• final A3000,A4000 を即行レビューしてみた

    2020-11-03 23:20

    先日発売になって即購入したfinal A3000とA4000がすごすぎたので、いつものように某テレビ神奈川の番組っぽくレビューしてみます。

    -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

     今回ご紹介するのはfinalが満を持して送り出してきたIEM型イヤホンA3000とA4000です。

     このところワイヤレスイヤホンやASMR特化型イヤホンなどでジャンルの幅を広げてきたfinalが、王道のダイナミック型イヤホンの比較的安価なモデルをリリースしてきました。しかも圧倒的な音のクオリティの高さを実現したA8000の音を目指したモデルということなので、俄然期待が高まります。

     A3000,A4000はA8000で実現した音を如何に手の届く価格にできるかが一つの大きな目標だったそうなので、A8000にどこまで近づけたのか注目です。

     それでは、早速見ていきましょう。



    final A3000(左),A4000(右)

     神奈川県川崎市に本拠地を置く、日本のヘッドホン・イヤホンブランドfinalが新たに送り出してきたA3000,A4000は完全新設計の「f-CORE DU」と呼ばれるシングルのダイナミック型ユニットが最大の特徴で、この新型ユニットを作るために海外に新たな製造拠点を設け、製作機器から部品の一つ一つに至るまで全てが新設計という気合の入れようです。A8000の開発の中で得られた「時間応答の概念」を元に開発が進められ、A8000ではベリリウムを使用していた振動板を既存の素材で工法で工夫をこらすことで極限まで軽量化し、A8000で実現した「トランスペアレントな音」を再現しています。筐体はABS樹脂ながらも、しっとりした触り心地のマットな塗装を施すことで見た目の高級感を演出しています。またA8000やMakeシリーズと同様のIEM型とすることで装着感も自然な仕上がりとなっています。

     final A3000は\12,800(税込)、A4000は\15,800(税込)となっています。

     final初の2Pin端子のリケーブルが可能になっていて、断線した時にケーブル交換できるのも魅力ですね。

     この後はいよいよ、試聴です。

     さぁfinal A3000とA4000を試聴しています。
     今回のこのA3000とA4000が属する「Aシリーズ」というのはfinalが去年末2019年12月にリリースした「A8000」というイヤホンに端を発しているシリーズで、A8000で実現した「トランスペアレントな音」というのが最大のテーマになっています。で、この「トランスペアレントな音」って何なのか…って言ったら、一言で言えば「音が見える」ということになるかと思います。音って一つ一つの楽器が奏でる音を一つのマイクで収録するワケで、最終的には一つの音に混ぜられるのですが、そうやって混ぜられた音源を聴く時に、音の一つ一つがあたかも分離しているような……そして人が何か物を見る時に見ている物にピントを合わせる、あるいはカメラで言ったらフォーカスを合わせるワケじゃないですか、それと同じように“音にフォーカスを合わせられる”そういう体験のできる音のことを言います。

    final A3000

     まずA3000から聴いていますが……恐らく多くの方は最初に聴いた時にまず「あれっ?えらく全体的にシャリシャリした音がする」と思うかもしれませんが、finalは比較的最近のイヤホンに関しては「スローリスニング音質評価」という評価方法を用いているそうで、人間の耳が時間を掛けて音に慣れてくることを想定した音作りをしているそうなので…例えば、よく聴き慣れた音楽をまず最初に聴いてみて、その後20~30分ぐらい適当に別の音楽を流し続けたら、今度はもう一度最初に聴いた音楽を聴き直してみてください。一番最初とはかなり違って聴こえると思います。それから、こちらはどちらかというとマニアな方向けになりますが、デジタルオーディオプレーヤーのゲイン調整ができる機種に関しては「NORMAL」以上にすることをオススメします。BA型を聴いてゲインをLowのままにしていると低域が薄くなってしまうので、こちらも注意が必要です。

