイベント「シオカライブ」が行われており,
    超会議のほうはセカンドライブとなる.

    こちらがファーストライブの模様.

    二つの映像から分かるように,
    彼女たちのリアルライブイベントは非常に盛り上がった.
    そして,その人気に応えるかのように,あるグッズの発売が発表された.


    それがこの,シオカラーズのフィギュア型amiiboである.
    amiiboという商品の詳しい説明も後ほど記載するが,簡単に言えば
    「ゲームに読み込ませると何かが起こるグッズ」というモノ.
    シオカラーズのamiiboの場合,スプラトゥーンのゲームに読み込ませると,
    彼女たちの歌とダンスをいつでもゲーム内で観ることができるようになる.

    さて,このシオカラーズamiiboであるが,
    私はこのamiiboを見て,今までに発売されている他のamiiboとは
    少々異なる性質を持っているような印象を受けた.
    そして,スプラトゥーンというIPの足跡を辿る上で,
    これは非常に面白い存在であると感じた.

    ということで,ゲームシステムに焦点を当てていた前回までの記事と趣向を変えて,
    今回はスプラトゥーンに登場するアイドルキャラである「シオカラーズ」について,
    また彼女たちがスプラトゥーンというゲームにもたらした影響について,
    今回発表されたamiiboを中心に書いてみようと思う.

    シオカラーズとは

    スプラトゥーンというゲーム自体については過去記事でも触れているので説明を省くが,
    シオカラーズは今回の記事で初めて触れるため,
    彼女たちのキャラクターについて少々解説をしようと思う.

    シオカラーズは二人組のアイドルユニットで,
    天真爛漫な性格の「アオリ」と,クール&脱力系な性格の「ホタル」という,
    対称的な性格の二人・・・いや二杯?によって構成されている.

    スプラトゥーンの舞台となるハイカラシティで放送されている
    「ハイカラニュース」では彼女たち二人が司会を務めており,
    現在のバトルのステージ構成の情報やブキやギアの新商品の紹介,
    フェス(特定のお題に沿って二つのチームに分かれ,
    ナワバリバトルの勝敗を競う多人数参加型のイベント)の開催告知などを行っている.
    その際の二人のやりとりは非常にユルく,漫才のようでもある.
    またフェス開催時には広場に彼女たちの舞台が用意され,
    フェス期間中はそこで歌と踊りを披露しているほか,バトル中も彼女たちの歌が流れる.

    ハイカラニュースはゲームを起動すると毎回必ず最初に流れるようになっているため,
    プレイヤーがゲームを始めるとまずこの二人を目にすることになる.
    ゲームにおける機能としての彼女たちの立ち位置は,ナビゲーターといったところ.
    フェス開催中はハイカラシティとバトルのBGMが彼女たちの歌になるため,
    イベントの盛り上げ役としての役割も持っている.

    その他,ここでは詳しくは述べないが,一人用モードであるヒーローモードでも出番がある.

    ハイカラニュースにおけるユルいやりとりでプレイヤーを和ませつつ情報を提供し,
    フェス時には歌と踊りでプレイヤーを盛り上げる,
    ゲームのイカしたサポート役といったキャラクターが彼女たちシオカラーズである.

    amiiboとは

    さて,今回の本題は「シオカラーズのamiibo」を中心に語ることになるため,
    事前に「amiibo」という商品についても解説をしようと思う.

    amiibo(アミーボ) |Nintendo - 任天堂

    基本的なことは上記の公式サイトを見ればだいたい書いてあるが,
    簡単に言えば「ゲーム連動機能を持つ,ICチップ内蔵型のフィギュアやカード」
    といったところ.
    WiiUゲームパッドやNew3DSの下画面にはICチップを読み取る機構が内蔵されており,
    amiiboを読み取り部分にタッチすることで,そのamiiboのデータを読み込む事ができる.
    そして,読み込んだamiiboの種類に応じて,ゲーム内で何かしらの特典が得られる.
    特典の内容はお金の獲得やキャラクターのアンロックなど,ゲームによって様々.
    amiiboに埋め込まれたICチップには小さなデータを書き込むことも可能であり,
    それを利用してamiiboにデータを書き込み,成長させていくことができるゲームもある.

    公式サイトを見れば分かるようにスプラトゥーンのamiiboも存在しており,
    「ガール」「ボーイ」「イカ」の三種類が既に発売されている.
    これらをスプラトゥーンのゲームに読み込ませることで,
    一人用モード「ヒーローモード」を通常と違うブキでプレイするチャレンジが遊べたり,
    それをクリアすることで専用デザインのブキや衣装,
    はたまたマッチング待ち時間に遊べるミニゲームを手に入れる事ができたりする.

