「組み上がっていくパズル」(連載小説 ~第85話~)
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「組み上がっていくパズル」(連載小説 ~第85話~)

2014-03-25 22:40

     情熱・経験・知識・お金…それぞれ、人は持っているモノが違うけれど。みんながいろいろと持ち寄って、世界を変える組織が誕生した。そうして、着々とパズルは組み上がっていく。

     人は1人で何もかもをこなす必要はない。足りない部分があれば、補えばいい。新たな能力を身につけ成長する。それでも駄目なら、人に頼る。協力する。
     敵はあまりにも大きく強い。その形を捉えるのにさえ苦慮する。そんな敵に向って、たった1人で挑む方がどうかしている。

     レユレユの取った行動は、ある意味で正解だったと言えるだろう。これまで、あまり人に頼ろうとせず、人と協力するコトを避けてきたレユレユ。それが意識してか、無意識であったかは知らない。いずれにしても、あまり積極的に人と触れ合おうとはしてこなかった。常に一定の距離を保ち、そこから先、立ち入ろうとしなかった。立ち入らせようともしなかった。その禁を破ってでも、やらなければならないコトがあったのだ。

     レユレユの元を訪れたのは、実に多種多様な者達だった。
     ある1人の男は、自分の人生に特に不満があったわけではなかった。ただ漠然と“これは違うな”と感じていただけだった。だから、何でもよかったのかも知れない。心の底から打ち込める場所があれば、どこだって構わなかったのかも。

     ある1人の少女は、もっとハッキリとした形で不満があった。家庭環境だ。生まれた時からずっと、親の言いなりに生きてきた。逆らえば、すぐに拳や蹴りが飛んでくる。だから、次第に抵抗するのをやめた。表面上はね。だが、復讐の炎は消えず、心の底でメラメラと燃え続けていた。「いつか、世界に復讐してやるのだ」という思いを心に秘めて、ここまで生きながらえてきた。そう、復讐の対象は既に親ではなく、世界そのものとなっていた。
     別の少女は、人間不信から、ここに来た。世界中の誰も信じられなくなっていたし、信じる気も失せていた。それでも、何となく。蝶が花の蜜に惹かれるように、曇った闇夜にかすかな希望の光を見た気がして。“ここになら、求めるものがあるかも知れない”と感じて。事実、その通りだった。彼女が求めるものは、ここにあった。
     ある一家は、家族丸ごとやって来た。貧困により、その日に食べる物にも困っていた。だから、食べる物と寝る場所さえ与えられれば、何でもやった。そのつもりでいた。そこに思想はなかった。ただ食事がしたかっただけ。それが生きる理由であり、参加理由。
     そんな風に、様々な人間がやって来て、お互いを知り合った。そうして、安心し、同時に驚いた。「こんな生き方もあったんだ」「ああ、僕とは全然違う人生」「私が想像していたのとは、全然別の世界があるんだわ」と。


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