     まず聴いて思ったのが先程もお話した「音が分離して聴こえる」という「トランスペアレントな音」ですね。A8000で体験した音にかなり近いような感覚を味わえます。A8000の方が金属筐体ということもありもっとカッチリとしたような音だった覚えがあるのですが、何分試聴したのはもう一年近く前になりますし手元にまだA8000は無いので詳細な比較まではできない状況です。しかし、このクオリティの音を一万円台で出してくる……というのが驚きでしかないです。明らかにこのクラスの音ではない、軽々と同じ価格帯のクラスのイヤホンの音を越えられるクオリティを持っています。



     サウンドステージも、finalらしく広くて良い感じです。今回筐体が、恐らくコストダウンのためかABS樹脂となっています。イヤホンにとって筐体の素材は音の響きに繋がる重要な要素でABS樹脂は割と柔らかい音になる傾向があるそうですが、finalはそのあたりのチューニングも抜かりなくやっていて変な響きだったりボヤケた感じが一切ありません。まるでステンレス筐体で聴いているようなソリッド感のある音が実現されています。このABS筐体になったことの良さって幾つかあるワケですがとりわけ言えるのが“筐体が軽い”ということなんですよ。重さによる負荷が掛かりづらくなるので長時間の使用でも耳への負荷が軽くて済む、なおかつfinalのIEM型は考え抜かれた筐体の形状をしているので尚の事上手く負荷を分散してくれる……慣れてくると装着していることすら忘れてしまうくらいのフィット感です。



    final A4000

     さ、これで今度はA4000にスイッチしますが……“往年のfinalのファン”には多分こっちの音が響くでしょうね。

     A4000の方がどちらかと言うとバランス感というか、高域から低域のバランスも含めてより忠実な音を出すことに重点を置いているように感じられます。A4000を聴いた後でA3000にスイッチすると、A3000の方がやや中~高域に特性が傾いているように感じられるのと、その結果として低域がわずかに引っ込んでいるように感じます。その分「トランスペアレントな音」としてはA3000の方が“分かりやすい”と言えるかもしれませんし、人によっては“ちょっと過剰かも”と感じる人も中には居るかもしれません。




     A3000,A4000の音についてもう一つ言うと「解像感」が高いというのが注目されがちなのですが、特に注目して頂きたいのが“低域”、具体的に言うと“バスドラム”の音なんですよ。ライブに行ったことのある方だったりバンドで演奏されている方はご存知かと思いますが、バスドラムってこう……ペダルを踏むとバチが動いてドラムを叩いて「ボンッ!」って音が出る……“空気が押し出される感覚”っていうのを感じられるんですね。A8000もそうでしたが、このA3000,A4000も、これ相当高いレベルでこのバスドラムの空気感を再現できています。このあたりも振動板を軽くしてレスポンスが良くなったことが功を奏しているのかもしれません、全体的にメリハリのある音、歯切れの良い音に仕上がっています。


     The Conclusion final A3000,A4000


     このfinal A3000,A4000は、正直一万円台で買えるイヤホンの音としては正直一回り……いや二回りも飛び越えるような、とんでもない実力を持ったイヤホンです。今回搭載されている新型のダイナミック型ドライバーユニット「f-CORE DU」と言う名前までつけられていますが、このドライバーユニットを作るために海外に新たな製造拠点を作って、製造機器も刷新して、なおかつ部品も新設計した……ここまでドライバーユニット作りに本気を出すメーカーって、僕はあまり聞いたことがないです。何でここまでできるかって言ったら、finalが自社でドライバーユニットを開発できるノウハウがあるからということと、そして何より「A8000」の存在があってこそなんですよ。A8000の開発で得られた理論が前提としてあって「こうすれば間違いなくトランスペアレントな音が作れる」という確信があったからこそ、新たな設備投資を躊躇せずに行なうことができたのではないでしょうか。このA3000,A4000はダイナミック型ドライバユニットを新たな次元にまで押し上げたと言えると思います。


    final A3000,A4000の評価

    ○:音が分離して浮かび上がって見える“トランスペアレントな音”を、頑張れば手に届く価格で実現したこと。

    A8000は確かに音は素晴らしいんですが、金属筐体でそれなりに重さがあって、しかも鏡面加工なので綺麗に使いたいって人には外に持ち出すことのハードルが結構高かったんですね。そういった方にもこのA3000,A4000はオススメできると思いますし、A8000で実現した音を……まぁ、一万円は越えてくるので“お手頃”とまでは言えないにしても、A8000の約19万円の価格と比べたら“ちょっと頑張れば手が届く”くらいの価格帯に「トランスペアレントな音」が下りてきたというのは、僕はとても歓迎すべきことだと思います。