    このようにamiiboは「ゲームの遊びを拡張する」という役割を持っているのだが,
    それとは別にキャラクターグッズとしての側面も非常に強い.
    例えばスマブラに出演しているプレイヤーキャラクターは
    その全員がフィギュア型amiiboとなっているのだが,その中には
    殆どグッズが発売されてこなかったタイトルのキャラクターも含まれている.
    グッズ展開に恵まれていなかったタイトルのファンにとって,
    amiiboはまさに待望の公式グッズと言えるだろう.
    (余談だが,私はゼノブレイドの主人公シュルクの立体化に感激した)
    フィギュア型amiiboは1296円(税込)と比較的安価であり,
    加えてフィギュアとしての出来栄えも良いため,
    好きなキャラクターを手元に飾っておきたいという願望を叶える上では
    非常にお手頃である.

    ゲームの遊びを拡張するものとしての側面と,
    キャラクターグッズとしての側面を併せ持つ,それがamiiboである.

    シオカラーズamiiboの価値

    ・・・さて,前置きがとてつもなく長くなってしまったが,
    本題に入ろうと思う.

    冒頭でシオカラーズamiiboが特殊な立ち位置であると述べたが,
    その印象を受けた理由は,「シオカラーズamiiboの価値の在処」にある.
    簡単に言うと,このamiiboが
    「スプラトゥーンというゲームのグッズ」なのか,
    「アイドルユニット・シオカラーズのファンアイテム」なのか,ということである.
    少なくともゲーム連動要素の側面において,
    このamiiboの価値は
    後者としてのものである,と私は考える.

    amiiboという商品全般の持つ価値としては,
    ・ゲームの遊びを拡張するモノ
    ・ゲームIPのキャラクターグッズ
    という二つの側面を先述の解説で述べた.
    これを踏まえて冒頭のシオカラーズamiiboのPVを観ると,
    このamiiboの価値として挙げられているのは以下の二つである.
    ・ゲーム内でシオカラーズの歌と踊りを見られる,その際の振り付けはシオカライブ準拠
    ・ゲソの質感や衣装のラメなどにこだわった造形
    まだ未発表の連動要素もあるかもしれないが,仮にそうであったとしても,
    初報PVで語られるこれらが価値の中心ないし重要な部分であることは間違いないであろう.

    ここで注目していただきたいのは,前者の価値・・・特に,
    「振り付けはシオカライブ準拠」の部分.
    ゲームの遊びの拡張でありながら,
    この連動要素はその価値をゲーム外で行われたライブイベントに依存しているのである.

    既に発売されているスプラトゥーンamiiboの連動要素は
    特殊ルールのゲームモードやキャラの衣装獲得,追加ミニゲームといったように
    ゲームに元々備わっている遊びをベースにしたものであるが,
    シオカラーズのamiiboの連動要素はそういった元々の遊びとの繋がりが薄い.
    フェス中にしか見られないシオカラーズの踊りをいつでも見られる,
    という意味では元々備わっている遊びの拡張ではあるのだが,
    見られる踊りの大半はライブでの振り付けであり,ゲーム内には存在しなかったものである.

    とりわけ,セカンドライブで公開された新曲2つに関しては,
    その価値をほぼ完全にシオカライブに依存している.
    他の曲はフェス時のBGMなどとしてゲーム内でも何らかの役割を与えられており,
    そのためそれらの曲はゲームの思い出と共に心に刻み込まれることになる.
    これに対し,新曲二つは元々はゲーム内に登場しない,
    ライブにおけるサプライズとして世に出た歌である.
    そのため,現時点でこの曲はゲームの思い出と共にではなく,
    ライブイベントの思い出と共に心に刻み込まれることになる.
    つまり,この曲の持つ役割はゲームの枠から外れた「アイドルソング」であり,
    amiibo連動によるゲームへの新曲反映は,
    「アイドルソングをゲーム内で聴けるようにする」といった意味合いになるのである.

    総じて,シオカラーズamiiboがスプラトゥーンというゲームにもたらす拡張は,
    「ゲーム内でのシオカライブの再現」
    といった表現に集約させることができる.
    これまでのamiiboのゲーム連動要素は
    大なり小なりゲームのメイン部分に関わる拡張であったのに対し,
    シオカラーズのamiiboは
    ゲーム外で行われたリアルイベントをゲーム内に再現するためのものであり,
    ゲーム連動部分まで含めて「アイドルユニット・シオカラーズのファンアイテム」
    であると言える.
    ゲームの根幹には一切関わらない部分を,ゲーム外で起こった事の再現として拡張する,
    という,ゲームの遊びの拡張という意味では特殊な立ち位置にあると言えるだろう.

