「恐怖を与える絵」(連載小説 ~第52話~)
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「恐怖を与える絵」(連載小説 ~第52話~)

2014-02-20 15:33

    「こ、これは…」
     レユレユは言葉に詰まる。
    「わけがわかんないわね」と、バッサリ。ソフィアは、結構、心に浮かんだ思いをそのまま口にしてしまう。
    「こういった作品を私は描いてるの。もちろん、理想には程遠いけどね。これをもっともっと極めていって、人々の心に恐怖を植えつけるの。それが、私の人生の目的」

     なるほどな、とレユレユは思った。シズクさんには名前がある。それは、そこに強い思いがあるから。“私は、こうしなければならない!”という使命のようなものが存在する。だから、名前を与えられている。この絵が恐怖を与えるかどうかはわからない。でも、強い強い思いは感じる。名前を与えられるだけの必然性がある。
     この世界のほとんどの人達に名前が与えられていない理由は、そこにあるのだろう。ここまでの強い思いを持って生きてはいない。ただ、その日が安全であればいい。この瞬間、楽しければいい。傷つかなければ、いい。安定した人生を送るコトができれば、それでいい。
     それでは駄目なのだ!それでは、世界に認めてはもらえない。名前も、セリフさえも与えてはもらえらない。名も知られず、言葉を発するコトもなく、ただ背景として存在するのみ。モブとして配置されるのみ。そういうコトなのだろう。
     果たして、恐怖を与えるコトが真の芸術であるのかどうか?シズクさんは、今後、人々の心に刻み込まれるような絵を生み出せるのか?歴史に名を残すような偉大な画家となれるのか?それは、わからない。けれども、現時点においてこの世界から名前を与えられているというコトは、それだけ価値のある人であるというコトには違いないだろう。

    ※今回の絵は、その迫力を感じる為にも、ぜひ拡大してご覧ください(画像をクリックし、さらにクリックすると最大化した画像をご覧いただけます)

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