    ×:A4000の方を黒にして欲しかった

    A3000とA4000、音に関しては価格のことも考えると正直文句ナシというか価格を考えるととんでもない実力を持っているのは間違いないのですが、敢えて一つだけ文句を言わせて頂くとしたら……今回A3000の筐体がブラック、A4000の筐体が黒っぽいネイビーブルーになっていますが、個人的には逆にして欲しかったです。個人的にはブルーの方がどちらかと言うとカジュアル感のある色、ブラックの方がより高級感だったりプロだったりハイエンドを思わせる色なのかな……と感じているので、ここだけがちょっと残念に思いました。


  • 広告
  • ワタクシがfinalのフラッグシップのヘッドホン「SONOROUS X」を買ったワケ

    2020-05-31 01:55

     こんばんは、K-Yamaです。
     このブログがすっかり放置状態になってしまっていましたが…その間にも色々なことがありました。今回はワタクシのオーディオ遍歴で“一つの大きな到達点”を迎えたので、久々にこうして筆を取った次第です。

     先日Twiterでお披露目しましたが、先日ワタクシはとあるヘッドホンを買いました。



     それが、こちら。ワタクシが好きなfinalのヘッドホン「SONOROUS X」です。

     過去に「マツコの知らない世界」でヘッドホンが取り上げられた時、マツコ氏が最後に聴いていたヘッドホンです(確か筐体を「春日部のヤンキー」と形容していた覚えが…)。


     写真で見ただけで、その圧倒的な佇まいの“オーラ”みたいなものを感じるかもしれません……finalが手掛けるヘッドホン「SONOROUS」シリーズのフラッグシップモデル……つまりは最上位のモデルがこの「SONOROUS X」になるのですが、ざっと特徴を見てみましょう。

    ○フロントプレート一体型アルミニウム・マグネシウム合金削り出し筐体
    ○ステンレス切削ハウジング
    ○共振点が異なる二つの素材を組み合わせて共振を抑える構造
    ○チタン振動板

     この特徴だけで分かる通り、このヘッドホンはイヤーパッドやヘッドバンド部分を除いたほぼ全てが金属で出来ているのです。この“ほぼ金属製のヘッドホン”の重量は何と

     630g

     ……つまり、500mlのペットボトル茶以上もの重さを誇るワケです。驚くべきは重量だけではありません。高級な金属を高い精度で削り出す必要があるワケで、当然色々と手間が掛かってくるワケです……つまりそれはコストへと反映されます。

     このSONOROUS X……価格はと言うと……


     \629,000(税込み)


     ……( ゚д゚)ポカーン


     ……正直色々なところが“桁違い”なのがお分かり頂けるかと思います。

     今回ワタクシこのSONOROUS Xを購入するに至ったワケですが、とてもじゃないですが新品では買えませんw 今回ワタクシが買ったのは某所で買った中古コンディションでしたが、商品画像が360度ぐるっと回ってで見れるところで、コンディションが上々なことが分かったので思い切って購入に踏み切りました。中古でも約34万円でしたが、元値を考えればほぼ半値のようなものですし……過去にショールームや秋葉原の公式ストアでも視聴したSONORUS Xだって見方を変えれば色々な人が試聴に使ったいわば中古なワケで……コンディションさえ良ければ必ずしも新品である必要はなかったワケです。中古でも良いからSONOROUS Xを手に入れたかったんです。