    ファンとメーカーの好循環が産んだ,ゲームの新たな価値

    さて,シオカラーズamiiboの特殊さについては述べた通りとなるが,
    ではなぜこのような特殊な価値がスプラトゥーンに付加されるに至ったのだろうか.
    このamiibo誕生に至るまでの周辺事情と,
    これによってスプラトゥーンにもたらされるモノを考えると,
    非常に面白い流れが見えてくる.

    先に述べた通り,シオカラーズはスプラトゥーンというゲームにおいては
    サポート役,要するにサブキャラクターである.
    彼女たちの存在が初めて公開されたのも,
    スプラトゥーン発売まで1ヶ月を切ったタイミングで公開された
    「Splatoon Direct」という動画内でのことである.
    しかし,存在が明らかになった直後から彼女たちは非常に高い人気を得ており,
    発売前からイラストが,そして発売後にはそれに加えて彼女たちの歌や踊りに関する
    「歌ってみた」「踊ってみた」の動画などが,ネット上に多数アップロードされた.

    シオカライブがどのタイミングで企画されたイベントなのか,外部からは分からないが,
    恐らくはこういった彼女たちの人気に手応えを感じてから生まれたのではないだろうか.

    まぁ企画タイミングはともかく,
    そうして開催されたファーストライブは大盛況で幕を閉じた.
    ゲームにおいてはサポート役である彼女たちが,
    ライブイベントにおいて見事主役として華々しいデビューを飾ったわけである.
    そしてこの成功が,セカンドライブとシオカラーズamiiboに繋がった,と推測される.

    シオカラーズamiiboのゲーム内連動要素は「ライブの再現」,
    言い換えればシオカラーズが主役となるコンテンツである.
    ゲーム内においてはサポートキャラである彼女たちが高い人気を獲得し,
    自身が主役となる外部イベントで成功を収め,
    その活躍をゲームに持って帰ってくる・・・という絵に描いたようなサクセスストーリーが,
    今回のシオカラーズamiibo発売までの道のりである.

    そのサクセスストーリーの背景には,
    ゲーム開発者やライブ関係者の尽力ももちろんのことであるが,
    多くのプレイヤーやファンの熱量もまた大きな意味を持っていたのではないか,と思う.

    スプラトゥーンのゲームに惚れ込んだファンが様々な活動をし,
    その熱量に応える形でメーカーは新たな可能性としてイベントを提示し,
    それを受けてファンはさらに大いに盛り上がり・・・
    そうした好循環によって,スプラトゥーンには
    「面白いシューターゲーム」という価値に加えて
    「アイドルユニット・シオカラーズの活躍の場」としての価値が付加された.

    シオカラーズのサクセスストーリーは,
    ファンとメーカーが共同で作り上げた新たな価値という意味で,
    非常に面白い事例なのではないか,と私は思っている.

    予想通りだったこと,予想外だったこと

    幅広い層に受け入れられ,発売から一年経った今も衰えを見せないスプラトゥーンであるが,
    発売前からそのゲームデザインに強い関心を寄せていた私は,
    また恐らく同様に興味を持っていた人達にとってもそうであろうとは思うが,
    スプラトゥーンというゲームが広く受け入れられる事について,
    意外だとは全く思っていない.
    このゲームがそれだけのポテンシャルを秘めているという,
    確信に近い推測をしていたからだ.

    しかし,シューターとしての面白さとは直接関係のないところで,
    サポート役として登場するサブキャラクターがバーチャルアイドルとしてリアルに飛び出し,
    それが成功を収めて,その活躍がゲーム内にも反映され,
    その結果シューターとしての価値とは別の新たな価値が生まれる・・・
    こんなことが起こるというのは完全に予想外だった.
    まずゲームキャラによるリアルライブ開催という時点で予想出来るわけがなかった.
    当の任天堂ですらこの流れは想定していなかったのではなかろうか.

    シューターとしての高い価値を予想通りに獲得したことに加え,
    アイドルユニット活躍の場という全く予想外の価値を獲得しつつあるスプラトゥーン.
    シオカラーズの二人がこれからどのような活躍をするのか,
    そしてスプラトゥーンというIPに今後どのような価値が生まれていくのか,
    とても楽しみである.



    ちなみに私はホタルちゃん派である.
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