「自分に最適な役割」(連載小説 ~第89話~)
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

「自分に最適な役割」(連載小説 ~第89話~)

2014-03-29 20:46

     八百条輝(やおじょうひかり)は、非常に賢い人間であった。そして、自分自身を客観的に評価できる能力も持っていた。だから、自分がトップに立つべき人間ではないと、知っていた。人々をまとめ上げる人間というのは、常に矢面に立って戦わなければならない。常に誰かと戦いながら、攻撃も防御も行わなければならない。
     それが不可能なわけではない。ただ、自分には合っていない。だから、そのような役割を演じれば、苦労するコトがわかり切っていた。おそらく、非常に大きなストレスを感じるコトになるだろう。それは、幸せではない。
     それよりも、自分には誰かを補佐する役割の方が合っている。それが、一番、自分の力を発揮できる。そう信じていた。そして、事実、その通りであった。八百条は、活動的な人間の片腕として、あるいはブレインとして働く時に最高に輝く。
     そういう意味で、八百条はこの役割に理想的なくらい適役だった。まるで、最初から用意されていたパズルのピースが、空いている隙間にピッタリとはまり込むように。それは、もう“運命”とすら言えるくらいに。

    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。