     ……ここからが本題です。何故ワタクシがSONOROUS Xを購入するに至ったのか。Twitterでも少しお話しましたが、このブログでも改めてお話をしようかと思います。

     今回ワタクシがSONOROUS Xを手に入れた主な理由は以下の4つです。一つずつ見ていくことにしましょう。

    ○過去にショールームで試聴して、その音に魅了されたから
    ○試聴できる場所・機会が限られてしまった、減ってしまったから
    ○生産終了になったから
    ○“昔のfinal”が好きだから

     まずは1つ目。

    ○過去にショールームで試聴して、その音に魅了されたから

     finalは神奈川の本社にショールームが併設されています。去年の12月に秋葉原に公式ストアの「final STORE」がオープンするまではショールームが公式ストアの役割を担っていました。そこではfinalのプロダクツを(限定品含めて)全機種試聴できるため、final好きにとってまさに「聖地」とも呼べる場所です。特別セールやイヤホン組み立て体験、最近では音響学講座もこのショールームで開かれていて、機会がある度に中央高地の片田舎から神奈川まで遠征してました。

     その中で今回のSONOROUS Xも何回か試聴していました。SONOROUSシリーズのフラッグシップ(63万するヘッドホン)なんてそうそう手に取れるものじゃないですし、折角遠くから遠征して行ってるワケですから……最初は単純な興味で聴いてみただけでした。

    「……んぉぉ……っ?」

     あたかも目の前で楽器が演奏されているようなリアル感のある音……そんな音を期待していたワタクシは面食らいました。何とも強烈に中域が誇張されたような“もわっと”した音だったのです。初めて聴いた時はその違和感に耐えられず、確か15分ほどで試聴を終えてしまったと思います。

     しかし、過去の経験則でワタクシは知っていました。

    「finalのプロダクツは時間を掛けて聴き込まなきゃ実力が分からない」

     ということを……。実はfinalに限らずなのですが、ヘッドホン・イヤホンは耳が慣れるまでに時間が掛かります。finalの音響学講座で知りましたが、頭の中にはヘッドホン・イヤホンの音がデータベースのように記録されていくそうです。過去にブログ等でも言ってきていることですが、ほんの数秒とかでイヤホン・ヘッドホン試聴を終えてしまうのは実に勿体ないです。できればアルバム一本(40~50分程度?)、短くとも20~30分程度は聴き込まないとヘッドホン・イヤホンの真の実力は推し量れません……一度試してみて下さい。

     さて、話を戻すと……初回はこうして早々に試聴を止めてしまったのですが、ある時再びショールームに行った時に、今度は1時間ほど時間を掛けてじっくりと聴き込んでみたのです……すると、最初に感じていた中域の違和感が消え、次第にヴォーカルや楽器が浮かび上がるような、不思議な音空間に包まれていたのです。

    「あ……これやっぱりヤバいヘッドホンだ……」

     そう確信しました。しかし63万円もするヘッドホンですから、軽々しく買えるものではありません……そこでワタクシは、SONOROUS Xと同じチタン振動板を採用し、更にはSONOROUS Xの技術である「フロントプレート一体型ハウジング」を採用したSONOROUS IIIにSONOROUS Xと同じイヤーパッド(TYPE-C)を装着し、SONOROUS Xに近づけようとしました。結果的にSONOROUS Xで感じた“中域の違和感”も含めてかなり良い感じでSONOROUS X“っぽく”なりました。それで暫くは満足していたのです……。

     ……しかし、心の何処かでSONOROUS Xの音を諦めきれない自分が居ました。

    ○試聴できる場所・機会が限られてしまった、減ってしまったから

     2つ目ですが、先程お話した通りワタクシは中央高地の盆地に暮らしているため、ショールームのある神奈川や東京まで片道200km以上あるのと、eイヤホンやヨドバシカメラ、ビックカメラのような超高級なヘッドホンを扱っているような店舗が身の回りにありません……SONOROUS Xの音を聴きたくても、聴ける場所が近くには存在しないのです。SONOROUS Xの音を聴くためには関東へ遠征しなければならない……しかし遠征では聴ける時間が限られてきます。

