「夢見市の公共事業」(「夢見市物語」 ~第25話~)
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「夢見市の公共事業」(「夢見市物語」 ~第25話~)

2014-07-23 21:40

     夢見市では、新規の建築物を建てたりだとか、道路を拡張したりだとかの工事をあまり行わない。全く行わないわけではないのだが、厳選に厳選して、本当に必要な場合のみに限られている。
     それよりも、補強したりだとか修繕したりだとかの工事の方が多い。最初に建てられてからかなりの年月が経過してしまい老朽化した建物だとか橋・高架橋などが数多く存在していた。
     そこで、将来性を考えて、建て直した方が安上がりだと判断された場合にのみ、新しく建築される。それ以外は補修で済まされる。

     新しく建物が必要になった場合にも、安易に建物を建てたりはしない。
     たとえば、高齢者が増えた為に老人ホームやデイケアセンターが必要になったり、グループホームを作ろうとした時にも、市が直接行うのではなく、民間の企業の力を借りた。これまで産婦人科だった病院をデイケアの為の施設に改修したり、入居者の減ったマンションを老人ホームに変えたりした。その為に、夢見市が資金援助をしたり、情報提供を行ったりしたのだった。


     統廃合によって廃校になった学校の校舎も活用された。
     市民の憩いの場として、カルチャースクールを開いたりだとか、スポーツをする為に、自由に使えるようになっている。教室や校庭はもちろんのこと、体育館やプールまで。

     また、ある小学校などは、外から企業を誘致する際に利用された。夢見市にアニメ制作会社が移転してくることになった時、あまりお金もないからと、廃校になった小学校の校舎を使えるようにしてもらったのだった。何年か後に会社が軌道に乗ってきたら、新しい建物に移転するという契約で、それまでの間、ほとんどただみたいな賃貸料で使えることになった。
     これにより、新しい雇用も生まれた。このアニメ制作会社では、自前で新しいアニメーターを育てている。毎年、何人ものアニメーター志望者が、入社していく。給料は低かったが、それでも他のアニメ制作会社で働くのに比べれば、随分と待遇がよかった。一人前になるまで、生活の面倒は見てもらえるし、社会保障もシッカリしていた。

     夢見市では、こういった政策が多かった。
     “ただ単に人を助ける”というだけではない。“職にありつければ何でもいい”というものではない。それが、いかに他の人々の為になっているか?将来の為になっているか?そういった意味での効率を、常に考えるようにしていた。だから、単純労働で職を増やすくらいならば、何かしら後に残るような仕事を増やせるように働きかけた。

     もちろん、それには働く方も能力を身につけなければならない。そう生やさしいものではない。常に意識を切らないようにしなければならないし、当然ながら努力も必要だった。
     
     こうして、夢見市では作家や芸術家が増えていき、アニメ制作会社の誘致なども行われていったのだった。


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