母の日のサプライズ
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母の日のサプライズ

2013-06-02 18:39

     フッ…と、頭の中にイメージが広がる。
     どこかのマンションの一室。風が気持ちよく吹き込んできて、部屋に入ってきた風で白いレースのカーテンがゆらゆらと揺れている。
     窓の側には、ベビーベッドが置いてあって、ベッドの中には小さな赤ちゃんが眠っている。スヤスヤと、とても気持ちよさそうに。
     部屋の中には、他に誰もいない。妻は買い物にでも出掛けているのだろう。

     “そうか…今日は、母の日だっけ”と、突然思い出し、ちょっとしたイタズラを思いつき、500円玉1つを握りしめて外に出掛け、15分ほどで戻ってくる。

     妻が外から戻ってくると、すぐに赤ちゃんのベッドに誘う。
    「来て来て!大変なコトになってるよ!」
     “どうしたの~?”と、不思議そうな顔をしながらも妻はついてくる。
     見ると、眠っている赤ちゃんの手に一輪のカーネーションが握られている。
    「ほら~、きっと、今日は母の日だから、“お母さん、ありがとう”って、カーネーションを買ってきてくれたんだよ」
    「ええ!?そんなバカな~!この子、まだ0歳なのよ。どうやって、お花屋さんまで歩いて行くのよ。しかも、お金出して買い物するだなんてコト、まだわかんないでしょ」と、妻はとても驚いてくれる。
     思った通りの反応だ。初めて出会ったあの頃から変わらない。こんな些細なコトで驚いてくれる。こんな、幸せもいいものだな~

     そこで現実に帰ってくる。
     そんな人生もあったのかも知れないな。何かが1歩違っていれば、そんな人生を歩んでいたかも知れない。ここまで“自由”を求めなければ。こんなにも自分勝手な生き方を選ばなければ。だが、同時に心の底からよくわかってもいる。そういう人生には、そういう人生なりの“リスク”というものがあるのだと。
     きっと、それはとても窮屈で、とても退屈で、耐えられない人生だっただろう。


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