     そしてそこに更に追い打ちを掛けたのが、昨今の新型コロナウイルスでした。

     SONOROUS Xを聴きたくても関東方面に遠征ができない……最近少し緩和されてきたものの、外出が憚られるこのご時世、できる限り家に居ることを求められる……今後いつ関東方面へ安全に遠征ができるようになるか分からない……。家での生活で、自分の趣味であるオーディオが占める時間が増えることは予想に難くありません。

     これから増えていく家でのオーディオの時間……その時間を充実させるための“何か”がほしかったのです。

    ○生産終了になったから

     3つ目……これが結構理由として占めている割合が大きいと思います。

     昨年の8月頃、finalの公式ネット通販の「final DIRECT SHOP(現:SNEXT DIRECT SHOP )」から突如としてSONOROUSの一部機種が姿を消しました……。

    ・SONOROUS IV
    ・SONOROUS VIII

     そして

    ・SONOROUS X

     実質、この三機種の“生産終了”のアナウンスでした。その直後にショールームに行く機会(再生品セールの時です)があったので、その時にfinalの営業さんとそのことについて話をしました。

     今回生産終了になったSONOROUSの中でも、殊にSONOROUS Xは“極めて高い加工精度”が求められる…とのことで、筐体の切削加工の現場の方が限界だったそうです。

    “もうこれ以上、このクオリティを保つことが難しい”

     finalとしても苦渋の決断だった……とのことのようです。

     先に書いた通り、手持ちのSONOROUS IIIにSONOROUS X用のイヤーパッドを換装し始めた時点で、ワタクシは既にSONOROUS Xの音に魅了されてしまっていました……確かに63万円は高いけれど、機会があればいつかは買いたい……既にそんな心持ちで居たのです。しかし、そんなSONOROUS Xが生産終了になってしまった……そうなると、今後もう二度と手に入らなくなってしまう可能性もあるワケです。

     ……そのことを考えた時に、もう一つの想いが過りました。

    ○“昔のfinal”が好きだから

     ワタクシはfinalというブランドが好きです。勿論、EシリーズやD8000、A8000等々の現行の機種も好きではあるのですが……最近のfinalのプロダクツは、どこかこう……かつてのプロダクツにあった“(褒め言葉としての)ぶっ飛んだ感じ”が以前よりは少なくなってきているように感じています。確かにD8000のエアフィルムダンピングシステム(AFDS)やA8000のピュアベリリウム振動板などは他のメーカーにはない、これも“ぶっ飛んだ技術”ではあるのですが……すごく緻密に理論を積み上げていったことを感じます。

     一方でこのSONOROUS XやPianoForteに関しては、それらとは違うように自分には思えるのです。

     PianoForteに関して言えば……

    「スピーカーのような自然な聴こえ方を追究した結果、イヤーピース不要な、瓢箪型のようなイヤホンが出来ました!筐体の素材によって音が違います!!」

     ……と言った成り立ちで、その形状も今までのイヤホンにはあり得ない形状のものでした。正直イヤホンとして成立しているか分からないような出で立ちですが、殊にオーケストラの音源との相性は抜群で、さながら“耳元用スピーカー”というそれまでにないスタイルを確立していました。

    【参考】Piano Forte VIII

     そして今回のSONOROUS Xは……

    「音にとって悪影響な“不要振動”を徹底的に防ぐことを一切の妥協なしで追究した結果、ステンレスとアルミ・マグネシウム合金を組み合わせた総重量630gのほぼ金属製のヘッドホンができました!!」

     ……といった成り立ちです。音響工学等々はワタクシはよく分からないのですが、理論的に正しい“不要振動の排除”を、ここまで徹底的に行なったメーカーが他にあったでしょうか……?そしてそのために、ほぼ金属製の重量630グラムを誇るヘッドホンを作ってしまったメーカーが……。

     何というか、ある種の“力技”で作ったプロダクツが、最近少なくなったように思えるのです……しかしそれは、finalが目指している「原理的に正しいことを徹底的に追求する」ということには変わりがなくて、それに対するアプローチの仕方が変わったからだと思うのです。D8000の開発には様々な企業や研究所等が関わって、様々なデータを積み重ねて一つのプロダクツを作り上げています。よりスマートな研究開発ができるようになった……と言っても良いのかもしれません。

     ただ……ワタクシは、今回のSONOROUS Xのような、ある種の“力技”で作り上げた、かつてのfinalのプロダクツにもまたその良さを感じるのです。ニコニコ動画のタグで「愛すべき馬鹿」というタグがありますが、その心持ちに近いかもしれません。

     そんな思いから、ワタクシは過去のfinalのプロダクツについても機会があれば集めるようにしていて……Twitterに上げた「heavenシリーズ コンプリートの道」もその一環でした。そのheavenシリーズの最後の一つである「heaven a」を探してネットの中古通販を探している途中……某所で今回のSONOROUS Xを見つけたのです。

     ネット通販ではあるものの商品画像が360度ぐるっと回転して見れるところで、写真も解像度が高かったため細かいところまで見ることができました。見たところ傷等も全く見当たらず、コンディションは上々……価格は約34万円……ネット通販で確認できるところとしては最安値。今の銀行口座に残ってる金額を考えると、ちょっと無理すれば買えてしまう金額……。

     しかし……34万円となれば、あと少し頑張れば最新のD8000が買える金額ですし、A8000に至っては余裕で買える金額です。でも僕はそれでも敢えてこの34万円のSONOROUS Xを選びました。

     D8000やA8000は現行のラインナップ……買おうと思えばいつでも買えます。

     でも、SONOROUS Xは違います。

     もう生産終了になってしまい、良いコンディションのものが今後いつ手に入るか分からない……ショールームや公式ストアで聴けるけど、昨今のコロナウイルスでそれができないし、いつ安全に行けるようになるか分からない……音の良さはショールームで試聴してて分かっていているから不安はない……。

     そして何より“(褒め言葉として)ぶっ飛んだ”時代のfinalのプロダクトの、集大成の一つであるSONOROUS Xを、自分の手元に残しておきたかった……。


     こうして、5月21日の夜……震える手でクレジットカードの番号を入力し「注文確定」のボタンをクリックしたのでした……。


     ……以上が事の顛末です。結果的にとても満足しています。開封した時には、その圧倒的な佇まいに圧倒されながらも、手に取った重量感と、その重量感のある筐体が生み出す音を聴いていくうちに……

    「……あ……これ、ショールームで試聴した時と同じだ……」 

     と、不思議と安心した気持ちになっていました。




  • 【特別企画】finalのエッセンスを色濃く味わえる「heaven」シリーズ 1

    2019-04-04 01:40

     こんばんは、K-Yamaです。今回はいつものレビューとは少し趣向を変えてお送りします。


     自分が「final」というブランドと出会った時のこと、そしてそのfinalが手掛けるイヤホンの「heaven」シリーズについて、複数回に渡って特集していきます。


     僕は最近日本の「final」というブランドのヘッドホン・イヤホンにすっかり傾倒しっぱなしな訳ですが、そのfinalブランドのイヤホンの中でも一際好きなシリーズがあります。それが「heaven」シリーズです。



                 iriver ICP-AT500

     自分が初めてfinalのイヤホンと出会ったのはiriverICP-AT500(チューニングはfinal)で、その後heavenシリーズも試聴したのですが、実は最初は正直好きになれない音でした。当時自分はSONYやオーテクのヘッドホン・イヤホンを好んで使っていた時代で、いわゆる“ドンシャリ”な音が一番自分には理想的な音に感じていたのです。


    「…うわ、何だこのめっちゃカマボコ的な音は…。」


     そんな当時の自分の耳には、heaven(多分IIIVあたりだったと思います)の音は“低域と高域が抜けた中域ばかりが目立つ音”そして”相当クセが強い音”という印象だったことを今でも覚えていて、


    「…こんなんで『ガラスのような透き通ったクリアな音』とか嘘だろ…?」


     という気持ちでした。レビューを書いてる人の耳はどうなってるんだ…という気持ちさえしました。


     そんな中、最初に買ったheavenシリーズはIVでした。今思えば妥当な選択だったと思います(理由はまた次回以降で)。さいたま新都心のヨドバシカメラまで試聴に行って、IIIVかで散々迷った挙げ句…


    「…価格の差はデカいけど、ここは妥協しちゃダメなとこだ。」


     とIVをその場でamazonで発注したのを覚えています(現地で買わなかったところは突っ込まないで下さい)。


     …かくして自分は初のheavenシリーズであるheaven IVを買ったワケですが、やはり価格的に高かったのと鏡面加工の筐体は傷がつきやすいこともあり、すぐに代わりとなるイヤホンを…ということで買ったのがheaven IIでした。


             final heaven II

     その後は耳を慣らそうと、heaven IIを持ち歩いて聴く機会を増やしていったものの…。


    「…やっぱり低域が物足りないなァ…。」


     と思う日々が続きました。そんな折、finalのショールームで「イヤホン組み立てイベント」が開催されると聞いて、しかも“倉庫から発掘された初代組み立てイヤホン、ゲットできるのはこれがラストチャンス!”とあって、応募してみたところ当選し、初めてfinalのショールームへ行くことに…。


     初めてのショールームは驚きで一杯でした。イベント開始後スタッフさんが喋ってる途中で、奥から徐ろに丸ブチメガネが特徴的な男性の方が現れたかと思うと…


    「今日は弊社代表の――。」


     …その方がまさかのfinalの代表(というか社長)で、正直そんな偉い方が直々にこのイベントに参加されていることに色々な意味で衝撃を覚えました。こうして始まったイヤホン組み立ては、普段細かい作業をしたことがない、正直手先があまり器用でない自分でも、スタッフさんにサポートして頂いたお蔭でちゃんと作ることができました。


     イヤホンを作り終えた後は「座談会」ということで、final代表も同席でのざっくばらんなオーディオトークとなり、あっという間に時間が過ぎていきました。その場に集まっていた皆が“final”という一つのブランド、そして何より“オーディオ好き”というコミュニティの元で、一つになっていたのです。そしてその中でfinalブランドの方針、理念などについても聞くことができました。詳しくはまた次回以降お話していきますが、このイヤホン組み立てイベントを機に「final」ブランドの凄さを知ることとなり、すっかりブランドの虜になってしまったのでした。これが間違いなく、最初の大きな転換点でした。


     以来、まずはイヤホン組み立てのイベントの常連となり、長野から片道200km以上掛けて「ヘッドホン祭り」やショールームへ遠征するようになり

    「長野から来られている方」

     ということで、いつの間にか顔と名前を完全に覚えられてしまいました(そこがまたfinalの良いところだったりします)。そして、あるイヤホン組み立てイベント(初代TANEだったかと思います)で待ち時間にあるスタッフさんとしていた話…それが、二つ目の大きな転換点になりました。


    「弊社代表はheavenがほぼそのまま耳の中に入るんです。」


     それまで自分はheavenを、耳の穴の浅い部分で密閉していたのですが、それを耳の奥で密閉するということを初めて知ったのです。


    「こうすることで、低域をより感じられるようになりますよ。」


     そして、家に帰って早速試したところ、これが効果ありでした。それまで物足りなかった低音が、十分としっかりとした低音に感じられたのです。しかも段々とhaevenの音に慣れてきたことで、もうあの時の“カマボコ的な音”ではなくなっていました。


    「何だこれ…こんなやり方があったのか…!!」


     以来、heaven IIに対する見方が大きく変わりました。そしてheavenシリーズに興味を持ち始め、つい先日達成した“カラバリ含めて全種コンプリート”の道が始まったのです。


     …今回はここまで。次回をお楽しみに。